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欧州情勢

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ロシアの懸念すべき動き

1、 10月14日、ロシアの安全保障会議事務局長パトリュシェフはイズベスチア紙との
インタビューで2000年に採択された軍事ドクトリン改定する、本年末に大統領に案を提出する、その新ドクトリンでは核兵器使用条件が変更される、と述べた。その発言の一部、次の通り。

 我々は大規模戦争のみならず地域的あるいは局地的戦争における通常戦力での侵略に抵抗するための核兵器の使用の条件を修正した。また状況と潜在的な敵によっては、核兵器の使用に関する複数の選択肢を用意する。国家安全保障に重大な状況において我々は侵略者に向けられた予防的な核攻撃を排除しない。
(注:これまでのドクトリンでは、大量破壊兵器での攻撃または大規模通常兵器侵略に対抗しての核兵器使用が許されていた。)

2、 10月26日付モスクワ・タイムズ紙の「軍事力法案、国家院で採択」との記事、次の通り。

 国家院は10月23日、外国での軍事力行使のための法的基盤を拡大するクレムリンの法案を承認した。
 国家院はメドヴェージェフ大統領提出法案を必要とされる第3読会において全会一致で賛成の表決をした。連邦院は迅速にこれを承認すると予想されており、大統領の署名によりこれは法になる。
  法案は、ロシア軍への攻撃を阻止し、他国への侵略を抑止し、ロシア市民を守り、あるいは海賊と戦い、海運を保護するために大統領が国外に兵力を派遣することを許可するものである。

3、 10月26日、メドヴェージェフ大統領は防衛産業発展会議で演説を行い、新しい武
器の開発、ロシア軍の戦闘力の向上と世界の市場で競争力のある武器の生産を行うことの重要性を強調した。(演説概要は、ロシア大統領サイトに掲載)

4、 このロシアの核兵器使用の新しいドクトリンは、核兵器の使用の敷居を大幅に下げる
ものである。ロシアが戦術核を大量に保有していることもあり、危険である。
 さらに、ロシア軍での海外での使用に「ロシア市民を守る」ということが含まれており、グルジアの例にみられるような旧ソ連諸国への武力介入の正当化につながる。国連憲章2条の武力不行使との関係をロシアがどう考えているのか、懸念を呼び起こす。
これは、説明を求めてしかるべき案件であろう。
(文責:茂田 宏)

ドイツに対するアルカーイダの脅迫

1、 10月4日付中東報道研究機関(MEMRI)は次の記事を掲載している。(出典を示す注は省略)ご参考まで。

 アルカーイダと関連グループは2009年9月27日投票のドイツ連邦議会(下院)選挙を控え、同国に対する脅迫キャンペーンを開始した。こうした整合するメッセージが集中的に発表されるのはまれなことだ。メッセージのひとつは、ウズベク・イスラム・ジハード連合(Uzbek Islamic Jihad Union=IJU)に繋がるジハード主義メディア・グループを通じて配信された。IJUは以前ドイツにおける(テロ)攻撃計画に関わりがあった組織だ。これらの理由から、ドイツに対する脅迫は真剣に受け止めるべきだろう。

 このキャンペーンの中心となっているのは、過去10日間にリリースされた3つのビデオだ。最初のビデオはベッカイ・ハラハ(Bekkay Harrach)別名アブータルハ(Abu Talha)のビデオ。ハラハはモロッコ系のドイツ人で、昨年1年間、ドイツ語のジハード主義プロパガンダに登場した。彼のメッセージは簡単だ。アルカーイダがドイツと係わる唯一の問題はアフガニスタン戦争参戦であり、総選挙の投票者が軍隊を引き揚げる政府を選ぶか、それともドイツが(アルカーイダ系組織の)攻撃目標になるかーーというものだ。彼はとりわけドイツ内のムスリムに、選挙の結果アフガニスタン政策に変化が起きないならば、選挙後2週間、公共の場所に近づいてはいけないと警告する。この中で、ミュンヘンの十月祭(ビール祭)に言及している。これは、予想される標的を暗示したものかもしれない。(ドイツは10月祭の間、ミュンヘン上空の飛行を禁止した)。 この数日後にリリースされた、アルカーイダの9・11テロ8周年の長編ビデオは、このハラハの警告に言及している。

 キャンペーンの第2のステップは、ウサマ・ビンラーディン(Osama bin Laden)の音声録音「欧州の人々へのメッセージ」だった。メッセージがドイツだけ抜き出しているわけではないが、(標準的な英語のサブタイトル付きのバージョンに加えて)ドイツ語のサブタイトルの付いたバージョンも配信された。こうした点で、このキャンペーンのより広い文脈から判断すると、このビンラーディンのメッセージはドイツへの警告と見なすべきだ。同メッセージは、欧州にとって米国が信頼できない同盟者であるというテーマに焦点を合わせている。その上で、米国は、アブハジアと南オセチアに対するグルジアの主権回復を実現できなかったと指摘する。ビンラーディンはまた、米国における最近の政治風潮の変化に言及する形で、アメリカ人がアフガニスタンを離れると決め付け、「われわれとあなた方(欧州人)が残り、抑圧された者が抑圧者に報復する」と言う。
 このメッセージの明白な内容とは別に、このビデオには、暗号文が含まれているかもしれない。ビンラーディンはこう言う。子供たちがアフガニスタンの空爆によって殺害されるとき、「アメリカ人の寛大さがふんだんにほとばしり出る。彼らは遺族に対し、死亡した子供ひとりにつき100ドルを与えるのだ。これは痛ましい事実だ。欧州には、100ドルで買える雄羊が果たしているだろうか。これは、ワシントンやその同盟者が見る、われわれの罪のない子供たちの生命の値段なのだ。(こうした痛ましい事実に対する)われわれの反応がどのようなものになるか、あなた方は想像できるだろう」。
2009年7月17日、トルコのジハード主義のメディア・グループ「エリフメディヤ(Elifmedya)」は「セハデトザマニ(Sehadet Zamani)ウエブサイト」に募金の呼びかけを掲載した。エリフメディヤとセハデトザマニはいずれも「ウズベク聖戦聖戦連合(IJU)」に繋がりがあるようだ。 IJUは2006年ドイツのザールラント(Saarland)で起きたテロ未遂に係わっている。IJUの指揮官のひとりは最近、アルカーイダ指揮官アブーヤヒヤ・リービー(Abu Yahya Al-Libi)と一緒にビデオに登場してもいる。 エリフメディヤは募金呼びかけのメッセージでウエブサイトの読者に、アフガニスタンのムジャーヒドゥンの孤児たちのため、アキーカ(akika)を買う費用100ドルを送るよう要請した。(アキーカとは、子供が生まれた7日後に犠牲に供される動物だ)。 ビンラーディンのメッセージと募金の呼びかけには、アフガニスタンの子供たちと値段100ドルの動物という共通要素がある。
このことが重要に思えるのは、同じエリフメディヤがドイツに関連する第3のビデオを製作したからだ。このビデオには、「ドイツのタリバン」と称する男性6人が軍事訓練を行っている映像が写されている。(このビデオにはまた「アメリカ人アブーイブラヒーム」と呼ぶ人物の映像も写されている)。ビデオの残りの部分は、ドイツ語を話す「アイユーブ」のメッセージだが、彼は前述の6人のうちの1人のように見える。
「ドイツ人のタリバン」はウズベク・イスラム聖戦連合(IJU)のドイツ人メンバーを意味していると見てよいだろう。IJUはタリバンの後援を受けている。注目すべきは、アイユーブのドイツに対する不満のひとつが、ウズベキスタンとの繋がりであることだ。(ドイツはウズベキスタンに軍事基地を有している)。もうひとつの不満は、ウズベキスタン内相ザキルジョン・アルマトフ(Zakirjon Almatov)に関することだ。欧州連合(EU)は、今年初め起きたアンディジャン(Andijan)の殺戮に係わったとして同内相を旅行禁止とした。それにもかかわらず、ドイツは同内相がハノーバーで治療を受けることを認めている。
アイユーブは、他のビデオのスポークスマンと似て、アフガニスタンにおけるドイツの役割を非難し、平和維持とされた使命にもかかわらず、国民に脅威を与えていると言う。さらに、その一例としてクンドゥズで最近起きた、盗難された石油タンク車に対する空爆を取り上げる。アイユーブはドイツ人に対し、彼らの国境は決して安全ではなく、ジハード(の脅威)がドイツにやってくるのは時間の問題だと警告する。アイユーブがこう語っている間、スクリーンの右上のコーナーにドイツの風景が現われる。ブランデンブルク門、フランクフルトのスカイライン、ミュンヘンの10月祭のグラウンド、ハンブルク中央駅、ケルン大聖堂などだ。
(書かれた警告)
 アフガニスタンとパキスタンのジハード主義の雑誌タラーアイ・ホラサーン(Tala’i Khuasan)の最新号の巻頭の記事は「ドイツ人と良いチャンス」と題されている。タラーアイ・ホラサーンはアルカーイダと最も密接な繋がりを持つ雑誌だ。最新号は(イスラム暦)1430年シャアバーン月号だが、9月26日に刊行されたばかりだ。シャアバーン月はラマダーン月の前月にあたる。
 サブタイトルが「ドイツ人は最後のチャンスを活用し、破壊と破滅を避けるだろうか」という、この短い記事はこう言う。ドイツ総選挙まで数週間が残されている。ドイツ人はブッシュとオバマの戦争政策を回避し、首相メルケル(Merkel)に対し「アフガニスタンのドイツ人兵士がドイツの治安を守っているという貴女の偽りの主張にはもう飽き飽きした」と告げるチャンスがある。この記事は、ドイツ人の多数がアフガニスタンの戦争参加に反対しているという世論調査を挙げる。そして、この記事はこんな脅迫で終わっている。「ムジャーヒドゥンは長い間こう説明してきた。人々は抑圧的な、侵略政府を選び、選出し、支持することはできない、と、そして、自分たちの安寧と安息が変化を受けないことを望み、一方、選択のコストと結果の責任を負うことは望まない、と」
ドイツ総選挙当日の9月27日「ファッルージャ・ジハード主義フォーラム」のモデレーターはポスト・メッセージを書き、「おー、ドイツよ、ムジャーヒドゥンの攻撃がやってくる」と述べ、「病院を準備する」ようドイツ人に告げた。このポスト・メッセージは、同ウエブサイトのホームページのバナーが助長している。フォーラム・モデレーターたちの身元はほとんど知られていないが、「ファッルージャ」は現在最も重要で、活動的なジハード主義のウエブサイト・フォーラムであり、唯一アルカーイダのメディア配信会社ファジュルと直接のラインを持つウエブサイト・フォーラムである。

2、ドイツ治安当局はこのアル・カイダの脅迫を真剣にとらえている。10月2日付シュピーゲル誌は「ベルリン、テロ恐怖のなかで治安強化」という記事を掲載している。この記事によると、ミュンヘンでのビール祭りの警備が強化されたほか、ベルリンでの10月3日のドイツ再統一祝典(10月4日より3日間)を警備するためブランデンブルグ門とその周辺には大勢の警官が配置され、市民に対して警戒心を持ち、疑わしい人や物を見た場合通報するようにとの要請が内務省より出されている。

3、 9月27日のドイツ総選挙では、メルケル首相のCDU/CSUが239議席、自民党が93議席を獲得し、この両党で過半数を占めた。メルケル首相は社民党との大連立を解消することになろう。社民党は146議席、左派党は76議席、連合・緑の党は68議席であった。(ドイツ下院の基本定数は598議席であるが、ある州で比例代表制で獲得された議席以上の小選挙区当選者があれば、その人も議員となるので、定数が増えることになっている。)
 アルカイダが選挙に影響を与えようとしたのであれば、失敗に終わったと言える。大体左派党以外にアフガンからの撤退を明確に主張している党はなく、この脅迫は選挙の争点になることはなかった。

4、 今回なぜアル・カイダがドイツに焦点を絞った脅迫を行ったのか、よくわからない。選挙に影響を与えられると考えたのであれば、アルカイダの情報も大したことがないと言える。
 しかしアフガンにかなりの出兵しているNATO諸国のうちで、アフガン出兵に否定的な世論が他より強い国がドイツである。ドイツが第2次大戦の敗戦国として戦闘を伴う海外派兵に消極的であることはよく知られている。
 アル・カイダが、アフガン出兵国の輪のなかで脆弱なのはドイツである、と考え、こういう行動に出ている可能性もある。ドイツの世論状況がアル・カイダのテロ脅迫を喚起している可能性がある。
 日本がアフガンに今後どう関与していくのかを考えるにあたり、考慮すべき点をこのことは示唆する。
(文責:茂田 宏)

欧州でのミサイル防衛に関するオバマ声明

1、 9月17日、オバマ大統領は次の通りの声明を行った。
最高司令官として私は我々の安全保障を前進させるため権限内のすべてのことを行う
ことにコミットしている。そしてそれは世界中でわが国民、兵士、わが友好国と同盟国へのいかなるかつすべての脅威に対し我々の防衛を強化することを含む。
これらの脅威の一つは弾道ミサイルの脅威である。選挙期間中言ったように、ブッシュ大統領はイランの弾道ミサイル計画が相当な脅威であるという点で正しかった。そしてそれは私が21世紀の脅威に適合した強力なミサイル防衛システムの配備にコミットしている理由である。
わが安全保障とわが同盟国の安全保障を、責任をもって前進させる最良の方法は、我々が直面する脅威に最善の対応をし得、かつ証明され、費用対効果がある技術を利用するミサイル防衛システムを配備することである。
このコミットメントと議会が要求した見直しにかんがみ、私は欧州におけるミサイル防衛計画の包括的な評価を命じた。そして広範な過程の後、私は弾道ミサイル攻撃に対する米の防衛を強化するわが国防長官と統合参謀本部議長の一致した勧告を承認した。
この新しいアプローチは2007年の欧州ミサイル防衛計画より、より早く能力を提供し、証明済みのシステムに立脚し、ミサイル攻撃の脅威に対しより良い防衛を提供する。
この決定は二つの主要な要因で導かれた。
第1:我々はイランのミサイル計画の情報評価を最新のものにした。これは欧州に到達可能なイランの短距離、中距離ミサイルの脅威を強調する。イランがその核計画に関して国際義務を果たすことに代わるものはない。我々は同盟国とパートナーとともにイランがこれらの国際義務を果たすことを確保するために強力な外交を引き続き追求する。しかしこの新しい弾道ミサイル防衛計画がイランの現行のミサイル計画による脅威に対する最良の対処である。
第2:我々は特に地上、海上迎撃手段とそれを支援するセンサーに関連しミサイル防衛技術で具体的で証明済みの進歩を成し遂げた。我々の新しいアプローチは、したがって、前の計画より証明済みで費用対効果があり、現在の脅威に対抗し、かつ早くそうする技術を配備する。我々のアプローチは段階的で適合的であるので、脅威と技術が引き続き進展するのに応じてわが防衛を調整し強化する柔軟性を有している。
簡単に言うと、我々の欧州における新しいミサイル防衛構造はより強固な、より賢い、より早い、米軍兵力と米同盟国の防衛を提供する。前の計画よりもっと包括的である。証明済みで費用対効果のある能力を配備する。長距離弾道ミサイルの脅威に対し米本土を守るとの我々のコミットメントを維持し、その上に構築される。そしてそれはすべてのNATO諸国の保護を確保し、強化する。
このアプローチはNATOのミサイル防衛努力と合致し、向上された国際協力が前進する機会を提供する。我々は前の計画の要素をホストすることに同意したチェコ共和国とポーランド、我々の緊密な友人で同盟国、と引き続き協力的に作業する。私はチェコ共和国とポーランドの首相とこの決定について話し、我々の深く緊密な紐帯を再確認した。我々は幅広い集団防衛の強化の努力のために一緒にコミットしており、1カ国への攻撃はすべてへの攻撃であるというNATOの第5条の厳粛な誓約に拘束されている。
我々はロシアに以前の計画に対する懸念が完全に根拠がないことを繰り返し明らかにした。我々の明確で一貫した焦点はイランの弾道ミサイル計画の脅威であり、今後もそれが我々の焦点であり、今日発表している計画の基礎にある。
この脅威に対決するにあたり、我々はロシアがそのミサイル防衛能力を我々の共通の戦略的利益の広範な防衛のために持ってくる場合、その協力を歓迎する。我々はイランの不法な核計画を終わらせるために共通の努力を継続する。
前進しつつ、わが政権は議会や同盟国とこのシステムを配備するにあたり引き続き緊密に協議する。そして弾道ミサイルの脅威と我々がそれに対抗して配備する技術を厳しく評価していく。
私は今日われわれがとった措置で我々は米の国家安全保障を強化し、21世紀の脅威に対抗する能力を向上させたと自信を持っている。

2、 ホワイト・ハウスは同日この問題についてファクト・シートを発表した。
それによると、2011年までの第1段階では、イージス艦、SM-3[ブロックー1A]ミサイル、陸海・搬送可能レーダー監視システム(AN/TPY-2)などのセンサーで対応し、2015年までの第2段階では、SM-3(ブロックー1B)を海上・陸上に配備し、センサーも向上させる、2018年までの第3段階では、開発中のSAM-3[ブロックII-A]を配備する、2020年までの第4段階では、SAM-3(ブロック II-B)を展開、米に対する大陸間弾道ミサイルにも対応するとしている。
またチェコとポーランドにおかれる予定のレーダーと迎撃ミサイルは不要になるとしている。

3、 これは米ロ間で長い間争われてきた問題の除去になる。
なおロシアのラブロフ外相はこういう発表がなされるとの報道を受けて、「ロシアとし
ては、この米の決定をロシアへの譲歩とは見なさない、過ちを修正したに過ぎない」とコメントした。

4、 この決定は米とチェコやポーランドとの信頼関係にマイナスの影響を与えるだろう。
米と東欧諸国の関係はこれまで米と西欧諸国との関係以上に緊密であったが、オバマ政権が米ロ関係のリセットを標榜して以来、必ずしもよくない。
ロシアの「勢力圏発想」に譲歩したかのような認識が生まれないように、共同演習を米・東欧諸国で行うなど、今後手当が必要になると思われる。
(文責:茂田 宏)

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ロシアでの軍改革と軍人の不満

1、5月26日付ワシントン・ポスト紙は、「ロシア軍内で不満が急速に高まる、軍改革は解雇や住宅喪失をもたらす」との記事を、同日付のクリスチャン・サイエンス・モニター紙は「赤い暁の削減:ロシアは大きな軍近代化努力を開始。3万6千の将校が今年中に削減されると予測され、ソ連時代の“幽霊師団”はなくされる。経済危機はこの改革を蝕むか」との記事を掲載している。

2、ワシントン・ポスト紙の記事の概要は次のとおり。

プリマクはソ連の軍事アカデミー卒業後、極東のウスリスクに配属され、4分の1世紀、中佐になるまで極東にいた。引退して故郷の西部に移り、政府が約束した住宅を手に入れることを夢見てきた。
しかし政府が軍改革で、将校の半分を解雇することになり、プリマクは46歳で無職、ウスリリスクで動けない状況にある。彼は失望している。
低賃金と住宅不足による士気の低下は、ソ連崩壊後ロシア軍を悩ませてきたが、メドヴェジェフが軍改革を行う中で、不満は大きくなっている。
軍改革は欧州で長期戦を戦う徴兵兵士よりなる大きな軍から、地域紛争に迅速に対応しうるもっと敏捷な軍に変えることが目的である。今、兵力の3分の1を占める将校の数の急激な削減が鍵とされている。大統領は35万5千の将校団を15万にし、200の将軍、1万5千の佐官、7万の尉官などを解雇しようとしている。
計画は強い抵抗にあっており、軍幹部が辞表を出したり、解雇されたりしている。退役将軍や民族主義的な政治家はメドヴェージェフとプーチンを、NATO軍と対決できないようにしていると非難している。デモもぱらぱらと起こっているが、最大の不満は10年以上勤務した将校への住宅配分の約束が守られていないことである。ソ連帝国崩壊で多くの軍人が帰国し、住宅は不足し、新規建設も汚職と非効率で滞り、多くの将校が住宅なしになっている。沿海州で、海軍だけで3000人の将校が解雇されるが、彼らは行くところがない。住宅の代わりに証明書が発給されることがあるが、それは住宅入手のためには不十分である。 軍将校は政治活動が禁止され、団結し抗議することができない。しかし不満は高まっている。

3、クリスチャン・サイエンス・モニター紙の記事の概要は次のとおり。
20年以上の改革の開始と失敗のあと、クレムリンは近代軍を作るための改革を始める決意を固めたように見える。改革はグルジア戦争でのロシア軍の実績についての否定的な報告が届く中で熱心に始まった。
内部抗争は激しいとされ、プーチンとメドヴェージェフは軍参謀本部のほとんどと、民族主義的、保守的な政治家と対立している。先月、軍事諜報の長、ヴァレンティン・コラベルニコフと人事局長ミハイル・ヴォジャーキンを含む、最高レベルの将軍と軍官僚が解任された。
ロシア軍の規模は120万から100万に減るだけであるが、将校団は35万5千から15万に減らされ、いわゆる幽霊師団(将校のみいて、兵はおらず、有事に兵員が補充されるもの)は廃止される。
改革賛成派は、今年中にロシアは新しい軍をもつと喜んでいる。反対派は、これは改革ではなく、軍の専門の基盤をなくし、軍を弱体化するとしている。
セリヂュコフ国防相は元々民間人であり、軍に基盤を持たず、クレムリンの意向を受けて改革を進めている。改革派は、軍の構造改革、近代兵器での装備、軍人の社会福利の改善を目指すとしている。

4、ロシア軍は伝統的に政治の指導に従う。しかしたとえばエリツィン大統領とルツコイ副大統領が対決した1993年には、軍がエリツィン側についたことが決定的な役割を果たしたこともある。
 軍の近代化はロシアにとり避けられない課題であろうが、今行われている改革は規模が大きく、それに伴う軍内の不満も相当強いということはロシア情勢を判断するひとつの重要な要素である。
(文責:茂田 宏)

東欧へのミサイル防衛配備の問題

1、 米がイランのミサイルへの防衛として、チェコとポーランドにそれぞれレーダーと迎撃ミサイルを配備する計画は、米ロ間の論争を呼び起こしてきた。ブッシュ政権とは違い、オバマ政権はこの計画の技術的有効性などを再検討する姿勢を示してきた。

2、 5月19日付ワシントン・ポスト紙は、「米・ロのチーム、欧州におけるミサイルの盾は効果がないとみなす」との見出しで、概要次のとおり報じている。

米とロシアの科学者による共同分析によると、イランからの攻撃から欧州を守る米のミサイルの盾は、イランが配備すると見られるようなミサイルの種類に対し、効果がないだろうとされている。
この米・ロチームはまた、イランが核弾頭と、長距離を運搬するミサイルを作る能力を得るまでに、5年以上かかると判断している。そして、イランがもしそういう攻撃を試みれば、それは自身の破壊を確実にすると専門家は述べている。「欧州に対するイランからのミサイルの脅威は切迫していない」というのがモスクワ、ニューヨーク、ベルギーにある東西研究所が出した結論である。このレポートは今日発表される。
1年かかった研究には、米ロ双方から各6名の専門家が参加し、その結論をペリー元国防長官を含む人々が、国家安全保障担当補佐官ジェイムス・ジョーンズとロシア外相ラブロフに提出される前に見直した。
報告書はイランが劇的な技術取得をしたことを認め、査察官の追放とウラン濃縮を兵器用濃縮に切り替えを行えば、簡単な核装置を1年から3年内に作りうると予測するとともに、それをイランのミサイルに搭載するまでには後5年かかるだろうとしている。
米ロ専門家は、イランは弾道ミサイル開発で制約を受けているとしている。イランの現在のミサイルは北朝鮮のミサイルに準拠しており、この北のミサイルは、50年代のロシアの潜水艦発射ミサイルの改良型である、そしてこの技術は1980年代か1990年代初期に、混乱するロシアから違法に北朝鮮に移転されたと専門家はしている。こういう古い技術であるので、このミサイルには弱点があり、それを大幅に改良するのはイランの科学・工業基盤を考えれば、むつかしいとしている。
結論として、南欧に到達する射程のミサイルをイランが生産するまでに、少なくとも後6−8年かかる、米に届く核ミサイルは、外国からの違法な支援や、これからの10年間のよく見える努力の結果、初めてできるだろう、としている。
その上報告書は、イランが欧州に打撃を加える核ミサイルを作るならば、米が提案している防衛の盾はそれを打ち落とせない、迎撃ミサイルはおとり(DECOY)や対抗措置で簡単に騙されると指摘し、もっと重要なのは米と露が協力してイランの核危機の解決を探すことである、と報告書は述べている。

3、 この報告書がオバマ政権の政策にどういう影響を与えるかが問題であるが、オバマが大統領選挙の際に述べていたことを補強する専門家の議論であり、ペリー元国防長官もエンドースしているということを考えると、かなり政権内で真剣に受け取られる報告書ということになろう。
東欧へのミサイル防衛配備は対露関係への考慮もあり、計画自体、取り止めになる可能性が出てきたと判断される。

4、 この報告書の論旨は北朝鮮のミサイルにも適用がある。要するに北のミサイルに対しても、ミサイル防衛はあまり効果がないだろうことを示している。
(文責:茂田 宏)

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