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新テロ対策特別措置法の成立

1、 1月11日、インド洋での米艦船その他への給油活動を再開するための新法案が参議院本会議で否決(賛成106、反対133)された後、衆議院本会議で3分の2以上の賛成で再可決され、憲法59条の規定に基づき成立した。
 昨年11月1日に失効したテロ対策特措法に代わるもので、来月以降、給油活動が再開される。

2、1月11日、国連事務総長は報道官を通じて全文次のとおりの声明を発表した。
 事務総長はアフガニスタンと国際社会が2007年に直面した挑戦に留意し、アフガニスタンにおけるNATO主導の国際治安支援部隊(ISAF)と国際部隊に兵力および資産を貢献しているすべての加盟国に謝意を表明する。
 この文脈において、事務総長は、これらの作戦・・アフガン治安部隊と一緒になって、アフガン人民に安全と開発をもたらそうとしているアフガン政府を助けようという作戦・・を支持する活動を再開するとの2008年1月11日の日本政府による決定を特に歓迎する。

3、 同日、シーファー駐日米大使は全文次のとおりの声明を発出した。
 米国は、アフガニスタンに安定と民主主義をもたらす国際社会の取り組みを支援するこの重要な措置を日本政府が取られたことを高く評価する。
 テロは、現代の災いの元凶である。この法案を可決したことで、日本は、より安全で、より寛容な世界を作り出そうとする人々を支持するという意志を示された。

4、同日、福田総理は次の談話を発出した。
 本日、補給支援特別措置法が成立しました。
 政府は、一日も早く補給活動を再開するため、来週半ばに実施計画を決定し、1月中には海上自衛隊の部隊をインド洋に向けて出航させる方針です。
 わが国は、平和で安定した国際社会の中で、初めて繁栄を享受することが出来る国であり、自らの判断で「テロとの闘い」に積極的に協力し、国際社会に貢献していく必要があります。補給活動は、わが国がその持てる能力を活かして、出来る限りのことを行おうとする取り組みで、このたび、わが国が「テロとの闘い」に再び参加できることは誠に意義深いことと考えます。
 テロを根絶するためには、治安・テロ対策とともに、人道・復興支援に取り組むことが重要です。政府は、今後とも国際社会と緊密に協力して、人道・復興支援を積極的に進め、アフガニスタンの新たな国づくりに貢献してまいります。
 このような政府の取り組みについて、国民の皆様の一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。

4、 今回の日本政府の決定は、国際的にはほぼすべての国により歓迎されることは確実である。
 給油の継続をアフガニスタン、パキスタン、サウジアラビア、インド、英、仏、独などの政府は要望してきた。また各国のメディアは日本の給油活動を高く評価してきた。給油に反対と述べた国は中国、韓国を含め、ない。
 国際社会の構成員のほぼ全員が歓迎することが日本国内で強い反対にあったことは、国際的な常識と日本の常識が大きく乖離したことを示している。そういう乖離は日本の孤立化につながる。
 今回、政府が再可決に踏み切ったことは国際的には歓迎されるし、日本の国際的地位の回復に少しは役立つだろうと思われる。

5、 国際的に日本の迷走とみなされた今回のテロ特措法問題は、ひとえに民主党、特に小沢代表の考え、行動に原因がある。小沢代表の考え方については、昨年10月8日の記事ですでにコメントしたが、小沢民主党は、国際社会の意見に何の注意も払わず、政権交代と言う権力闘争のためにこの外交問題を利用しようとした。
 この法案の審議において、民主党は真摯な審議をせず、審議を遅らせるため、本来別の問題である守屋次官問題、額賀大臣問題、その他の人の参考人招致など、反則と言ってもよいやり方を乱発した。今回の再可決を「暴挙」と鳩山幹事長は述べたが、民主党のやり方こそ、暴挙であり、真面目さに欠けるものであった。
 民主党は物事の本質について堂々と議論するべきであった。民主党には私の知人も多いが、残念な行動振りといわざるを得ない。

6、 民主党は「生活が第1」と言うスローガンを掲げている。これは内向きのスローガンである。ここでの「生活」は年金、福祉、雇用などの問題である。これらの問題の重要性は疑問の余地がない。しかし外交、安保への無関心、国際情勢への敏感さの欠如は国を誤らせることになるし、「生活」をも大きく損ないかねないことを、より深く自覚する必要があるように思われる。
(文責:茂田 宏)

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石油価格の上昇:要因、見通し、影響、そして国際政治上の若干の懸念

1、 1月2日米国市場で、石油が2月先物で1バレル100ドルを越えた。これはいわゆるWTI(西テキサス石油)の価格であり、中東石油はこれより少し安い。
1973年の石油ショックは、第4次中東戦争でアラブが石油戦略を発動したために起こった。このとき、アラブ石油輸出国機構(OAPEC)が1バレル2ドルを一挙に4倍に値上げした。この影響で石油は1バレル8−10ドルになった。第2次石油ショックはイラン革命を引き金とし、平均して石油は1バレル25ドルくらいになった。
先進国は当時スタグフレーション(不況下のインフレ)に悩まされた。今回の石油の価格上昇は、これまでのドルの減価を考慮しても、第1次、第2次ショックに相当する規模である。1990年代には1バレル20ドルで推移していたが、2002年より上昇が始まり、この時点でその約5倍になった。

2、(今回の価格上昇の要因)  中国・インドの成長に伴う需要増と今後の供給の見込みに基づく需給の逼迫の予想がベースにある。それに産油地帯での政治紛争への懸念が加わっている。これら  を材料に投機が行われている。それが今回の価格上昇の背景にあると考えられる。逆のケースであるが、たとえば12月はじめ、米国はイランの核開発についての国家情報評価を明らかにしたが、その結果、米・イラン対決が遠のいたということで、石油価格は10ドル近くも下落した。そういうことで価格が動いている。今回、ここまで上昇した背景は更に分析する必要があるが、投機マネーの役割がかなり大きいのではないかと考えられる。

3、(今後の価格の見通し)  この1バレル100ドルと言う水準はずっと続くのか。投機マネーが入り続ける限り、価格動向を見通すことは難しい。
しかし石油価格は他のエネルギー分野の事情に制約される。今、石油の多くはエネルギー源として利用されている。バイオ(エタノール)、太陽、水力、風力、波力、潮力エネルギーなどの代替エネルギーは、今はコストの面で石油に太刀打ちできない。コスト面で競争力のある原子力は安全・環境問題で行き詰っている。しかし石油の価格が上がると、これらのエネルギー源の内のいくつもが採算が取れるようになる。専門家の中には、1バレル70ドルで、オイル・サンドやオイル・シェールからの石油抽出、他のいくつもの代替エネルギーが採算ベースに乗ってくるので、石油もまたその辺に落ち着くのではないかとする人もいる。
短期的にはともかく中長期的には、掘削石油以外のエネルギーが採算ベースに乗る価格が、石油の価格の天井になると思われる。ただし価格が投機で乱高下すると、これらの代替エネルギーに対する投資(大規模で懐胎期間が長い)の決定が難しくなるという問題がある。
石油については、戦略物資なのか、通常の商品なのか、長い論争があった。1990年代には石油は過剰で、石油価格は1バレル20ドルくらいであった。その頃は石油を戦略的物資と考えるのではなく、通常の商品として考えるべしとの声が強かった。石油にはその両面がある。時期によってそのいずれかの特徴が際立って見えてくるということである。戦略物資であろうとなかろうと、これだけの大きな商品には経済の法則は必ず働く。

4、(影響)   世界経済には、スタグフレーションの圧力がかかることには間違いはない。それをどう処理していけるかは消費国側の政策運営の仕方による。

5、(懸念:第1)  石油の価格の上昇は産油国の立場を強化するが、国際政治のうえで必ずしも好ましくない力の再配分につながる。
需給逼迫が予想されると、消費国は安定供給を求め、石油確保に走る。1973年の石油ショックの頃、日本は「油乞い」を余儀なくされ、1973年11月6日、中東問題に関する二階堂官房長官談話を発出、イスラエルの全占領地域よりの撤退を求め、それがない場合イスラエルとの関係を見直すと述べた。また、1975年の国連総会では、「シオニズムは人種主義と人種差別の1形態」とする決議3376号(1991年に撤回された)に棄権した。これはやむをえない選択であったが、同時に苦しい選択であった。米とオランダを除く諸国も石油確保に走った。産油国の国際的な立場は著しく強化された。
    石油の輸出量(2005年)の大きい8つの国をあげると、第1:サウジ(333百万トン)、第2:ロシア(228百万トン)、第3:ノルウェー(135百万トン)、第4:イラン(116万トン)、第5:ナイジェリア(108百万トン)、第6:メキシコ(105百万トン)、第7:ヴェネズエラ(90百万トン)、第8:アラブ首長国連邦(88百万トン)である。国際的な立場を強化してもらいたくない国が多くある。 アフリカでは、スーダンやアンゴラも石油輸出国であるが、その政治には民主主義国からは容認しがたい逸脱が見られる。

6、(懸念:第2)  石油の価格の上昇は権威主義を強め、民主主義の定着を妨げる。
アラブ諸国で真の民主主義国といえる国はない。これはイスラム故なのかと言うとそうではない。イスラムは神の前での人間の平等を主張する宗教で、人定法は神定法を超えないとの制約はあるが、民主主義に親和的な面がある。
リプセットという学者が行った経済発展と民主化の研究では、一人当たり所得が4000ドルを超えたあたりで民主化要求が出てくる、一人当たり所得が1万ドルを超えると民主化が逆転する例はほとんどない、とされている。これはリプセット・テーゼと呼ばれているが、中東の産油国はこのテーゼの例外になっている。この例外を説明するために「レンティア国家(rentier state)論」というのが提出されている。この論によると、国家がその財政収入を地代(rent)より得て、その一部を国民に分配しているような場合、民主主義は一人当たり所得が上がっても出てこないということである。米革命の際、ボストンでは「代表なくして、課税なし」とお茶をボストン湾に投げ込んだことが知られている。中東産油国では、その逆に「課税がないから、代表なし」ということになっているとの論である。国連開発計画の「アラブ人間開発報告」でも、中東産油国の石油輸出型経済は説明責任など民主主義に必要な要素を発達させないと指摘している。石油価格の上昇はレンティア国家性を強める。
プーチン主義によるロシアの民主主義からの後退も、ロシアが「レンティア国家」の要素を石油価格の上昇で強めている結果でもある。
(文責:茂田 宏)

国連総会での死刑執行猶予決議の採択

I,12月18日、国連総会は「死刑罰の使用に関するモラトリアム」決議を賛成104
カ国、反対54カ国、棄権29カ国で採択した。総会決議であるから、法的拘束力はなく、勧告的効力を持つだけである。しかし国際社会の多数意見として、死刑は猶予されるべきであるとの勧告が採択されたことは意味がある。1994年、1999年に同じ趣旨の決議案が出されたが、採択には至らなかったことを考えると、死刑についての考え方が変化してきていることを示している。

II、この決議の全文を参考まで掲載する。

総会は、
国連憲章に書かれている目的と原則によって導かれ、
世界人権宣言、市民的・政治的権利に関する国際規約、および子供の権利条約を想起し、人権委員会により、過去10年の間、そのすべての会合で採択された死刑罰の問題に関する決議および同委員会が死刑罰を今なお維持している国にそれを完全に廃止するように、かつそれまでの間、その執行にモラトリアムを行なうように求めた決議2005・59号を想起し、
死刑罰の問題に関して前の人権委員会が達成した重要な成果を想起し、人権理事会がこの問題についての作業を継続することを予想し、
死刑罰の使用は人間の尊厳を掘り崩すことに鑑み、また死刑罰の使用のモラトリアムが人権の向上と進歩的な発展に寄与すること、死刑罰の抑止としての価値に関して決定的な証拠がないこと、死刑罰の実施における司法の誤りや失敗は不可逆的で取り返しのつかないものであること、を確信し、
増加する数の国によって多くの場合、死刑罰の廃止につながる執行のモラトリアムの適用の決定が採択されていることを歓迎し、
1、 死刑罰の適用の継続に深い懸念を表明する。
2、 死刑罰を維持しているすべての国に対して、次のことを呼びかける。
(a)死刑罰に直面している人々の権利の保護を保障する保護措置を規定する国際的な基準、特に1984年の経済社会理事会決議1984・50号の付属にある最低限の基準を尊重すること
(b)事務総長に死刑罰の使用について、また死刑罰に直面している人々の権利の保護を保障する保護措置の尊重についての情報を提供すること
(c)死刑罰の使用を漸進的に制限し、死刑罰が課される犯罪の数を減少させること
(d)死刑罰の撤廃を念頭に、その執行にモラトリアムを導入すること
3、 死刑罰を撤廃した国にその再導入をしないように呼びかける。
4、 事務総長にこの決議の実施について総会の第63回会期に報告するように要請する。
5、 同じ議題の下で第63回会期にこの問題の検討を継続すると決定する。

III,この決議について、注目すべき点、次のとおり。
第1:日本、米国は、中国、イラン、シリアなどとともに反対した。英など、EU諸国は他の諸国とともにこの決議を共同提案した。賛否の分かれ方が特異であった。なお、ヴァチカンはこの決議の採択を歓迎した。
第2:国連憲章第2条7項は「この憲章のいかなる規定も、本質上いずれかの国の国内管轄権内にある事項に干渉する権限を国際連合に与えるものではなく、・・・」としている。死刑制度を存続するか否かは国内管轄事項ではないかとの考え方があるが、この決議が採択されたことは死刑の問題は国内管轄事項に当らないとの考えの表明でもある。
第3:刑罰は応報を原則とすべきで、殺人には死刑で対処することが被害者の感情に答えるためにも必要な場合もあるというのは、筋道の通った話である。しかし死刑については、乱用を防げばよいとの考えは、国連の議論では、多数派を構成しておらず、死刑そのものが良くないのだとの考えが多数である。
第4:ローマにある「カインから手を引け」というNGOによると、昨年、世界では5628人が死刑に処せられた、処刑数で一番多いのは中国で5000人、2番はイランで215人ということである。汚職事件への死刑適用は応報の原理から言っても、とても正当化できない。死刑の廃止を国際的に広めていくことで、政治犯の処刑を含め、理不尽な死刑の適用を抑えられれば、多大のメリットがある。このメリットが応報の原理の不貫徹のデメリットを上回るとの考え方もあり得るだろう。
(文責:茂田 宏)

日本の機密保護法制:どうなっているのか、どういう強化が必要なのか

1、12月13日付各紙は、海自の松内純隆3佐がイージス艦機能の中枢データを含むファイルを漏洩したとして、日米相互防衛援助協定に伴う秘密保護法違反容疑で逮捕されたことを報じている。この漏洩は日米の防衛協力関係に影響を与えることは確実であり、F-22(最新型戦闘機)の調達やライセンス生産への影響は避けられない。同盟国の機密の漏洩に何人もの自衛隊員が関与したとんでもない事件である。

2、この秘密保護法は何を規定しているのか。概略を言うと次のとおり。
この法律の第1条3は、「特別防衛秘密」を定義している。それによると、「特別防衛秘密」とは、日米相互防衛援助協定等に基づき、アメリカ合衆国政府から供与された装備品等の構造又は性能、製作、保管又は修理に関する技術、使用の方法などであり、これらの事項に係る文書、図画又は物件で公になっていないものをいうとされている。
この法律の第3条は、(1)わが国の安全を害すべき用途に供する目的をもって、又は不当な方法で、特別防衛秘密を探知し、又は収集した者、(2)わが国の安全を害する目的をもって、特別防衛秘密を他人に漏らした者、(3)特別防衛秘密を取り扱うことを業務とする者で、その業務により知得し、又は領有した特別防衛秘密を他人に漏らした者を10年以下の懲役に処するとしている。未遂、共謀、教唆、煽動も処罰されることになっている。
松内三佐はかなり重い刑罰に処されることになる。

3、日米安保に関連しては、この秘密保護法のほかに、日米安保条約に関係する刑事特別法がある。
この第6条は次のとおり規定している。
(1)合衆国軍隊の機密{合衆国軍隊についての別表に掲げる事項(注:防衛の方針や計画、部隊の兵員数や装備,編成・装備の現況、艦船、航空機など軍需品の構造・性能など)及びこれらの事項に係る文書、図画若しくは物件で、公になっていないものをいう。以下同じ。}を、合衆国軍隊の安全を害すべき用途に供する目的をもって、又は不当な方法で探知し、又は収集した者は10年以下の懲役に処する。
(2)合衆国軍隊の機密で、通常不当な方法によらなければ探知し、又は収集することができないようなものを他人に漏らした者も、前項と同様とする。
(3)前2項の未遂罪は、罰する。
第7条は第6条の罪の陰謀をした者、教唆し、又は煽動した者も、罰するとしている。

4、米合衆国からの装備品についての情報や合衆国軍隊の機密については、上記2、及び3にあるとおり、機密保護のための法がある。
しかし日本自身の国家情報の機密保護については、その法制は不十分である。
(1) 国家公務員法はその第100条1項で「職員は職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」と規定し、その第109条は第100条1項・・の規定に違反して秘密を漏らした者は、「1年以下の懲役又は3万円以下の罰金に処する」と規定している。
しかし秘密とは何かの具体的規定がなく、適用に困難がある。また、これは一般職の公務員についての規定で、特別職公務員である大臣、副大臣、政務官には適用がない。罰則も1年以下の懲役と比較的軽い。そういう問題がある。
(2)自衛隊法はその96条の2で次のとおり規定する。
第1項、「防衛大臣は、自衛隊についての別表第4(注:自衛隊の運用計画、電波・画像情報、武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物の仕様、性能、使用方法など)に掲げる事項であって,公になっていないもののうち、わが国の防衛上特に秘匿することが必要であるもの{日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法(昭和29年法律第166号)第1条第3項に規定する特別防衛機密に該当するものを除く}を防衛機密として指定するものとする。・・・
第3項、防衛大臣は、自衛隊の任務遂行上特段の必要がある場合に限り、国の行政機関の職員のうち防衛に関連する職務に従事する者又は防衛省との契約に基づき防衛機密に係る物件の製造若しくは役務の提供を業とする者に、政令で定めるところにより、防衛秘密の取り扱いの業務を行わせることができる。
自衛隊法は第122条第1項で「防衛機密を取り扱うことを業務とする者がその業務により知得した防衛秘密を漏らしたときは、5年以下の懲役に処する。防衛秘密を取り扱うことを業務としなくなった後においても、同様とする。第2項で、前項の未遂罪は、罰する。第3項で、過失により、第1項の罪を犯した者は、1年以下の禁錮又は3万円以下の罰金に処する。第4項で、第1項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は煽動した者は、3年以下の懲役に処する。・・・」と規定している。

5、この日本の機密保護法制にはいくつかの問題がある。
第1:何故、米軍に係る機密は10年以下の懲役で保護されているのに対して、日本独自の防衛秘密は5年以下の懲役で保護されているに過ぎないのか。この差異はおかしいのではないか。
第2:防衛機密と外交機密は同じように大切であるが、外交機密は国家公務員法の規定で1年以下の懲役で保護されているに過ぎない。バランスを失しているのではないか。
第3:機密の保護については、漏洩罪を処罰の対象とするとともに、探知罪を設けてスパイ行為などを取り締まることを世界の各国はやっている。米軍に関連した法には探知罪があるが、日本の国家公務員法、自衛隊法には、共謀罪や教唆罪はあっても探知罪はない。
第4:閣僚その他の特別職公務員に漏洩禁止規定がないのはどういうことか。(閣僚申し合わせで機密保持を閣僚は約束しているが、米国は同盟国として率直な意見交換ができにくいと内々言っている。)

6、私は、探知罪を中心とするスパイ防止法はともかく、機密に触れる者がその機密を漏洩しないように法制を整備することは急務であろうと考える。機密保護法の欠如は日米関係にも影響を与える。2000年のいわゆる「アーミテージ報告」には、日本との諜報協力の必要を書いた後、「日本の指導者たちは、機密情報を保護する法律の立法化に向け、国民の支持と政治的支持を得なければならない」とある。

7、なお米国には、外国諜報監視法(FISA)というのがある。これに基づきFISA裁判所というのがあり、その許可を得て外国の工作員などを監視できる。北朝鮮による拉致、中国工作員の活動などに鑑みると、こういう法律の必要性も出てきている。

8、機密保護と人権尊重を適切にバランスさせることは困難な課題であるが、諸外国の経験に鑑みても、いつまでも避けて通れる問題ではない。国家としての機密はあるし、それを保護する必要はある。今回の松内三佐の事件は日本が情報管理にルーズな国との印象を世界に与えた遺憾な事件といえる。今後、機密保護の問題には真剣に取り組む必要がある。
(文責:茂田 宏)

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