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アフガン情勢の悪化と米軍増派論
1、 アフガン情勢の悪化については、6月28日付の記事で取り上げたが、悪化傾向に、歯
止めがかかっていない。米軍など連合軍の死者数はicasualties.orgの勘定で本年5月―24名、6月―45名、7月(26日間)―27名である。イラクでの死者数は5月―21名、6月―31名、7月―11名なので、イラクよりアフガンでの死者数が多くなっている。
2、 この情勢悪化を受け、米国内でアフガンに増派すべきであるとの意見が強くなっている。
・7月23日付ワシントン・ポスト紙は「アフガンからの目覚ましコール」と題し、概要次の通り報じている。
増大する死者数、タリバンの再出現はブッシュ大統領、その後継者候補達からアフガンへの増派発言を引き出している。
最近、ブッシュは3旅団、約1万名を送るつもりだと述べた。マケインも兵力がもっと必要であると言い、オバマは少なくとも2旅団を増派することを前から主張している。
世論もアフガン戦争には慎重な支持を与えている。ワシントン・ポスト紙とABCの世論調査では、51%がテロとの戦いで勝つためにアフガンで勝たなければならないと答えている。
・7月23日付ウオール・ストリート・ジャーナル紙は「イラク撤退についてのコンセンサスが近づいている」と記事のなかで、「転換がまもなく起こりそうである。米軍司令官は、イラクでの治安情勢が改善し、1−2旅団を年末までにイラクから引き上げられそうである、国防省は1旅団のイラク派遣予定を取りやめ、それをアフガンに向けることが可能だろう」としている。
・7月24日付USA Today紙は「ペンタゴン、アフガンへの兵力派遣を急ぐ」との記事を掲載、国防省報道官がアフガンにより多くの兵力を送る方法を検討中である、マレン統幕議長は3旅団(1旅団は3500人)を送る必要があるとしているが、この規模の兵力は来年まで無理だろうと述べたと報じ、また別の国防省高官が「ここ数日中に」ゲイツ国防長官に提案がなされるだろうとしたと書いている。
・7月24日付クリスチャン・サイエンス・モニター紙も「軍部、アフガン計画を再検討」との見出しで、アフガン増派計画について報じている。
規模、時期はまだはっきりしないが、アフガンへの米軍増派は既定路線になっていると思われる。イラク情勢の安定を受け、米軍にそういう余裕が生じてきているということであろう。
3、 日本は自衛隊のアフガン派遣を検討してきた。6月には現地に調査団も送った。しかし政
府は7月18日、国際治安支援部隊(ISA)への自衛隊派遣を見送るとの決定を行った。安全状況に鑑み、やむをえない決定と考えるが、米・NATO諸国は調査団派遣の動きを見て自衛隊の派遣を期待したところがあり、いまはがっかりしている。今度またアフガンに関連した給油問題が国会で揉めると、日本への失望が更に深まる惧れがある。
4、 アフガン情勢の悪化は、パキスタンの部族地域がタリバンなどの聖域になっていることに
よるところが大きい。パキスタンとアフガン間の協力、米・NATOとパキスタンおよびアフガンとの協力がこれに対処するために必要であるが、この協力関係は必ずしもうまく行っていない。特にアフガン・パキスタン関係は、パキスタンの情報機関がカルザイ暗殺に関与したとか、インド大使館攻撃に関与したとか、アフガン側、特にその情報機関が非難し、険悪になっている。情報機関間の対立は厄介な問題につながる。CIAかMI6が間に入って、この険悪さを除去しておくべきではないかと考えられる。もうやっているのかもしれないが。
(文責:茂田 宏)
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