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ロシアの懸念すべき動き
1、 10月14日、ロシアの安全保障会議事務局長パトリュシェフはイズベスチア紙との
インタビューで2000年に採択された軍事ドクトリン改定する、本年末に大統領に案を提出する、その新ドクトリンでは核兵器使用条件が変更される、と述べた。その発言の一部、次の通り。
我々は大規模戦争のみならず地域的あるいは局地的戦争における通常戦力での侵略に抵抗するための核兵器の使用の条件を修正した。また状況と潜在的な敵によっては、核兵器の使用に関する複数の選択肢を用意する。国家安全保障に重大な状況において我々は侵略者に向けられた予防的な核攻撃を排除しない。
(注:これまでのドクトリンでは、大量破壊兵器での攻撃または大規模通常兵器侵略に対抗しての核兵器使用が許されていた。)
2、 10月26日付モスクワ・タイムズ紙の「軍事力法案、国家院で採択」との記事、次の通り。
国家院は10月23日、外国での軍事力行使のための法的基盤を拡大するクレムリンの法案を承認した。
国家院はメドヴェージェフ大統領提出法案を必要とされる第3読会において全会一致で賛成の表決をした。連邦院は迅速にこれを承認すると予想されており、大統領の署名によりこれは法になる。
法案は、ロシア軍への攻撃を阻止し、他国への侵略を抑止し、ロシア市民を守り、あるいは海賊と戦い、海運を保護するために大統領が国外に兵力を派遣することを許可するものである。
3、 10月26日、メドヴェージェフ大統領は防衛産業発展会議で演説を行い、新しい武
器の開発、ロシア軍の戦闘力の向上と世界の市場で競争力のある武器の生産を行うことの重要性を強調した。(演説概要は、ロシア大統領サイトに掲載)
4、 このロシアの核兵器使用の新しいドクトリンは、核兵器の使用の敷居を大幅に下げる
ものである。ロシアが戦術核を大量に保有していることもあり、危険である。
さらに、ロシア軍での海外での使用に「ロシア市民を守る」ということが含まれており、グルジアの例にみられるような旧ソ連諸国への武力介入の正当化につながる。国連憲章2条の武力不行使との関係をロシアがどう考えているのか、懸念を呼び起こす。
これは、説明を求めてしかるべき案件であろう。
(文責:茂田 宏)
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