国際情報センター

的確な国際情勢判断をする国民、それが国の進路を誤らない最大の担保です。

過去の投稿日別表示

[ リスト | 詳細 ]

全1ページ

[1]

オバマ大統領のアフガン演説

1、6月22日、オバマ大統領はアフガン戦争について演説を行った。演説では米国の再建、国際協調主義堅持などにも触れているが、アフガン戦争関連部分の全訳、次の通り。

約10年前、米は真珠湾以来最悪の攻撃を受けた。この大量殺人はオサマ・ビンラーデンとアフガンの彼のアルカイダ・ネットワークによって計画され、わが安全保障への新しい脅威を示した。ここでは目標がもはや戦場での兵士ではなく、無辜の男女や子供であった。それに引き続く日、わが国民は団結し、アルカイダを攻撃し、アフガンのタリバンをたたき出した。その後、我々の焦点が変わった。第2の戦争がイラクで行われた。我々はそこで新政府を支持するために大きな流血とお金を費やした。自分が政権に就く時には、アフガン戦争は7年目を迎えていた。しかしアルカイダ指導者はパキスタンに逃れ、新しい攻撃を計画していたし、タリバンは再結集し、攻勢に出ていた。新戦略と決定的な行動なしに、軍事司令官は我々は復活したアルカイダとアフガンの大きな部分を支配するタリバンに直面すると警告していた。
この理由で、自分が大統領として行った最も困難な決定で私はアフガンに3万名の追加的米軍兵士の派遣を命令した。私がウエスト・ポイントでこの増派を発表した際、我々は明確な目的を決めた。アルカイダに再び焦点を合わせること、タリバンの勢いを逆転すること、アフガン治安部隊を自分の国を守れるように訓練すること。私は我々のコミットメントが期限のないものではなく、この7月に撤退を開始することを明確にした。
今夜、私はあなた方に我々がこの約束を遂行していると言うことが出来る。制服を着た驚くべき男女、文民要員、多くの連合軍のパートナーのおかげで、我々は目標を達成している。結果として、来月から我々は今年の末までに1万名の兵士をアフガンから撤収することが出来る。ウエスト・ポイントで発表した増派兵力を完全に回復させるように、来年の夏までに全体で3万3千名の兵士を帰国させる。この当初の減少の後、アフガン治安部隊が主導的地位にたつに従い、わが兵士は着実なペースで引き続き帰国する。我々の任務は戦闘から支援に変わる。2014年までにこの移行の過程は完了し、アフガン人が彼ら自身の安全保障に責任を持つ。
我々はこの撤退を強い立場から始めている。アルカイダは9・11後のいかなる時よりも強い圧力を受けている。パキスタン側と共に、我々はアルカイダ指導部の半分以上を排除した。インテリジェンス専門家と特殊部隊のおかげで、アルカイダが知っている唯一の指導者、オサマ・ビンラーデンを殺害した。これは9・11以来役務に就いたすべての人の勝利であった。一人の兵士がよく要約して言った。「メッセージは我々は忘れないということだ。どれ位時間がかかろうが、あなたは責任を問われる」と。
オサマの屋敷から回収した情報はアルカイダが大きな緊張下にあることを示している。ビンラーデンは殺害された上級テロリストを効果的に置き換えられていないこと、アルカイダが米をイスラムと戦争している国と描き出すのに失敗し、より幅広い支持を失っていることに懸念を表明した。アルカイダは未だ危険であり、我々は攻撃に対し警戒心を持たなければならない。しかし我々はアルカイダを敗北の道に導いた。仕事が終わるまで我々は手を緩めない。
アフガニスタンで我々はタリバンに深刻な損害を与え、いくつかのその拠点を奪還した。増派と共に、わが同盟国もそのコミットメントを増大させ、アフガンのより多くの部分の安定化を助けた。アフガン治安部隊は10万人以上増え、我々はいくつかの地方や市町村でアフガン人に治安についての責任を既に移行させることを始めた。暴力と脅しに直面しつつ、アフガン人は地方警察を樹立し、市場や学校を開き、婦人や女児に新しい機会を提供し、戦争の数10年のページを転換しようとつつ、自らの国のために戦い、死んでいる。
もちろん、巨大な挑戦が残っている。これはこの戦争を終わらせる我々の努力の始まりであって、終わりではない。我々が兵を撤収し、治安責任をアフガン政府に移行しつつも、我々が達成した成果を守るために困難な仕事をしなければならない。来る5月、シカゴで我々はNATO同盟国とパートナー国の首脳会議をこの移行の次の段階を形作るために開催する。
我々はこれほど戦争をしてきた土地に平和は政治的な解決なしには来ないと知っている。従って米はアフガン政府と治安部隊を強化すると同時に、タリバンを含むアフガン国民を和解させるイニシャティブに参加する。これらの話し合いでの我々の立場は明瞭である。これはアフガン政府が主導しなければならず、平和的なアフガンの一部となりたい人々はアルカイダと断絶し、暴力を放棄し、アフガン憲法を尊重しなければならない。しかし我々の軍事的努力の効果もあり、我々は進展が可能であると信じる理由がある。
我々が求める目標は達成可能であり、簡単に表明できる。アルカイダやその仲間が我々の国土や同盟国に攻撃を行うことが出来る安全な隠れ場所なしということである。我々はアフガンを完全な場所にすることを試みない。我々はその街路の治安を維持したり、終わりなしにその山々をパトロールしない。これはアフガン政府の責任であり、アフガン政府は自分の国民を保護する能力を強めなければならず、戦争で形づけられた経済から、永続する平和を維持し得る経済に移行しなければならない。我々がすることが出来、することは、永続するアフガン国民とのパートナーシップを作ることであり、それは我々が引き続きテロリストを標的にし、主権的なアフガン政府を支持することを可能にすることを確保するようなものである。
もちろん、我々の努力はパキスタンにおけるテロリストの安全な隠れ場所の問題にも対処しなければならない。いかなる国よりもパキスタンは暴力的過激主義の存在により脅かされている。これが我々がこの戦争で引き裂かれた地域でもっと平和的な未来を確保するためにパキスタンがその参加を広げるように引き続き慫慂している理由である。我々は暴力的過激主義の癌を根絶するためにパキスタン政府と一緒に作業し、我々はパキスタン政府がその約束を守るように固執する。自分が大統領である限り、米国は我々を殺すことを目指す者のための安全な隠れ場所を許すことは決してないということに疑念はあるべきではない。彼らは我々の手を避けたり、彼らに値する正義を逃れることはできない。
この10年はわが国にとって困難な10年であった。我々は戦争の甚大なコストを改めて学んだ。イラクで命を失ったほぼ4500名の米人、アフガンでそうした1500名以上の米人(彼らは生きて、自らが守った自由を享有することが出来ない)がこのコストを支払った。何千人もが負傷した。幾人かは戦場で手足を失い、他の人は彼らにここまでついて来た悪魔と戦っている。
しかし今夜我々は戦争の潮が引いていることに慰められる。我々の息子や娘で危険のある役務にある人の数はより少ない。我々はイラクでの戦闘任務を終え、10万名は既にイラクを離れた。そしてアフガンでは今後も暗い日があろうが、安全な平和の光を遠くに見ることが出来る。これらの長い戦争は責任ある終結にいたるだろう。

2、この演説に対しては、現地情勢の見通しに鑑み、撤退の規模が大きすぎると言う批判やオサマが死んだのでもっと撤退規模が大きくて良い、特にカルザイの反米的言動に鑑みればそうだという批判など、諸意見が今後表明されるであろう。
しかしこの演説は明らかに米によるアフガン戦争の終わりの始まりを画す演説と評価するのが正しいだろう。いわゆる反乱鎮圧作戦(COIN)は国造りのような経済・社会安定を不可欠の要素とするが、その路線を最後まで行う気は米にはないと言うことであろう。 
 米とNATOのアフガン戦争は2014年には終わるが、アフガンでの戦争が終わるとは言えない。周辺地域諸国を巻き込み、アフガン諸民族間の抗争もからむ戦争状態がここでオバマが言うように終了する可能性はそれほど高くないように思われる。
しかしアフガニスタンは所詮世界情勢全体への影響という点では決定的ではない。ソ連の侵攻で冷戦の主要舞台になったこと、イスラム過激派の活動の場になったことで、重視されてきたが、今後、どうなろうが、それほど世界への影響はないし、こういう国に米が重要性によっては正当化できない規模の関与をすることは必ずしも得策ではない。それで今後の大問題である東アジアへの米の注力に陰りが出るなど、本末転倒であろう。
そういう観点からは、このオバマ演説は歓迎できる演説である。
(文責:茂田 宏)

全1ページ

[1]


よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事