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北朝鮮の韓国延坪島砲撃(雑感)
1、 11月28日から米韓両軍は黄海において空母ジョージ・ワシントンも参加した演習を実施中である。北朝鮮の労働新聞はこの演習を「戦争勃発へと導くための・・策謀」と非難するとともに、「領海を侵犯すれば無慈悲な軍事的対応攻撃を加える」と警告した。
11月29日、李明博大統領は国民向け談話を発表、今回の延坪島攻撃がこれまでとは次元が異なる、今後の挑発には応分の代価を払ってもらう、北が軍事的冒険主義と核を放棄することは期待できない、軍強化の国防改革を推進するなど述べた。
朝鮮半島の緊張はこの演習が終わるまで続くであろうが、演習が行われている地域が北朝鮮の領海からかなり離れた地域で領海侵犯の可能性がなく、かつ李大統領も「今後の」挑発に代価を支払わせると言っているので、不測の事態が起きる可能性は低いと判断される。
2、 中国の6者協議首席代表会合提案に関しては、北が作り出した現在の緊張を緩和するためにこういう会合を開催することは北の行為に報償を与えるようなものであり、米韓ともに受け入れることはないであろうと判断される。北が軍事的冒険主義と核を放棄することは期待できないと言う李大統領の発言は的を射ている。
中国は北朝鮮を抑制すべきであって、こういう提案をすべきではない。中国は北への石油を止めると言うだけで、北の行動を変えさせることが出来るが、そういうことは何もしていない。中国の役割に期待する6者協議はほぼ意味を失ったといってよい。中国は信用できないと言っても過言ではない。韓国もそれをよく理解したであろう。
3、 北朝鮮は日米韓が「レッドライン」としたことを次々に動かしてきている。核実験実施、ウラン濃縮実施、天安号攻撃、今回の韓国領土への公然たる攻撃である。
天安号沈没事件後、韓国内では強硬策をとることに対する反対の世論が強かった。北朝鮮はそういう展開を見て、延坪島を攻撃しても大した反撃はないと計算したと思われる。
こういう北朝鮮に対しては、話し合いよりも抑止で対応するしかない。抑止と言うのは心理的であると同時に、物理的である。反撃をする意思とその手段で相手に武力行使を思いとどませる必要がある。こちらが譲り、何の罰も与えないでいると、「レッドライン」が次々と動かされてくることになる。
4、 日本は戦後、周辺国に脅威を与えないことを主眼にし、専守防衛をベースに防衛力を構築してきた。北朝鮮が日本を攻撃してきたとしても、それを防ぐ不十分な手段を有するだけで、北朝鮮内の基地を攻撃する、あるいは報復をする能力がない。爆撃機も敵地攻撃ミサイルもない。これでは抑止にならない。かって自民党内で敵基地攻撃能力の保有が提言されたことがあるが、今回の北の暴挙に鑑み、少なくとも敵基地攻撃能力の保有を検討すべきであるし、さらに進んで専守防衛の考え方を再検討する必要があると思われる。
閣僚が登庁していたか、会議はいつ開かれたかというような問題や、無関係な朝鮮学校の無償化停止などよりも、より根本的なことを考えるべきであろう。そうしないと危険である。
(文責:茂田 宏)
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