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ヨルダンとハマスの関係改善

1、 ガザを実質的に支配しているハマスは元々エジプトのムスリム同胞団のパレスチナ支部であるが、その指導者ハリッド・メシャールはダマスカスに居住している。元々ヨルダンにいたが、1999年にヨルダンから国外追放された。
しかし10月31日、ヨルダンのハサウネー首相はこの決定が誤りであったと述べた。
ハリッド・メシャールは近いうちにアンマンを公式訪問し、アブドゥラ国王と会談する予定である。

2、 ヨルダンの王室は由緒正しい王家であるが、アラビヤ半島から今のヨルダン統治のために移ってきた王家であり、ヨルダンの人口の多くはパレスチナ人である。ヨルダン王家はこのパレスチナ人との関係をどう扱うかで悩んできた。
1970年9月にはヨルダンで、治安当局とパレスチナ解放機構(PLO)の間で衝突が起き、結局、PLOはレバノンに移ったことがある。(いわゆるブラック・セプテンバー)
ヨルダンは自国内の治安維持のためには、パレスチナ人の行動を統制する必要がある。そういう観点から、イスラエルともある程度協力してきた。1994年にはアラブの国としては、エジプトに続いてイスラエルと平和条約を締結した。
1997年には、イスラエルのモサッド工作員が、ハリッド・メシャールをアンマンで暗殺しようとして、ヨルダン当局に逮捕された。メシャールの耳に毒を入れて殺そうとした。ヨルダンはこれら工作員の釈放と引き換えにイスラエルに解毒剤の提供などを要求し、結果としてメシャールは一命をとりとめた経緯がある。
ヨルダンは、パレスチナ人のグループとイスラエルの両者をバランスする政策、更にシーア派のイランの影響力の伸長を抑える政策など、綱渡りともいうべき外交を展開してきた。
今回のハマスとの関係改善は、ハマスを通じてパレスチナへの影響力保持のほかに、アラブの春で地域情勢が変化していること(ムバラク後のエジプトでムスリム同胞団の影響力が強くなっていること、シリヤ情勢が不安定化していること、イランがシリヤでの影響力を強めているほか、ハマスへの影響力も強めていることなど)に対応しようとしたものであろう。
イスラエルはハマスをテロ組織としており、このヨルダンの動きは、ヨルダンとイスラエルおよびパレスチナ内でハマスのライバルであるアッバスのファタハとの関係に影響を与えることになる。
他方、ハマスのメシャールは、シリヤ情勢が混迷している中で、ヨルダンとの関係改善を希望したものと思われる。いざと言うときには、再びアンマンに戻ることを一つの可能性として考慮しているのではないかと思われる。
ヨルダン、エジプト、シリヤ、パレスチナ諸派、イスラエルの関係は、今後極めて複雑な展開を示すと思われる。
〔文責:茂田 宏〕

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