|
日本の政治についての論説(雑感)
1、5月7日付本ブログの記事で、4月30日―5月6日号の英エコノミスト誌が「日本の助けにならない政治:日本を再建、あるいは壊しているのか」との記事を掲載していることを紹介した。
今は、震災と原発事故への対応で与野党が力を合わせる時期であるが、日本の政治は菅内閣不信任案の提出、菅・鳩山間の理解の行き違った文書の締結によるその否決、その後の菅首相の退陣時期をめぐるごたごたなど、政治闘争に明け暮れている。
海外メディアは大体あきれているが、米で日本の立場を世論に説明し、日本は力のある国であるから無視してはいけないとの論陣を常に張ってきたマイケル・オースリン(AEI)さえも「日本は破綻国家なのか。それは問題なのか」と題する論説をナショナル・レビュー(オン・ライン)に書いている。日本の政治への外国の見方がこれほど否定的であった時期はないように思われる。
2、なぜこういうことになり、その今後への影響はどうか。
第1:小沢元代表は菅総理の原発や震災への対応を批判しているが、そのポイントがよくわからない。どうすればよいという代案を全く示さず、菅総理では乗り切れないと主張している。鳩山前総理も同じである。政策面で不満がある、こうすべきだと言うのであれば、判るが、この時期に信頼できないということで総理を変えようとする動きは理解しがたい。
小沢元代表は菅首相と違い、国民との約束であるマニフェストを守れと主張しているが、震災後の現状でそんなことが出来るわけがない。
原発の状況は、冷却がうまくいかず炉心が溶解し、放射能物資が次々に「自然現象」として出てきているということである。水をかけて冷却する以外に手はない。その汚染水をどう処理できるかの問題である。小沢氏は「自然現象」を政治主導で別のものに変えられるとでも思っているのか。
国際社会が日本内部のごたごたを単なる権力闘争と見ているのは、それが政策論争や路線論争ではないことを見抜いているからで、無理はない。
第2:オースリンが指摘していることであるが、民主主義国日本が失敗することは、自由民主主義世界にとり損失である。中国は共産党独裁制で容赦のない人権弾圧で安定を確保し、経済成長や軍備増強をしている。アジアにおいては、中国モデルと日本モデルがいわば競争関係にある。日本の民主主義が機能しないことを世界に示している現状は、こういう状況の中で不都合と言わざるを得ない。このままでは日本は民主主義の失敗例を世界に宣伝することになりかねない。ASEAN諸国も、社会のモデルとして中国より日本を念頭に置いている。現在の日本の政治家には、そういう意味で民主主義を機能させる責任があるし、それをやれないと国際的な悪影響があると言うことである。
第3:私が菅総理の対応で不満に思うのは、この国難の時期にパーフォーマンスをすることである。ご本人は意識されていないかもしれないが、浜岡原発停止要請がその例である。これは、法的権限もなしに民間の企業活動に介入したと言う点で法治国家の総理のすることではない上に、震災、原発後の日本にとっての最大の問題、電力の確保に逆行することである。福島原発の件で我々は原発の危険性をいやというほど感じたが、同時に計画停電で電気なしには産業も生活も大きな影響を受けることも実感した。原発への不安心理に訴えて、かつ根拠のない30年以内に87%の確率での大地震(地震は確率的にも予知不能)とパニックを煽り、電力供給を減らした行為は非難に値すると思われる。
こういう菅総理のやり方の結果として、現在運転中の原発や定期点検中の原発が、従来通り再稼働できるか否かに疑問が出てきている。これは日本の電力が約30%減ると言うことである。日本はGDP1単位当たりのエネルギー消費量が少ない国である。電力量の30%減がGDPの30%減につながるかどうか、私は専門家ではないのではっきりはわからないが、日本でのエネルギー消費量の削減は乾いたタオルを絞るようなものと言われていたので、その可能性は十分にあると思われる。
短期的に代替エネルギーを手当てをする必要があるし、原発の再稼働を政治の意思で法に従いやるべきであろう。太陽光発電増強は結構であるが、時間がかかる。
日本国民はGDP30%減、一人当たり所得30%減になることは望んでいないと思われるし、日本が世界経済回復を遅らせることになるのは避けるべきであろう。
3、今回の菅降ろし騒動は日本の国際的評判を大きく傷つけたが、ことここに至った以上、政治家は早く大連立でもして、政治を前に進めて、名誉挽回をしてもらいたいと考える。
4、なお鳩山前首相はツメの甘い人との印象を私は前から持っているが、今回の確認事項はその典型であった。この人が海千山千のロシアを相手とした外交に意欲を燃やすなど、日本にとっては危険極まりないことである。
(文責:茂田 宏)
|