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日本人とユダヤ人の関係

1、1月18日、American Jewish Committee(アメリカ・ユダヤ委員会)のサイドマン会長が来訪した。米国で有力な団体であるので、喜んで会談に応じた。イラン、中東和平その他の問題を話し合った。

2、アメリカ・ユダヤ委員会は1906年に出来た、歴史のある団体である。
 この団体が出来た契機に日本は関係がある。1904−1905年、日露戦争があった。このとき日本はロシアに勝利した。ロシア人の中には、なぜ日本のような小国に負けたのか理解出来ない人も多く、そこで出てきたのが日本・ユダヤ結託説であった。ユダヤ人が日本を支援したから負けたのだと言う説が広まり、それがロシアでのユダヤ人迫害、ポグロムにつながった。このときにユダヤ人を守るために在米ユダヤ人が作ったのが、この委員会である。
 日露戦争中、日本は戦費の調達に苦労し国債を発行したが、日本は負けると言う見通しが強く、買い手が多くなかった。これを引き受けて売ってくれたのがユダヤ人の金融家シフであった。日本の当局者には、その記憶が残った。

3、第1次大戦中、1917年、英外相バルフォアはロスチャイルド宛に、ユダヤ人がパレスチナの地に民族の郷土を作ることを認め、それを支援するとの書簡を出した。バルフォア宣言である。これが後にイスラエル建国につながっていく。今のパレスチナ問題もそこから発している。
 ユダヤ人団体は当時強国になっていた日本にこのバルフォア宣言への支持を求めた。日本は珍田大使の書簡で、このバルフォア宣言への支持を伝達した。
 なおついでに言うと、英仏が中東を分割したサイクス・ピコ協定には、日本帝国政府にその内容を伝達するとの条項がある。
 日本は中東で「手を汚していない」との説は、歴史に合致しない。戦後の日本についてはそうだろうが、戦前の日本については、そうもいえない。

4、第1次大戦後のベルサイユ講和会議で、日本は国際連盟規約を含む講和条約のなかに人種差別禁止を盛り込むことを提案した。会議では多数が賛成したが、米国大統領ウイルソンがこういう重要問題は全会一致であるべしとして日本提案を却下した。ウイルソンは理想主義的な大統領とされているが、どうしようもない人種差別主義者であった。
 その後も、日本は人種差別に反対する姿勢を貫いた。その日本は人種差別をその主要なイデオロギーの一部とするナチス・ドイツと同盟を結んだが、人種差別については反対の姿勢を崩さなかった。その一部として、ユダヤ人差別に反対した。1938年12月6日のユダヤ人問題についての5相会議決定がある。杉原千畝さんがリトアニアでユダヤ人に日本を経由地とする査証を発給し、多くのユダヤ人の命を救った。この杉原さんの行為は日本政府の公式的な立場と矛盾したものではなかった。
 杉原さんを顕彰する木がエルサレムのホロコースト記念館、ヤド・バシェムにある。
 人種差別禁止は国連憲章には盛り込まれた。これは連合国が日本との戦争のなかで中国やその他のアジアを連合国側に取り込む必要が生じ、人種差別反対を打ち出したからである。マレーシアのマハティール元首相は一度、アジア人は好んで日本の悪口をいうが、日本がいなかった世界を考えてみたことがあるのか、日本がいなかったら、いまもヨーロッパ人に二流の人間として取り扱われていただろうと述べたことがある。

5、ユダヤ人がイスラエルの建国を宣言したのは1948年である。当時、日本は第2次大戦で敗北し、占領下にあった。日本が占領を脱したのは1952年である。その後、日本とイスラエル間で外交関係の樹立問題が起こった。ナチス・ドイツの同盟国であった国との外交関係の樹立に反対する声がイスラエルではあった。しかしイスラエル外務省が歴史を調べてみると、日本はユダヤ人に対して差別をしたことがないことが判り、外交関係が樹立された。

6、ユダヤ人は世界全体で約2000万人であるが、この民族は世界に多くの影響を与えた。この民族との関係は今後とも大切にすべきである。
 欧米では、ユダヤ人のことを研究する人が多いし、大学ではユダヤ学の講座もある。私は日本でも一つか二つのユダヤ学講座があってもいいのではないかと考え、大学関係者に話したことがある。しかしまだひとつも出来ていない。
(文責:茂田宏)

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