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米・テキサス州フォート・フートにおける乱射事件
1、11月13日付USA・Today紙は、「ハッサンの背景チェック、それ自体の検査」との記事で、オバマ大統領が11月12日、(フォート・フート基地での乱射犯人である)陸軍大尉ニダル・マリク・ハッサンについて、収集された情報をテロ・タスク・フォースがどう取り扱ったかについての高いレベルでの調査を命じたことを報じている。
ハッサンがイスラム過激派の宗教者でありワシントンのモスクで説教をしていたアンワール・アウラキ(現在、イェーメン在住。9・11テロ実行犯と関係があった。)と20回くらいEメールのやり取りをしていたことをテロ・タスク・フォースが把握しながら、これを陸軍に通報していなかったことが問題にされている。Eメールの内容は公表されていないが、彼自身の研究テーマに関するものでテロ脅威を示唆するものではなかったとされている。
2、フォート・フート陸軍基地はアフガンに赴く兵士が予防注射など最終的な準備を行う基地である。ニダル・ハッサンはここで11月5日、「アラーは偉大なり」と叫びつつ、12名の兵士と1名の民間人を射殺、32名を負傷させた。この事件は米国にショックを与え、オバマの来日もこれで一日遅れになった。
この事件は今のところテロ事件というより、一人の犯罪者による犯行という前提で取り調べが進められている。
しかしニダル・ハッサンの犯行の背景にイスラム過激派の思想が影響を与えていた可能性は高い。
ハッサンが単独犯で、単に思想的な影響をイスラム過激派から受けていたのか、あるいはイスラム過激派が米軍内のイスラム教徒にも影響を及ぼしてきているのか、ハッサンとアルカイダやその連携組織との間に組織的なつながりがあったのかなど、今後、捜査されるだろうが、アルカイダを含むイスラム過激派が米軍内にもシンパを作ろうとしてきたことは、彼らの声明などで明らかである。
類似の事件の再発を防ぐ方法を、軍内でのイスラム教徒、さらに米国内でのイスラム教徒の感情を害さない形で実施していくことは政治的に簡単ではない。
3、情報の共有があれば、9・11は防げたのではないかということで、関係省庁が関与する合同テロ・タスク・フォースが設けられてきた。しかし個人としてイスラム過激派に賛同する者や、ごく小規模の細胞を事前に摘発することは困難である。
なお国家安全保障局がニダル・ハッサンとアンワール・アウラキのEメールを把握していたことは、米の情報収集能力が優れていることの証左である。しかし多くの情報のなかから、注目すべきものを選び出し、必要なところと共有することは、犯罪がまだ発生していない段階では相当に難しいことも今回の事件は示している。
(文責:茂田 宏)
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