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自衛隊のスーダン派遣にみる国内法整備の必要性
〜日本自身の安全のためにも安保法制の見直しを〜

■自衛隊がアフリカへやってきた

日本の陸上自衛隊員2人が10月25日、アフリカ・スーダンに降り立った。スーダン南部に展開する国連PKO(UNMIS;United Nations Mission in Sudan)に参加するためだ。2人は、首都ハルツームにある司令部に滞在し、物資の調達や輸送の調整、データベースの管理などを担当する予定となっている。任期は、2009年6月30日までの8ヶ月間。

スーダン南部では、1980年代から20年以上にわたり内戦が続いてきたが、2005年に米国等の主導で包括和平が合意され、UNMISの派遣が決まった。UNMISには9月現在、米国や中国など68カ国から約1万人が参加し、和平の合意履行や人道支援などにあたっている。

■日本の人的な貢献は限定的。しかし・・・

今回の日本の自衛隊派遣は、量的にも質的にも大きな貢献とはいえない。派遣人員の数が少ない上、内訳は司令部要員のみで、「部隊派遣については現時点で考えてはいない」(浜田靖一防衛相)。

国際社会が平和構築のために様々な取り組みを展開する中、日本の人的貢献の存在感は薄い。例えば、現在世界で展開中の国連PKO全体(計16件)への派遣人数を見ると、日本は35人で世界117カ国中82位、主要8カ国(G8)では最下位である(2008年9月現在)。PKO以外でも状況は同様だ。イラクには現在、航空自衛隊が派遣されているが、年内の撤退が決まっている。また、国連安保理決議に基づきアフガニスタン本土で展開している国際治安支援部隊(ISAF;International Security Assistance Force)への自衛隊派遣は、見送られたままだ。

国際社会の側、なかでも、これらの取り組みの多くを主導し、日本にとって同盟国でもある米国の側から見れば、不満の残る状況であろう。今回日本の取り組みに対しては、国内の一部メディアからも、「腰がひけている」「アリバイ作り」とする評価が寄せられた。しかし、本当に姿勢だけの問題だろうか。

■邦人を守るための武器使用も許されない現行の法制度

日本が思い切った貢献をできない背景には、無理からぬ事情があると思う。すなわち、現在の日本の国内法制度が、国際社会のスタンダードから乖離しているということだ。

例えば、自衛隊のPKO参加の根拠法である国際平和協力法(国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律)を見てみよう。同法は、自衛隊派遣の条件として、「紛争当事者間の停戦合意」「受け入れ国を含む紛争当事者の同意」「要員の生命などの防護のための必要最小限の武器使用」など5つの原則を定めている。

同法が定める武器使用の基準は、国連基準と比べて極めて限定的だ。例えば、自衛隊は、邦人や国連職員、友軍が攻撃を受けた場合に駆けつけ、彼らを守るために武器を使うことを許されていない。不法行為を抑止するなど、PKOの任務遂行に対する妨害を排除するための武器使用も認められていない。また、武器を使用できる場合であっても、相手に致命傷を与えないよう、急所をはずさなければならない。このように、自衛隊はPKOで共同行動をしている他国の部隊とは別の基準で行動せざるを得なくなっている。もちろん、武器使用に一定の歯止めは必要だ。しかし、制限を必要以上に厳しくしすぎると、自衛隊の活動自体が困難になってしてしまう。特に、治安情勢が極めて悪い紛争地帯への部隊派遣となると、なおさら困難だろう。

■日米協力を含めた法整備を

今回のスーダンへの自衛隊派遣を試金石の一つとして、自衛隊の活動をめぐる法律の整備を国際的な基準に対応した形で促していくことが重要だろう。その際に気をつけたいのは、PKOへの協力だけでなく、米国との協力のあり方も含め、包括的な議論を行うことの重要性だ。日米同盟のあり方は、日本自身の安全に直結する問題だからである。

その際に指針とすべきものは、政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が今年6月にとりまとめた報告書だと思う。詳述は避けるが、同報告書は、「米国に向かうかもしれない弾道ミサイルを我が国が撃ち落す能力を有するにもかかわらず撃ち落さないという選択はあり得ない」と記述している(11頁)。

■平和は勝手に歩いてきてはくれない

世界では今なお、紛争が続いている。例えば、2003年にスーダン西部で勃発した「世界最大の人道危機」、ダルフール紛争だ。ダルフールでは2007年以来、国連とアフリカ連合が合同でPKOミッション(UNAMID)を展開中である。日本の参加を期待する声も寄せられたが、不可能だった。国際平和協力法が定める参加条件が満たされていないためである。

日本は戦後長らく、国内外において「平和主義」を唱えてきた。国内の議論では過去、この「平和主義」という言葉を盾に、日本が紛争解決に関与すること自体に反対する意見もしばしば見られた。しかし、現に起こっている紛争を放置しておく考えを「平和主義」と呼びうるかどうかについては、筆者は疑わしいと思う。

(文責: 遠藤 功。初出:11月4日付けみずほ情報総研コラム)

石油価格の下落:要因、見通し、政治・経済への影響

1、10月16日、石油価格はニューヨーク先物で1バレル70ドルを切り、7月の140ドルの半分に下落した。金融危機の影響で、資金を必要とするファンドなどが売っていること、不況で需要が減ると見通されていること、投機マネーが引き上げてられていることが主たる要因と見られる。

2、1月3日付のこのブログの記事で、オイル・シェールなど非掘削エネルギーの採算がとれる1バレル70ドル位が適切な価格との専門家の見方を紹介した。その価格になった。
今後、70ドル以下への値崩れは1時的にありうるが、ドルの安定を前提すれば、中期的には70ー80ドルで推移する可能性がもっとも高いという人が多い。

3、商品市況については、石油のみならず、食料も下落している。小麦や大豆は最高値から50%くらい下落した。その要因もほぼ同じである。

4、5月末に英エコノミスト誌は「インフレが戻ってきた」との記事を掲載したが、これで物価上昇圧力は大きく減少した。デフレが問題になる可能性さえ出てきたと思われる。
 各国の中央銀行(日銀を除く)はこの間までインフレ懸念で利下げに慎重であったが、今後、景気対策として利下げを行う余地が広がったと考えられる。

5、石油価格下落は国際政治へも影響を与える。
石油の輸出国は大きい順で言うと、サウジ、ロシア、ノルウエー、イラン、ナイジェリア、メキシコ、ベネズエラ、ア首連である。
ロシアは石油輸出で成長を続け、国際政治のうえでも発言力を強めてきたが、これに翳りが出てくるであろう。ロシアはグルジアへの侵攻や金融危機で、資本が逃避し、株安に見舞われていたが、石油価格下落で更なる打撃を受ける。プーチンの政策がロシアの安定、成長をもたらしたとの神話が色褪せる可能性もある。
イランやその他の国も、国家収入面で打撃を受ける。しかしイランの神政体制は割に強固であり、サウジやア首連には権威主義体制が根付いている。
ベネズエラのチャベスは、これまでのような気前のよいばら撒き政策は出来なくなる。不況は困るが、国際政治上の問題国の力が削がれるというよい影響が出てくる面もある。

6、日本は資源輸入国なので、石油価格の上昇などで資源国への多額の所得移転を余儀なくされていた。この所得移転が減少することは歓迎される。
(文責:茂田 宏)

世界金融危機とそれへの対応

I,米のサブプライム・ローン問題を端緒とし、世界金融危機、同時株安になっている。10
月10日、ブッシュ大統領は声明を発表し、G7の財務大臣・中央銀行総裁は「行動計画」を発表した。その内容、次の通り。ご参考まで。

1、 ブッシュ大統領声明(全文)
 ここ2−3日、我々は株式市場での驚くべき下落を見た。その多くは不確実性と恐怖による。今は米国民にとり深い心配の時期である。わが市民の多くは退職金口座、投資、経済的な福利に深刻な懸念を持っている。
 米国民は次のことを知る必要がある。すなわち米政府は行動している。この危機を解決し、市場に安定を回復するため我々は引き続き行動する。我々は膨大な資源と幅広い手段を持つ繁栄する国である。我々はこれらの手段を攻撃的に使っている。
基本的な問題はこういうことである。住宅市場の下落に伴い、住宅ローンに関連した資産を持つ銀行が深刻な損失を蒙った。これらの損失の結果として、多くの銀行は資本、あるいは相互に新しい貸し出しをする自信が不足になった。次に、信用供与のシステムが凍結された。これはアメリカのビジネスが日常的な取引の金融的な手当てをすることを阻害し、経済全体に不確実性を作り出した。
この不確実性は国民の不安につながった。そしてこれは理解できる。不安が不安を呼び、それが問題の解決のために行われていることすべてを見えにくくする。連邦政府はわが経済の問題に答えるために包括的な戦略と必要な手段をもっている。市民諸君、我々はこの危機を解決できる。我々は解決する。
我々が直面している問題、我々がとりつつある措置は次のとおりである。
第1:重要な市場が、流動性の欠如、金融システムの歯車が回り続けるために必要な潤滑油の欠如のために機能していない。それで連邦準備制度はシステムに数千億ドルを注入した。連邦準備制度は世界中の中央銀行とともに利子を協調して下げた。この利子引き下げは銀行がもっとお金を借りられるようにするだろう。そしてこれは雇用を作り出し、大学の教育費を出し、米の諸家庭がその日常的な支出を行うことを助けるために必要な追加的な信用供与がなされる助けになる。連邦準備制度は、凍結しかかっている商業証券市場に支援を行う新しいプログラムを発表した。次の週あたりに新しいプログラムが実施されれば、これは米のビジネスや金融機関のために短期の資金調達の重要な源を回復することを助けるだろう。
第2:一部の米国民は彼らのお金が安全なのか、心配している。そこで、連邦預金保険公社(FDIC)と連邦信用連合庁は預金口座、当座預金口座、預金証書の保証されるお金の量をかなり拡大した。これはもしあなたがこれらの保証された口座に25万ドルまでのお金を保有しているならば、その1ペニーまで安全であることを意味する。財務省はまたマネー・マーケット・ファンドに政府保険を提供し、米金融システムの重要な要素における信頼を回復するために行動した。
第3:我々は投資家の一部が株式市場を違法に操作し,危機を利用することを懸念している。それで証券取引委員会(SEC)は、市場での詐欺や操作を見つけるための厳格な法執行行動を起こした。SECは虚偽情報を個人的な利得のために特定の株を下落させるために流すような乱用的なやり方に焦点を当てている。違法な金融活動に関与し、捕まえられたものは訴追される。
第4:住宅市場の下落は、多くのアメリカ人にローンの支払いで苦労し、自分の家を失うことを心配させている。わが政権は責任のある借り手がその家を保持し続けることを助ける二つのイニシャティブをとった。一つは「ホープ・ナウ」という。これは住宅所有者、貸し手、ローン取り扱い業者その他を一堂に会させ、抵当流れを防止する道を見つけさせようとするものである。いまひとつのイニシャティブは責任のある住宅所有者に連邦住宅庁が保証する支払い可能なローンに借り替えることを容易にすることを目指している。これまでこれらのプログラムは、2百万以上のアメリカ人にその家に住みうるように助けた。ポイントは次のことである。もしあなたがローンの支払いで苦労しているならば、助けを得る方法があるということである。
抵当流れを防止することを助けるこれらの行動により、我々は住宅市場での重要な問題に取り組んでいる。住宅の供給が今需要を上回っている。そしてその結果、住宅価格が下落した。供給と需要が均衡すれば、わが住宅市場は回復することが出来る。そしてそれはわが経済が広い分野で成長し始めることを助ける。
第5:我々は金融システムの問題が米だけの問題でないことを知っている。世界の他の国も影響を受けている。それで我々は我々の行動が調整され、効果的であることを確保するため、世界のパートナーと緊密に作業している。明日、私は国際通貨基金と世界銀行の長とパートナーのG7の財務大臣と会合する。ポールソン長官はまた世界の20の主要経済国の財務大臣と会合する。これらを通じて、世界は明確な信号を送っている。我々はこの危機に一緒におり、一緒にこれから脱出する。
最後に、アメリカのビジネスと消費者は信用を得るために苦労している。何故ならば、銀行は貸し出しを行う十分な資本を持たないからだ。そこでわが政権は7000億ドルの金融救済パッケージを速やかに通すため議会とともに作業した。この新法は問題ある資産の購入や保証、金融機関の株の購入を含む諸措置について、銀行が資本の再建をなしうることを助けるために財務省に権限を付与している。財務省は可能な限り迅速に最大の効果のあるように措置を実施する。7000億ドルは相当な額のお金である。行動するに際し、効果があるように我々は行う。
我々がやっていることは攻撃的である。これは正しい計画である。完全な効果が出るまで時間がかかる。状況の変化に応じて適応できるように十分に柔軟である。そして十分に大きく、効果をもたらす。
連邦政府は金融市場に安定を、経済に成長を回復するのに必要な行動を引き続きとる。我々はポールソン財務長官、連銀バーナンケ議長、SECコックス委員長、FDICバイヤ会長が指導する卓越した経済チームを擁している。私は彼らとその献身的なチームに、わが国の歴史の中のこの重要な時期における仕事に感謝する。
今は不安なときである。しかし米国民は我々の経済的な将来に自信を持ってよい。我々は問題が何かを知っており、それを解決するための手段をもっているし、早急にそうするように働いている。わが経済は革新的で勤勉で強靭である。なぜならば、わが経済を形作るアメリカ人は革新的で、勤勉で、強靭であるからだ。我々すべてはこの問題を解決する決意を共有している。そしてこれこそ、まさに我々が行っていることである。

2、 G7財務大臣・中央銀行総裁行動計画(全文)
G7は本日、現在の状況が緊急で例外的な行動を要請していると合意した。我々は金融市場を安定させ、信用の流れを回復し、世界的な経済成長を支援するために引き続き共同で作業することにコミットする。我々は次のことに合意する。
(1)決定的な行動をし、体系的に重要な金融機関を支援しその失敗を防止するためにすべての可能な手段を使う。
(2)信用とマネー・マーケットの凍結を避けるためにすべての必要な措置をとり、銀行その他の金融機関が流動性と資金に幅広いアクセスを持つことを確保する。
(3)銀行その他の主要な金融仲介者が、信頼を再構築し、家計やビジネスに引き続き貸し出しが出来るように、必要に応じ公的かつ私的な源から資本調達することが出来ることを確実にする。
(4)我々各国の預金保険、保障プログラムが小売預金者が自分の預金の安全性に引き続き信頼を持つようにしっかりし、一貫したものであることを確実にする。
(5)適切な場合、住宅ローンとその他の証券化された資産のための第2次的な市場を再出発させる措置をとる。正確な値付け、資産の透明性ある開示、質の高い会計基準が必要である。
 行動は納税者を保護し他国への潜在的な損害を避けるようにとられるべきである。我々は必要と適切さに応じ、マクロ経済的な手段を使うであろう。我々はこの波乱で影響を受けた国の評価でのIMFの重要な役割を強く支持する。我々は金融安定フォーラムの勧告の完全な履行を加速する。我々は金融システムの改革の切迫した必要性にコミットする。我々は更に協力を強め、他国とともにこの計画の達成のために共に作業する。

II、今回のブッシュ声明、G7声明が金融市場の安定にどれくらいの効果を発揮するかはよく見通せない。市場の心理が不安と不信感に支配されており、合理的でないところがある。またG7声明が市場の求める具体性を備えているかというとそうでもない。
金融機関への公的資金注入が原則として合意され、米は金融安定化法を株の取得で資本注入することにも使えるとしているので、市場心理も徐々に落ち着くのではないかと私は考えるが、金融安定化法可決で市場が落ち着くとの予想は全く外れたので、自信はない。
あまり意味のない判断をいうと、今後の金融安定措置の具体的な実施振りと速度、それへの市場の反応によるということであろう。
(文責:茂田 宏)

小沢・民主党代表の国連への根拠なき期待

1、 10月1日、小沢民主党代表は国会において所信表明ともいえる質問を行い、民主党
の外交・安全保障の基本方針を申しあげますとした上で、「第3の原則は、日本の安全保障は日米同盟を基軸としつつも、最終的には国連の平和活動によって担保される、ということであります。日本国憲法は、国連憲章とその理念を共有しており、また日米安全保障条約は、条文にも明記されている通り、国連憲章の理念と枠組みに基づいて制定されております。従って、日米同盟と国連中心主義とは何ら矛盾するものではありません」と述べた。

2、 この発言には二つの主要な問題がある。
第1:「日本の安全保障は・・最終的に国連の平和活動によって担保される」ことはない。国連の平和活動というのは主として安保理が責任を負っている。しかし安保理では米・英・仏・露・中の5大国が拒否権を持っており、安保理はこのうちの1カ国でも反対すれば、いかなる決議も採択することが出来ず、いかなる行動もとりえない。
日本は地理上、米・露・中という拒否権保有国に囲まれている。拒否権を持たない隣国は韓国、北朝鮮である。これらの拒否権保有国との紛争やそれが支持する国との紛争が生じた場合、安保理には何の期待も出来ない。ソ連が安保理に復帰した後、朝鮮戦争について安保理は何の行動も取れなかったこと、そこまで遡らなくとも、今回のロシアのグルジア侵攻に安保理は何の役割も果たせないことを考えてみればよい。民主党にも国連憲章をよく知る先生方がいるが、何故こんな乱暴な発言が出てくるのか、理解に苦しむ。
自衛隊の海外派遣は国連安保理が行う平和活動に限定すべきという論は、その是非はともかくあってよいと思うが、日本の安全保障が国連の平和活動によって担保されるか否かは全く別の問題である。
その上、旧敵国条項さえ、形式的には憲章に残っている。
第2:日本国憲法と国連憲章がその理念を共有しているという発言も批判に耐えない。ともに平和を目指しているという趣旨なのかと思うが、平和を守るために武力を使うことを是とするか、非とするかの点で憲法と憲章は全く異なる。国連憲章は安保理が侵略の存在などを認定し、それを抑えるために武力を行使して平和を回復することを理念としている。憲法は自衛権以外の武力行使を否定している。
ガリ元国連事務総長が提言した平和強制部隊に日本が憲法上参加できるかどうかが問題になったのはそれ故である。

3、 民主党は今度の選挙で政権与党になりかねない政党である。こういう現実を踏まえな
い話は早急に是正しておくべきであろう。
(文責;茂田 宏)

米の金融危機への対応と今後の見通し

1、 9月19日、ブッシュ大統領はポールソン財務長官、バーナンケ連銀議長、コックス証取
委委員長を同席させ、声明を発表した。その声明、次の通り。(・・部分省略)ご参考まで。

・・今は米経済にとって転換点である。信用市場で始まった問題、サブプライム住宅ローンの分野で最初に出てきた問題がわが金融市場全体に拡大した。これは信頼の侵食につながり、消費者や・・ビジネスへのローンを含む金融取引を凍結した。その結果、我々は深刻な危機から・・経済の健全性を守るため、今行動しなければならない。
今後この問題の起源を議論する機会はたくさんある。今は問題を解決する時だ。わが国の歴史において、主要な挑戦に取り組むため党派を超えて団結が要求される時がある。今はそういう時である。昨晩ポールソン財務長官、バーナンケ議長、コックス委員長は両党の議会指導者と会った。彼らは非常に良い会合をした。私はこの状況に真正面から取り組むという議会指導者の意思を評価する。
我々の自由企業システムは連邦政府が必要な時だけ市場に介入すべきであるとの信念に基づく。今日の金融市場の不安定さと米国民の日常生活にとってその死活的重要性を考えると、政府介入は正当であるばかりか、不可欠である。
最近、連邦政府は・・経済の安定・・のため一連の措置をとった。・・我々はファニー・マエとフレディ・マックでの状況に対応する行動を取った。連銀は保険会社AIGの無秩序な清算を防止するために行動した。そして・・他の中央銀行と調整し、連銀は金融システムに必要とされる流動性を注入した。
これらは主として個別企業の問題が更に広がることを止めるための・・措置であった。しかしより多くの行動が必要である。我々は市場における不安定の・・根本原因、住宅の下落のなかで価値を失い、今、信用の流れを制約している抵当資産の問題に取り組まなければならない。米経済は前例のない試練に直面している。そして我々は前例のない行動で答える。
ポールソン長官、バーナンケ議長、コックス委員長は問題になっている抵当のような流動性に欠ける資産を銀行その他の金融機関から連邦政府が買い取ることに賛成する立法を行う緊急の必要性について議会に説明した。これは金融システムに伏在する問題に取り組む決定的な措置である。これは銀行やその他の金融機関のバランス・シートから圧力を取り去る助けになる。これは彼らに貸し出しを再開させ、金融システムが再度動き出すことを可能にする。
追加して、連邦政府は金融市場の問題に取り組むいくつかの措置もとっている。
財務省は米の金融システムの重要な要素、マネー・マーケット・ファンド(MMF)への信頼を回復するために行動している。過去において、政府保険はこれらのファンドには適用されていなかった。市場での最近の問題はこれらの投資が安全でアクセス可能なのかを疑わせることになった。財務省の行動はMMFに政府保険を与えることによりこの懸念に答える。保険の付与されたすべてのドルについてあなた方はそれを引き出しうる。
連銀は・・MMFに追加的な流動性を供給するための措置をとっている。これらの措置は停止の危険があったわが金融システムにとり潤滑油になる。これは家計とビジネスへの信用の流れを支えるだろう。
証券取引委員会は金融機関の株について一時的に空売りの慣行を停止する新しい規則を発出した。これは投資家が個人的な利益のために特定の株を意図的に下げることを防止することを意図している。証券取引委員会は特定投資家に空売りを開示することを求め、市場での詐欺や操作を見つける厳格な執行行動を始めた。不法な取引をする者は捕まえられ、訴追される。
最後にこの現在の試練を越えたとき、わが政権は今年はじめにポールソン財務長官が提出した規制の青写真にあるものを含め、金融システムにより大きな透明性と信頼性をもたらす措置について議会とともに作業することを楽しみにしている。米の・・規制措置の多くは違う時代に書かれた。今日の・・現実に答えるようにこれらを最新のものにするのが肝要である。
・・これらの措置は相当な納税者の金を投入することを要求する。この行動は危険を伴う。しかし我々はこのお金は最終的に払い戻されると期待する。政府が購入する計画の多くの資産は時が来れば、良い価値を持つ。・・住宅保有者の多くはローンを払い続けているからだ。そして行動しない危険はより高い。金融市場への更なる重圧は大規模な雇用減少になり、退職金を破滅させ、住宅価格を更に侵食し、新しい家、車、大学の学費のローンを干上がらせる。米にはこれらのリスクを負う余裕はない。
・・すべてのアメリカ人は連邦政府があなた方のお金を守る法と規則を執行し続けることを知るべきである。連邦預金保険公社(FDIC)を通じ、普通貯金口座、当座預金口座、預金証書は連邦政府により10万ドルまで保証されている。FDICは75年間存続しており、保険のついた預金で誰も1ペニーも失ったことはない。これは今後も変わらない。
米の金融システムは入り組んでおり複雑である。しかしすべての技術的用語や統計の裏に、重要な人間的要因、信頼がある。金融システムとその機関への信頼は経済のスムーズな運営に不可欠である。そしてこの信頼が最近揺るがされた。投資家は彼らが再び栄えるように米政府が米の金融市場への信頼を回復するために行動していることを知るべきである。
長期的にアメリカ人にはその経済力に自信を持つ良い理由がある。米は世界で最も才能のある、生産的で企業家的な労働者を保有している。この国は世界で投資し、ビジネスをする最上の場所である。・・我々は挑戦を吸収し、間違いを正し、跳ね返す柔軟で弾力性のあるシステムを有する。
我々はここ8年その弾力性を見てきた。2001年以来、わが経済は景気後退、ITバブルの破裂、主要企業の醜聞、国土への前例のない攻撃、テロとの世界的戦争、一連の破壊的な自然災害に直面した。わが経済はこれらの挑戦のすべてを乗り越え、成長し得た。
この試練も我々は乗り切るだろう。そしてそれを一緒にやらなければならない。今は党派性のときではない。我々は出来るだけ早く、行動を遅らせうる議論のある条項を追加することなしに必要な法律を迅速に作るように共に努力しなければならない。私は民主党員と共和党員とともにこの困難な時期に経済を舵取りし、長期的な成長の道に戻るように働くつもりである。

2、 この演説と同時にホワイト・ハウスが配布した事実説明および9月20日に財務省が配布
した事実説明による追加的情報は次のとおり。
(1) 空売り禁止は今から10月2日まで、799の金融機関につき実施される。
(2) MMFについては、保証プログラムに参加し、参加料を支払わなければならない。50
0億ドルまで取引安定化基金よりの支出に大統領は賛同した。連銀も融資などを実施する。
(3) 財務省は問題のある資産を買い取るため7000億ドルまでの財務省有価証券を発行
する権限を与えられる。この権限は法成立後、2年で失効する。

3、 今回の措置は金融不安の根本原因を取り除くという目的を持った措置である。私は金融の
専門家ではないが、リーマン・ブラザーズは公的資金で救わないが、AIGは救うというような個別的な対処とは質的に異なる措置である。この政策変更前に、政府に見放されたリーマン・ブラザーズは運が悪かったと思われる。
不良債権を市場価値で買い取ることが金融機関の財務状況を改善し、貸し渋りなどに対処しうるか、議会で財務省提案がどの程度早く認められるか、2年間で問題を解消しうるかなど、諸問題があるが、米政府として金融不安に真正面から取り組む姿勢を示しており、この措置は今後の株式市場に良い影響をもたらすなど市場の安定に少なくとも一時的には資すると考えられる。
近いうちに金融恐慌になる可能性はなくなったと判断していいのではないかと思われる。
(文責:茂田 宏)

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