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米・アフガン関係
1、 米、NATO諸国などのアフガンでの戦争は終わりつつある。2014年の撤退に向けて物事は動いている。米・NATOのアフガン戦争と異なり、カルザイ政権とタリバンとの戦争は2014年に終わることにはならないだろう。
イラク戦争に関して、戦争の終わり方が重要であることを先に指摘したが、アフガンについても同様である。しかるにこの点について米・アフガン関係はうまくいっていない。
2、 7月29日付ワシントン・ポスト紙は「高官たちは米・アフガン取引について悲観的」との見だしで、概要次の記事を掲載している。
米とアフガンの高官によると、2014年以降の米のアフガンとのパートナー関係のあり方を決める交渉は、双方の要求のギャップをどう埋めるかで上手く行っていない。
何ヶ月も交渉は行われているが、アフガンへの安全保障とその治安部隊への支援と引き換えに長期的な米軍プレゼンスを認める「戦略的パートナー関係」宣言はなかなかできそうにない。
アフガンの国家安全保障補佐官代理は「現状が続けば、否定的な結果が出る。米がアフガンでのプレゼンスに関心があるのなら、アフガン政府、国民に実際面でそれを示すべきである。そして我々が必要なものに応えるべきである」と述べた。
双方は1989年のソ連撤退後に生じたアフガン放棄のようなことを避けたいと考えている。クロッカー米大使は7月27日、記者団に「両国間に強く安定的な長期的な関係」の基礎を作るのが交渉の目的である、不関与の結果を我々は体験した」としつつも、これが簡単でないと述べた。
アフガン側は米軍撤退に伴い、米のアフガン治安部隊への巨額の支援〔2014年に80億ドルになると推計されている〕の継続を求めるほか、米に夜間攻撃とアフガン内での拘禁施設使用を止める期日を書き込みたいと主張している。米はそれは状況によるし、パートナー関係宣言ではそういうことを扱うべきではないとしている。
アフガン側は更にF−16とエイブラハム戦車の供与を求めているが、米は拒否している。米は対テロ対策とアフガン軍訓練のために長期的にアフガン国内の軍事基地へのアクセスを求めている。アフガン側はヘラート、マザル・エ・シャリフ、カンダハル、ジャララバードでの基地を考えられるとしている。
米は又、汚職と戦い、民主的な諸制度を強化する約束も求めている。
アフガン側は将来、引き続き米軍駐留を認めることは国の内外での反対に鑑み、アフガンとしては大きな代償を払っているのであり、米も相応の対応をすべしと述べている。
アフガンの国家安全保障補佐官は今週、議会で米との合意〔声明ではなく契約であるべし〕が出来るかは確実ではないと述べた。米側も合意の見通しに悲観的になっている。
3、 ソ連がアフガン撤退したのは、1989年である。その後、ソ連が樹立した現地のナジブラ政権は1993年まで4年間もった。米・NATO軍撤退後、カルザイ政権が4年を越えずに崩壊することは十分にありうる。
カルザイはアフガン戦争開始後、10年間、汚職の取り締まり、民主的な選挙の適切な運営、国民に信頼される政府や地方当局の樹立を行う機会をもっていたが、それを十分に行ったとはとても言えない。また米はいまやカルザイに付き合う気を失ってきている。
カルザイは米の対アフガン政策を取り巻く雰囲気がカルザイ就任の頃とは様変わりしていることを良く認識して、米とのパートナー関係宣言については、柔軟対応をするのが適切と思われる。
ただ宣言が出来たとしても、アフガンの情勢は不安定化していく公算が強いと思われる。
〔文責:茂田 宏〕
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