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アフガン駐留米軍司令官の更迭とアフガン政策
1, 5月11日、ゲイツ国防長官とマレン統合参謀本部議長は記者会見を開き、マックキ
ーナン・アフガン駐留米軍司令官の更迭を発表した。ゲイツの発言概要、次のとおり。
今日我々は新しい大統領が決めた新しい政策を有している。新しい戦略、新しい任務、新しい大使もいる。自分は新しい軍指導部も必要であると思う。
統合参謀本部議長、中央軍司令官との協議後、大統領の承認を得て、私はマックキーナン将軍の辞任を求めた。後任が承認されるまで、彼は国際治安支援部隊(ISAF)とアフガン駐留米軍の指揮を執る。
私は今日アフガン駐留米軍の司令官としてマックキーナンの代わりにスタンリー・マッククリスタル中将を指名するよう大統領に進言する。
私はまたアフガン駐留米軍副司令官という新しい地位にデヴィッド・ロドリゲス中将の指名を進言する。私はNATO事務局長とアフガン国防大臣に来るべき変更について知らせた。
私はマレン提督とぺトレイアス将軍の助言を含む多くの要因の慎重な考慮の後でのみ、これらの決定を行った。最後には、私はこの決定が国家安全保障とアフガンでの任務の成功にとって最善であると考えた。上院がマッククリスタルとロドリゲス将軍を迅速に承認することを希望する。
これはマックキーナン将軍の長い卓越した軍事経歴を忘れさせるものであってはならない。数十年間、彼は何十万の軍人を確信、誠実さと勇気を持って指導した。彼は我々がこの国で享有する自由の保持のために人生を捧げた。国防省と国家を代表して、私は彼の幾年もの自己を顧みない役務に感謝する。
2, 5月12日付ワシントン・ポスト紙は「アフガンにおける米最高司令官解任させる」、
ニューヨーク・タイムズ紙は「司令官の解任、アフガン戦争での変化に結びつけらる」、ロスアンジェルス・タイムズ紙は「米、アフガン戦争の分解点検を始める」との見出しでこの人事異動を大きく報じている。
解任の背景については、マックキーナン将軍が伝統的な軍人であり、反乱鎮圧に不慣れであったこと、地方の軍閥などとの協力樹立に消極的であったことなどが指摘されている。後任のマッククリスタルは特殊作戦部隊出身で、サダム・フセインの逮捕、イラクのアルカイダの長、ザルカウイ殺害に功績のあった人であり、ロドリゲスは東部アフガン米軍を以前に指揮した経歴がある。
なお中央軍司令官ぺトレイアスは今マックキーナンの上司であるが、イラク戦争初期にはマックキーナンの部下であった。
戦時中の現場司令官の更迭としては、朝鮮戦争中のマッカーサー解任以来ではないかとされている。
3、アフガンでの軍事戦略、戦術がどう変わるのか、まだよくわからない。ゲイツ長官はこの二人が現場に行き、政策変更を提案してくるのを待って決めるとしている。たぶん、アフガンの治安部隊の強化、現地勢力との協力強化を織り込んだ戦略が提案されてくることになるだろう。
4、私は、パキスタンのスワトでパキスタン軍がパキスタン・タリバンとの休戦を破棄し、猛攻撃を加えている現状は、今後のアフガン情勢に多大の影響を与えると考えている。
カルザイ大統領が主張し、オバマ大統領も支持を表明した穏健なタリバンとの話し合い路線は、オバマのアフパク戦略で重要な位置を占めていたが、パキスタンでの衝突はこの路線の実施をほぼ不可能にしたとみていいのではないか。アフガンのタリバンとパキスタンのタリバンはつながっている。それ以外に現地勢力として協力の対象になりうるのは軍閥、部族長であるが、今後彼らとの協力の仕方が問題になるだろう。
(文責:茂田 宏)
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