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米・ポーランド間のミサイル防衛合意とロシアの核攻撃の脅し

1、 8月16日付ロンドン・デイリー・テレグラフ紙は、「米のミサイル防衛取引
に関し、ロシアがポーランドを核攻撃で脅す」との見出しで、概要次の通り報じている。
 ポーランド・米間のミサイル防衛を配備する合意(8月14日)のあと、ロシアはポーランドを核攻撃で脅した。合意署名の24時間後、ロシアの参謀次長は「ポーランドは100%、攻撃に自らを曝している」と警告した。
ロシアのノゴヴィツィン将軍は、欧州での新しい米の軍事施設は、「核兵器を持つ国の同盟国」を目標とするロシアの核攻撃の対象になりうると述べた。彼はインターファクス通信に「これらを配置し、ポーランドは自分を目標にしている。これは100%確実である。これは攻撃対象になる。こういう目標は第1優先順位として破壊される」と述べた。
メドベージェフ大統領は、ソチで記者に、このサイロがイランのような「ならず者国家」への抑止力であるとの米の主張を「御伽噺」である、「欧州でのこの新しいミサイル防衛施設の配備は、ロシア連邦に向けられたものである」と語った。
ブッシュ大統領は、「冷戦は終わった、21世紀において、威嚇は外交を行う方法として受け入れられない」と述べた。
英外務省もロシアを非難した。報道官は「EUとNATOの同盟国に対するこのような脅しは全く受け入れられず、特に現時点では助けにならない」と述べた。
ポーランドの外相シコルスキーは本紙に、この合意はグルジアとは無関係である、我々はロシアにいつでもこの施設を査察する権利をオファーした、これはロシアと無関係な能力しか持たないと述べた。
ツスク首相は米がポーランドに対するロシアの侵略の際には、ワルシャワを助けると約束したと示唆した。彼は米のミサイル防衛の配備を、米がパトリオットミサイルでポーランドの防衛を強化するのを助けるとの条件で受け入れた、「我々はルビコン川を渡った」と述べた。

2、 8月16日付ニューヨーク・ポスト紙は、18ヶ月の交渉のあと、ポーランドは米の
ミサイル防衛のポーランド配備に同意した、米は「問題があるときに」ポーランドを防衛すると約束したと報じている。
この記事もノゴヴィツィン将軍の発言を引用しているが、米・ポーランド合意は「罰せられないわけには行かない」、同じような兵器を持つ国の同盟国に対する核兵器の使用は、ロシアの軍事ドクトリンでは許されると警告したとしている。
8月16日付フィラデルフィヤ・インクワイヤー紙も、同趣旨を報道している。

3、 現在、グルジアを巡り、米ロ関係が悪化している。グルジアでは、ロシア軍は、米の撤退要求にかかわらず、まだ首都トビリシから35マイルの地点に留まっている。これに加え、ポーランドへのミサイル防衛配備もポーランドが配備を認め、配備自体はまだ先(2012年ごろといわれる)であるが確実になり、従来よりも厳しい米ロ関係の悪化の火種となっている。
(文責:茂田 宏)

グルジア情勢:その後の展開

1、 ブッシュ大統領は、8月13日、次の通りの声明を発出した。(全文)

私は今グルジアでの危機を討議するため国家安全保障チームと会ったところである。今朝、私はグルジアのサーカシュビリ大統領とフランスのサルコジ大統領と話した。米国はこの紛争を終わらせる合意を仲介するEU議長としてのフランスの努力を強く支持する。
米国はグルジアの民主的に選出された政府を支持する。我々はグルジアの主権と領土的一体性が尊重されるよう、主張する。
ロシアはグルジアの政府を変更することはその目的ではないと言明した。米と世界はロシアがこの約束を守ることを期待する。ロシアはまた軍事作戦をやめ、暫定的な停戦に合意したと言明した。不幸にも、我々はこれらの言明と合致しない報告を受け取っている。
我々はロシアの部隊がゴリ市の東側で陣地を設定した、これはロシアに東西のハイウエイを封鎖し国を分割し、首都トビリシに脅威を与えることを可能にする、との報告を懸念している。我々は、ロシア軍が港湾都市ポチに入り陣地を設定した、ロシアの武装車両がこの港へのアクセスを封鎖している、そしてグルジアの船舶を爆破しているとの報告を懸念する。すべての民族的出自のグルジア市民が保護されていないとの報告を懸念する。ロシアの軍を含めすべての軍は攻撃から無辜の文民を保護する義務がある。
これらの懸念を念頭に、私はグルジア人民との連帯を示し、この紛争の平和的解決をもたらすため、一連の措置を指令した。私はライス国務長官をフランスに派遣する。彼女はサルコジ大統領と協議する。その後、彼女はトビリシに向かう。そこで彼女は個人的にグルジアの民主政府への米のゆるぎない支持を伝達する。この旅行で、彼女は自由なグルジアを守るために自由世界を結集する努力を続ける。
私はゲイツ国防長官に米軍が主導しグルジア人民に対する人道的任務を始めるように指令した。この任務は力強く遂行されている。人道支援物資を積んだ米のC-17航空機がその途上にある。今後の日々、我々は人道、医療物資を配達するために、米航空機と海軍を使用する。
我々はロシアがすべての人道支援を許可するとの約束を守ることを期待する。我々は、ロシアが港、空港、道路、空域を含めすべての通信、交通の経路が人道支援の配達と民間交通のために開放することを確保するように期待する。我々はロシアがグルジアでのすべての軍事行動をやめるとの約束を守るように期待する。我々は最近グルジアに入ったすべてのロシア軍がグルジアから撤退することを期待する。
私はすでに明確にしたが、ロシアの今やっている行動は、グルジアや地域でのロシアの意図について深刻な疑問を提起する。最近、ロシアは21世紀の外交的、政治的、安全保障の構造に参加、統合することを求めてきた。米はそういう努力を支持してきた。今ロシアは、これらの制度の原則に合致しない行動をグルジアで行うことによりこれらの願望を危険にさらしている。米国、欧州、その他の国との関係への損傷を修復し始めるため、また世界でのその地位を回復し始めるため、ロシアは自分の言葉を守り、この危機を終わらせなければならない。
(なおライス長官はこの後、国務省で記者の質問に答えたが、その中でロシアがイランや北朝鮮の核問題で協力しなくなるのではないかとの質問に、ロシアは米国への好意としてイラン、北朝鮮の核開発を阻止しようとしているのではないとするとともに、「いまは1968年ではなく、これはチェコスロバキアではない。ロシアが隣国を脅し、首都を占領し、政府を転覆させ、それで済むことはない。事態は変わった」と述べた。)

2、 ロシア・グルジア間の仲介を行っていたサルコジ仏大統領は、8月12日、メドベージェ
フ・ロシア大統領、プーチン首相と会談、6項目よりなる枠組み合意に達した。
この6項は、次の通り。
(1) 武力行使はしないこと、(2)敵対行為を終わらせること、(3)人道援助に自由なアク
セスを提供すること、(4)グルジア軍は通常の基地に撤退すること、(5)ロシア軍は敵対行為の勃発前の線まで撤退すること、国際メカニズムが出来るまでロシアの平和維持軍は追加的な安全保障措置をとること、(6)アブハジアと南オセチアの将来の地位とそこでの安全保障と安定化取り決めについての国際的な話し合いを始めること。
 この合意をもって、サルコジはグルジアに行った。この合意には、グルジアの主権と領土一体性の尊重への言及がなく、アブハジアと南オセチアの将来の地位が今後の話し合いの対象になっている。
グルジア側はこれに反発し、サルコジはトビリシよりメドベージェフに2度電話し、最終的に第6項から、「将来の地位」の文言を落とすことでメドベージェフの同意を得た。
第5項で、ロシアの平和維持軍は追加的な安全保障措置をとるとされていることも、今後に問題を残したといえる。ロシアはゴリ市でグルジア軍が武器庫を放置して敗走したので、それを保全するため駐留しているのであると主張している。
こういう交渉の出来、不出来は関連の事情を綿密に評価しないとできないが、サルコジはすこし大雑把なのではないかとの印象を持つ。

3、 8月13日、EUは、サルコジ大統領の6項目の仲介結果を支持する「グルジア情勢につ
いての理事会の結論」を発表した。そこではグルジアの領土的一体性の尊重を謳うと共に、6項目を承認し、それを取り込んだ国連安保理決議の採択を目指すとしている。

4、 8月13日、ロシアのメドベージェフ大統領はサルコジ仏大統領と電話で会談、サルコジ
と協力していく、6項目合意の実施にロシアはコミットしているとした上で、「今一番重要なことは・・国連安保理決議や宣言ではなく、6項目に基づく南オセチアとグルジアの合意である。それをロシア、EU、OSCEが保証するべきである」と述べた。
8月14日、メドベージェフは、南オセチア「大統領」とアブハジア「大統領」と会談した。両名は6項目合意に署名をした。この会談でメドベージェフは、ロシアは南オセチアとアブハジアの地位についてその人民が行ういかなる決定も受け入れる、すべての当事者が署名する武力行使を排する法的拘束力のある条約を結び、その実施をロシア、EU、OSCEが保証する必要があると述べた。
 これらはグルジアに南オセチアとアブハジアを主権国家のように取り扱うことを要求するもので、グルジアはとても受け入れないだろう。

5、 今回のロシアによるグルジア侵攻は、1979年のソ連によるアフガン侵攻と、規模は小
さいが、同じ種類の衝撃を米に与えている。西側のメディアは一斉にロシアを非難をしている。
 メディアでは、グルジアをロシアの思うままにさせることは、ロシアの旧ソ連諸国での支配を復活させることにつながるとの意見が強い。プーチンは以前、ソ連邦の崩壊は20世紀最大の地政的破局と述べたことがある。その潜在意識には、旧ソ連のようなものを復活させたいとの願望があるのではないかと疑われている。
 米をはじめとして、西側としてはそういうことは許さないということであろう。G8からのロシア追放などが主張されている。
 ロシアがやりすぎた感がある。プーチンのロシアには危険なところがある。今回の件は西側がそれを正確に認識する契機になった。ロシアと西側の関係の分水嶺になる可能性がある。
(文責:茂田 宏)

グルジア情勢:事実上の停戦の成立

1、グルジア情勢についての関係者発言、次の通り。

(1)8月11日、ブッシュ大統領が行った声明(全文)
私はグルジア情勢を討議するため国家安全保障ティームと会合したところである。
私はロシア軍が紛争地域を越え、グルジアの町ゴリを攻撃し、グルジアの首都トビリシに脅威を与えているとの報告に深い懸念を持つ。ロシア軍が首都の民間空港をまもなく爆撃し始めるとの証拠がある。
これらの報告が正確ならば、これらのロシアの行動はグルジアにおける紛争の劇的で残酷なエスカレーションを意味する。これらの行動は8月6日に戦闘が始まる前の現状を回復することに目的が限られているとのロシアから我々が受け取った保証に合致しない。
グルジアの正当に選挙された政府を廃するための努力が行われているように見える。ロシアは主権を有する隣国に侵犯し、その国民が選んだ政府に脅威を与えている。こういう行動は21世紀において許されない。
グルジア政府は、ロシア政府が以前に受諾しうると言った和平合意の諸要素を受諾した。即時停戦、紛争地域からの撤兵、8月6日現在の軍事的現状への復帰と武力行使を慎むとの誓約である。いまEUとOSCEの代表がモスクワでこの和平計画へのロシアの同意を得ようとしている。
ロシア政府はグルジアの領土的一体性と主権を尊重しなければならない。ロシア政府は今の路線を逆転し、この紛争を解決する第1歩としてこの和平合意を受諾しなければならない。
ロシアの今週の行動はグルジアや地域におけるその意図について深刻な疑問を提示した。これらの行動は、ロシアの世界での立場を相当毀損した。そしてこれらの行動は、ロシアと米国・欧州との関係を危機に陥れる。ロシアが自分の言葉に誠実になり、この危機を終わらせるように行動する時である。
(なおブッシュ大統領は第3パラのグルジアをロシアと読み違えた。)

(2)8月12日、メドヴェージェフ大統領の国防相と参謀総長との会談での発言
あなた方の報告に基づき、私はグルジアが平和を回復するのを義務付けるため作戦を終止するように命令した。作戦の目的は達成された。わが平和維持部隊と民間人の安全は回復された。侵略者は罰せられ、非常に大きな損害を受けた。その軍隊は組織的でなくなった。
しかし抵抗やその他の侵略行為があれば、その破壊についてあなた方は決定をしなければならない。
私はわが平和維持軍の効率と全ての部隊の調和ある仕事を指摘する。国家褒章を受けるべき軍事作戦参加者についての提案をするように、かつ全ての参加者に私の感謝を伝えるようにあなたに要請する。(国防相:確実にそうします)

(3)8月12日、サルコジ仏大統領との会談についての露大統領府発表
 ロシアの元首は仏の同僚に、グルジア当局が平和を回復するように義務付けるための作戦の終結について話した。メドヴェージェフは、南オセチアでの作戦は終わった、なぜならばその主要な目的、ロシアの平和維持要員と民間人を保護することが達成されたからであると強調した。 ロシア大統領は紛争の最終的な解決は二つの条件、グルジア軍が当初の位置まで撤退することと、武力の行使を放棄する法的拘束力のある合意に署名することが満たされれば可能であると宣言した。

(なおプーチン首相は北京より北オセチアに行ったが、モスクワ帰還後、メドヴェージェフと会談、人道的な問題への対処の必要を述べると共に、南オセチアでは、「オセチア人に対するジェノサイドの要素が見られる、軍事検察局にこういう事件を記録するように指示するべし」と述べ、メドヴェージェフも同意している。)

2、グルジア情勢については、8月9日に記事を掲載し、地上軍がグルジア本体に入るか否かが注目されるとしたが、ロシアはゴリ市まで兵を進めた。またアブハジアとその周辺、海域でも戦闘行動を行った。8月10日、グルジア側は停戦を求めたが、ロシア側は拒否した。しかし国際的な反応に鑑みてか、8月12日には作戦終結を宣言した。これで一応、戦闘は終結し、サーカシュビリ政権は生き残ることになった。ロシアとグルジアでは、軍事的には勝負にならない。
今回のロシア軍の動きは、ソ連崩壊後、紛争地帯を越えてロシアが他の主権国家を軍事攻撃した初めての事例である。欧米諸国は対ロ政策を見直すことになる可能性がある。ウクライナ、他のコーカサス諸国、中央アジア諸国なども、ロシアへの脅威感を強め、対ロ関係を見直すことになろう。対ロ宥和の方向に行くか、その逆に行くかは今後の展開その他による。

3、私はこの戦争開始後、グルジア大統領府のホーム・ページにアクセスし、グルジア側の言い分をチェックしようとしたが、出来なかった。その後、グルジアはサイバー攻撃をも受け、発信できなくなったという記事が8月12日付ウオール・ストリート・ジャーナル紙に出ていた。いろんなことをするものである。
(文責:茂田 宏)

イラク財政の状況

イラク財政の状況

1、 8月5日、米議会の「政府説明責任事務局」(Government Accountability Office:以下GA
O)は「イラクの安定化と再建:イラクの歳入、歳出と余剰」と題する報告書を発表した。
その要約部分の抄訳、次の通り。(・・部分省略)

・・・2005年から2007年まで、イラク政府は960億ドルの累積歳入を得たと推計される。そのうち、約902億ドル、94%が石油輸出による。2008年については、GAOはイランは735億ドルー862億ドルの歳入総額、その内石油収入は665億ドルー792億ドルを達成できると推定する。2008年の石油収入は2005−2007年の年平均の2倍以上になりうる。これらの見通しは、2008年の6月までの実際の販売と7月から12月の輸出見通し(平均輸出価格を1バレル96,88ドルー125,29ドル、輸出量を日量189万―201万バレルと前提)に基づいている。
2005年から2007年まで、イラク政府は通常歳出と投資経費として670億ドルを使ったと推計される。90%は通常歳出で、給与、物品、サービスなどに支出され、残りの10%が構造物や自動車など投資に支出された。イラク政府は建物、水・電力設備、兵器など、イラクと米が資金提供した投資を維持するために総歳出の1%だけしか使わなかった。
2005年から2007年にかけて、総歳出は増えたが、イラクは予算に計上した資金すべてを使っていない。2007年、イラクは290億ドルの通常経費予算の約80%、120億ドルの投資経費予算の28%を支出した。GAOは2008年、イラク政府は499億ドルの予算のうち、353億ドルー359億ドルを支出しうると推計している。
2007年12月31日イラク政府は、イラク開発基金、イラク中央銀行の中央政府預金、イラクの商業銀行に294億ドルの預金を蓄積している。これは2005年―2007年の間の予算上の余剰資金約290億ドルが蓄積された結果である。GAOは2008年、予算余剰は382億ドルから503億ドルになると推定する。提案されている220億ドルの補正予算がもし支出されれば、この余剰を減少させることが出来る。
2003年予算年度以来、米国は約480億ドルをイラクの安定と復興のため充当し、内420億ドルを2008年6月現在までに支出約束した。米の諸機関は、重要な安全、石油、電力、水の諸分野に約232億ドルを支出した。イラクは2005年から2008年8月まで約39億ドルをこれらの分野に支出した。
米政府、連合軍、国際公務員はその歳入を・・使うイラク政府の能力に影響を与えている要因を同定した。これらの要因は訓練された人員の不足、弱い調達・予算システム、暴力と宗派間争いを含む。米はイラクがその資本プロジェクト予算を執行するイラクの能力を改善するため、重要な・・省庁の能力を高める活動に資金提供をしてきた。

2、 この報告書は、上院軍事委員会委員長カール・レビン(民主党)とジョン・ワーナー上院
議員(共和党)が要請したものであるが、報告書発表後、両名は共同声明を出し、「イラク政府はいまや、大規模再建プロジェクトの資金手当てをするために数百億ドルの資金を持っている。イラクが自分で資金手当て出来るプロジェクトの資金を米の納税者が引き続き負担するのは許しがたい。イラクの石油収入が銀行に積み上がるなか、我々はイラクのプロジェクトに金を出すべきではない」と述べた。

3、 8月6日付ニューヨーク・タイムズ紙は「イラクの余剰が増える中、復興にはほとんど
金が使われず」との見出しで、同日付ワシントン・ポスト紙は「GAO、イラクは数十億ドルを溜め込むと指摘、米が復興プロジェクトに資金提供するなか、イラクの石油収入、急増」との見出しで、この報告書を報道している。
イラク開発基金はその口座をニューヨーク連銀に保有しているが、このための利子として連銀は今年の末までに4億35百万ドルをイラクに支払うことになるとされている。

4、 イラク戦争開始後、その復興はイラクの石油収入で賄いうるとされたが、輸出用パイプラ
インの爆破など治安の悪化で、そうなっていなかった。しかし治安の改善で石油輸出が増え、イラクの復興は石油収入で賄える状況が出てきている。特に石油が高騰しているなかで、イラクは大きな財政上の余裕を持つに至っている。
今後米国内で、これ以上の復興支援は不必要と言う意見が高まる可能性がある。

5、 日本もイラク復興のために円借款などで支援してきた。約束したことは実施すべきであろ
うが、今後については、イラクが大きな余剰資金を保有していることを考慮すべきであろう。支援策を資金援助から資金投下を促進するための技術協力に重点を移していく方向に切り替えることが適切であろうと考えられる。
(文責:茂田 宏)

南オセチアをめぐるロシア・グルジアの衝突

1、 8月8日から、グルジア軍は、グルジアからの分離独立を主張してきた南オセチアに軍事的攻勢を掛け、南オセチアの州都ツヒンバリをほぼ制圧した。ロシアはこれに反発、8月8日、南オセチアに戦車部隊を含む兵力を派遣し、ミサイル、航空機による攻撃も行った。独立派はグルジアの攻撃により、1400名以上の死者が出たと述べた。戦闘が更に拡大する危険が高い。

2、 これについての関係者の反応、次の通り。
(1) グルジアのサーカシュビリ大統領の発言(要旨)
・ ロシアによる大規模な軍事侵略のなかで予備役動員を行う。グルジア軍は南オセチア民兵が8月7日の和平提案への回答としてグルジアの村落を砲撃した後、攻勢に出た。結果として、南オセチアの大部分はグルジア軍の支配下にある。ツヒンバリの大部分も解放され、その中心部で戦闘が行われている。8月8日、ロシアはグルジアの町を空爆した。グルジアの町の爆撃をすぐやめよ。グルジアがこの対決を始めたのではない。グルジアはその領土を諦めない。グルジア人は団結し、国を救うべきである。(8月8日)
・ 国家安全保障会議を開催し、戦時体制の導入を決定した。(8月9日)

(2) ロシアのメドヴェージェフ大統領の発言(全文)
 周知のように、ロシアは締結済みの合意に従い、平和維持任務を行うため、完全に合法的にグルジア領にプレゼンスを維持してきたし、引き続き維持している。我々は常に平和の維持を我々の最重要な仕事と考えてきた。ロシアは歴史上コーカサスの人々の安全保障の保証人であったし、これは今日も真実である。
 昨夜、グルジア軍はロシアの平和維持軍と南オセチアの民間人に対する侵略行為にあたることを行った。起きたことは国際法と国際社会が和平プロセスのパートナーとしてロシアに与えた任務の重大な侵害である。
 グルジアの行為はロシアの平和維持兵員を含む人命の喪失につながった。状況はグルジアの平和維持要員がロシアの平和維持要員、地域での平和維持のためにともに働くべき人に対して発砲するまでに至った。民間人,女性、子供、老人が南オセチアで今日死亡している。その多数がロシア連邦の市民である。
 憲法と連邦法に従い、ロシア連邦大統領として、どこに居ようがロシア市民の生命と尊厳を守るのが私の義務である。
 これらの状況は今我々がとる措置を命じている。我々は仲間の市民の死が罰せられないままであることを許さない。これをやった者はそれに値する罰を受けるだろう。(8月8日)

(3) ライス米国務長官の発言(要旨)
 米国はグルジアの南オセチアでの武力紛争への即時停戦を呼びかける。我々はロシアに航空機、ミサイルによるグルジア攻撃をやめるように、グルジアの領土的一体性を尊重するように、グルジア領土から地上戦闘軍を撤退するように呼びかける。
 米は欧州の同盟国とともに危機を終わらせるための国際的な仲介を始めることを推進する。
 我々は、多くの安保理決議で明確にされている国際的に承認された国境内でのグルジアの主権と領土的一体性への国際社会の支持を強調する。(8月8日)

3、 安保理は、8月8日、この問題を取り上げ、協議した。状況への懸念と停戦の必要性には
合意があったが、ロシアが紛争当事者に武力行使の放棄を求めたのに対し、米などがグルジアの自衛権行動をも規制しかねないと反対、物別れに終わり、安保理議長声明を出なかった。
 この背景には、ロシアがグルジアに南オセチアへの武力行使を放棄させようとこれまでも圧力を加え、グルジア側がそれに応じていないとの状況がある。

4、 コソボ独立以来、コソボが独立しうるのであれば、南オセチアもアブハジアも独立を許されてしかるべしとの意見がロシアにある。またグルジアのNATO加盟問題も絡んで、ロシアとグルジアの関係は緊張状態にあった。それが火を噴いたということであろう。
 今回の衝突に至った経緯はまだ良く判らない。グルジアが南オセチア問題を軍事的に解決できると考えて攻勢をかけたというのは、ロシアの予想される反応に鑑み、考えにくい。ロシアの介入が迅速であり、ロシアはそのための準備をしていた、グルジアが、攻撃を掛けるように仕組まれたのではないかとの説も出ている。今は、判断材料にかける。
 今後の展開で注目すべきは、ロシアがグルジア本体に地上軍による攻撃を行うか否かである。

5、 メドヴェージェフ大統領は、ロシアは歴史上も今も、コーカサスの安全保障の保証人であると述べたが、これはコーカサスは自分の勢力圏であると宣言したに等しい。そういう観点からのロシアの介入をバルト諸国、ウクライナ、中央アジアなどは心配している。このグルジア・ロシア紛争の今後は、ロシアと西側の関係に影響を与えるほか、旧ソ連諸国に大きな心理的不安を生じさせる惧れがある。
(文責:茂田 宏)

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