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2月8日(水)は<否定>(not)がテーマ。ゲストの鴻上尚史さん、いとうあいこさんが吹き出した。「今日は目からウロコはない」「notなんかチョロイ…」―――。
「じゃ、これはどうですか。どっちかは実際にtouch(触っている)している。どっちか?」と大西泰斗先生、例題を出した。みなさんもやってみてください。
(1)I didn’t touch it deliberately.
(2)I deliberately didn’t touch it.
<deliberately>というのは「よく考えて」とか「わざと」という意味。
<タネ明かし>をする前に<解説>…。<not>の<呼吸>で一番大切なのは<not>が何を<否定>しているか。どの<範囲>を打ち消しているか―――ということ。
従来の<学校文法>が教える<文否定><語句否定><部分否定>なんていう<区別>ではない。ネイティブは<区別>なんかしていない。<not>を<not>として使っているだけ―――だそうです。
まず順序として<学校文法>を見ておきましょう。
(1) 文否定―――I didn’t tell her to go there.(そこへ行けとは言わなかった)。
(2) 語句否定―――I told her not to go there.(彼女にそこへ行くなと言った)。
(3) 部分否定―――The rich are not always happy.(金持ちがいつも幸せとは限らない)。
文中の<not>をよく見てください。共通しているのは<not>は「<後続>を打ち消す」ということ。そう<not>には<範囲>がある―――これがポイント。「後続の内容」をあたかも「カーテンを引いて覆う」ように「ある範囲」を打ち消している。
<I don’t play tennis.>では<play tennis>が<not>によって打ち消されている。
もう冒頭の<違い>が分かったでしょう。(1)は「わざと触ったわけではない」―――。<not>は<deliberately>までを否定している。実際は「触った」。でもワザとじゃない。(2)は「触っていない」―――「よく考えて触らなかった」と言っている。
次に、ネイティブの感覚をテストするため、外人アシスタントが街頭インタビューに出た。ガールフレンドができた彼氏、嬉しくて親友に彼女を紹介。印象を聞いたという想定。
<What do you think of my new girlfriend?>―――。プラカードに二つの文章があった。「どう違うか」と聞いたのだ。
(1)I really don’t like her.
(2)I don’t really like her.
最初のネイティブの男性―――。(1)は<dislike>(嫌い)という意味。でも(2)なら
<might be nice>―――「ひょっとするといい人かも…という意味だ」と答えた。
次に聞かれたネイティブの女性―――。(1)は<strong>(強い)否定。「嫌いだ」という意味.。だが(2)なら<softer>(柔らかい)否定。「必ずしも悪くない。<not bad>だ」と答えた。大西先生の感覚、呼吸は正しい。検証された。
つまり学校英語のように「<区別>して考える」必要はない。実際の会話でそんなことを考えていては<話にならない>―――<後続>を否定と思っていれば良い。
(1) With my wife’s approval, I didn’t take the job.
(2) ,I didn’t take the job with my wife’s approval.
もう大丈夫でしょう。上記の違い。(1)は <With my wife’s approval>は否定されていない。だから「妻の許しを得て、その仕事を受けなかった」。(2)は「妻の許しを得て仕事を受けたわけではない」(勝手に受けた)―――。
さて<not>を活かした<大人の会話>―――。<What do you think of my new girlfriend?>に<I really don’t like her.>と言ったら強い否定。相手の怒りを誘いかねない。でも<I don’t really like her.>なら「好きというわけでもない」―――。相手は<Well,she’ll grow n you.>(そのうち、だんだん気に入るさ…)と会話が弾む。
このように<really><always>など<強い>語句は<not>との位置関係で意味が変わってくる。これが<学校文法>で<部分否定>と区別され、<特別>扱いを受けた。
<Not many schools have such excellent facilities.>(こんな素晴らしい施設に恵まれた学校はそれほどない)。
<Not all the workers went on strike.>(労働者全員がストをしたわけではない)。
<The most intelligent professors are not necessarily the best teachers.>(もっとも有識な教授が必ずしも最上の教師とは限らない)。
だが大西先生は<部分否定>などという用語は意味がない。<強い>意味の単語が<not>の否定を受け、意味が弱くなっただけ―――。ウーン、やっぱり<目からウロコ>だ!!
最後にゲストの二人に<大人の会話>ミッションが出た。内気そうな学生、いとうあいこさんに気があるみたい。彼女のセリフ。<Sorry, you aren’t really my type.>―――。
鴻上尚史さん、彼女からプレゼントをもらったが、イマイチ気に入らない。<This is not exactly what I expected>―――。
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