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ロシア経済の好調

ロシア経済の好調

1、 ロシア経済は中東での騒乱での原油価格の上昇で潤ってきている。3月中旬、外貨準備高は5000億ドルを突破したとされる。
 さらにイタリーはリビヤからパイプラインで相当大量の天然ガスを輸入していたが、リビヤの騒乱でこれが止まり、ロシアはイタリーへの天然ガス輸出を増加させている。

2、 加えて日本の震災後の福島第1原発事故は欧州諸国において反原発の気運を高めている。特に独やイタリーでは反原発の気運が強く、発電のために天燃ガス需要が高まっている。その供給先として中東よりロシアの方が安定した供給先ではないかとの見解が多い。ロシアの対欧州天燃ガス輸出はいわば売り手が有利な状況になっている。

3、 上記二つの要因により、当面はロシアがエネルギー供給者として強い立場に立つこと、ロシア経済が好調を維持することが見込まれる。
メドヴェージェフ大統領は資源輸出に依存した経済構造を改革し、もっと製造業などを発展させることによって経済構造を近代化するとしてきたが、資源輸出の好調の中で製造業の発展や製品輸出を行う経済に転換することは困難になるであろう。
ロシアについては、「木の生えたサウジアラビヤ」と揶揄する声が昔からあるが、資源価格上昇による経済の好調はそういう傾向をさらに強める怖れが長期的にはある。

4、 中東産油国でなぜ民主化が進まないのかについて、「レンティア国家論」(地代国家論)というのがある。これは産油国では、政府が資源輸出で得た資金を国民に施すことになっていて、ボストン茶会のスローガン、「代表なくして課税なし」の逆、すなわち「課税がないから代表もない」ということになっているからであるという説である。こういう地代国家では、政府は国民に説明責任を負わない形になる。
ロシアについても、レンティア国家の色彩が強くなり、それは民主主義の発展という見地からは、あまり好ましくない結果をもたらすと思われる。メドヴェージェフとプーチンとの間に路線の対立があると私は考えないが、メドヴェージェフが表向き述べてきたことよりもプーチンが表向きに掲げてきた路線が状況的には追い風を受けるようになっている。
(文責:茂田 宏)

ホドルコフスキーの第2回目の裁判

1、 ロシアの最大の石油会社であったユーコス社社長ホドルコフスキーは2003年脱税の疑いで逮捕され、2005年の裁判で詐欺と脱税で8年の禁固刑に処せられていた。来年には刑期が終わり、釈放されることになっていたが、今回再び詐欺罪で起訴され、14年の禁固(既に務めた8年を含む)の判決が12月31日、言い渡された。その結果、ホドルコフスキーは2017年まで収監されることになった。

2、 控訴審がどうなるかの問題があるが、この裁判はプーチンのロシアについて多くを物語っている。
第1:司法の独立性は存在しない。プーチンは判決言い渡し前に「泥棒は刑務所にいるべきである」と公然と述べ、判決はそれに沿ったものとなった。一事不再理の原則は完全に無視され、判事ビクトル・ダリニキンは司法の独立を示すかもしれないとの期待を裏切った。同判事は判決言い渡しの最初に、ホドルコフスキーなどを犯罪組織の一部と断定した。
ホドルコフスキー側が、破産したユーコスを買収したロスネフチが、国に対し石油1トン当たり支払っている額がユーコスが支払った額と同額であるのに、なぜユーコスが石油を盗んだとされるのか、脱税であったならなぜ石油窃盗の詐欺罪も適用されるのかなど、それなりの議論を展開したが、無視されたということであろう。私は判決文を読んでいないが、政治的な判決であることは一事不再理の無視一つで明らかである。
第2:司法の独立性の欠如とともに、法の支配が存在しない。憲法無視の疑いも濃厚である。無法がまかり通っている。
第3:メドヴェージェフ大統領はユーコス事件について法律家として疑念を時折表明し、今回の裁判についても、行政権力が判決前にコメントをするのは避けるべきであると発言していたが、プーチンはそういう大統領発言に何の考慮も示さなかった。両者の力関係が明らかになった。
第4:プーチンがホドルコフスキーを敵視しているのは、ホドルコフスキーがプーチン批判を行い、野党への資金提供を行い、さらにプーチンに対抗しようとしたことから始まっている。2012年の大統領選挙で、今や刑務所に収監されているホドルコフスキーが統一ロシアの候補に対抗するなど想像しがたいが、プーチンがこういう裁判を強行しているのは彼の用心深さを越えたパラノイヤを感じさせる。

3、 米ホワイト・ハウスは昨年12月27日、次の報道官声明を出した。
我々はロシアの判事が、ミハイル・ホドルコフスキーとプラトン・レヴェジェフが第2回目の有罪判決を受けると示唆したことを深く憂慮している。我々は、深刻な適正手続きの違反の指摘と、不適切な目的のために司法システムを濫用しているように見えることで困惑している。これらの人への明らかな法の選択的適用は、法の支配の深化にコミットしている国としてのロシアの評判を掘り崩す。ロシア政府は法の下での平等な取り扱いを確保し、予期できる公正な方法で正義を前進させ、経済成長を達成する手段としての独立した司法を発展させなければ近代的な経済を育成できない。
オバマ政権は、法の支配の強化とロシア憲法に盛り込まれている普遍的価値の尊重の深化にコミットしている多くの人々(ロシアの政府内、司法システム内、市民社会内)と連帯している。法の支配を含む普遍的価値への誓約を守ることにロシアが失敗することは、ロシア自身の近代化と米との関係の深化を阻害する。
オバマ大統領は、メドヴェージェフ大統領の、法の支配を強化し、ロシアの政治・経済システムを近代化する重要な運動についての継続中の会話の一部として、このケースやその他のことを、しばしばメドヴェージェフ大統領と話してきた。この判決の公正さや控訴審での上級裁判所での見直しを含め、この事件の次の段階を注意深く引き続き監視していく。

4、 ドイツのメルケル首相は声明で、「判決に失望した。裁判では政治的な動機が役割を果たしたとの印象がある」と述べ、英国のヘイグ外相は、「深刻な憂慮」を表明し、ロシアに「司法の原則を尊重し、法の支配を無差別で均衡のとれた形で適用する」ように求めた。

5、 ロシアはプーチンが政権を掌握した後、民主化を次々に逆行させている。エリツィン時代のロシアから変質してきている。このホドルコフスキーの裁判はその道筋での象徴的な事件である。その意味で重要な事件ではある。
米高官は、WTOへのロシアの参加をこの事件が複雑化させかねないと述べたが、西側諸国が今後どう対処するのかが問題である。しかし、米欧は多分、ロシアに対して強い対応をしない可能性のほうが大きいと思われる。
プーチンのロシアが、国内では国家資本主義に、対外的には排外的民族主義に基づく自己主張の強化に向かう傾向が強まるだろう。石油価格の上昇はそれを助長するだろう。
(文責:茂田 宏)

ロシアの軍備拡張

ロシアの軍備拡張

1、 12月13日、プーチン首相はセヴェロドビンスクで軍建設に関する会議を開催し、その席上次の通り述べた。(ロシア首相府サイトより。 ・・部分省略 )
 今、セヴェルマシュ造船所を訪問した。・・第4世代原子力潜水艦アレクサンダー・ネフスキーが、今日成功裡に竣工した。これはプロジェクト955の最初の船である。この建造が始まったのは2004年で、来年末に海軍で任務に就く。・・全部で6年かかった。
私は・・技術が進歩し、お金もあるので建造過程が短縮できると言う人に同意する。・・
我々の目標によれば陸軍、海軍、空軍の近代的兵器の比率は、2015年に30%に、2020年に70%になる。2020年までの兵器計画はこの大規模計画の基盤になる。・・我々はすでに・・優先順位を決めた。
計画によると、主要な力点が戦略核兵力におかれるべきである。我々はまた、第5世代戦闘機やその他の近代的航空機に加え、ミサイル防衛の先進的システム、通信・指揮、偵察を部隊に提供する考えである。・・兵器プログラムにかなりの額を割り当てた。額はびっくりさせるような20兆ルーブルである。・・これは現計画での額を3倍にすることになる。・・そのうち4,7兆ルーブルが海軍の再装備に向けられ、その3分の1がここ5年に配布される。海軍では兵器は更新され強化される。戦略海洋核部隊が第4世代潜水艦で構成され、近代的水上艦が購入され、運用ハードウエアは修理・更新される。・・海軍は一般的な海軍力も戦略核兵力も開発すべきである。・・
何点かに注意を喚起したい。
第1:我々は国の防衛産業の徹底した調査をした。・・結論を言えば、我々の軍事産業は高い能力を持っている。同時に我々は施設の近代化のために時間がかかると理解すべきである。・・開発者や製造者はその資源を動員し仕事を適切に組織し、国防省の納期を守るべきである。・・我々はお金を使う必要があるのではなく、空母やミサイルなどの物がいる。・・第2:・・新しい施設や既存施設での生産能力増強がいるが、国家の注文を作った後、遊休施設にならないようによく考えられた計画がいる。・・
第3:ここ2−3年に国防省から大きな注文がない施設を維持し支援する方策を見直してほしい。・・今需要が少ないからと言って、価値ある研究開発能力をなくしてはいけない。・・また施設は軍の注文だけではなく、民間の注文も受け入れるべきである。・・特に航空機産業のような産業ではそうするべきである。・・
また兵員への手当の増加と軍関係者の住宅問題にも取り組むことを忘れてはならない。・・

2、 20兆ルーブルはほぼ60兆円である。2011−2020年の10年計画であるから、1年6兆円であり、日本の毎年の防衛費約4兆8千億円を上回る。
ロシアの経済規模はGDPでは日本の約3分の1であるから、ロシアが軍備拡張に力を入れてきていると言える。日本の防衛費の半分は人件費であるが、ロシア軍は徴兵制で人件費がずっと安い。装備購入に充てられる額は、ロシアの国防予算のうち、かなりの部分を占める。
ロシアが軍拡に向かっていることは明らかである。冷戦時代は、ソ連の軍備に相当な注意を払ってきた。冷戦終了後、核以外のロシアの軍事力に注意を払わない傾向がある。今後、それなりの注意を払う必要がある。
(文責:茂田 宏)

NATO・ロシア関係

NATO・ロシア関係

1、 12月10日付モスクワ・タイムズ紙の記事概要、次の通り。
 
 ウイキリークスが公表した米公電によると、本年1月NATOは秘密裏にエストニア、ラトビヤ、リトアニアの防衛計画策定を行うことを決定した。その電報の中で、米はロシアを苛立たせないように計画を秘密にするように要請している。
 ラブロフ外相はこれに関し次の通り指摘した。
 この計画の作業は昨年12月に開始されている。これはグルジア戦争で緊張したNATOとロシア関係を修復しようと動いていた時期である。NATOはいつ誠実だったのか。ロシアとのパートナー関係の修復を公に論じている時か、あるいは仲間内でこういう決定をしている時か、という問題をこれは提起する。私はNATOから回答を得たいと思うし、そう要求する権利がある。
12月9日、NATO事務局長は論争を鎮めようと、「我々はロシアをNATOへの脅威と見ていないし、NATOもロシアにとって危険ではない」と繰り返した。
メドヴェージェフ大統領は先月、リスボンでのNATO首脳会議に出席し、アフガン戦争での協力などに合意した。またミサイル防衛協力についても合意した。
NATO外交官によると、12月8日、ロシアのロゴジン駐NATO大使はバルト諸国有事計画へのロシアの懸念を表明し、NATOがそれをキャンセルするようにとの希望を表明したが、NATO側は集団防衛義務があると繰り返したという。
 NATOの計画では、ポーランドとバルト3国の防衛のために9師団が投入されることになっている。

2、 11月20日、メドヴェージェフ大統領がNATO首脳会議に参加した。その会合後、ラスムッセン事務局長は「NATO・ロシア関係が敵対的な関係からパートナー関係になった」と述べ、本邦各紙でもそのことが大きく報じられた。
 しかしNATO諸国、特に最近加盟したポーランドなどの東欧諸国やバルト3国がロシアへの警戒心を簡単に解くことはないし、ロシアがNATOへの不信をなくすこともそう簡単ではない。
 会合後の発表文はよく読むべきであるが、それのみに捉われず、情勢判断をする必要がある。NATO・ロシア蜜月へと言うわけでもないことを、今回のラブロフ・ラスムッセンのやり取りが示している。
 これはNATOとロシアのどちらが誠実かと言う問題ではなく、国際政治や外交とはそういうものであるということである。
(文責:茂田 宏)

英国での核抑止力についての議論

1、 10月2日―8日号のエコノミスト誌は「トライデントを狙って:英国の連立政権は英国が核兵器保有国であるべきか否か、どういう核兵器保有国であるべきかについて分裂している」との記事を掲載している。
この記事の概要、次の通り。
キャメロン政権は防衛費削減を念頭に戦略防衛・安全保障見直し(SDSR)を行っている。当初首相は英の核抑止力を議論の対象から外すとしていたが、連立を組む自由民主党が核抑止力も議論することを主張し、そういうことになった。
 英の核抑止力は米製の潜水艦発射トライデント弾道ミサイルに搭載されている核兵器であるが、2020年代初めに更新する必要がある。その費用は320億ドルとされる。
自由民主党はトライデントの単純更新に反対であり、核兵器保有をやめたらどうかとしている。発注を遅らせることや、より安い代替策はないかとの話が出ている。
英国では核抑止力についての議論がよく出てくる。仏では核兵器保有が威厳と独立の象徴として議論の対象にならないが、英国の左翼リベラルは核抑止力嫌いを克服していない。労働党のアトリー首相が核開発を決定したが、労働党は核抑止力について厳しく分裂してきた。2007年に下院がトライデントの更新を決めた時には、労働党で多くが反対し、当時の労働党政府は保守党の支持でようやく更新を決めた。核が道徳的でないとか、ソ連の抑止が核抑止力の役割であったが、今はそういう脅威はないとの批判がある。他方で、今以上の核拡散に備える必要、中国・ロシアの核兵器への対抗の必要、(米の核抑止力の保護はあるが)核防衛の第2線は必要である、との論がある。
費用がかかり過ぎるので、決定を延ばすべし、今のトライデント弾道ミサイル搭載バンガード潜水艦は2025年を超えても使いうるとの論には一理ある。より安い代替策、別の潜水艦に核トマホークを搭載するので足りると言う論は実際的ではない。射程不足だし飛行速度が遅すぎて途中で撃ち落とされかねない。その上、英は通常弾頭トマホークを保有しているので、そのトマホーク発射の場合、敵が核トマホークと考え、反撃する可能性が出てくる。
お金を節約し、核抑止力も保有し続ける政策として、継続海上抑止(Continuous At-Sea Deterrence:以下CASD)を止め、危機の時に海に出るようにして、潜水艦の数を今の4隻から2隻にするとの案も出されている。3隻でCASDを維持し得るとの案もある。
新しい潜水艦の発注を2−3年遅らせ、3隻だけの注文にすれば、費用節約になるが、次回選挙(2015年とされる)まで決定を延ばすと、その選挙で出来る政権がトライデントを止めてしまいかねない。自民党は延期の決定を喜ぶだろうが、多くの保守党議員はそういうことは国防軽視になるとしている。

2、 この記事は英での核兵器保持の是非についての議論を紹介したものである。この議論がどういう結果になるかはまだ分からない。しかし過去にはこういう議論の後、結局核保有継続ということになったし、今回もそうなる可能性が強い。

3、 英ではトライデント更新時期に、いつも核兵器保有の是非について議論がなされる。英と日本は、米との同盟関係にあり、米の核の傘のもとにいる島国との共通点がある。私は英でこういう議論が戦わされること自体、英の民主主義の健全性の証拠と考えている。
我が国では、核議論を封殺することが良いことかのような風潮があるが、間違いであろう。核を含む国防についてオープンな議論をすることは必要なことである。
(文責:茂田 宏)


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