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バーレーンへのサウジ軍などの派遣
1、 3月14日、湾岸協力評議会(GCC)はバーレーンの要請に基づき、サウジ軍、アラブ首長国軍などからなる軍をバーレーンに派遣した。シーア派を中心とするデモと治安部隊との衝突が続くバーレーンの情勢の安定化を図るためである。
3月15日付ワシントン・ポスト紙の「サウジ軍、バーレーン介入。反対派は抗議を鎮めようとするこの動きを“宣戦布告”と呼ぶ」との見出しの記事の概要、次の通り。
サウジの装甲人員輸送車が14日、コーズウエイを通って、数週間続くシーア派主導抗議を終わらせるために、スンニ派君主を助ける目的を持ってバーレーンに進出した。
バーレーンの反対派スポークスマンは、この動きを“宣戦布告”と非難した。米は平和的なデモに対話以外で答えるのは「逆効果」になりかねないとの懸念を表明した。
介入はバーレーンの隣国がバーレーンの騒動を終わらせるために必要なことは何でもすることを示したように思われる。
サウジ高官は次のとおり述べた。
バーレーンはレッドラインである。サウジからは1000名以上、アラブ首長国連邦より少なくとも600名の兵士がバーレーンよりの要請に基づき、13日にGCCが承認した介入の一部として派遣された。目的は「バーレーン国家の機構と重要インフラを保護すること」であり、バーレーンの要請により兵力は拡大されうる。省庁、発電所その他のインフラが保護対象であり、バーレーンが要請したものである。抗議デモはバーレーン人が自ら解決すべきバーレーンの内政問題である。米には13日に事前に通報した。(米ホワイトハウスは「直前に通報されたが、協議はされなかった」と述べた。)
サウジは、バーレーンの多数派のシーア派が権力を握ると、イランがサウジの東海岸に拠点を得ることになること、バーレーンの抗議がサウジの東側地域での多くのシーア派住民をより大胆にすることを恐れていた。先週、カティフでサウジ軍がデモ隊に発砲、少なくとも二人が負傷した。
3月13日、バーレーンの皇太子は政府をより代表的なものにすることに同意すると述べたが、反対派の代表は「外国軍の存在は交渉を困難にする。基本的権利を求める平和的デモへの宣戦布告のようなもので、イランが介入すれば緊張は更に高まる。バーレーンはサウジとイランの代理戦争の場になりかねない」と述べた。
他のメディアもサウジのバーレーン介入を報じている。
2、 中東でのデモは各地で起こっているが、湾岸地域の安定はバーレーンの抗議デモや改革がどうなるか、それがサウジにどう影響するかにかかるとの認識が一般的であった。
加えて、米第5艦隊はバーレーンを基地としているが、それが安定して維持されるかどうか、(ゲイツは3月11日バーレーンを訪問した。)イランがバーレーンのシーア派に同情的な態度を示し、裏で工作をしているのではないかなどの懸念があった。
今回のサウジ主導の介入はサウジがバーレーン王制を守り、イランの進出を許さない意思を明確にしたということである。これが湾岸の安定化につながるかどうか、未だ事態の進展を見る必要があるが、イランはこういう公然たる介入をする立場にはないこと、米も現王家に改革を促しつつもそれを支持するとしているので、今回の介入はどちらかというと情勢の安定化につながると思われる。ただしイランが何らかの対抗措置を別のやり方、場所で講じる危険は残っている。
バーレーンのハリファ王家はこれで安心するのではなく、シーア派国民の待遇改善や政治改革の要求に真摯に取り組むべきであろう。
なおサウジはバーレーン情勢について、米の意見に耳を傾けていないとされている。サウジ側は、オバマにムバラクを守るように進言したのに、オバマが聞かなかったことを遺憾に思っており、3月15日付ニューヨーク・タイムズ紙のサウジ介入についての報道の見出しは、「中東の騒乱で米・サウジ間の緊張、高まる」というものである。
(文責:茂田 宏)
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