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アフガン・パキスタン情勢

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パキスタンのスワト休戦協定の崩壊

1、2月、パキスタン政府はスワト渓谷地域でイスラム原理主義勢力と同地域でのイスラム法廷の設置やイスラム法の適用を認めることと引き換えに休戦する合意を締結したが、タリバンがスワトに隣接したブネールに侵攻したことなどを背景にこの休戦協定は崩壊した。

2、5月6日付ニューヨーク・タイムズ紙は「パキスタン軍、スワト攻撃態勢へ」との見出しで、概要次のとおり報じている。

政府がタリバンの武装勢力への新しい軍事作戦を準備し、多くの批判の対象であった反乱者との和平合意が崩壊する中、地方政府が政府の軍事攻撃の前にスワトを離れるようにと述べた後、スワト渓谷より数千の住民が逃げ出している。5月5日タリバン戦闘員はスワトの首都ミンゴラを支配下においた。タリバンも政府も和平協定崩壊について相互非難をし、迫撃砲などを撃ち合った。タリバンは通りに地雷を設置している。
2週間前、タリバンはスワトからブネール(首都イスラマバードから60マイル)に進出した。
スワトでの新しい作戦は米の高官が求めていた、より強固な姿勢を示すものであるかもしれない。しかし問題はパキスタン軍が同じパキスタン人への作戦を維持する意思と能力があるかである。ホルブルック大使はより広範な軍事活動への転換を歓迎し、「昨日まで、モメンタムは正しい人の手にないように見えた。今や軍は大きな攻勢をかけようとしている。どう展開していくか、見てみよう」と議会で述べた。
スワトでの作戦はむつかしい。軍は既に2年間タリバンを追い出そうと戦い、失敗し、それで2月の休戦に至った経緯がある。
世論は最近タリバン批判の方に傾いている。

3、5月6日付ワシントン・ポスト紙は「何千人が予想される戦闘の前にスワトを逃げ出す」との見出しで、同様の状況を報じている。
記事の中で、タリバンの報道担当は、過激派勢力がスワトの90%を支配している、スワト和平取引はいまや死んだ、と述べたとしている。

4、5月6日、オバマ大統領、アフガンのカルザイ大統領、パキスタンのザルダリ大統領は3カ国首脳会議をワシントンで開催した。会議終了後、オバマ大統領は、よい会議であった、共通の敵に立ち向かうことで合意したと、記者に述べた。

5、タリバン勢力がスワト停戦後、ブネールに進出、更にそれ以外の地域にも進出してきたことに、パキスタン政府・軍が危機感を抱き、米の要請も受けてタリバンへの攻撃に踏み切ったものと思われる。火力や訓練の面でパキスタン軍が勝るので、戦闘では正規軍が勝つであろうが、タリバン勢力はゲリラ戦を展開するので、闘いが泥沼化する危険はある。
オバマ政権のアフパク戦略のひとつの試練になるだろう。
(文責;茂田 宏)

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パキスタンでのタリバン勢力の拡大

1, 4月23日付ニューヨーク・タイムズ紙は、「タリバン、首都により近いパキスタンの重要地域を掌握」との見出しで、概要次の通り報じている。

 4月22日、パキスタン政府高官と住民は、タリバン戦闘員が首都より70マイルの戦略的に重要な地域で実効的な支配を確立したと述べた。
ブネールの陥落は、タリバンがイスラマバードをすぐ脅かすことを意味しないが、パキスタンの中心部へのやむことのないタリバンの前進を止める政府の能力について、新たな警報を鳴らす。100万の人口を持つブネールは、ペシャワールに次ぐ北西辺境州の大都市、マルダンへの玄関である。北西辺境州の法執行機関の高官は、「彼らがブネールを取り、その後、マルダンに進攻したら、それでゲーム・セットだ」と述べた。
重武装のタリバンは、隣接のスワト渓谷(2月中旬、パキスタン軍が休戦に合意し、兵営に戻ったところ)からブネールに入り、4月22日現在、村落を巡回しており、警察は撤退しその基地にいる。地域のNGOは退去を命じられ、その事務所は略奪されている。
これは、ザルダリ大統領の政府がタリバンとの取引の一環として、スワトでのイスラム法適用に同意した10日後のことである。
この地方の政治家ジャムシェル・カーンは、人々は当初タリバンに抵抗しようとしたが、政府がタリバンと取引したことで意気を失った、政府が味方である限り、我々は強いと思っていたが、政府が弱さを示したので、我々もタリバンへの抵抗をやめた、と述べた。
クリントン国務長官は下院外交委員会で、「私は、パキスタン政府は基本的にタリバンと過激派に対し、権力を譲り渡していると考える。核兵器国パキスタンの治安状況の悪化は、我が国と世界の安全保障に致命的な脅威を与える」と述べた。
マレン統合参謀本部議長は、ここ2週間で2度目になる訪問のために、4月22日イスラマバードに到着したが、これはオバマ政権内での驚きを反映している。パキスタン軍も警戒心を強めている。
主要な懸念の一つは、タリバンはブネールからスワビの平地に出られ、そこからイスラマバードとペシャワールを結ぶ、4車線の道路に行けることである。ブネールの聖者ピール・ババを祭るモスクは、いまタリバンの支配下にある。
タリバンの推薦で任命されたマラカンドの弁務官ジャヴェド・モハメッドは、タリバンの行動を助けている。

2、4月23日付ボストン・グローブ紙は、「米、パキスタンでのタリバンの成果を恐れる」との見出しで、同趣旨の報道をしている。

3、4月23日付ワシントン・ポスト紙は、「クリントン;パキスタン政府は過激派勢力に権力の座を譲り渡している(英語はAbdicate)」との見出しで、下院でのクリントン発言を報じるとともに、駐米パキスタン大使がクリントン発言について、「挑戦があることはみとめる。しかしパキスタン政府や国がタリバンに取られそうであるというような状況にはない」と述べたと報じている。

4、パキスタン政府は、過激派にその支配地域でのシャリア法の適用を認める代わりに休戦をする、とのいわば過激派懐柔策をとってきたが、その戦術が逆効果をもたらしつつある。武装イスラム勢力にその領土の大きな部分を譲るようなことになっており、タリバンはその支配領域を増やしつつある。
現地での状況は錯綜しており、パキスタン政府や軍の判断を一義的には尊重すべきであろうが、タリバンがイスラマバードにまで出てくる可能性が現実化しつつあると判断され、きわめて危険である。
なおパキスタンの核兵器はイスラマバード近郊にあるといわれているが、インドによる先制攻撃で無力化されることを避けるためにその場所は厳秘とされており、米国も知らないとされている。
(文責;茂田 宏)

パキスタン・タリバン指導者メスードの勢力拡大

1、 4月1日付ワシントン・ポスト紙は「パキスタン・タリバンの頭領、警察への攻撃を自慢」との記事を掲載している。その概要、次の通り。

3月31日、バイツーラ・メスードは3月30日の東パキスタンでの警察学校襲撃は彼の戦闘員が実施した、世界を驚かすワシントンでの攻撃を計画中である、これらは無人偵察機による攻撃に対する報復である、と述べた。
米は既にメスード捕獲に5百万ドルの報奨金を提示し、国務省は彼を主要な「アルカイダ協力者」としている。彼は30歳代で、パキスタン当局は2007年12月のブット暗殺、イスラマバードでの豪華ホテルの爆破の組織者であるとしている。
メスードは北西パキスタンでパキスタンのタリバン運動と呼ばれる過激イスラム集団の連合体の長である。これらの集団は部族地域全体で暴力的イスラム教義を広め、パキスタン警察・軍を攻撃し、アフガンに戦闘員を送り込んできた。
メスードが自分の基地(注:メスードは南ワジリスタンを根拠地としている)から300マイル以上も離れたラホールでテロ攻撃を行ったとすれば、彼の力が今まで以上に遠くまで届いていることを示唆し、パンジャブでの反政府勢力と同盟関係を作り上げた可能性がある。

2、4月2日付フィラデルフィア・インクワイアー紙は「パキスタン・タリバン指導者、米に対する増大する脅威」との記事を掲載した。その概要、次の通り。

貧農の息子でフィットネス・ジムの教官であったメスードがアルカイダとパキスタン過激派との同盟のおかげでパキスタン・アフガン国境地帯で最も力のある過激派指導者の一人になってきた。
米は長い間彼をパキスタンでの活動に焦点をあわせ、アフガンの連合軍への攻撃をしていないとして他のパキスタン・タリバン、アフガンのタリバン、アルカイダと比較し重要ではないとして来た。しかし最近、米はメスードの勢力の増大とパキスタン内の暴力の増大が核兵器国パキスタンの不安定化につながるとして考え方を変えたとパキスタン高官は述べた。そして彼とその支持者への無人航空機での攻撃を増加させている。
メスードは3000人の自爆攻撃者が自分のところにいると自慢したことがある。

3、 4月1日付ワシントン・タイムズ紙は「FBI、タリバンの脅威への警報を発出:ホワイト・ハウス、標的と名指し」との記事を掲載している。この記事によると、FBIは法執行機関にメスードに関連したテロ攻撃への警戒を行うように指示したとされている。

4、 パキスタン情勢は人民党のサルダリ大統領がナワズ・シャリフとの対決でチョウドリー最高裁長官の復職問題で一種の敗北を喫し、権威を喪失し、その結果、パキスタン国内政治はまだ不安定な状況が継続している。オバマのアフガン・パキスタン戦略の成否はパキスタン政治の安定にかかわるところが大きく、政治的争いを適切に着地させる問題がある。
同時にパキスタン内のイスラム過激派をどう制圧していくかも大きな問題である。
このなかでメスードの勢力拡大をどう抑えていくか、一つの焦点になってきている。
ぺトレイアス米中央軍司令官は4月1日の上院での証言でパキスタンの武装過激主義者は、もし挑戦されないで放置されれば、「文字通り、彼らの国を引きずり倒しかねない」と発言している。(4月2日付ニューヨーク・タイムズ紙:「ぺトレイアス、パキスタンへの武装勢力の脅威を警告」との記事)
(文責:茂田 宏)

オバマ大統領のアフガン・パキスタン戦略

1、3月27日、オバマ米大統領はアフガン・パキスタン新戦略を発表した。オバマ演説の抄訳、(・・部分省略)次のとおり。ご参考まで。

 本日私はアフガニスタンとパキスタンのための包括的で新しい戦略を発表する。・・
状況はますます危険である。タリバンが政権から除去されて7年以上経つが、戦争は猛威をふるい、反乱者はアフガニスタンとパキスタンの一部を支配している。わが兵士、NATO諸国軍、アフガン政府への攻撃は着実に増加している。・・
米や・・パートナー諸国の多くの人々は単純な問いを持っている。アフガンでの我々の目的は何なのか。・・何故彼らは・・そこで戦い、死んでいるのか。・・
9・11攻撃を計画し支援したテロリスト、アルカイダとその同盟者がパキスタンとアフガニスタンにいる。多くの情報はアルカイダがパキスタンの隠れ場所から米本土への攻撃を・・計画していると警告している。もしアフガン政府がタリバンに負けたり、アルカイダが自由に活動する場合、アフガニスタンは再度わが国民を出来るだけ多く殺すことを望んでいるテロリストの基地になるからである。
アフガンの将来は・・パキスタンの将来と分かちがたく、結ばれている。・・アルカイダとその同盟者はパキスタンの国境の遠隔地に移動した。・・オサマもザワヒリも。彼らはこの山岳地帯で隠れ、テロリストを訓練し、攻撃を計画し、アフガンへ戦闘員を送り出している。この国境地帯が米国民にとり世界で最も危険な場所になった。
しかしこれは米だけの問題ではない。・・第1級の国際安全保障問題である。ロンドンやバリでのテロや北アフリカ、中東、イスラマバード、カブールでの攻撃も・・アルカイダに関係がある。世界の人々の安全がかかっている。
アフガンでのタリバン支配の復帰は残酷な統治、国際的な孤立、麻痺した経済、婦人や少女を含む国民の基本的人権の否定になる。・・
大統領としての私の最大の責務は米国民を守ることである。・・我々がアフガニスタンにいるのは米、友好国や同盟国、アフガン国民やパキスタン国民に脅威を与える共通の敵と対峙するためである。
我々は明確な目標を持っている・・。パキスタンとアフガニスタンでアルカイダを阻止し、敗北させること、どちらの国でも彼らが復帰することを防止することである。・・
我々はこの目標の達成のためにより賢い、・・包括的な戦略を必要とする。・・米はもはやイラクでの戦争ゆえにアフガンへの資源投入を拒否してはならない。アフガンとパキスタンの軍事、統治、経済を強めるため、国際的な支持を集めなければならない。・・更にアフガニスタンとパキスタンの将来が結びついていることを承認しなければならない。・・
まずパキスタン・・について。
パキスタン国民は・・我々同様、テロの終結、基本的サービス、夢を生きる機会、法の支配の下での安全を望んでいる。この未来への・・脅威はアルカイダ・・から来る。それは我々がともに立ち向かわなければならない理由である。
テロリストはパキスタン国民への深刻で緊急な危険である。彼らは9・11以後、数千人のパキスタン人、多くの兵士や警察官を殺し、ベナジール・ブットを暗殺した。・・アルカイダとその・・仲間はパキスタンを内部から殺す危険をもつ癌である。
米国民はパキスタンがアルカイダを追跡するのに我々の助けを必要としていることを理解することが重要である。これは単純な仕事ではない。部族地域は・・しばしば統治されていない。我々の軍事援助は、パキスタンがテロリストを根絶やしにするために必要とする手段、訓練と支援に焦点を合わせる理由である。しかし数年のはっきりしない結果の後で、我々は白紙小切手を提供しないし、出来ない。パキスタンがアルカイダと過激派を根絶やしにする誓約を示さなければならない。我々が高度なテロリスト目標についての情報を持っている時には、・・行動がなされるように強く主張する。
アルカイダなどの安全な隠れ場所を破壊する政府の能力はその強さと安全に結びついている。パキスタンが経済危機を乗り越えるように我々はIMF、世銀、その他の国際パートナーと引き続き共同して作業しなければならない。また・・対決の瀬戸際で動揺することのある印・パ、二つの核武装国の緊張を低めるために両国との建設的外交を追求しなければならない。過去の過ちを避けるため、パキスタンとの関係はパキスタンの民主制度と国民の支持に基礎付けられることを明確にしなければならない。
過激主義に対する戦いは弾丸や爆弾だけでは成功しない。・・私は今日議会に5年間毎年パキスタン国民への直接的な支援として15億ドルの支出を可能にする・・超党派法案の採択を呼びかける。また・・国境地帯に経済開発をもたらす機会のゾーンを作る超党派法案を採択するように呼びかける。我々は来月の東京での援助国会合を含め、友好国や同盟国にその役割を果たすように求める。
私はこの要請を軽い気持ちでしてはいない。今は困難な時期である。・・しかし米国民はこれがわれわれの将来への手付金であることを理解しなければならない。米とパキスタンの安全保障は共有されているからである。パキスタンは・・強いパートナーでなければならないし、アルカイダは孤立させなければならない。そしてパキスタンの措置は・・アフガンでの我々の努力にとり不可欠である。
安全保障は共有された責任の新しい感覚を要求している。我々が米、アフガニスタン、パキスタンの常設の3国対話を始める。・・我々は国境に沿って情報の共有と軍事協力を強化しなければならない。
これは・・包括的戦略の一部でしかない。成功のためには我々、友好国、同盟国はタリバンの成果を逆転させ、もっと能力のある責任あるアフガン政府を推進しなければならない。・・我々は目標を達成できるだけのコミットメントをしなければならない。
私はマッカーナン将軍が・・要請してきた17000名の配備を命令した。・・これは8月のアフガン大統領選挙の前に安全を確保するのに役立つだろう。
我々は任務の重点をアフガン治安部隊の訓練と規模増大に移す。・・アフガン人が自らの安全保障に責任を持つように準備し、我々が最終的に兵を本国に帰すやり方である。
イラク戦争ゆえにアフガンでの訓練への資源は拒否されてきたが、・・これは変わる。私が追加配備した兵力は訓練能力の増大になっているが、春の終わりに更に訓練のため約4000名を配備する。・・アフガンでのすべての米部隊はアフガン部隊とパートナーを組むことになる。すべてのアフガン部隊が連合国のパートナーを持つようにNATO諸国よりの追加的な訓練者を要請する。我々は134,000名のアフガン軍、82,000名のアフガン警察を作る努力を加速し、2011年までにその目標を達成する。・・
この措置は文民による努力の劇的な増加で伴われなければならない。アフガンは選挙された政府を有しているが、腐敗で掘り崩され、国民に基本的サービスを提供するのに困難をもっている。経済は・・麻薬取引で掘り崩されている。・・カブールでのみならず、地方で下から、安全、機会、公正を前進させるために、我々は農業専門家、教育者、技師、法律家を必要としている。これがアフガン政府が国民に奉仕し、経済を発展させるのを助けるやり方である。我々が現場での文民の相当な増加を命令し、パートナーや同盟国、国連や国際援助機関からの文民支援を求めている理由である。・・
経済危機の中で、我々が文民的努力を節約しうると信じるのは誘惑的である。しかし間違ってはいけない。・・もし我々が彼らの将来に投資しないなら、失敗するだろう。私の予算が国務省や外国援助計画に不可欠な投資を計上している理由である。これらは兵力への負担を減らし、安全保障に直接貢献し、米国民をより安全にする。・・
これらの資源の提供に伴い、説明できない支出、入札の無い契約、無駄な再建の日々は終わらなければならない。国務省、USAIDに監査官を置き、アフガン復興特別監査官を予算に計上している。・・私は腐敗に目を閉じることは出来ない。・・我々はアフガン政府との新しい約束;腐敗を摘発し、明確なベンチマークや尺度を設定するものを求める。
数十年戦争をしてきた貧困な国では、古い敵との和解なしに平和も無い。イラクで元の敵に手を差し伸べ、アルカイダを孤立させる・・ことに成功した。我々はアフガンとイラクが・・違うことを理解しつつ、同じようなプロセスを追求しなければならない。タリバンの非妥協的中核は・・敗北させられなければならないが、強制や利益のために武器を取ったものもいる。・・すべての地方で和解プロセスを地元の指導者、アフガン政府、国際パートナーとともに作業していく。・・
我々は盲目的に路線を堅持することはしない。・・明確な尺度で我々の努力の進展を評価し、目標の達成に向けて見直しを行う。
私が概略を述べた措置はいずれも簡単ではなく、米1国が担うべきものではない。・・自由な諸国が共通の安全保障のために共に行動するとの考え方そのものがいま問題になっている。・・
わが政権は国際機関と集団的行動の強化にコミットしている。・・他国も自分の役割をするために米と一緒になるように求める。・・
最後に国連とともにこの地域の安全保障に利害を持つすべての国―NATO諸国やその他のパートナーに限らず、中央アジア諸国、湾岸諸国、イラン、ロシア、インド、中国が一堂に会するアフガン・パキスタン・コンタクト・グループを結成する。・・
私は米が選択してこの戦争を行っているのではないことを想起したい。2001年9月11日、わが市民ほぼ3000人が殺された。アルカイダは・・その後数千人を殺した。他の誰よりもイスラム教徒を殺した。・・我々はアルカイダを敗北させ、米の同盟国、より良い未来を求めるすべての人を守るためにわが国家の力のすべての要素を使う。何故ならば米国は平和と安全保障、正義と機会の側に立っているからである。これが我々が誰であるかであり、歴史が我々に今一度やるように呼びかけていることである。

2、米国の対パキスタン・アフガン政策はこれをベースに今後展開されていくことになろう。パキスタンとアフガン大統領はこのオバマ演説を歓迎している。マッケイン前共和党大統領候補は兵力投入が少なすぎると批判している。
(文責:茂田 宏)

オバマのアフガン政策:タリバンとの対話の可能性

1、 3月8日付ニューヨーク・タイムズ紙は「オバマ、タリバンの一部に対話を提案することを考慮」との記事を掲載した。これは大統領機内でのインタビューに基づく記事であるが、関連部分次のとおり。(・・部分省略)
「米はアフガンで勝っているのかと聞かれ、オバマは“No”とにべも無く答えた。・・オバマは、もし、ぺトレイアス将軍に聞けば、彼はイラクでの成功は部分的には我々がイスラム原理主義者と考える人々であるが、・・アルカイダの戦術で完全に疎外されたがゆえに我々と協力する意思のある人々に手を差し伸べたことにあるというだろう、と述べた。同時にオバマは“アフガン情勢はもっと複雑である。統治されている度合いが少ない地域が多く、部族には強い独立心がある。多くの部族があり、・・その目標がおのおの異なるので、それを整理するのは・・難しい”と述べた。」

2、 このインタビューだけでオバマ政権がタリバンとの対話路線に踏み切ったとは言えないと私は考えていた。
しかしその後、3月12日付ニューヨーク・タイムズ紙は、バイデン副大統領が上記オバマ発言を踏まえてであろうが、ブラッセルのNATOの会議で「タリバンの5%は矯正不可能であり、敗北させる以外の方法がない。しかしあとの25%は反乱へのコミットメントが確かでなく、70%は給与がもらえるからタリバンに参加している。私は安全で安定したアフガン国家に参加する意思のあるものがいるかどうか確かめるための対話を行う価値はあると思う」と述べたと報じている。
オバマ政権がタリバンとの対話を容認してみようとしていることはほぼ確実であると判断される。

3、 カルザイ・アフガン大統領は以前からタリバンとの対話を主張してきた。

4、 一番の問題は外国軍の撤退を対話の前提条件として、対話を拒否してきたタリバ
ン側がどう出るかである。オバマ発言後、タリバンの報道官は侵略者との話し合いは拒否すると声明したが、カルザイ政権との話し合いは拒否していない模様である。
3月15日付ロンドン・サンディ・タイムズ紙は「タリバン指導者、アフガン和平協議を支持:宗教指導者オマールがアフガン戦争を終わらせるための話し合いに賛同し、サウジが主催する和平交渉に参加している」との記事を掲載している。
その記事の概要、次のとおり。
仲介者のアブドラ・アナスは「オマールが話し合いに青信号を出した」と述べた。アフガン政府の交渉者も「これは極度に微妙であるが、オマールの直接の代表者および前線のタリバン指揮官と接触している」と確認した。
オバマ大統領が米軍がアフガン戦争で勝っていないと認め、穏健なタリバンとの交渉を呼びかけたあと、この打開が生じた。アナスは「大きな一歩が踏み出された。はじめて双方の側に和平の言葉が出てきた」と言った。
和平の話し合いでカルザイを代表している弟のカユム・カルザイは「ここ数日タリバンと会合している。オバマの言葉が大きな楽観を作り出したといえる。話し合い以外の道はない。すべての側が更なる戦闘は行くべき道ではないと知っている」と述べた。
タリバンが強い立場にいるときに、何ゆえタリバンは話し合いに応じるのかと疑問視する専門家がいるが、アナスは「タリバンは大流血なしに権力を再度取れないことを知っているし、強い立場にあるが、国家を支配できるわけではない。アフガン人が平和のためにタリバンがいいと思った1996年とは状況が異なる」と指摘した。
ミリバンド英外相は「経済発展、機能する和解戦略は兵とともに反乱を収めるためには不可欠である」と述べた。

5、 3月15日付ロンドン・サンディ・タイムズ紙の別の記事によると、このタリバン・カルザイ政府間の話し合いにはサウジ情報庁ムクリン・ビン・アブドル・アジズ長官も深く関与しているとされている。

6、 タリバンのオマール師が対話に前提条件なしに青信号を出したとすれば、ニュースである。しかし対話の場に出てきて、外国軍撤退を要求する可能性もあるので、この動きが成果をもたらすかどうか、まだわからない。
ただサウジの情報機関などが再度対話に向け動いていると見られる。
(文責:茂田 宏)


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