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トルコ・イスラエル関係の悪化

1、 9月6日、エルドアン首相は記者団に、トルコはイスラエルとの防衛関係を中断する、防衛関連貿易、軍間の関係、防衛産業間の関係の凍結がこれに含まれる、さらにこれとは別の制裁措置も今後行われると述べるとともに、記者の質問に答え、東地中海でのトルコ艦艇のプレゼンスは大きくなると述べた。
 このトルコ・イスラエルの関係悪化は昨年5月に発生したマヴィ・マルマラ号事件(封鎖下のガザに人道支援物資を届けようとした船をイスラエル軍が急襲し、トルコ人8名とトルコ系米国人1名が死亡した事件)に関し、イスラエルが自己の行動の正統性を主張し、謝罪を拒否していること、それにトルコ側が怒っていることを直接の背景としている。
この事件について国連は調査を行い、ガザ封鎖は正当な理由があるが、イスラル軍は過剰な武力行使を行ったとしている。
米国は中東での重要な同盟国であるトルコとイスラエルの間の危機を緩和するために種々の仲介を行っているようであるが、成果が出ていない。9月6日、国務省ヌーランド報道官は、「我々は関係の状況を懸念している。両国関係を強化・改善するために我々は同盟国トルコと同盟国イスラエルと何カ月間も一緒に働いて来た。我々はいまでも両国間のよいパートナー関係がそれぞれの国の利益であると信じており、その目標のために両国と引き続き仕事をしていく」と述べている。

2、 トルコは最近中東イスラム諸国での影響力を強めて行くことを政策目標としている。
その目標を達成する上で、対イスラエル強硬姿勢は有効である。サウジをはじめとするアラブ諸国はトルコの対イスラエル強硬姿勢を歓迎しているところがある。トルコのアラブ諸国での信頼の向上にこれは役立っている。そのことを考えると、このトルコの姿勢は簡単に変わりそうもないと見られる。
 イスラエルは今回のエルドアン声明にもコメントを控え、トルコとの論争を避けようとしている。

3、 「アラブの春」の動乱の中で、トルコはアサッド後のシリヤでのありうべき影響力などアラブ諸国での影響力を増加させている。トルコは、またイラクやイランとの関係での影響力も増加させている。米としても、そういうトルコを重視せざるを得ない状況がある。米はイスラエルのためにトルコに強い圧力を加えることに躊躇している。
更に9月4日には、米の対イラン・ミサイル防衛のためのレーダーのトルコ領内設置をトルコは正式に認めたと発表されている。米のトルコ関係はイスラエルとの関係のよってのみ左右出来るようなものではなくなっている。

4、 私は中東情勢をみる際に、トルコ、アラブ、ペルシャ、ユダヤの4民族の確執として見る視点が必要であると考えてきたが、そういう視点は今後更に重要になる。
(文責:茂田 宏)


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