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日本政治についての論説〔雑感〕
1、 エコノミスト誌(4月30日―5月6日号)は「日本の助けにならない政治:日本を再建―或いは壊しているのか。国にとっての不安な将来、しかしその政治家は自分のことにかまけている」との記事を掲載している。その概要、次の通り。
福島第一原発の原子炉を損なった3月11日の地震と津波の直後、その地域での放射性物質を測定する装置が一つを除いて機能停止になった。それで当局は放射能漏れがどれほど危険かを評価する計器を載せた車両を派遣した。困ったことにこの車両は渋滞で動けなくなったと細野豪志氏(最近東電を監督するために任命された政治家)は述べる。その後、車両は津波でガソリン不足の状況の中でガス欠になった。それで政府はこの派遣を断念した。その後、政府は福島事故が25年前のチェルノーブイル事故と同じレベルと宣言した。しかし細野氏によると、政府が漏れ出している放射性物質の量について信頼できるデータを入手するまでに7-10日かかった。その間に部分的な炉心溶解が、少なくとも1つの原子炉で起こったことが明らかになった。
こういう話は、日本の核の窮地への対応が如何にでたらめなものであったかについて、人々を仰天させかねない。当時、福島の近くに行っているジャーナリストでさえ、幹線道路でガソリンを入手できた。しかし今日まで、菅総理が日本の第2次大戦以来の最大の挑戦である一連の災害の対処を、総括的に誤ったと示唆する具体的な告発はない。中野上智大教授は、人々は菅氏が直ぐ怒るとの印象を持ち、それを好んではいないが、「彼の行動が恐ろしく損害を与えたというはっきりした事例はない」と述べた。
にもかかわらず、菅総理の党と野党の政治家は菅総理を追い出すために謀っている。これは日本の政治家たちが、どれほど驚くほどに自分のことだけにかまけているかを示すいまひとつの証左(もしまだそういう証左が必要であるとして)である。
4月26日、鳩山由紀夫前総理は与党民主党の反菅議員64名のフォーラムを開いた。彼は9ヶ月足らず総理でいたが、ひどい総理であるとわかった。辞任後、彼はそういう記憶を捨て、自分の後継者にますます憤りを募らせているようである。彼はこのフォーラムを「震災に取り組む大連合のための調和ある連帯」と名づけた。が、しかし、調和を推進するのからはほど遠く、その目的は党内で菅氏に対するクーデタの機運を高めることである。
自民党は2009年までの政権与党として原発の安全基準が緩かったことに責任の一端を負うが、同様に菅総理の早期辞任を求めている。他の野党と不信任案を出すかもしれない。
国民が今一人の回転ドアの首相に興味を示していないのに、こういうことが起こっている。核危機と人道問題への対処に焦点が当てられるべき時に、陰謀や指導者のための闘争にかまけている政治家連中を除き、すべてのものにはこれは気違い沙汰に見える。主要政党は被災からどう復興するのかについて拒否しがたい案を出していない。これは民主党も含む。危機を改革の機会とするのに程遠く、岡田幹事長は党が復興案、新エネルギー政策、復興財源としての消費税アップを提案する前に、事態が「落ち着く」必要があるとしている。
しかし、全く希望がないわけではない。菅総理の復興構想会議では諸案が出されている。又、菅総理は4月26日福島原発事故調査委員会を設立すると発表した。核担当役人は、日本は、特にベントの遅れがあった津波直後の夜何があったのかなど、国際的な専門家を含む迅速で徹底した調査を必要とすると述べた。彼らは特に東京に近く、首都への危険があり、福島第一とタイプや使用年数で似ている静岡の浜岡原発についてもっとも心配している。
復興構想会議と核調査が日本での物事のやり方に深い変化をもたらすか否かは、菅総理の指導力にかかっている。もし一般市民が変化のために強い声を上げれば、助けになるだろう。しかし東電に対する散発的な抗議とは別に、一般国民はつまらない政治家を越えて自らの声が聞かれるようにまだしていない。
2、 エコノミスト誌は日本国民の辛抱強さを称える一方で、それが政府の対応の不手際を許容しているのではないかとするなど、震災後の日本に比較的厳しい見方をしてきた。私はそういう見方に全面的に賛成ではないが、エコノミスト誌のもつ英語圏での読者に対する影響力に鑑み、同誌の記事は注目する必要があると考えてきたので、この論説をご参考までに紹介した。
3、 日本の政治家の震災後の振る舞いについては、私は残念ながらこのエコノミスト誌の評価に同意せざるを得ない。特に小沢、鳩山両氏の言動はこの国難に際して、権力闘争を行うというとんでもない行状である。こういう政治家には速やかに引退してもらうべきであろう。
国難の際には、菅総理にも問題はあるにしても、時の総理のもとに結集し、対応に不満があれば具体的な代替策を提起すべきである。それが入れられない場合、国民にそれを訴え、菅総理の退陣を求めるのが筋である。小沢氏も鳩山氏もそれをしていない。自民党についてもそうである。
震災後、皇室は国民と共にいることを示した。被災地の国民は秩序だった行動と辛抱強さで世界の賞賛を博した。世界各国はこれまでの日本のODAなどを通じる援助への恩返しなど、様々な理由で、日本に大きな支援を提供した。米は「友達作戦」で、同盟国としての頼りがいある存在であることを示した。自衛隊は困難な状況の中で立派にその任務を果たした。若者もボランティアとして他人の苦難への共感を示した。これらは忘れてはならないことである。
政治家も、もっと立派な振る舞いをしてもらいたいと考える。同時に我々国民が選んだ政治家である以上、我々自身も反省をする必要がある。
(文責;茂田 宏)
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