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米のリビヤ介入と戦争権限法
1、 米国では憲法上宣戦布告の権限は議会にあるが、日本の真珠湾攻撃後に対日宣戦布告をした後、議会が宣戦布告をしたことはない。朝鮮戦争は安保理決議に基づくものとされたほか、ベトナム戦争はトンキン湾決議で正当化された。しかし1973年、ベトナム戦争との関連で、戦争権限法がニクソン大統領の拒否権を克服して制定された。
この戦争権限法は大統領に議会の授権なしに60日間兵力を使うことを許可するとともに、60日後は「宣戦布告、特定の法律的な授権、または米、その領土、属領あるいはその軍隊に対する攻撃で生じた国家非常事態」なしには、大統領は兵力を使うことが出来ないと規定している。
2、 リビヤに介入した後、60日の期限が5月20日には来ることになっている。
5月12日、スタインバーグ国務副長官は議会で質問に答え、「オバマ大統領は戦争権限法と合致した形で行動する」ことにコミットしている旨述べた。
今後どうするか。
現在、米兵力でリビヤ攻撃に参加しているのは無人航空機プリデーターだけであり、他の航空機は給油、情報収集、電子ジャミングに従事しているが、プリデーターによる攻撃を止めるだけでいいのではないかとの論がある。
また一時的にリビヤ介入行動のすべてを止め、その後、再開した場合、再開後、60日間、大統領は兵力を使用できることになるのではないかとの論がある。
さらにNATO主導であるので、戦争権限法の対象にならないとの論もある。
オバマ政権がどういう説明に依拠するのか、まだ良くわからない。
場合によってはリビヤでの米軍の行動に制約がもたらされる可能性もある。
3、議会では何らかの決議を採択する案が出されており、現在マケイン上院議員とケリー上院議員が民主・共和両党が受け入れられる決議の採択を目指して交渉をしている。
4、5月17日付のボストン・グローブ紙はこの問題に関し「オバマはリビヤの任務について完全な報告を議会に行うべし」との社説を掲載している。法律論はともかく、米国民はリビヤでの米の目標、費用についての透明性、カダフィの除去なしで何を成功とするのかについて政権の説明を求める立場にあるというのが趣旨である。
5、いったん介入に踏み切った場合、中途半端な対応ではなく、出来るだけ早く決着をつけるような対応がよいと思われるが、そうはなっていない。こう着状態が長く続くと諸問題が出てくる一つの例である。
(文責;茂田 宏)
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