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玄海原発の再稼働問題その他(雑感)
1、 3月11日東日本大地震後、この大震災、津波からの復興と事故を起こした福島第1原発の事故処理に日本はその持てる力を存分に発揮していく必要がある。
被害は局限していかなければならず、拡大させてはならない。
この中で福島第1原発の事故などに起因する電力不足は電力が企業の生産活動や生活に与える影響が大きいことに鑑み、出来るだけ早く解消する必要がある。そのためには、日本が有する発電能力、特に原発を活用する必要がある。
福島第1事故が外部電源の供給遮断、津波による非常用電源の供給遮断による原子炉冷却の失敗に起因することが明らかであるので、そういうことが起きないように日本各地の原発を再点検し、そうなっていない場合には、その手当てをして日本各地の原発を再稼働させるべきであろう。日本の原発は福島第1の事故までは大きな事故なしに運用されてきたし、今後、福島の教訓を取り入れた対策を講じれば、大きな事故を起こすことなしに暫くは運用できると期待してしかるべきである。又そうであるから、現に54基ある原発のうち、17基は運転中である。
問題が生じているのは菅総理の要請で浜岡原発が運転停止になっていることと現在定期検査で停止中の原発の再稼働が福島第1事故に起因する原発への国民の不安を背景として困難になっていることである。
これは被害の限定ではなく、被害の拡大につながる。これはぜひとも逆転すべきである。私は既存原発の稼働率を上げて、東京電力管内と東北電力管内は別にしてそれ以外の地域では電力供給に何らの不安がない状況を作り上げることが肝要ではないかと思う。
しかるに菅総理は法的な根拠なく、かつ予知不可能な東海地震発生への恐怖をあおり、浜岡原発を停止させたほか、国民の原発への恐怖や不安を踏まえて、当面の日本の電力事情を悪化させる方向をとっているように見える。新エネルギーは大いに推進すればよいが、これで生み出される電力は量的に今の日本の需要を少ししか満たしえないし、さらにその稼働には時間がかかり、当面間にあわない。新エネルギーが電力不足への対案であるかのようにふるまうのは、人を欺くものとさえ言える。
政府の指導者は国民の不安や恐怖よりも、冷静な危険についての計算をして、適切な対応をするべきである。国民が怖がっているから、原発をやめる方向に今向かえば、電力不足を深刻化し、日本経済に多大の悪影響を与え、大地震からの日本の立ち直りを困難にする。怖がり過ぎず、怖がりなさすぎず、適切に怖がる必要がある。一時的な感情の動きではなく、感情の冷却期間を待ち、冷静に考えられる状況の中で原発の是非を考えるというのでよい。
チェルノブイリ原発事故やスリーマイル島事故後、ソ連でも米国でも原発の新規立地にブレーキがかかったが、既存原発を稼働させないと言う選択はなされなかった。当然のことであろう。そう簡単にエネルギー供給を変えることはどこの国も出来ないし、していない。
数百年に一度といわれる震災で福島第1は大きな事故に見舞われたが、それを理由に他の原発の能力を電力不足の中で使わないと言う選択はすべきではない。
2、 この観点からは、7月4日、玄海原発の再稼働問題で、同町の岸本英雄町長が九州電力の真部利応社長に再稼働の了解を伝えたことは歓迎される動きである。佐賀県の古川知事も菅総理による説明を待って決断するとしている。
菅総理には脱原発を争点に選挙をという考えもあると報じられているが、玄海原発再稼働を佐賀県知事に求めることで日本の復興への貢献をすべきであろう。浜岡原発停止要請で、震災の被害を拡大させた際、菅総理は浜岡だけは例外と述べたのであり、その言葉を守るべきであると思われる。それが他の県での再稼働問題にも好影響を与えるだろう。
3、 今後のエネルギーについて、どう考えるか。長期的視点で良く考える必要がある。
6月10日日本物理学会は福島第1の事故を踏まえ、シンポジウムを開催した。そこで有馬元東大総長が講演の一部で「世界のエネルギー資源はいつまでもつのか」を論じている。その内容は、次の通り。
石油については、2007年末の可採埋蔵量は1兆2379億バレルであり、現在の生産量が298億バレルであるので、41年少ししか持たない。
天燃ガスは可採埋蔵量177兆立方メートルで、現在の生産量2兆9400億立方メートルであるから、60年少ししか持たない。
石炭は可採埋蔵量8475億トンで、1年当たり生産量64億トンであるから、133年は持つ。
ウランについては、可採埋蔵量547万トン、1年当たり需要量6,65万トンであるから、81,6年でなくなる。
要するに産業革命以来の化石燃料に頼った文明は今小学校に行っている子供たちの時代に崩壊するということである。ウランを使う原発も81年くらいしか持たないと言うことである。CO2を多く出す石炭はまだ持つが、温暖化はますます進むと言うことであろう。 中国とインドの需要の増大を考えれば、上記の年数は更に小さくなる。
これは大変大きな問題であり、有馬元総長は資源争奪を巡っての戦争の危険さえあるとの懸念を表明した。
風力、太陽光などの新エネルギーは推進しなければならないが、今のエネルギー量を代替しえないであろう。核融合やウラン以外の燃料を使う炉その他、新たなエネルギー源を開発し得るか、あるいは新しい文明の形を作るかの問題である。原発の問題もそういうなかで考える必要があろう。
(文責:茂田 宏)
(このブログはしばらく休止していました。理由は私が原因不明の高熱を出したためですが、回復いたしました。)
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