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グルジア情勢;その見通しと米・ロ関係などに与える影響

1、11月7日、グルジアのサーカシュビリ大統領は、15日間の非常事態宣言を行った。11月はじめから、議会選挙の前倒し、大統領の辞任を要求するデモが首都トビリシの中心で行われていた。そのデモと警官隊の衝突を受けた措置である。
同日、大統領は、国民に演説を行った。その中で、デモが暴力的になり、警察との衝突が起こったことは残念であったが、グルジアの不安定化を許すわけにはいかない、ロシアが諜報機関その他を使って介入している(駐露大使は召還し、3名のロシア外交官を国外に追放する)し、その証拠もある、国が生存の危機にさらされているなどと述べ、国民に冷静に対応するように求めた。また政府としては、反対派と対話を通じて問題の解決に当たっていく考えであることを訴えた。
2、同日、ロシア外務省は次の趣旨の声明を発表した。
「グルジア当局は、ロシアに対し、新たな敵対的な攻撃を行った。サーカシュビリはロシアのスパイと平和維持部隊についての古い非難を繰り返すとともに、新しいことも出してきた。グルジアでのデモも、モスクワの作り出したものだそうである。グルジアはロシアを敵として引き続き描き出している。その理由は明らかである。現政権の経済・社会政策の失敗などを正当化するためである。サーカシュビリの演説はひとつのことに帰着する。外部からの脅威を前に、グルジアの市民は大統領のすべての罪を許し、“強引に秩序を回復すること”を認めるべきだということである。モスクワはグルジア当局のこの新たな脱線を政治的に無責任な挑発とみなす。適切な回答がなされるだろう。
我々は、挑発に屈することなく、国連憲章と国際法の原則に従って行動し、引き続き地域での平和と秩序の頼りがいのある保証者の役割を果たす。
トビリシに直接の影響力を持つものに対して、グルジア指導部に、予期できない結果を伴うこれ以上の破壊的な措置を取らないように、注意を与えるように呼びかける。そうするとの約束は一度ならずなされた。我々は約束が守られることを希望する。」
翌日、ロシア外務省は、グルジアの外交官3名の国外追放を発表し、グルジアの人権侵害を非難する報道官談話を出した。
3、11月8日、サーカシュビリ大統領は、再度、テレビ演説を行い、自らの任期を短縮し、来年1月5日に大統領選挙を行う、議会選挙の時期について来年春か秋かについての国民投票を行う、非常事態はクーデタの現実の危険があったからである、と述べた。小泉首相の郵政選挙同様、国民に聞いてみたい、ということである。できるだけ多くの選挙監視団を受け入れたいとも述べた。
 同日、米国務省は、大統領選挙前倒しなどの11月8日の演説を歓迎する談話を発表した。
4、今後は、この大統領選挙を中心にグルジアは動いていくことになるだろう。
5、旧ソ連諸国のうち、グルジアは、問題の多い国で、今もそうである。
(1) ソ連崩壊後の最初の大統領はガムサフルディアという人であった。この人は、ソ連時代、逮捕されたことがある人権活動家であったが、基本的に文学者で、政治的な妥協がうまくできない人であった。大統領としては、国内の対立をうまく調整できず、グルジアは内戦のような状況になった。1992年に失脚した。
(2) その後、ソ連時代の外相シュワルナゼが帰り、指導者になった。私はなんどか会ったことがあるが、大物政治家であった。新憲法下の1995年の大統領選挙で当選、2000年に再選された。しかし2003年、議会選挙の結果が操作されていると野党が抗議活動を展開、シュワルナゼは辞任を余儀なくされた。これをバラ革命という。
(3) 2004年の大統領選挙で圧勝したのがいまのサーカシュビリ大統領である。国内では、民主化路線、外交では、親西欧・米国路線をとっている。米国留学経験がある。夫人はオランダ人である。先般、来日の際、講演を聞いたが、若い人で、1967年生まれである。
(4) ロシアとグルジアの関係は、ずっと緊張している。
 グルジアには、ロシア軍が駐留しており、グルジアの要求にかかわらず、居座っている。
 南オセチアはグルジアの1地方であるが、北オセチアはロシアに属している。南オセチアには、ロシアに行きたいとの分離運動があり、ロシアがこれを支持、いま実際上、グルジアの統治は及んでいない。
 加えて、アブハジア地方が分離独立を望んでおり、これをロシアが支援している。ロシアはコソボ独立を西側が強行する場合、南オセチアを併合し、アブハジアの独立を認めるといっている。
 さらにロシアのチェチェン地方に分離独立運動があり、血なまぐさい戦争が行われてきたが、このチェチェン人勢力が、グルジアのパンキシ渓谷を避難場所、出撃拠点にしているのに、グルジアが取り締まらないという不満がロシアにある。ロシアがパンキシ渓谷を爆撃したこともある。ロシアは、グルジアは「破綻国家」であると言っている。
 そういうなかで、現在のグルジア政権は、NATO加盟を切望している。ロシアから見ると、これはとんでもない話である。今次のサーカシュビリ打倒デモへのロシアのかかわり方については、まだ良くわからないが、サーカシュビリ政権が打倒されればよいとロシアが考えていることは間違いない。
 これに加え、カスピ海の石油・ガスをトルコのジェイハン、トビリシ、バクのパイプラインで西側に出す計画があり、これはロシアを通らない輸送ルートを作ると言うのが目的である。ロシアのエネルギーを使った圧力外交を掘り崩す目的を持っており、これにもロシアは、いらだっている。
(5)米国は、グルジアの民主主義、親米政策を評価し、グルジアに好意的である。2005年5月、ブッシュ米大統領はグルジアを訪問、グルジアの主権と領土の一体性はすべての国により尊重させなければならないと強調した。米国にとり、イラク戦争が今最大の問題であるが、イラクに兵力を送っている国として、グルジアは英に次ぐ3番目の兵力提供国である。
(6) したがって、グルジアの問題は、米ロ関係にも影響を与える問題である。
(文責:茂田 宏)

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