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北朝鮮情勢

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クリントン元米大統領の訪朝

1、 8月5日付朝鮮中央通信はクリントン元米大統領の朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)
訪問についての報告、次の通りとの記事を掲載している。その全文、次の通り。

 元米大統領ビル・クリントンとその一行は、8月4日−5日DPRKを訪問した。
朝鮮労働党総書記かつDPRK国防委員会委員長である金正日は、ビル・クリントンとその一行と会見した。
滞在中、クリントンとその一行は最高人民会議議長金永南に表敬訪問をした。
クリントンは、二人の米ジャーナリストが不法にDPRKに侵入した後、DPRKに対して行った敵対的行為について、金正日に真摯な謝罪の言葉を表明した。クリントンは金正日に、人道的な見地から彼らを寛大に特赦し本国に帰すようにとの米政府の熱心な要請を伝達した。
会合では、真摯な雰囲気のなかでDPRKと米の間の懸案について率直で深い討議が行われ、それらの交渉による解決を探ることについてコンセンサスが達成された。
金正日は、社会主義憲法103条に従い重労働に服すように判決を受けていた二人の米ジャーナリストに特赦を与え、彼らを解放するDPRK国防委員会委員長命令を発出した。
クリントンはこれについて深い謝意を表明し、両国の関係の改善の方法についての見解を反映する米大統領バラク・オバマの口頭メッセージを礼儀正しく伝達した。
米人ジャーナリストを釈放するためにとられた措置は、DPRKの人道的で平和愛好的な政策の現われである。
クリントンとその一行のDPRK訪問は、DPRKと米との理解の深化と両国間の信頼醸成に役立つであろう。

2、 北朝鮮側は、金正日が歓迎晩餐会を開催するなど、クリントン訪朝を歓迎した。

3、 クリントン元大統領の訪朝の目的はは、二人の米人ジャーナリストの釈放と連れ帰りであったので、クリントン元大統領はその目的は達成した。しかしその代償としてクリントン元大統領が北朝鮮に何を約束したのかはまだはっきりしない。米政府は、建前上クリントン訪朝を私人の立場での訪朝としているが、米政府は当然この訪朝に関与している。ヒラリー・クリントンは国務長官である。日本としては、米に情報の提供を求めると共に、米の対北政策が国連安保理制裁決議やそれと連動してとられている金融制裁措置を掘り崩すことがないことを確保する方向で、対北政策についての緊密な協議・連携を要求すべきである。今後、徐々に漏れてくるであろう情報と、米の対北政策の動向に注目していくべきであろう。

4、 DPRKが孤立化を深める中で、米との直接交渉を望んでいるのは明らかである。
交渉のフォーラムについては、私は北が6カ国協議を嫌い、米朝協議を中心としたいというのであれば、それに応じることには何の問題もないと考えている。6カ国協議は、中国の北朝鮮への影響力を当てにしてきたが、中国は北に真剣な圧力を加えると言うよりは、北の崩壊に伴う中国東北地方の混乱や、緩衝国としての北朝鮮維持を優先して、北朝鮮を擁護する感さえあった。北が中国が大きな役割を果たす6カ国協議を何故忌避するのか、強い対中不信があるのか、良く判らない。しかし、これまでの中国のやり方に鑑みると、我々の側が6カ国協議を最適のフォーラムであると主張する必要性は、中国の影響力の増大を抑える見地からも、特にないのではないかと考えられる。
交渉のフォーラムより、交渉の中身が肝要である。安易な制裁の緩和や北の瀬戸際政策に報償を与えるのではなく、不利益を与えると言う姿勢を堅持する必要がある。
(文責:茂田 宏)

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北朝鮮の国際社会への対応

最近のASEAN地域フォーラムにおいても北朝鮮の国際社会での孤立は明らかであるが、北朝鮮は強気の姿勢を続けている。別にニュースではないが、最近の対日評論2件とクリントン国務長官への反論、次の通り。ご参考まで。

1、 7月22日朝鮮中央通信の記事:
日本当局は7月6日、総理官邸で閣議を開いた。この会合で彼らは、朝鮮民主主義人民共和
国(以下DPRK)の「核や弾道ミサイルやその他の大量破壊兵器に対処するためにその計画や行動に助けとなる財産の移転について予防的な措置」をとることを決定し、それを全省庁に通知した。7月7日には彼らは、DPRKの旗を掲げる船やDPRKに向かう他国の船の貨物を検査することを法的に許容する「貨物特別検査法」を採択し、衆議院に提出した。
6月18日、日本はDPRKへの追加制裁の一部として日本における朝総連のすべての機関、在日朝鮮人、DPRKに友好的な諸団体によるすべての郵便物のDPRKへの送付を停止し始めた。
7月22日、労働新聞は署名入り評論でこれを指摘した。
日本の反動勢力によるこの行為は、骨の髄までDPRKに対する敵意に満たされ、忌まわしい人権侵害を行うものによってのみ行われうる、DPRKに対する極度に敵対的な行為の現われである、と評論は指摘し、次のように続けている。
現在の状況は、日本の反動のDPRKと総連に対する敵対的政策は、許容限度を越えたことを雄弁に証明している。
DPRKに対する敵対政策のエスカレーション、日本の最近の措置は、DPRKを窒息させ孤立化させ、総連と在日朝鮮人を手も足も縛り、その本国との絆を切断することを目的とした最も卑劣で悪意のものである。この行為はDPRKと日本の敵対的関係を、危険ラインを超えるものにした。
もし日本がDPRKと総連に対する制裁をあえてエスカレートするならば、日本はそれに高い代償を払わなければならないであろう。これは反DPRKヒステリーにかかって、向こう見ずになっている日本の反動勢力への警告である。
評論は、日本は「制裁」が報復を惹き起こすことを念頭において、DPRKに対する制裁騒ぎを止めたほうが良い、と締めくくっている。

2、 7月22日朝鮮中央通信の記事:
日本は数年後に新世代の戦闘機、米のF−22の模造を独立して開発することを目論んで
いる。これは他国への奇襲予防攻撃のための日本の能力を調えるように意図され、対外膨張の軍事的な保障を提供する。
民主朝鮮は署名入り評論で、本日そう言っている。
評論は、対外侵略は日本の反動勢力の変わらない野望であり、戦略的目標であると指摘したうえで、次の通り続けている。
この目的のために、彼らは、『平和国家』の仮面を投げ捨て、公然とその軍国主義的な性質を明らかにして、日本の軍事大国化、対外侵略に頭から突っ込んでいる。
彼らは最近、誰かからの『脅威』に対して新しいミサイル防衛を導入する企てを推進している。そして彼らは給油機の導入、早期警戒衛星の開発、情報収集衛星の打ち上げで忙しくしており、集団的自衛権の行使を認め、『武器輸出3原則』を見直し、「敵基地攻撃能力」を保有する必要を強調している。事実は日本が軍事強国となるためにあらゆる努力をしていることを明確に証明している。
これらの向こう見ずな動きは平和を望んでいる世界の人民の中に心配と用心を惹き起こしている。
日本の反動勢力は、過去において日本が失敗した『大東亜共栄圏』の古い夢を現実にしようとする向こう見ずで無鉄砲な再侵略計画がどのようなひどい破局をもたらすかを良く考え、直ちに日本を軍事強国にする危険な動きを止めるべきである。

3、 7月23日朝鮮中央通信の記事:
朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)外務省報道官は、7月23日朝鮮中央通信の質問に、米国務長官ヒラリー・クリントンによる反DPRK毒舌を非難する次の回答を発出した。
 彼女は、就任後彼女が行った何処においても、彼女の地位にふさわしくない下品な発言を撒き散らしてきた。
彼女は最近のインド旅行の際、「北朝鮮はミサイル発射のような行動で注目をひこうとしているが、そういう注目を与えるべきではない」と述べ、ピョンヤンの行動を聞き分けのない子供の行動に似ているとした。彼女の言葉は、彼女が全く賢くないことを示唆する。
DPRKは米の敵視政策と核の脅威に取り組むために、国の主権と存在権を守るために必要な措置をとったのであり、誰かの注意を引くためにではない。
しかし米は、なんでもないことに大きな騒動を惹き起こすことで主導権をとっている。DPRKが世界の焦点になることを助けているのは米である。
我々は、国際社会における基本的なエチケットを知らないでこういう言辞を弄することを好む以上、クリントン夫人をおかしな淑女と見なさざるを得ない。時々、彼女は小学校の女生徒のように見え、時々、買い物にいく年金生活者のように見える。
誤った声明をした人は誰でもそれに代償を払わなければならない。
彼女が世界についての理解をもった時にはじめて、彼女は国務長官として米政権の外交政策の実施に少しの貢献を行うことが出来るであろうというのが我々の見解である。
(文責:茂田 宏)

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北朝鮮の核・ミサイル問題

1、 6月12日、国連安保理は北朝鮮(以下DPRK)の2度目の核実験を受け、決議1874号を採択した。この決議は、最初の核実験を受けての決議1718号と重複する部分も多いので、重要部分のみ抄訳する。今後国会で新法が問題となる際に参照すべき貨物検査に関する部分は全訳してある。ご参考まで。(・・部分省略)

安保理は、・・
国連憲章第7章下で行動し、その41条下の措置をとり、
(1) 安保理決議、特に決議1695号と1718号と2009年4月13日の安保理議長声明を全く無視し、それに違反して、2009年5月25日(現地時間)にDPRKにより行われた核実験を、最も強い言葉で非難する。・・(2)−(8)省略
(9) 決議1718号の8項(b)の措置(注;北朝鮮の武器輸出禁止)は、すべての武器と関連物資およびそのような武器や物資の提供、生産、維持または使用に関連した金融取引、技術訓練、助言、役務や支援に適用されると決定する。
(10)決議1718号の8項(a)の措置(注:北朝鮮への武器輸出禁止)は、小火器や軽火器と関連物資を除くすべての武器と関連物資およびそのような武器や物資の提供、生産、維持または使用に関連した金融取引、技術訓練、助言、役務や支援に適用されると決定する。・・
(11)すべての国に、もしその国が、貨物が決議1718号の第8項(a)、第8項(b)、または第8項(c)、あるいはこの決議の第9項または第10項で、供給、販売、移転、輸出が禁止されている項目を含むと信じる合理的な根拠を提供する情報を持っている場合、その国家の権限ある当局と法律に従い、かつ国際法に合致して、海港や空港を含むその領土内で、DPRKへの、またはDPRKからのすべての貨物を、これらの規定の厳格な履行を確保する目的を持って検査するように要請する。
(12)すべての加盟国に、もしこれらの国が、その船舶の貨物が決議1718号の第8項(a)、第8項(b)、または第8項(c)、またはこの決議の第9項または第10項で、供給、販売、移転、輸出が禁止されている項目を含むと信じる合理的な根拠を提供する情報をもっている場合、 旗国の同意を得て公海上で船舶を、これらの規定の厳格な履行を確保する目的を持って検査するように要請する。
(13)すべての国に、第11項と第12項に従った検査に協力するように要請し、もし旗国が公海上での検査に同意しない場合、旗国はその船舶を第11項に従った現地当局による必要な検査のために、適切で便利な港に向かうように指示すべきことを決定する。
(14)すべての加盟国に、・・決議1718号の第8項(a)、第8項(b)、または第8項(c)、またはこの決議の第9項または第10項で、供給、販売、移転、輸出が禁止されている項目を捕獲し、処理する権限を与え、すべてに加盟国がそうすべきことを決定する。
(15)、(16)、(17)(注:禁止物資などを運んでいると疑われる北朝鮮船舶への燃料などの供給禁止)(18)−(20)(注:金融、援助の制限)、(21)−(34)省略。

2、 この決議は各国の意見を入れたため、かなり長くなっている。また、憲章41条に言及し、非軍事的措置であることを強調している。しかし、決議1718号よりも制裁の範囲を広げ、公的資金による援助にブレーキをかけ、拘束力はないが、北朝鮮への貨物、北朝鮮からの貨物の検査を規定している。中国が、北朝鮮を過度に刺激しないように求めたため、若干弱い決議になったが、弱いものでも全会一致で決議を採択するメリットはある。その意味では、評価できる。
ただしこれで北の核開発にブレーキをかける効果は見込めないと思われる。北の経済には、締め付け効果はあるだろう。

3、 この決議を受けての6月13日の北朝鮮外務省の声明全文、次の通り。

6月12日、国連安保理は米の教唆により、DPRKの第2回目の核実験に関し、DPRKに対する「制裁決議」を最終的に採択した。これはDPRKのイデオロギーとその人民が選んだ体制を、DPRKを武装解除し、その経済を窒息させて、掘り崩すことを目的とした、米主導の国際圧力攻勢のいま一つの下劣な現れである。
米と日本は、この「決議」に満足せず、「偽造貨幣」や「薬物取引」という架空の問題をでっち上げ、DPRKに対して、今存在する制裁に、彼ら自身の「制裁」を追加する汚い陰謀を企んでいる。米は国連安保理を、DPRKを窒息させる試みにより深く巻き込むように煽動し、それが朝鮮半島での前例のない厳しい緊張という結果をもたらした。
この対決は、主権国家の衛星を打ち上げる正統な権利を否定する米の違法で高圧的な行動と、それに従属的な国連安保理により、火が付けられた。国連安保理の4月14日の「議長声明」は、国際法の見地から何の根拠もない。この声明を貫いているのは、小国は大国に従わなければならないという傲慢で恣意的な見解とともに、彼らと異なる体制を持つ国に対する敵意とその拒否以外の何物でもない。
DPRKは小国である。しかしDPRKは政治的、イデオロギー的、軍事的な強国である。
もしこの米の高圧的な行動が許容されるならば、DPRKは誰もがやっている衛星の打ち上げをもはやする権利がなくなり、永遠に宇宙を使う権利を剥奪される。
DPRKの2回目の核実験は、米のそういう敵対行為に対抗するために行われたのであり、自衛的措置である。これは国際法になんら反しない。
本質的にこの対決は、平和と安全保障に関係する問題ではなく、むしろDPRKの主権と威厳にかかわる問題である。これはDPRKと米との対決である。
独立と平等なしに真の平和はありえない。他のどの国でもDPRKの状況に置かれたならば、DPRKが米の敵対政策と核脅威に直面して、核武装の道を、決して選択してではなく、余儀なくされたことをはっきりと理解しただろう。
DPRKにとり、その核兵器を諦めることを考えることさえ、絶対に不可能な選択になった。DPRKにとり、その核兵器国の地位が認められるか否かは、何の違いもない。
権限を付与されて、DPRK外務省は、国連安保理「決議1874号」を強く非難し、拒否し、国家の威厳と国の主権を守るために、米との全面対決のこの初期段階において、次の対抗措置をとることを宣言する。
第1:新しく抽出されるプルトニウムの全量が兵器化される。使用済み燃料棒の3分の1以上が今日まで再処理された。
第2:ウラン濃縮プロセスが開始される。自分自身の軽水炉を建設するとの決定に従い、実験的な手順を可能にする核燃料を提供する濃縮技術の開発において、十分な成功が達成された。
第3:米とその追随者によるあらゆる種類の封鎖の試みは、戦争行為とみなされ、果断な軍事対応を行う。米主導の敵対勢力がどれほど強く、あらゆる種類の孤立化と封鎖を試みようとも、誇り高い核強国DPRKがそれにひるむことはない。
先軍の考えによる対抗行動の様式は、「制裁」には報復で、「対決」には全面対決で決定的に対抗するというものである。

4、 北朝鮮は、今後とも挑発行動を続けようが、挑発には圧力を強化していくのが正解であろう。日本国内では、船舶検査法が提案されることになるであろうが、安保理の要請にこたえられる体制の整備は必要である。
なお、今回の北朝鮮の声明には、安保理の謝罪や休戦協定破棄をいっていた北朝鮮が、そういうことを繰り返して居らず、困惑している様子も見て取れる。
(文責:茂田 宏)

北朝鮮の核兵器・ミサイル問題(雑感)

1、5月25日、北朝鮮が第2回目の核実験を行い、その後、ミサイル実験を行った。安保理の対応を批判し、休戦協定の破棄その他恫喝的言辞を弄している。
北朝鮮に核兵器開発やミサイル開発を断念させる手立てはないものかと、皆頭を悩ませているが、妙策はない。

第1:軍事的なオプションは、1993−94年の最初の核危機の時に検討されたことがあるが、その時のシュミレーションでは、第2次朝鮮戦争になった場合、韓国側に100万近い民間人の死者がでるということであった。当時と違い、今では、北は現実に核兵器を有している。もっと被害は大きくなる。軍事的なオプションはないといってよい。

第2:では、交渉をするのはどうか。これもこれまで散々試みられてきたが、成果はなかった。
延々と続けられた6者協議は、北が一挙にそれを反古にし、そのために提供された重油や金融制裁解除、テロ支援国家解除など、すべて北はいわばただ取りしてきた。
合意を守らない国と交渉して合意を作っても無意味である。無意味に代償を払わされることになる。これは6者協議についても米朝協議についても言えることであって、6者協議がいいか、米朝2国間協議がいいかの議論は、基本的にどちらも成果を挙げないということであろう。ただ、強いてどちらかがいいかを言うと、北朝鮮の崩壊を望まない中国に中心的役割を与える6者協議より、米朝協議のほうが望ましい。

第3:北に制裁を課すのはどうか。
5月25日の核実験後、1週間が経過したが、安保理は新しい制裁決議をまだ採択していない。ロシアが5月の安保理議長国であったが、決議を取りまとめることなく退任し、6月1日にはトルコが安保理議長国になった。
前回の核実験のあと採択された決議1718号は、国連憲章第7章に基づき、かつ非軍事的な措置を定めた憲章41条に基づく措置をとるとした上で、武器禁輸などの制裁を定め、6者協議への復帰を北朝鮮に呼びかけるものであった。
今度の決議がいかなるものになるかはまだ分からないが、(イ)制裁の範囲・内容を広げる、(ロ)北朝鮮船舶の臨検を措置の中に含める(この場合、決議1718号での憲章41条への明示的な言及の適否が問題となり、単に憲章7章に言及するものとなろう)、の2点が問題となろう。
中ロが総論では強い決議を支持しつつ、制裁の各論では、緊張を高めないように配慮すべきである、と主張しているように見受けられる。
トルコはNATO加盟国であり、この問題を扱う議長国としては、ロシアより良いと思われるが、中ロは拒否権を持つ常任理事国であり、この両国の意向は、決議の採択のために重視せざるをえない。
安保理決議は早晩出来ようが、中国がそもそも全面的制裁や北朝鮮の船舶の臨検には反対であり、全面的な経済制裁になる見込みはないし、全面的でない制裁についてもその厳格な実施は、決議1718号採択後の経験に鑑みれば、期待できない。
安保理決議を強いものにする努力はすべきであるが、上記にかんがみ、その効果は限定的であろう。
北への制裁としてもっとも効果的なのは、石油の禁輸措置と金融制裁であろう。このうち、前者については、中露が乗り気にならないとできないが、金融制裁については、基軸通貨国である米が国際金融システムから北を締め出すことは出来る。欧州の協力が得られれば、ユーロ取引からも北を締め出すことも出来る。これは効果がある。
安保理決議についての努力と平行してこれを進めるべく、米国、欧州と話し合うべきであろう。

2、日本の対応については、いくつかの議論が出ているが、ここにも決め手はない。安保理での取り組みを中心に置いた対応は、効果という点であまり期待できないし、独自制裁の強化の効果も限られる。

3、以上を勘案すると、日本の対応は北朝鮮の核兵器保有とミサイル保有を事実として受けとめたうえでの対応しかないことになる。
敵地攻撃のための手段を持つことは重要であるが、これで北の核を抑止しうるとは思われない。ミサイル防衛は、まだ技術的に不完全である。
そういうことを考えると、北朝鮮に対し、核抑止をしっかりとさせる以外に良い方策はない。
核抑止については、米の拡大抑止と日本の独自の核抑止の二つの方策がある。
これまで、日・米間で拡大抑止の実際の運用について、しっかりとした話はなされていない。今回の北の脅威をきっかけとして、より詰めた議論を両国でする必要がある。この中には、INF交渉の際に欧州が大騒ぎしたDecoupling(米欧間の安全保障が切り離されるとの議論)の話を、日本と米国の関係にあてはめた場合についての議論や、NATOの「核計画グループ」の仕組みと同じものを、日米同盟にも作る議論が必要であろう。
日米でのそういう話と並行して、日本独自の核抑止力の議論も避けて通れないと思われる。キッシンジャーが示唆しているように、理論上は、これが日本の合理的選択であるとの結論がでてくるかもしれない。この道筋には難しい問題がいろいろある。ただ核アレルギーのような感情的タブー論に溺れ、広島、長崎の再現を許すようなことがあってはならないであろう。
(文責:茂田 宏)

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北朝鮮の第2回目核実験:安保理での議論への北の反応と日本への警告等

1、 5月29日、北朝鮮(DPRK)外務省が発表した声明の主要内容、次の通り。

 現在、いくつかの国はDPRKの2回目の核実験で衝撃を受けている。しかし例外的な行動には例外的な理由がある。
 DPRKが行った最近の核実験は地球上で2054番目のものである。国連安保理の5常任理事国はすべての核実験の99,99%を行った。
 これらの国が世界への最大の核脅威をもたらしている。しかしこれらの国は2006年10月に米からの増大する核脅威と取り組むための自衛措置として行われた我々の最初の核実験を「国際平和への脅威」と呼んで問題にし、DPRKに対する制裁決議を採択した。これがまさに国連安保理決議1718である。
偽善者によって作り上げられたこの決議は直ちにDPRKの完全な拒絶を招いた。我々は今もそんな決議を認めない。
こういう記録を持つ国連安保理は4月14日には、平和的目的のためDPRKが発射した衛星を問題にし、「議長声明」を作り、4月24日には決議1718の制裁を発効させ、わが人民の尊厳に耐え難い侮辱を加え、DPRKの主権を深刻に侵害した。
DPRKはNPT署名国ではないし、ミサイル技術管理レジーム(MTCR)の署名国でもない。そういうことであるので、DPRKは国家の至高の利益が侵害される場合、望むだけ多数の核実験やミサイル発射を行う権利を持っている。そういう自衛措置は他の如何なる国際法にも違反しない。
国連安保理は平和的な目的で宇宙を探査する主権国家の権利を勝手気ままに侵害するという前例のない犯罪を行い、それを反省する代わりに、その犯罪を隠蔽するために先取りして大きな叫びをあげている。これらの状況において、DPRKはこの時点で、情勢の未来の予期できない発展について誰に責任があるのかを明確に言うことを助けるために対決の明確な線引きをしたい。
第1:国連安保理は傲慢な行動をしており、これは決して許されない。これに対し既に世界に公表された核実験により応えるのはDPRKの自衛措置の一部である。我々の忍耐には限りがある。
米と米の好意を得たい他の勢力以外に、DPRKの平和的な衛星発射を非難キャンペーンを行うために国連に持ち込み、状況をここまで持ってきたことに完全に責めを負うべきものはない。
彼らはDPRKに衛星発射は主権国家の独立した権利の一部だと述べた。しかし実際の衛星発射のあと、DPRKを非難する動きで米側に立った。
これらの国はキー・リソルブやフォール・イーグル合同軍事演習のような大規模な核戦争演習が朝鮮半島の奥深くで行われたときには、沈黙したままであった。しかしDPRKが自衛措置として核実験を実施することを余儀なくされた時、彼らはそれを「地域の平和と安定への脅威」として非難する声で団結した。
これは既に彼らが既にそこに置いているものをDPRKが持つことを彼らが好まないことを意味する。最終的には、彼らは小国は大国に従うべきであるとしている。DPRKは領土と人口では小さいが、政治的、軍事的に強い国になる自信と根性をもっている。
第2:我々は厳粛に国連安保理が、宇宙条約を大きく侵犯して、主権国家の主権を深刻に侵害した犯罪について謝罪を行うこと、すべての以前に作られた不公正な決議や決定を取り下げることを要求する。この要求は今も有効である。
もし拒否権と核兵器をもつ常任5カ国だけが何が「国際平和と安全保障への脅威」を構成するかをきめる権限を持つ限りにおいて、国連安保理は無期限に彼ら自身の威嚇行為を問題にするべきではないのである。
国連安保理がDPRKの正当な要求に応じないかぎり、DPRKもまた、将来において国連安保理の如何なる決議も決定も認めない。
第3:もし国連安保理が更なる挑発行動を行うならば、これは不可避的により強い自衛的対抗措置の採択に向いたDPRKのアプローチにつながるであろう。
世界的な冷戦の終わりは,大国間でのみ作用する。しかし朝鮮半島では冷戦が続いている。
国連安保理が作った国連司令部自身,朝鮮休戦協定の署名者である。
国連安保理による敵対行為は直ちに休戦協定の廃止を意味する。
世界はDPRKの人民と軍がその尊厳と主権を守るために国連安保理の横柄で一方的なアプローチに対してどう立ち上がるかをまもなく知るだろう。
米は「人参とムチ」とのうたい文句を使うのに熱心である。米民主党の「ロバ」に人参をなめさせる方が良いだろう。

2、 5月29日、労働新聞は日本での敵地攻撃論に関し、概要次のとおりの論説を掲載した。

日本の反動勢力はDPRKの衛星発射を口実として利用し、朝鮮半島情勢を極端に緊張させ、再侵攻という彼らの途方もない夢を実現するための好機としようとしている。
皮肉にも彼らは朝鮮民族が日本に対して持っている強烈な恨みと憤慨、朝鮮民族の決意と意思が如何に堅固か、DPRKがどんな力強い国家防衛力を持っているかを知ろうともしないで、「ミサイル発射基地」への攻撃を呼びかけるように向こう見ずになっている。
DPRKの革命軍は敵対勢力のあらゆる挑発を決定的に失敗させるのに十分に強い手段と筋肉を持っている。
日本が再侵攻の戦争を始めるならば、その全領土は報復打撃から安全ではない。日本は縦深を欠く。
日本の反動が現在の現実を適切に理解せず、向こう見ずな再侵攻の戦争に火をつけるならば、彼らはその最終的な破壊を蒙って、最後になるだろう。
彼らは「敵基地」攻撃シナリオは死の鐘を鳴らすことしか意味しないことを忘れるべきではない。

3、 5月27日には、韓国が拡散防止構想(PSI)参加を決めたことに関連し、朝鮮平和再
統一委員会は声明を出し、「宣戦布告と見なす」としている。

4、 北朝鮮の言動は短距離ミサイルの発射を含め、ますますエスカレートしている。今回はこ
ういう脅しを気にすることなく、可能な限り強い圧力を北にかけていくことが正攻法であろう。
今の段階で6者協議や米朝協議は不毛な結果しか生まない。そういう対話をこちらから求めるのは愚策であると思われる。
(文責:茂田 宏)

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