横手研ぎ会 〜狛犬のブログ〜

鉄の美しさを引き出し、鑑賞していきます。

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籠手鉄(こてがね)

日本刀で特に著名な人に、長曽禰興里という人がいます。
聞いたことがない?えっそうですか?
この人の入道名は虎徹っていうんですが。あっわかった!って顔
そうそれです。良かった〜通じて。英語が通じない人に手話で通じた気分ですよ。


さて知識自慢のように見えるやりとりは置いといて

虎徹の籠手鉄というのはご存知でしょうか?

昔、と言っても江戸初期に埋忠明寿という人が今の時代まで通じる刀剣大量制作方を確立しまして、その方法で作られた刀というのは
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このようによく見る断面になります。
余談ですが芯金というのが和鉄と呼ばれるものです。

中に入っている柔らかい芯で衝撃吸収作用を持たせるのですが
使用すれば消耗するのが刀にかぎらず道具の宿命でしょう。

はい言いたいことは大体終わりました。

じゃァなくて!籠手鉄って何?!ということです。



〜ここから本題〜
まず刀というものは鉄です。鉄の棒を薄くして刃をつけたら剣か刀になります。
ではそれらをぶつけたり、限界応力を超える力を加えると・・・
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こうなります。通称 刃切れと言います
右側が左側のようになるのも時間の問題でしょう。
見ていて痛々しいですね。人で言うとサバ折りの強烈なモノ食らった状態で腹膜とか横隔膜が・・・これ以上よしましょう。

こうなるのは何もぶつけなくても焼入れでこうなることがあります。



さて皆さんに問題です。
健全な刀同士がぶつかります・・・まず折れたり使えなくなるのは切っ先です。
刀対刀。おっかない切れ味だとお互いにわかるならできるだけ長い距離で相手を動けなくしたいと考えるのは道理でしょう。
実際、戦国時代などで死傷兵の数は
投石>>弓矢>>槍>>>>>刀 と、こうなってます。

では切っ先以外でボッキリと逝きやすいのはどこでしょう?

正解は一番太いはずの根本です。
真ん中から折れるというのはあんまりないんです。

さてこの折れやすい部分を昔の人はどうしたのか。
皆さんは樋(ひ)という刀身に掘られた溝をご存知でしょうか?

イメージ 4

樋というのはH鋼、レール鉄のように表面積を増やし耐久性を上げるための工夫とされています。
さてこの樋以外で強度を増す方法と考えられるの
柔らかい鉄で強度を増す事が考えられませんか?

先ほどの埋忠明寿が確立したとされる刀剣制作法でキチンと作成すると
刃元に芯金が出てくる現象が起きます。
それが作品内に結構ある長曾祢虎徹興里の刀剣
籠手という手元側にある特徴的な籠手鉄は虎徹作品の特徴とも呼べます。

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      ↑この辺りから地金(地肌)              籠手鉄側→

なんとなく違うのがわかりますよね?
これ私の差料、氏繁です。長曽禰興里なんて超名作なんて持ってません!

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↑は芯金

角度を変えると、より一層わかります

↓は地金です。

イメージ 7

芯金が出るまで研ぎ減ったり、最初から皮鉄が薄ければ芯金が真ん中より上にもでます。それも作品、作者の特徴でしょう。




最近ある人が私の氏繁を見て
「芯金が出ちゃってるね。これは価値が下がるね」と言ってくれました。
さすがにカチンと来たので
「さすが、あなたほどのお目にかかれば来派や相州伝、肥前忠吉、そして虎徹の芯金の出方で価値が下がると思っていらっしゃる!さすが大将!んで?それらってなんぼで買えるんですか?」
と返しました。
無論ですが相手方は閉口してしまいましたが、もう少し丁寧に教えるべきだったかな。とちょっと反省です。

閉じる コメント(6)

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この前・・(*_*)偶然にも!この「樋」の話しになり・・ただのデザインかと思ってましたが(汗)

(^^)/大変勉強になりました・・ありがとうございます。

2015/7/19(日) 午後 11:11 [ 助八 ]

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> 助八さん
お久しぶりです。
さてここでも (ただし)があります
焼入れ前に樋を掘ったものしか効果は期待できません。

理屈的には、焼入れで冷えて固まるとき≒鉄がぎゅっと縮む時に、樋もぎゅっと縮んで強度が増します。そうなると周りの鉄から引っ張られる力や押す力、応力が同時並行でいろんな方向からかかってます。
後から入れる樋というのを後樋(あとび)とまんまの言葉で言いますが、
この後樋にしてしまうとぎゅっと固まったあとから掘り返すわけですから
いろいろと意味のない物になります。
型通りに作られたクッキーに、溝ほったらもろくなるというイメージが伝わりやすいですかね?

2015/7/19(日) 午後 11:42 [ 狛犬 ]

> 狛犬さん
本日梅雨明け宣言がありました。
厚い名古屋の夏が来ました!
長曽禰興里の記事をトラバしました。

2015/7/20(月) 午後 2:41 ゆうけん

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> ゆうけんさん
ありがとうございます。
ぱっと見長曽根興正かなと思いました。師匠の初期作が弟子の作品に見えることもあるとはいえ、私もまだまだですね。

2015/7/20(月) 午後 5:19 [ 狛犬 ]

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見事な皮金鋼と芯鋼の断面ですね〜
祐定師のたたら製作DVDで見聞概念程度しか知らないので見事としか表現できなくて申し訳ないす。

例のお話・最近、両親共に病院介助してまして、夜3時間ぐらいしか自分の時間が取れないので仕事が止まってるのです。ご了承下さい

2015/8/25(火) 午前 11:11 [ 桜守姫 ]

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> 桜守姫さん
わざわざあちらからお探し下さり、またコメントしていただきありがとうございます。
そうでしたか、どうぞご両親さまの介助を優先してください。
私もまだゆっくりと探していますので、何年先でもよろしければ、注文したい限りです。

2015/8/25(火) 午後 8:44 [ 狛犬 ]

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