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アフガン駐留米軍司令官の更迭とアフガン政策

1, 5月11日、ゲイツ国防長官とマレン統合参謀本部議長は記者会見を開き、マックキ
ーナン・アフガン駐留米軍司令官の更迭を発表した。ゲイツの発言概要、次のとおり。

今日我々は新しい大統領が決めた新しい政策を有している。新しい戦略、新しい任務、新しい大使もいる。自分は新しい軍指導部も必要であると思う。
統合参謀本部議長、中央軍司令官との協議後、大統領の承認を得て、私はマックキーナン将軍の辞任を求めた。後任が承認されるまで、彼は国際治安支援部隊(ISAF)とアフガン駐留米軍の指揮を執る。
私は今日アフガン駐留米軍の司令官としてマックキーナンの代わりにスタンリー・マッククリスタル中将を指名するよう大統領に進言する。
私はまたアフガン駐留米軍副司令官という新しい地位にデヴィッド・ロドリゲス中将の指名を進言する。私はNATO事務局長とアフガン国防大臣に来るべき変更について知らせた。
私はマレン提督とぺトレイアス将軍の助言を含む多くの要因の慎重な考慮の後でのみ、これらの決定を行った。最後には、私はこの決定が国家安全保障とアフガンでの任務の成功にとって最善であると考えた。上院がマッククリスタルとロドリゲス将軍を迅速に承認することを希望する。
これはマックキーナン将軍の長い卓越した軍事経歴を忘れさせるものであってはならない。数十年間、彼は何十万の軍人を確信、誠実さと勇気を持って指導した。彼は我々がこの国で享有する自由の保持のために人生を捧げた。国防省と国家を代表して、私は彼の幾年もの自己を顧みない役務に感謝する。

2, 5月12日付ワシントン・ポスト紙は「アフガンにおける米最高司令官解任させる」、
ニューヨーク・タイムズ紙は「司令官の解任、アフガン戦争での変化に結びつけらる」、ロスアンジェルス・タイムズ紙は「米、アフガン戦争の分解点検を始める」との見出しでこの人事異動を大きく報じている。
解任の背景については、マックキーナン将軍が伝統的な軍人であり、反乱鎮圧に不慣れであったこと、地方の軍閥などとの協力樹立に消極的であったことなどが指摘されている。後任のマッククリスタルは特殊作戦部隊出身で、サダム・フセインの逮捕、イラクのアルカイダの長、ザルカウイ殺害に功績のあった人であり、ロドリゲスは東部アフガン米軍を以前に指揮した経歴がある。
なお中央軍司令官ぺトレイアスは今マックキーナンの上司であるが、イラク戦争初期にはマックキーナンの部下であった。
戦時中の現場司令官の更迭としては、朝鮮戦争中のマッカーサー解任以来ではないかとされている。

3、アフガンでの軍事戦略、戦術がどう変わるのか、まだよくわからない。ゲイツ長官はこの二人が現場に行き、政策変更を提案してくるのを待って決めるとしている。たぶん、アフガンの治安部隊の強化、現地勢力との協力強化を織り込んだ戦略が提案されてくることになるだろう。

4、私は、パキスタンのスワトでパキスタン軍がパキスタン・タリバンとの休戦を破棄し、猛攻撃を加えている現状は、今後のアフガン情勢に多大の影響を与えると考えている。
カルザイ大統領が主張し、オバマ大統領も支持を表明した穏健なタリバンとの話し合い路線は、オバマのアフパク戦略で重要な位置を占めていたが、パキスタンでの衝突はこの路線の実施をほぼ不可能にしたとみていいのではないか。アフガンのタリバンとパキスタンのタリバンはつながっている。それ以外に現地勢力として協力の対象になりうるのは軍閥、部族長であるが、今後彼らとの協力の仕方が問題になるだろう。
(文責:茂田 宏)

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米の軍事戦略・体制の変更

1、 ゲイツ国防長官は4月6日、2010年度国防予算についてオバマ大統領に勧告する案を
記者にブリーフした。オバマ大統領にも事前にそうすることを知らせたと述べた。
 このブリーフィングでのゲイツ発言は米国防総省のホーム・ページに掲載されている。
きわめて重要な米軍戦略・体制の変更を含むので、関心のある向きはそれを参照いただきたい。

2、 先週、ゲイツ長官は陸軍・海軍・空軍大学をまわり、自分の考え方を説明し、質疑応答に
応じた。米各紙は多くの記事をこれについて掲載している。
4月18日付プロビデンス・ジャーナル紙は「ゲイツ、米は新しい敵に適応しなければな
らないと言う」との記事を掲載しているが、その概要、次のとおり。
 ゲイツ国防長官は5340億ドルのペンタゴン予算への支持を得るための旅行をしているが、17日、米は新しいタイプの戦争への準備をしなければならないと述べた。
 イラクとアフガンでの経験およびソマリア海賊との最近の経験は、戦闘に関する伝統的な考えが急激に変わる世界で成功しないことを示しているとゲイツは指摘し、次の通り述べた。
「長い間、イラクやアフガンは割に早く終結させられる風変わりな気散じ(distraction)であるとの見解、希望があった。政権を倒し、反乱を鎮圧し、兵隊は帰国すると。こういう間違った前提の結果、戦場で戦闘員が最も緊急に必要とする諸能力は大部分アドホックに展開され、通常の官僚機構の枠外で開発され、追加予算で資金手当てがなされてきた。
20世紀に何度もこの国で起こったことは、紛争又は戦争の終了に際し、我々が一方的に武装解除したということである。我々は人間性と世界が永続する基盤で変化したと、自らを納得させた。そして軍事能力や諜報能力を取り除いてきた。しかし人間性の基本は変わっていない。我々や友人の自由を奪いたいと考える人は常にいる。」
ゲイツは、予算提案のもとにある考えは「将来の紛争について、今までとは別の考え方をする必要である。非正規戦争と通常の戦争を白と黒のように区別することは、時期はずれのモデルであることを認めるべきである。我々はそれより複雑な未来に直面する、その未来では紛争が作戦と致死性の幅広いスペクトルに及ぶと言うことを理解する必要がある」と述べた。

3、ゲイツ国防長官の予算案では、イラク・アフガン戦場で需要の多い無人偵察機の増強、ヘリ部隊の増強、特殊部隊の強化などが盛り込まれると同時に、F−22戦闘機の生産中止、新型爆撃機の開発中止、ミサイル防衛予算の削減、陸軍の将来戦闘システム計画の再編など、議会や防衛産業の反発を受けるおそれのある多くの具体的提案が盛り込まれている。

4、ゲイツ国防長官は、イラクやアフガン戦争での経験から、今戦っている戦争を戦う能力を強化すること、今後の戦争は大国間の戦争ではない別のものになると考えていると思われる。
ただ東アジア情勢は、台湾であれ、朝鮮半島であれ、あるいは東シナ海や南シナ海であれ、通常の国家間戦争の危険が高く、テロなどの脅威は比較的低い。ゲイツ国防長官が現に戦われている戦争と、将来戦われる可能性の高い非正規戦争に、重点を移そうとしていることは明らかである。ゲイツ長官の発想もわからないわけではないが、東アジアに位置するわが国としては、ゲイツ長官の発想には一つの危惧を持たざるを得ない。
その上、テロは戦略的脅威ではなく、大規模な犯罪のようなものである。テロリストが大量破壊兵器を入手した場合はどうかとの問題があるが、いずれにせよ、9・11テロへの対応としてのアフガン戦争、テロへの恐怖とイラクの大量破壊兵器についての誤った情報に基づいてはじめられたイラク戦争の経験をベースに、今後の長期的戦略を構想することが正しいのかについては、疑問を持たざるを得ない。ゲイツはイラクやアフガンを気散じ(distraction)のように扱うなというが、これらの戦争を気散じ(distraction )であるとする考え方も十分成り立つのではないかと思われる。
(文責: 茂田 宏)

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オバマ大統領の核兵器廃絶に関する演説

1、 4月5日、オバマ大統領はプラハで核政策についての演説を行った。これは重要演説
であるので、核に関する部分をここに全訳、掲載する。ご参考まで。

本日私が焦点を当てる問題の一つは、我々諸国の安全保障と世界の平和にとり基本的なことである。それは21世紀における核兵器の将来である。
何千もの核兵器の存在は冷戦の最も危険な遺産である。米・ソ間で核戦争が戦われることはなかったが、何世代もが彼らの世界が一つの閃光のなかで消えさせられるとの知識を持って生きてきた。何世紀も存在し美と多くの人類の才能の結実であるプラハのごとき都市が存在をやめさせられたかもしれない。
今日、冷戦はなくなったが、これらの何千もの兵器はなくなっていない。歴史の不思議な展開の中で、全世界的な核戦争の脅威は低くなったが、核攻撃の危険は上がってきた。より多くの国がこれらの兵器を入手した。実験は続いた。核機密や核物資の闇市場取引は多い。爆弾を作る技術は広がった。テロリストは兵器を買うか、作るか、盗むか、決心している。これらの危険を封じ込める我々の努力は世界的な不拡散体制を中心としているが、より多くの人や国が規則を破るに伴い、我々はこの中心が維持されない地点に到達しかねない。
これはどこにいる人にも関係のあることだということを理解しよう。1都市で爆発した一つの核兵器は、それがニューヨーク、モスクワ、イスラマバード、ムンバイ、東京、テルアビブ、パリ、プラハのいずれであったとしても、何十万の人間を殺しうる。そしてどこで起ころうとも、世界的な安全、我々の安全保障、我々の社会、経済、我々の最終的な生存への影響には終わりがない。
一部の人はこれらの兵器の広がりは止められず、阻止できない、我々はもっと多くの諸国や人民が破壊の最終的な手段を保有する世界で生きるように運命づけられていると主張する。このような運命論は致命的な敵である。何故ならば、もし我々が核兵器の拡散が不可避であると信じるならば、それならある意味で、我々は核兵器の使用も不可避であると自分で認めていることになる。
20世紀に我々が自由のために立ち上がったと同じように、我々は21世紀に、どこでも人々が恐怖から自由になって生きる権利のために一緒に立ち上がらなければならない。そして核兵器国として、核兵器を使用した唯一の核兵器国として、米国は行動する道徳的な責任を有する。我々はこの努力において一人で成功することはできない。しかし我々は先頭に立つことができるし、始めることができる。
それで私は明確にかつ確信を持って、核兵器のない世界の平和と安全保障を追求するとの米国のコミットメントを声明する。私はうぶではない。この目標は迅速に到達されない。たぶん私が生きている間には。これには忍耐と粘り強さがいる。しかしいま我々は、世界は変わらないと我々に言う声を無視しなければならない。我々は「イエス、我々はできる」と固執しなければならない。
我々が乗る必要のある軌道をあなた方に描写しよう。第1に、米は核兵器のない世界に向けて具体的な措置をとる。冷戦思考に終止符を打つため、我々は国家安全保障戦略における核兵器の役割を減少させる。そして他の国にも同じようにすることを求める。これらの兵器が存在する限り、米は安全で確実で効果的な兵器庫を敵を抑止し、チェコ共和国を含む同盟国の防衛を保証するために維持する。しかし我々は兵器庫を削減する作業を始める。
我々の核弾頭とその在庫を減らすため、我々は今年ロシアと新しい戦略兵器削減条約を交渉する。メドヴェジェフ大統領と私はロンドンでこのプロセスを始めた。そして今年の末までに法的に拘束力があり、十分に大胆な新しい合意を追求する。これがさらなる削減への舞台を作る。我々はこの努力にすべての核兵器国を参加させるように求めていく。
世界的な核実験禁止を達成するために、わが政権は包括的実験禁止条約の米による批准を、ただちに、かつ強力に求めていく。50年以上の話し合いの後、核兵器の実験は最終的に禁止される時である。
そして爆弾を作るために必要な資材をカット・オフするために、米国は国家の核兵器のために使用される目的の核分裂物資の生産を、検証できる形で終わらせる新しい条約を求める。もし我々がこれらの兵器の拡散の停止に真剣であれば、我々は兵器級物資を作るためだけの生産を終結させるべきである。
第2:我々はともに核不拡散条約を協力の基盤として強化する。
基本的な取引は健全である。核兵器を持つ国は軍縮に動き、核兵器を持たない国はそれらを取得せず、そしてすべての国が平和的核エネルギーにアクセスできる。条約を強化するために我々はいくつかの原則を包摂する必要がある。我々は国際査察を強化するため、より多くの資源と権限を必要とする。我々は規則を破って見つけられた国や、理由なく条約を離脱しようとしている国への実際的で即時の結果を必要とする。
我々は、諸国家が拡散の危険を増大することなく、平和的な核エネルギーにアクセスできるように、国際燃料バンクを含む民用核協力の新しい枠組みを作るべきである。これは核兵器を放棄した国、特に平和的計画に乗り出している発展途上国すべての権利でなければならない。そして規則に従う国への権利の否認に基づくものは、どんなやり方であって成功しない。我々は気候変動と戦い、すべての国民の平和の機会を前進させるための我々の努力のために、核エネルギーの力を利用しなければならない。
しかし我々は幻想を持たずに進む。規則を破る国はいる。そういうことをした国はその結果に直面することを確保する構造を我々が必要とする理由である。
今朝我々は、再度この脅威に取り組む新しい、厳格なアプローチがなぜ必要なのかを想起させられた。北朝鮮は長距離ミサイルに使えるロケットを実験し、また規則を破った。この挑発は国連安保理での今日の午後だけではなく、これらの兵器の拡散の防止への我々の決意をもった行動の必要を強調している。
規則は拘束しなければならない。違反は罰せられなければならない。言葉は何かを意味しなければならない。世界はこれらの兵器の拡散を防止するために一緒に立ち上がらなければならない。今は強い国際的反応の時期である。北朝鮮は、安全保障と尊敬への道は脅威や違法な兵器を通じては来ないことを知らなければならない。すべての国がより強い世界的な体制を作るために一緒にならなければならない。それが、我々が肩を並べて北朝鮮に路線を変えるように圧力をかけなければならない理由である。
イランはまだ核兵器を造っていない。我が政権は、相互利益と相互尊重に基づきイランとの関与を求める。我々は対話を信じる。しかし、この対話で我々は明確な選択を提示する。我々は、イランが政治的、経済的に諸国家の共同体の中で正当な場所を占めるように欲している。我々は、厳格な査察を伴う平和的な核エネルギーへのイランの権利を支持する。これはイスラム共和国がとりうる道である。あるいはイラン政府は増大する孤立、国際的圧力、すべての安全を脅かす地域でのありうべき核軍備競争を選択できる。
だから私は明確にしたい。イランの核・弾道ミサイル行動は、米だけではなく、イランの隣国やわが同盟国への現実の脅威である。チェコとポーランドはこれらのミサイルへの防衛をホストすることに同意し、勇敢であった。イランからの脅威が続く限り、我々は費用効果的で、能力が証明されたミサイル防衛システムを進める。もしイランの脅威がなくなれば、我々は安全保障のより強固な基盤をもつし、欧州でのミサイル防衛建設を推し進める勢力はなくなるであろう。
最後に我々は、テロリストが核兵器を取得しないように確保しなければならない。これは世界的安全保障へのもっとも切迫した極端な脅威である。一つの核兵器を持った一人のテロリストが大量破壊を引き起こしうる。アルカイダは爆弾を求める、それを使うのに何の問題もないと言った。そして我々は世界中に安全が確保されていない核物質があることを知っている。我々国民を保護するために、我々は遅滞なく目的意識を持って行動しなければならない。
それで今日私は、4年以内に世界中で、すべての脆弱性を有する核物質を確保するための、新しい国際的な努力を発表する。我々は新しい基準を設定し、ロシアとの協力を拡大し、これらの微妙な物質に鍵をかける新しいパートナー関係を求めていく。
我々はまた、闇市場を壊すためにさらなる努力をし、通過中の物質を探知し途中で押さえ、この危険な取引を阻害するために金融上の道具を使わなければならない。この脅威は引き続くものであるので、我々は、拡散安全保障構想(PSI)と、核テロと戦うグローバル構想のような努力を、永続性のある国際的な制度にしていくために一緒にやらなければならない。そして我々は来年中に米国が主催する核安全保障に関するグローバル・サミットを開催することからこれを始めるべきである。
こんな幅広い議題について行動しうるのか、疑問を提起する人がいるのを私は知っている。諸国家間の不可避的な違いゆえに、真の国際協力が可能なのかを疑う人がいる。そして核兵器のない世界の話を聞いて、達成不可能にみえる目標を立てる価値があるのかを疑う人がいる。
しかし間違ってはいけない。我々はその道がどこに行くのかを知っている。諸国民や民族がその違いで自分自身を規定することを許すとき、彼らの間の溝は深くなる。我々が平和を追求しない時、それは永遠に我々の手に入らないままになる。我々は希望より恐怖を選んだ時の道を知っている。協力への呼びかけを非難し、肩をすくめることは簡単であるが、同時に卑怯なことである。これがどう戦争が始まるかであり、人間の進歩が終わるところである。
我々の世界には対決しなければならない暴力や不正義がある。我々はそれに分裂するのではなく自由な民族、国民として共に立ち上がって対決しなければならない。私は武器を取るようにとの呼びかけが、武器を置くようにという呼びかけよりも、人々の魂を揺さぶると知っている。しかしそれが、平和と進歩への声を一緒に挙げなければならない理由である。

2、 このオバマ演説は、米大統領が核のない世界を構築しようと呼びかけた画期的とも言える演説である。しかしビジョンを示しただけで、それにいたる道筋や時間表は、これまで話題となっていたことを超えては示されていない。
 4月7日付ウオール・ストリート・ジャーナル紙はオバマ演説を幻想と批判し、核兵器を使用した国としての責任への言及には、トルーマンへの侮辱であると反発している。今後、米国やイラン、中国、ロシアその他各国でひろく議論の対象になるだろう。
(文責:茂田 宏)

オバマのテロ対策:グアンタナモ収容所、その他の秘密収容所閉鎖と尋問方法の変更など

I、1月22日オバマ大統領は3つの行政命令を発出した。
そのうち、グアンタナモ収容所閉鎖と尋問方法の変更に関する命令は次のとおり。(・・部分省略)ご参考まで。

1、グアンタナモ海軍基地における拘束されている者の見直しと処理と拘束施設の閉鎖

米国憲法と諸法律で大統領としての私に賦与された権限により、グアンタナモ海軍基地に国防省により現在拘束中の者の適切な処理を行い、かつグアンタナモの拘束施設を速やかに閉鎖するため、米国の国家安全保障と外交の利益および正義の利益に合致し、私はここに次のとおり命令する。
第1条:定義:・・
(a)“共通3条”とは各ジュネーブ条約の3条を意味する。
(b)“ジュネーブ条約”とは、1949年8月12日の条約(注:命令ではその正式名称を列挙している)を意味する。
(c)・・
第2条:認定
(a) 過去7年間、国防省は約800名の国防省が敵性戦闘員と決定し、あるいはそう取り扱ってきた個人をグアンタナモに拘束してきた。連邦政府はそのような拘束者500名以上を本国への送還、釈放あるいは第3国への移送で移動させた。国防省は現在拘束中の者の幾人かはそのような移送あるいは釈放に適格であると決定した。
(b) 現在グアンタナモに拘束されている幾人かは6年以上そこにおり、ほとんどの者は少なくとも4年拘束された。これらの拘束について相当な懸念が米国内および国際的に表明されたことに鑑み、グアンタナモで現在拘束されている者の迅速で適切な処理と彼らが拘束されている施設の閉鎖は、米国の国家安全保障と外交の利益および正義の利益を増進する。拘束者の適切な処理を迅速に決定せずに単に施設を閉鎖することは、これらの利益に適切に役立つものではないであろう。実際的に可能な限り、グアンタナモでの拘束者の迅速で適切な処理が・・拘束施設の閉鎖に先立つべきである。
(c)グアンタナモで現在拘束されている個人は人身保護令状の憲法上の特権を有する。これらの個人のほとんどは連邦裁判所に・・人身保護令状の請願を行った。
(d)行政部門がグアンタナモに現在拘束されているすべての個人の引き続く拘束の事実上および法的な根拠、および引き続いての拘束が米国の国家安全保障と外交の利益及び正義の利益に合致するか否かを迅速にかつ徹底的に見直すことは米国の利益になる。
(e)新しい外交努力はグアンタナモで現在拘束されている者の相当な数の適切な処理をもたらしうる。
(f)グアンタナモで現在拘束されている何人かの者は・・訴追されるべき犯罪を犯した可能性がある。彼らを訴追できるか否か、すべきかどうか、どう訴追するかを見直すことは米国の利益になる。
(g)行政部門が2006年の公法109−366に従い、軍事委員会に犯罪で起訴されているグアンタナモで現在拘束されている者の状況および軍事委員会手続き一般を、迅速かつ徹底的に見直すことは米国の利益になる。
第3条:グアンタナモでの拘束施設の閉鎖
 この命令で取り扱われる者のグアンタナモの拘束施設は実際上可能な限り速やかに、遅くともこの命令の日から一年以内に閉鎖される。もしこれらの拘束施設の閉鎖の時に、この命令で取り扱われる者で、グアンタナモで拘束されている者がいれば、彼らは米国の法律、国家安全保障と外交の利益と合致する形で本国に送還されるか、釈放されるか、第3国に移送されるか、あるいは米国内の他の拘束施設に移送される。
第4条:すべてのグアンタナモ拘束の即時見直し
(a)見直しの範囲とタイミング:グアンタナモで現に拘束されている各人の地位の見直しは直ちに始められる。
(b)見直し参加者:司法長官(見直しを調整する)、国防長官、国務長官、国土安全保障省長官、国家情報長官、統合参謀本部議長、関連省庁の長の同意を得た上で司法長官が決定するその他の職員・・
(c)見直し作業:見直し参加者の義務は次のことを含む。
・拘束者情報の統合:・・
・移送の決定:・・
・起訴の決定:・・
・他の処理の決定:・・
・米国への移送に関連した諸問題の検討:・・
第5条:外交努力:
 国務長官はこの命令の実施に必要で適切な外国政府との交渉と外交努力を速やかに進め、指示を行う。
第6条:拘禁の人道的な基準:
 グアンタナモで現在拘束されている個人は、ジュネーブ条約の共通3条を含む拘禁の条件を規律するすべての適用される法と合致した形である場合を除き、米国政府の公務員・・その他による拘禁やその実質的な支配下に、あるいは米国の省や庁が所有、運営あるいは支配する施設で拘禁されることはない。国防長官はこの指令の完全な尊重を確保するために、グアンタナモにおける拘束の条件の見直しを直ちに行う。この見直しは30日以内に完了され、必要な修正はそのすぐ後に実施される。
第7条:軍事委員会:
 国防長官は、この命令の4条でいう見直しが終わるまで、2006年の軍事委員会法と軍事委員会規則の下で軍事委員会に起訴が行われ、事案が付託されることが無いこと、起訴が行われたが、まだ判決が出ていない軍事委員会のすべての手続き・・が停止されること、を確保するために十分な措置を直ちに取る。
第8条:一般規定:・・


2、合法的尋問の確保

 米国の憲法と諸法律で私に与えられた権限により、人的情報収集の効果を改善し、米が拘束した個人および武力紛争で拘束された米人員の安全で合法的で人間的な取り扱いを推進し、ジュネーブ条約を含む米の条約上の義務の尊重を確保し、米国の法律が忠実に実施される・・ために、私はここに次のとおり命令する。
第1条:撤回:
 2007年7月20日の行政命令13440号は撤回される。この命令と合致しないすべての行政指令、命令、規則は、2001年9月11日から2009年1月20日までにCIAに対し発出されたものを含め、・・この命令と合致しないかぎり撤回される。省庁の長はその各省庁のすべての指令、命令、規則がこの命令と矛盾しないようにすべての必要な措置をとる。
第2条:定義:・・
第3条:武力紛争で米の監督または支配下にある個人の尋問の基準と慣行
(a)最小限の・・基準としての共通3条(注:ジュネーブ条約の共通3条のこと):・・武力紛争下で拘禁された者はすべての状況において人道的に取り扱われ、生命と身体への暴力(あらゆる殺人、傷害、虐待及び拷問を含む)、個人の尊厳に対する侵害、特に侮辱的で体面を汚す待遇に服させられることはない。・・
(b)尋問技術と尋問関連待遇:武力紛争において、米政府の公務員・・その他の拘禁下・・、あるいは米政府の省庁が所有、運営、支配する施設に拘束されている個人は、陸軍戦場マニュアル2 22.3によって許容され列挙されていない尋問技術、接近、尋問に関連する取り扱いに服させられることはない。・・
(c)共通3条と陸軍戦場マニュアルの解釈:この日から・・米政府の公務員・・その他は尋問に際し、陸軍戦場マニュアルに依拠して行動しうるが、2001年9月11日より2009年1月20日まで司法省によって出された連邦刑事法、拷問禁止条約、共通3条、陸軍マニュアル・・の解釈を含む・・法の解釈に依拠してはならない。
第4条:特定の収容施設の禁止拘束された個人への赤十字のアクセス
(a)CIA拘束:CIAは可能な限り早く、それが現在運営しているあらゆる拘束施設を閉鎖し、将来においてそのような拘束施設を運営しない。
(b)国際赤十字委員会の拘束された個人へのアクセス:連邦政府のすべての省庁は国際赤十字委員会に武力紛争で・・拘束された個人について通知し、時宜を得たアクセスを与える。・・
第5条:尋問と移送政策に関する特別省庁間タスクフォース:・・
第6条:他の法律との関係:・・

II、これはブッシュ政権が行ってきたやり方を司法省解釈も含め否定したものである。グアンタナモ、アブグレイブ、水責め尋問など、対米批判の原因となったものを全面的に変えようとするものである。ジュネーブ条約を度外視して敵性戦闘員として取り扱い、情報入手に力点を置いてきた政策が転換される。今後、情報の入手面で不都合があろうが、米側に行き過ぎがあったこともあり、総合判断すれば、歓迎される動きである。
(文責:茂田 宏)

オバマ政権:ヒラリー・クリントンの承認公聴会、米の外交・安保布陣と日本

1、 1月13日、国務長官に指名されているヒラリー・クリントンが承認の公聴会のために
上院外交委に出席した。ヒラリーは前もって準備された書面での証言と外交委からの質問に対する回答書(79ページに及ぶ)を提出し、議員との質疑応答を約5時間行った。
ルーガー上院議員などが、クリントン前大統領の財団が外国政府からの寄付を受け入れていることがヒラリーの国務長官としての職責遂行に影響を与えることがあってはならないと指摘した以外に、批判的な質問はなかった。ヒラリーを国務長官に適任であるとする発言も多く、ヒラリーの国務長官としての承認は上院を簡単に通過するであろう。
なお4年前、ライス国務長官の承認公聴会は2日間にわたり、民主党議員から多くの敵対的質問をライスは受けた。
この公聴会の様子を報じた米紙の報道、次のとおり。
(1) 1月14日付ワシントン・ポスト紙は、「承認公聴会でクリントン、イランとの
関与について話す」と報じている。その記事概要、次の通り。(・・部分省略)
 クリントンは昨日、ブッシュ政権の米外交からの劇的な変化を強調して、オバマ政権は、イランが核計画を放棄し、「地域の建設的な行為者」になるよう説得するため、イランと直接的に関与することを追求すると述べた。
承認公聴会で・・クリントンは・・具体的な政策や計画は明らかにしなかったが、米の条件を満たさない国とは取引しないとのブッシュ政権の政策を明確に排し、積極的な関与と強い外交のテーマを一貫して主張した。・・
クリントンはまた中東和平の探求により深く関与すると誓った。しかしイスラエルのガザ攻撃をどうするかとの具体的な質問には答えなかった。・・クリントンは「非国家行為者」との交渉に条件をつけるのは適切である、ハマスの場合、それは暴力の拒否、イスラエル承認、イスラエル・パレスチナ間の合意の尊重であろうと述べた。・・
イランについては、・・クリントンはブッシュの努力は成果を挙げなかった、オバマ政権は「イランと関与する・・効果的な方法を見つけるために心を開いている」と述べた。・・
クリントンは、オバマは「責任のある形でイラクでの戦争を終わらせ、アフガンについては・・幅広い戦略を使うことにコミットしている」と繰り返した。・・しかし現政権がよく言及したこれらの戦争での勝利・・については、言及しなかった・・。
クリントンは1日2ドル以下の収入しかない20億人の苦境・・について話した時に、一番熱を込めた。・・クリントンは、オバマの母親、アン・ドゥナムはインドネシアでの小規模融資のパイオニアであり、・・彼女の女性や貧しい人への・・思いやりは次期大統領にとり重要である、・・と述べた。
ルーガー上院議員が、外国政府よりの寄付を含むクリントン前大統領の慈善活動とヒラリー・クリントン国務長官の職責について、「良い意図での外国の寄付も米外交政策への危険性をもつ」と指摘した。・・
(2)1月14日付ワシントン・タイムズ紙の「クリントン、“スマート・パワー”の
使用を称揚」との記事概要、次の通り。(・・部分省略)
ヒラリー・クリントンは、・・昨日、米外交における軍の役割を減らし、“スマート・パワー”を使う、・・外国での米の役割に「文民の顔」を与えると約束し、「わが外交はバランスをなくしてきた。我々は均衡を回復するように努める必要がある、これは政府にとっても我が国の世界でのイメージにとっても良い」と述べた。・・
クリントンは同盟国やイランを含む敵対国との幅広い関与を約束した。・・イラン政策特別調整官にデニス・ロスが任命されるとされている。バーンズ次官も留任する。
クリントンは他の外交課題について継続性も示唆し、北朝鮮の核問題についての6者協議が2国間交渉と共に続けられると述べた。ハマスについては、ブッシュ政権同様、暴力拒否、イスラエル承認、過去の合意尊重をするまで交渉できないとした。・・
クリントンは「外交は硬直したイデオロギーではなく、原則とプラグティズムの結合に基盤を置くべきである」と述べた。・・
批判的な発言は、クリントン前大統領の財団への外国からの寄付の問題だけであった。

この2紙の報道は、ヒラリーが、オバマ政権ではブッシュ政権とは異なり、対外政策での軍事力への依存を減らす、同盟国とも敵対国とも話し合い路線を強める、イデオロギー外交ではなく、原則とプラグマティズムの結合する外交を行う、ことを示したとしている。

2、 公聴会でヒラリー・クリントンは、「日本との同盟関係はアジア・太平洋の平和と繁栄
維持に不可欠な礎石である」と述べており、日米関係重視も打ち出している。
ヒラリー・クリントン自身がどのような対日観を持っているのかはよく知らないが、ライスは日本に好感情を持っているとはいえなかった。
国務省の東アジア担当次官補にキャンベルがなるが、これは日本にとり朗報である。前任のクリストファー・ヒルは、韓国との関係が深く、韓国人の反日意識に影響を受けていた節があった。カート・キャンベルは、国防次官補代理のころ、日本側に対して情報の提供などで協力してくれた。ヒルに比較すると明らかに親日的である。
副長官になるスタインバーグも、日米同盟の重要性をよく理解している。
ただし国家安全保障会議のアジア上級部長になるベイダーは、中国重視派である。
国家情報長官になるデニス・ブレアは、太平洋軍司令官であったし、横須賀に駐在したこともある。また国防次官補になるグレグソンは、キャンベルの部下であったことがあるほか、沖縄の海兵隊司令官であったこともある。両者共に日本との関係が深い。
オバマ政権の外交・安保布陣は、日本にとり、多分ベイダーを除き、ブッシュ政権時代よりいいとさえ言える。
なおブッシュ大統領自身が小泉総理を高く評価し、この首脳間関係が良好な日米関係に資した面が大きい。日本の総理がオバマとの間でそういう関係を築きうるかどうかは、日本の政治の先行きの不透明さもあり、よくわからない。
(文責:茂田 宏)

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