弁護士を呼んでくれ

あなたの大切な人が逮捕されたら、 すぐ、 弁 護 士を呼びましょう!

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宿題にろくな回答がないので、
仕方ないから、解説しよう。



(前略)
常盤貴子「では、番組で使われて、嬉しかったですか
清掃員「いえいえいえ。驚きました」


子どもを殺したとされる美里さんが、妊娠後期に中絶をしようとしたことがある。という爆弾発言。
これは、武田鉄矢が番組で語ったものではない。
前回の法廷での尋問中に、言ったのだ。

武田鉄矢が番組で取り上げた、なんて事実は、ドラマ内の裁判上も、ドラマ全体の進行上も、一切出てこない情報だ。

ここは、事実関係が混乱して居るぞ。
法律監修以前の問題で、シナリオライターのミスだ。


常盤貴子「どうしてですか」
清掃員「あれは、嘘だった。というメールをあの後、1通送っているんです。嘘ついたことを後悔しまして。」
常盤貴子「日下部さんは、あなたの嘘を十分に調べることなく、根拠のない発言をした。もしくは、あとで嘘だと知ったがそのまま放置したと思いますか

ひとつ前の記事を読み込んでいる人には簡単に見破れるミスだね。これに違反している。
民訴規則
(質問の制限)
第百十五条(略)
2 当事者は、次に掲げる質問をしてはならない。ただし、第二号から第六号までに掲げる質問については、正当な理由がある場合は、この限りでない。
(略)
五 意見の陳述を求める質問
(以下略)


(正しい尋問の例:創作)
常盤貴子「あなたが、美里さんが中絶しようとした。という嘘のメールを送ったのは、いつのことですか?」
清掃員「武田鉄矢さんが番組で、美里さんを犯人だ。と言った8月5日の後でした」
常盤貴子「なぜ、あなたは、8月5日以降に、そういうメールを送ったのですか」
清掃員「武田鉄矢さんが、美里さんを犯人だ。と番組で話したのには、ビックリしました。でも、武田鉄矢さんが番組で言うからには、キチンとした裏が取れているのだろうと思いました。そうであれば、美里さんの妊娠中絶という話題は、事件に花を添えて、武田鉄矢さんのお役に立てるのではないか。私の情報でも、番組で使って貰えるのではないか。と考えたからです」
ざわざわ
常盤貴子「あなたが、あのメールは嘘だった。という訂正のメールを送ったのは、いつですか」
清掃員「嘘のメールを送った後、しばらく後悔しまして。だから、8月10日頃だったかしら」
常盤貴子「正確には覚えておられない。では質問を変えます。武田鉄矢さんが前回、この法廷で「この子はこれ以前にも、母親に一度殺されかけてるんですよ。」と発言する前ですか、後ですか?
清掃員「それは、はっきりと覚えています。あの裁判の日より、前です。かなり前です」
常盤貴子「なぜ、そう言えるのですか」
清掃員「わたし、あの日、裁判を傍聴していまして、武田鉄矢さんが、里美さんが中絶しようとしたことがある。と発言したのに、とても驚きましたから。私は、あの情報は嘘でした。と確かにメールしたのに、武田鉄矢さんが、あんなことを裁判所で言うなんて信じられませんでした。」
(創作終わり)

武田鉄矢:当事者席で立ち上がり、机を叩きながら「冗談じゃないよ。毎日、あんた、メールは何百通とやってくるんですから。いちいち目ぇ通している暇ありませんよ。それに、嘘だった、などというメール。私は読んでませんから」
常盤貴子「では、1通目は読んだんですか
裁判長「被告は勝手に発言しないように」


裁判長が注意したように、この場面は、常盤貴子が清掃員に証人尋問している場面である。
発言が許されるのは、尋問者である常盤貴子と、証人である清掃員だけである。
武田鉄矢、あるいは、その代理人が発言できるのは、常盤貴子の尋問に対する異議、または、尋問制限の申立に限定される。
武田鉄矢は、証人の証言を遮り、反論することは許されない。
裁判長が、武田鉄矢に注意したのは適切な訴訟指揮である。

ということは、常盤貴子が、当事者席で立ち上がった武田鉄矢に、尋問、あるいは質問するのも許されない。

武田鉄矢の証人への反論はもちろん、常盤貴子の
では、1通目は読んだんですか
という発言も、どちらも証人尋問手続きの中での正式の発言ではなく、証拠とはならない。

ただ、民事訴訟法には便利な条文がある。
(自由心証主義)
第二百四十七条 裁判所は、判決をするに当たり、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果をしん酌して、自由な心証により、事実についての主張を真実と認めるべきか否かを判断する。
証拠調べの結果のみならず口頭弁論の全趣旨を加味して、判決することができるのである。いや、条文の構成で言えば、口頭弁論の全趣旨の方が先であり、証拠調べの結果の方が後である。とても興味深い条文である。
この条文により、両人の発言を加味して判決することは可能であろう。

(ドラマに戻る)
同じ期日と思われる。
武田鉄矢の反対尋問が再開される。
裁判長「それでは、本訴原告代理人。どうぞ」
常盤貴子「日下部さん、あなたは先ほどの証人伊達さんのメールを鵜呑みにし、裏取りもせず発言をしたことを認めますか」
武田鉄矢「認めます」
ざわざわざわ


武田鉄矢が認めてくれたから助かったものの、直截すぎる尋問。お世辞にも褒められたものでは無い。

(よりよい尋問例:創作)
常盤貴子「さきほど「嘘だったというメールなんか読んでない」と発言されましたね」
武田鉄矢「ああ、言いましたよ。実際、読んでないんですから」
常盤貴子「では、1通目の中絶したというメールは読んだとお認めになる?」
武田鉄矢「あ、いや、それはですね」
常盤貴子「里美さんが中絶しようとしたことがある。あなたは、前回の法廷でこう述べられましたが、その情報源は、清掃員さんからのメールなんですよね?」
武田鉄矢「そういうことになりますな」
常盤貴子「あなたは、その情報の裏を取りましたか」
武田鉄矢「ま、いや、それはですね」
常盤貴子「清掃員さんは、あなたから中絶の事実が真実かどうか確認されたことはないと証言しましたが、これは本当ですか」
武田鉄矢「はい」
常盤貴子「病院に確認を取りましたか?」
武田鉄矢「いいえ」
常盤貴子「取れませんよね。病院には守秘義務がありますから」
武田鉄矢「そうですな」
常盤貴子「日下部さん、あなたは先ほどの証人伊達さんのメールを鵜呑みにし、裏取りもせず発言をしたことを認めますか」
これは、言わぬが花。聞かぬが花。ここまで追い込めば十分。
最後に、その質問をして、「いやいや別の方法で裏を取りました」とか弁解を言い出されたら面倒なだけ。


(ドラマに戻る。)
常盤貴子「それでは」
武田鉄矢「但し、認めるのは中絶発言についてだけです。蓮見弁護士。1を証明したことによって10を証明したことにはなりませんよ。母親が被疑者であったというのは、これはもう、確固たる証拠があることなんですから。」

1を証明したことによって10を証明したことにはなりませんよ。」これは、半分正しく、半分不正解。
妊娠中絶に関してはキチンとした裏取りをしなかった。清掃員の証言で証明し、それを武田鉄矢も認めた。
これが1を証明したこと。の意味だ。
この事件の本丸は、里美さんがお子さんを殺した被疑者だったのか否か。だ。これが10だ。
たしかに、清掃員の証言と、武田鉄矢が中絶発言のミスを認めたことで、本丸を証明したことにはならない。
当たり前すぎることだが、この部分は正しい。

しかし、武田鉄矢が、確かな裏取りをせずにニュースを発信することがある人物だ。ということは証明された。言い換えると武田鉄矢という人物の発言の信用性に傷を付けた。10に一歩近づいた成果を得たことも又、正しいのである。


(ドラマに戻る。)
常盤貴子「それでは裁判長。尋問を続ける前に、追加の証拠として日下部さんの情報源に関するメールを提出させて下さい。その上で、メールと映像を示しながら尋問します」


前回の小泉孝太郎の尋問方法と比較してみよう。
孝太郎は「後に請求しますという味噌を調味料に使ったが、常盤貴子は、味噌を入れ忘れた。
証拠として提出するなら、写し2通と証拠説明書2通を提出しなければならない。
しかし、ドラマ内には、それをした様子はない。
直ぐ後に、裁判長が「証拠番号は甲20号証で良いですね」と言っているのは、証拠説明書が提出されていない証拠である。

前回は、民訴規則の引用を忘れていたので、ここで引用しておく。
(書証の申出等・法第二百十九条)
第百三十七条 文書を提出して書証の申出をするときは、当該申出をする時までに、その写し二通(当該文書を送付すべき相手方の数が二以上であるときは、その数に一を加えた通数)を提出するとともに、文書の記載から明らかな場合を除き、文書の標目、作成者及び立証趣旨を明らかにした証拠説明書二通(当該書面を送付すべき相手方の数が二以上であるときは、その数に一を加えた通数)を提出しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、裁判長の定める期間内に提出すれば足りる。

さらに「メールと映像を示しながら尋問します
まず、民事法廷には映像を映すモニターはない。これは、すでに、前回、小泉孝太郎が破ってしまったタブーだから、見逃すことにしようか。
しかし、見逃せないのは、裁判長の許可を求めていないことだ。条文は、再引用しないけど、大丈夫だよね。


裁判長「えーと。証拠番号は甲20号証で良いですね
常盤貴子「はい」

をい、をい。書証(証拠書類)を証拠提出するときには、証拠番号を振って、A4縦、左綴じ横書きなら、右上に番号を書いて提出するのが常識ってもんだ。
裁判長に、番号を付けて貰ってはいかんだろう。
常盤貴子は、書証に「甲第20号証」と番号を書いて提出しなければならない。
常盤貴子、16年のブランクで忘れてしまったのか?
でも、甲第19号証までは、番号を付けていたのだから、丸っと全部忘れてしまったわけでもないだろう。

あまりにも常識過ぎたんで、根拠も調べず実務を行ってきたが、このブログを書くに当たって調べてみたら、民事訴訟法にも、民訴規則にも、証拠番号を付ける、という規定はない。あー@ビックリした。

ドラマの本件のように原告1名、被告1名の民事訴訟の場合、原告提出の書証は甲第〇号証、被告提出の書証は乙第〇号証。これは全国普遍のルールのようだ。
しかし、被告2名以上の場合には、時代により、裁判長の好みにより、番号の付け方が違うようだ。
昔は、原告が甲第〇号証、被告の1人目が乙〇号証、2人目が丙〇号証(3人目が入れが、丁第〇号証・・・)とするのが一般的だった。
最近は、被告は乙に統一し、被告1人目は乙A第〇号証、被告2人目は乙B第〇号証・・・とするのが流行のようだ。
つまり、法律や規則で厳密に決まっているのではなく、慣行と裁判長の好み(訴訟指揮)によって決まっているのが実情のようだ。


ちなみに、甲、乙、丙を使う方法で、原告が2名だったらどうするか。
一緒に原告となって提訴するのだから、2名の利害は一致していて、同じ弁護士に依頼していることが殆どだろう。となると、提出する証拠も共通するから、原告1人目、原告2人目を分ける必要は無く、原告提出の証拠は全て「甲」で統一してよい。
しかし、訴訟の途中で原告同士の歩調が揃わなくなり、提出書類も別々になる可能性もある。
甲・乙・丙方式、つまり、ひとりひとりに十干(じっかん)の符号をつけるシステムだと、原告に、甲と乙を割り当てなければならないが、乙は既に被告が使っている。じゃあ、原告のどちらかに、丁とか戊を割り当てるのは「座りが悪い」。
といって、最初から、原告2名用に甲・乙を割り当てて、被告に丙を割り当てるのも、イヤである。なんと言っても「原告が乙号証を提出する」違和感に堪えられない。

この点、乙A、乙B方式なら、原告にも甲A、甲Bで対応可能だから、万能だ。

(ドラマに戻る。)
裁判長「はい、わかりました。それではどうぞ」


常盤貴子の美貌に弱い裁判長は、常盤貴子が甲第20号証を用いて尋問することの許可を求めていないのに、許可してしまった。
じつは、こういうことは、美貌と無関係によくあることで、
メールと映像を示しながら尋問します
の中に、許可申請が入っていると解釈するのだ。


(ドラマに戻る。)
常盤貴子「日下部さん。先ほどの証人が、コアなファンがあなたの情報源だったと証言しましたが、間違いありませんか」
武田鉄矢「そういうこたありますよ。」
常盤貴子「証人は、友達は皆採用されているから、つい嘘のメールを送ってしまった。と証言しました」
武田鉄矢「それが、何だと言うんですか」
常盤貴子「その採用された友達から、美里さんが子どもを殺害した、という情報を貴方に送った。という証言を入手しました。その情報に根拠がなかったことも裏が取れています。競争が過熱しすぎたようですね。これは、その情報を送ったメールです。」

もう何度も繰り返しているが、尋問は、質問する場面で、弁護士が演説する場面ではない。そろそろ学んで欲しいところだ。
え?シナリオライターも、法律監修者も、このブログ読んでないって?
それに、もう放送終わっちゃってるから間に合わないって?
そりゃそうだ。

小泉孝太郎:メールの内容と、武田鉄矢の報道が、内容、順番、表現に至るまで、ほぼ似通っていることを説明。

これも同様に、質問しないで、弁護士が証拠内容を演説しているに過ぎない。あくまでも質問して、回答を引き出すのが弁護士の腕である。

(正しい尋問方法の例:創作)
常盤貴子「美里さんが子どもを殺害した。という情報も、美里さんの中絶の情報と同じように、あなたのファンからの情報提供ではなかったのですか?」
武田鉄矢「違います。前にも証言したとおり、信頼できる筋の警察の方、Kさんからの情報です」
常盤貴子「では、甲第20号証、これは、美里さんが子どもを殺したと情報提供した方から戴いた、その時のメールを記載したものですが、これと、甲第〇号証、あなたが美里さんがお子さんを殺した容疑者だと番組で発言したときのビデオを交互に見ながら質問します」
常盤貴子:甲第20号証を示し「メールの〇行目です。私が読み上げますから、私が正しく読んだかを確認して下さい。{・・・・・・}私は甲第20号証に書いてあるとおり、正確に読み上げましたね。」
武田鉄矢「はい」
常盤貴子「では、これに該当する放送のビデオを見て下さい。ビデオの中の武田鉄矢{・・・・・・}。これは、あなたの8月16日の放送に間違いありませんね」
武田鉄矢「そうです」
常盤貴子「では、甲第20号証の次の行。私が読み上げますから〜〜以下、何度か繰り返す。」

ドラマに戻る。
常盤貴子「貴方の発言は、警察ではなく、この情報メールを元にした」

こういう質問を自爆質問という。
常盤貴子は、メールとビデオの共通点を確認して、メールが情報源であり、そのまま放送につかったのではないか、ということをあぶり出すことに成功した。
しかし、この質問が全部をダメにする。
下記のような切り返し(言い訳)が来るからだ。
してはならない尋問の典型例である。

(想定される反論)
武田鉄矢「たしかに、メールの内容と番組の発言は良く似ています。そりゃあ、メールを元に取材し、裏を取って検証し、正しいと判断して報道したのですから、メールの内容と似通っているのは、むしろ当然じゃぁありませんか」


(ドラマに戻る)
武田鉄矢の代理人「異議あり」
小泉孝太郎「裁判長」
武田鉄矢の代理人「本訴被告を侮辱する尋問です
小泉孝太郎「今の尋問は、本訴の核心を問う部分です。」
裁判長:数秒、ためて「異議を棄却します。証人は答えて下さい」

この程度じゃ侮辱にならないことは、前に確認したよね。さらに、異議じゃなくて、尋問制限の申立。
裁判長も、異議棄却じゃなくて、申立却下。

(ドラマに戻る。)
武田鉄矢「確かにメールは見ました。しかし、その表現を借りただけでありましてね。内容については、十分な裏を取っております。」
常盤貴子「メールの送信時間を見て下さい。放送の5分前です。たったの5分で十分な裏を取ったと言うことですか」

ここも尋問方法を工夫しよう。
(よりよい尋問例:創作)
常盤貴子「甲第20号証のメールの送信時間を見て下さい。私が読み上げます。8月16日〇時〇分となっていますね。間違いありませんか?」
武田鉄矢「そうですな」
常盤貴子「番組の開始時間は何時でしたか?」
武田鉄矢「〇時〇分です。」
常盤貴子「すると、メールを受け取ってから番組開始までの時間は、どれほどになりますか」
武田鉄矢「わざわざ聞かんでもわかるでしょう」
常盤貴子「5分ですね。あなたは、その5分間で、どのような裏取りをして事実確認をしたのですか?」

くどいようだが、弁護士の演説は要らない。
弁護士と証言者の質疑応答。会話のキャッチボール。その中で、証言者に語らせる。語った言葉が証拠になる。弁護士の質問(演説)は証拠にはならない。


(ドラマに戻る。)
武田鉄矢・・・・・
常盤貴子「ネタに詰まり始めていた貴方は、ファンからの情報を積極的に使うようになった。最初はキチンと裏を取っていたのかも知れませんが、誰も知らない真実なんて、そうそう転がっているものでは無い
武田鉄矢の代理人「異議あり。憶測に基づく、明かな誘導です

この常盤貴子の発言は、たしかに酷い。
武田鉄矢の代理人が噛みつくのも無理はない。
憶測に基づく」と言われてもやむを得ない。

(よりよい尋問の例:創作)
武田鉄矢が、・・・・と沈黙したところで
常盤貴子「答えられませんか?」
武田鉄矢「・・・・」
常盤貴子「裁判長、被告が、尋問に対して答えられなかったことを調書に記載して下さい。」
裁判長「わかりました」

またたま登場、民訴規則
第百十五条(略)
2 当事者は、次に掲げる質問をしてはならない。ただし、第二号から第六号までに掲げる質問については、正当な理由がある場合は、この限りでない。
一 証人を侮辱し、又は困惑させる質問
二 誘導質問
三 既にした質問と重複する質問
四 争点に関係のない質問
五 意見の陳述を求める質問
六 証人が直接経験しなかった事実についての陳述を求める質問

例の如く、常盤貴子の発言は、演説に過ぎず、質問形式になっていないので、この条文が直接適用されるかは疑問だが、誘導尋問は(但書きの例外はあるものの)明確に禁止されている。
ところが、憶測に基づく質問は禁止されていない。
あらまた@びっくり!

憶測に基づく質問に武田鉄矢の代理人弁護士が噛みつくのは当然だと思ったが、法的根拠は何なんだ?
自信が無いんだけど、憶測に基づく尋問は許される。
尋問するネタがないときに、なんでもかんでも聞いてしまう、いわゆる「下手な鉄砲数打ちゃ当たる(かもしれない)尋問」は、技術的にダメな尋問の典型例だが、「ああだったんじゃないですか」「こうだったんじゃないですか」と聞き散らかすことは(技術的にはNGだが)、法的には許されている。これらは、すべて憶測に基づく質問だ。

武田鉄矢の代理人弁護士が噛みつくべきトコロは、質問しないで、演説して居るとことじゃ無いか。と思う。
自信は無いが。だれか、正解を考えてくれ。

もちろん、ここは異議ではなく、尋問制限の申立であることは確認しておこう。


(ドラマに戻る。)
常盤貴子「追い詰められた貴方は、ついに、放送開始5分前に届いたメールを、そのまま使ってしまった。それから、後付けで警察から裏を取り、結果的に母親が捜査線上に乗ったという情報と一致したため、安心して発言を続けた。
武田鉄矢の代理人「異議あり。裁判長。」

これも、前記と同じだね。

(ドラマに戻る。)
武田鉄矢「私の取材だ。」
裁判長「被告は発言を慎みなさい」

なぜここで、裁判長が武田鉄矢の発言を制止したのか、謎だ。
ひとつ考えられるのは、代理人が異議と言っているのだから、代理人の発言を邪魔しちゃダメ。ということ。
しかし、今まで、なんども見過ごされているよね。

もう一つ。裁判長は、武田鉄矢の証言が信用できないことに確信を持った。これ以上、武田鉄矢の証言を聞く意味がない。尋問を打ち切ります。という場合だ。
しかし、武田鉄矢の代理人の意見も聴かずに打ち切るのは、乱暴すぎる。
結局、この制限の法的根拠は不明のママだ。
ということは、法律監修ミス?

(ドラマに戻る。)
武田鉄矢「いや、言わして下さい。弁護士の記者ごっことはわけが違う。私は長い間、隠された真実に光を当ててきたんだ。権力におもねった不憫な連中が手を出せん真実を、何十年も掘り起こしてきたんだ。」
父親(今日は傍聴席から)「ふざけんな!あんたの身勝手なプライドのために」
裁判長「傍聴人、静かにしなさい」
父親「美里は犠牲になったんだよ。アイツが娘をどんだけ大事にしてたか。オレの分まで全部背負って、ひとりで必至に。あんたの、あんたの報道は何のためなの。な。人が生きるためにあるんじゃねえのかよ。」
常盤貴子「終わります

お、終わっちゃうのかよ。
武田鉄矢が「私は長い間、隠された真実に光を当ててきたんだ。権力におもねった不憫な連中が手を出せん真実を、何十年も掘り起こしてきたんだ。」と言ったことを放置して良いのか。

ここまで追い詰めているから、もう、これ以上は不要だ。という判断もあろう。間違いではない。
ただ、ダメを押すなら
常盤貴子「あなたが、何十年も真実を掘り起こしてきた功績を否定はしません。でも、今回の報道で裏を取らずに発言したことと、何の関係があるのですか」
と聞けば、武田鉄矢は反論できなかったはずだ。

(ドラマに戻る)
裁判長「それでは、双方、良いですね。本訴被告は席にお戻り下さい」

テロップ「判決当日」
判決を言い渡します。
主文
反訴原告日下部直也の名誉毀損に基づく損害賠償の請求を・・・棄却する。
本訴原告浜口直樹の名誉毀損に基づく損害賠償の請求を・・・(勝訴を期待する人々の顔)・・・棄却する。
判決の理由を述べます。(フェードアウト)

ここは見逃せない「美味しいところ」だ。ヨダレが出てくる。
まず、本訴、反訴があったら、判決は本訴の結論から先に言う。上記は、反対だ。
ドラマ構成上、「・・・」と間を取って、視聴者の注意を惹き付けて、劇的に盛り上げる必要があったのであろう。
しかし法律監修としてはNGだ。

順番は横に置いて、判決主文としての体裁をなしていない。まったくダメダメ。法律監修ミス確定。
正しくは
主文
1 本訴原告の本訴請求を棄却する。
2 反訴原告の反訴請求を棄却する。
3 訴訟費用は・・・

主文では、請求権の内容を説明したりしない。
民事訴訟法、民訴規則には、主文の書き方まで規定はないが(あえて引用しない)、慣行として、そうなっている。
学問上、実務上の問題としても、請求権の内容が主文に書いてあると、強制執行の段階でややこしい問題に発展する可能性もあり、書かない方がよい。

さらには、訴訟費用の負担を言い渡していない。
これは、積極的な法律監修ミス確定。
民事訴訟法
(訴訟費用の負担の裁判)
第六十七条 裁判所は、事件を完結する裁判において、職権で、その審級における訴訟費用の全部について、その負担の裁判をしなければならない。

(ドラマに戻る)
父親「どっちも棄却って何ですか。どういうことですか」
小泉孝太郎「主張が通らなかった。ということです。」

廊下にて、小泉孝太郎「8月5日に警察から情報を得たという主張が嘘だとは言い切れない。そう判断されてしまったんだと思います。

法廷では、判決理由の読み上げがされた(ドラマではフェードアウト)
法律上は要約も許されるが、本件では全文が朗読された可能性が高い。裁判長が「判決の理由を述べます。」と宣言しているからだ。要旨の場合には、「判決理由の要領を述べます」というのが普通だ。
民訴規則
(言渡しの方式・法第二百五十二条等)
第百五十五条 判決の言渡しは、裁判長が主文を朗読してする。
2 裁判長は、相当と認めるときは、判決の理由を朗読し、又は口頭でその要領を告げることができる。

小泉孝太郎は、判決理由を聞いていたのだから、
8月5日に警察から情報を得たという主張が嘘だとは言い切れない。そう判断されてしまったんだと思います。」のような曖昧な説明をせずに、端的に、正確に、敗訴の理由を説明できたはずだ。

弁護士によっては、判決理由を聞いても正確に記憶できるとは限らないし、後で判決書を読めば正確に理解できるから、判決理由を聞かずに帰ってしまう人もいるようだ。
しかし、本件では、依頼者が法廷に来ている。そんないい加減な対応はしないはずだ。

(ドラマに戻る)
小泉孝太郎は、武田鉄矢に電話する。

ここの間違いは、すでに、コメント蘭で正解がでているね。
代理人弁護士が付いている以上、弁護士の頭越しに、弁護士抜きで、相手方当事者と連絡を取ってはならない。
皆大好き弁護士職務基本規程
(相手方本人との直接交渉) 
第五十二条 弁護士は、相手方に法令上の資格を有する代理人が選任されたときは、正当な理由なく、その代理人の承諾を得ないで直接相手方と交渉してはならない。
この規程に違反しているね。法律監修ミス確定。


(ドラマに戻る。)
小泉孝太郎「当然、控訴しますよ。娘さんが生きていて、貴方の発言が事実でないと明らかになった以上ね。

ここで、気分的に、スッキリ、サッパリ、溜飲を下げた人が多かったんじゃないかな。
ところで、ドラマを遡ってみよう。
この連載のグッドワイフ第1話(2)の最後の部分だ。

再掲
浜口直樹は、武田鉄矢が番組で嘘の発言をしたと訴えた。
これについて、その発言が嘘か本当かで勝敗は付かずに
十分な根拠が、あったか、なかったかで勝敗が決する。
訴えの中身と、勝負の分かれ目が噛み合ってないとは思いませんか?

少女が無事に保護されたことで、里美さんによる殺人事件がなかったこと、冤罪だったことが明るみに出た。
武田鉄矢の発言が嘘か本当か。で勝負が付いたのだ。

じゃあ、このピンク色の分析は何だったんだろう?
裁判では、何を争っていたのだろう?
不思議に思いませんか?

これが、つぎの宿題です。
期限は7日。


武田鉄矢「え?」
小泉孝太郎「今、無事に保護されたんです。今までのあなたのでまかせ発言を徹底的に調べ上げて、証拠を添えて持って行くこともできるんですよ。ま、和解を望むなら、請求金額は1億円です

依頼者の希望も聞かずに和解金額を提示するのは、弁護士職務基本規程違反。条文は、自分で調べてくれたまえ。


長文、ご苦労様でした(←自分)


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もう期限の7日を過ぎたぞ。
回答がないぞ!

2019/4/4(木) 午後 2:05 [ 赤いブログ ] 返信する

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長い!
てコンピュータに言われませんでしたか?
あまりにも長いので、読む前にコメント。これから気合いを入れて読みます。

2019/4/8(月) 午前 11:36 [ s_d*te1*17 ] 返信する

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お疲れさまでした

2019/4/8(月) 午前 11:44 [ s_d*te1*17 ] 返信する

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ロースクールの課題の解説としてはパーフェクトと思う

ただ、創作どおりのシナリオであれば見ているひとはまどろっこしくチャンネルを変えてしまうかもしれない

本当の法廷ドラマ(アメリカにはラジオ時代からある?)の醍醐味は、実際の法律ルールにも乗っ取って、一見わかりにくい質問が思いがけない真実を導き出すところにあるのだろうが、根付くかどうかは疑問…

2019/4/8(月) 午前 11:50 [ s_d*te1*17 ] 返信する

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> s_d*te1*17さん(11:44)

たった8分で読めたじゃないか。

2019/4/8(月) 午後 3:26 [ 赤いブログ ] 返信する

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打ち込むのは何時間かかってたの?

2019/4/8(月) 午後 8:47 [ s_d*te1*17 ] 返信する

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> s_d*te1*17さん

8時間くらい?

2019/4/8(月) 午後 9:17 [ 赤いブログ ] 返信する

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60倍か…

2019/4/9(火) 午後 9:20 [ s_d*te1*17 ] 返信する

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