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カルザイ訪米
1、 カルザイ大統領は5月10日より14日まで訪米した。オバマ政権とカルザイ大統領
の間には、相互不信があった。(4月3日付記事参照:オバマ大統領は3月28日のアフガン訪問時、カルザイに汚職の根絶、統治の改善を強く求め、カルザイは4月1日、西側と国連が「傀儡政権」を欲し、昨年の大統領選挙でも不正を主導したと告発したとの記事)しかし米側もカルザイとともにアフガン政策を展開せざるを得ないということで、今回の訪米では、オバマは、カルザイとアフガンにおける戦略目標について一致している、米はアフガンの安定にコミットしている、ことを強調し、カルザイも米がアフガンのために行っていることを高く評価した。米に支援の継続を求めた。
オバマ政権とカルザイの間に生じていた亀裂は少なくとも表向きは修復された。
カルザイは米に支援の継続を求め、米側も基本的に長期に支援すると約束した。
2、 カルザイ訪米には、アフガンの主要閣僚がすべて同行し、米側もカウンターパートの
閣僚が協議に参加した。
オバマ大統領とカルザイ大統領は、5月12日、共同声明を発出した。
この共同声明は、(1)前文、(2)アフガンの未来の確保、(3)腐敗への対抗と説明責任の強化、(4)アフガンの民主的進歩の維持、(5)地域協力と国際社会の役割、(6)前向きの長期的なパートナーシップの6項目よりなっている。
私が注目したところは次の通り。
(I)オバマ大統領とカルザイ大統領はアフガン主導の和平・和解努力の重要性を認めた。その目的に向け、米国はアルカイダとの紐帯を断ち、アフガン国家への暴力をやめ、人権と女性の平等を含むアフガン憲法を受け入れる者に社会の中で名誉ある地位を与えるアフガンの再統合・和解プロセスを支持すると誓約した。米国はまた諮問平和協議(consultative peace jirga)への計画を歓迎し、男女を問わずアフガン社会のすべての広範な代表を含み、彼らの関心と優先事項を考慮する包括的なプロセスへの支持を表明した。(第2項の一部)
(II)米国とアフガニスタンは2005年の米・アフガン戦略パートナーシップ宣言を基礎に、2010年に強化された米・アフガン戦略パートナーシップ宣言の署名によって終わる集中的な高官レベルの2国間対話にコミットした。(第6項の一部)
カルザイ大統領はタリバンを含む反乱勢力との対話を行うことを主張してきたが、米側はその効果に疑念を表明してきた。(I)は米側が反乱勢力との対話での解決を模索することに同意したことを意味する。
カルザイ大統領は、米に対し長期的にアフガンにコミットしてほしい、アフガニスタンを韓国やイスラエルなどと同等な「非NATO同盟国」として扱ってほしいとしていた。(II)は米がその要求に対し新しい宣言を発出することには応じたが、実質的なコミットメントは行わなかったことを示している。
3、 なおこれからアフガンではカンダハール制圧作戦が行われる。その関連でカルザイか
ら、汚職まみれと批判されているカンダハールの実力者で、カルザイの弟であるアハメッド・ワリ・カルザイについて、選挙で選ばれた人間であり、首には出来ないとの説明がオバマになされ、オバマもそれを了承したとカルザイは述べた。(5月14日付ワシントン・ポスト紙記事)
(文責:茂田 宏)
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