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南アジアでの軍拡競争?(中・パ・印関係)
1、5月23日付ウオール・ストリート・ジャーナル紙は「北京が重要港湾の運営に同意とパキスタン側発言」との概要次の記事を掲載している。
パキスタン国防大臣ムフタールは5月21日、中国が現在シンガポールの企業が運営しているグワダル港の運用を行うことに同意し、パキスタン側は中国がそこにパキスタン海軍の基地を作ることを望んでいると述べた。彼は時期についてははっきりさせなかった。
中国は長期的にパキスタンでの影響力強化を望んでいる。ただグワダル港の南東300マイルの場所にあるカラチのパキスタン海軍基地が5月22日に攻撃されたことに見られるような慢性的な不安定は心配している。
ムフタールは先週のギラニ首相の訪中に同行した後、この発言を行ったが、首相訪中の際には、北京は共同開発されたJ−17戦闘機50機の対パ供給を急ぐことも約束した。
インドのアントニー国防大臣は5月20日中・パ間の軍事協力の増大に深刻な懸念を表明し、インドとしては軍事力強化をするしかないと述べた。グワダルについてインド側は過去に中国がグワダル港をインド洋、アラビア海その他への海軍作戦基地として使う計画であるとの懸念を表明してきた。
中国はグワダル港建設の初期コスト2億4800万ドルの80%を提供した。中国とパキスタンはグワダル港から中国へのパイプライン建設と鉄道建設も討議している。
米・印の関係者はグワダル港をいわゆる(インド包囲網の)「真珠の首飾り」(スリランカ、バングラデッシュ、ミヤンマーでも中国は港湾建設や修復を資金援助している)の一環と見ている。グワダル港は2002年から2007年の間に行われ、現在シンガポールのPSAインターナショナルが運営している。
中国は公式発言で米・印を刺激しないようにしているが、分析者の中には、中国はオサマの死亡での米・パ緊張、アフガンからの米撤退を睨んでパキスタンでの影響を強化し、インド抑止、新商業ルートの開発、海軍作戦地域の拡張を目論んでいると指摘している。
2、5月23日付フィナンシャル・タイムズ紙は「イスラマバードは防衛装備に大金を使う」との記事を掲載している。この記事は、グワダル港の問題に加え、パキスタンが中国より10億ドルに上る50機の戦闘機の購入や30億ドルに上る6隻の潜水艦購入を交渉していること、カラチにあるパキスタン海軍の長、ラザ提督がパキスタンは中国のインド洋でのプレゼンスを拡大するために「中国の友人に扉を開いている」と説明したことを報じている。
3、米特殊部隊によるパキスタン領内でのオサマ殺害はパキスタン軍に屈辱を与えたものであり、パキスタンの中国傾斜が深まっていると思われる。これらの記事にその表れが見られる。
印パ間では核兵器についての軍備競争があるが、中国がパキスタン支援を強化するとインドがさらに対抗措置をとらざるを得なくなる。南アジアは軍拡競争になる可能性が高い。
(文責:茂田 宏)
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