火山の独り言

時ならめ 風に挑みて 鯉のぼり

官邸主導

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「04年の人事で誰もが予想しなかった武部勤を幹事長に抜擢したのは<郵政解散>を睨み、党執行部の反逆の可能性を限りなくゼロに近づけるためだった。『いざという時、小泉に固く忠誠を誓って衆院解散にも猪突猛進できる人物』かどうかが決め手だった」(清水真人「官邸主導(小泉純一郎の革命)」(日本経済新聞社・320頁)。

小泉純一郎は橋本内閣時代、橋本行革の中間報告にあった<郵政3事業民営化>が幹事長代理で郵政族のドンだった野中広務によって跡形もなく葬り去られるのを見て激怒した。「俺が総理大臣にならない限り、郵政民営化はできない」―――。そう、決意した瞬間だ。
陣笠議員だった頃、派閥の領袖だった福田赳夫が<三木降ろし>に走るのを見て<総理総裁>の<座>を軽く扱う自民党の<ご都合主義>にも激怒した。大恩人の福田赳夫にたった一人で食ってかかった。以来「内閣総理大臣の権力」を徹底的に研究した。

小泉が得た教訓。「<宰相>の究極の権限」は<解散権>と<人事権>ということだった。「機を見るに敏」…。<バルカン政治家>とまで言われた三木武夫。<三木降ろし>の挙党協の包囲網と戦い、しのぎにしのいで最後まで屈しなかった。
「<総裁>でなくなっても<総理>だ」と叫び続けた。「総理なら<解散権>という<伝家の宝刀>がある」と頑張った。だが閣僚20名のうち15名は派閥領袖の選んだ<反三木>陣営。解散の手続きに必要な<閣議決定>で行き詰った。さすがの三木も全閣僚を<罷免>して自分が<兼務>という<蛮勇>はなかった。

小泉はこれを<反面教師>とした。<内閣・党>人事は誰にも相談しなかった。自分への<忠誠度><求心力>を高めるため<100%小泉>を重視、人事は<独断専行>を貫徹した。
2001年4月、最初の「閣僚名簿」―――。提示した小泉は「驚天動地だろう…」と笑った。
一同は息を呑んだが誰も何もいえない。憲法が保証した内閣総理大臣の専管事項だからだ。

自民党の慣行にどっぷり漬かっていた亀井静香、綿貫民輔、野中広務、野田聖子などは小泉の決意に気づかなかった。「参院否決で衆院解散はない」「500%ない」―――亀井静香は放言した。野中広務は<踏み絵>発言に激怒した。「思い上がりもはなはだしい」…。
だが<郵政解散>は実行され、小泉に<歴史的勝利>をもたらした。これはすべて<小泉マニフェスト>に始まる<小泉戦略>が勝利をもたらしたのだ。

「独裁者」「ヒトラー」との批判が高まった。「自民党から自由にモノが言える美風が消えた」―――。だが幹事長の武部勤は言った。「それは違う。何でも自由に言える。取り巻きはイエスマンばかりというが、私のは<偉大な>イエスマンだ。大臣には<官僚>の言いなりになるイエスマンがいるが、私は総理総裁を支え、その方針を忠実に実行する。そこが違う」―――。至言だ。

だが武部自身、小泉政権発足前は<反小泉>を公言していた。盟友・山崎拓の側近。農林族の傍流だが、馬力がありそうなので族主流を揺さぶる狙いで農相に抜擢。だが意欲を燃やそうとした瞬間、BSEの不用意発言で責任追及を受けた。辞表を懐に苦悩の日々となる。
この時、小泉は大方の観測に反して次の内閣改造まで辞意を認めず<暗黙の人事権>で徹底的にかばった。武部は感激、以降<親小泉>に転じた。その後、自民党政調副会長、03年の衆院選では<小泉マニフェスト>作りの中核を担った。

「総裁選で負けても総理大臣として解散」―――小泉は法的に問題ないことを調べ上げた。今まで誰も本気で考えたことはない。そんな異例の解散で<小泉新党>で打って出れば、自民党は大きく割れ、元の姿で存続することはありえない。「自民党を変える、変わらなければぶっ壊す」というあの<公約>の現実化だ。

小泉と疎遠で、その思考方法に接することの少ない野中や亀井ら反小泉勢力は「そんなバカげた芸当ができるはずがない」と決め込んだ。古賀誠も野中との縁で反小泉に加わった。
ここで焦点になったのが橋本派。野中は打倒<小泉>で突っ走った。だが参院のドン青木幹雄は動かなかった。青木が同調していたら小泉の再選はありえないという情勢。

森とともに小泉を支え、後見人として時に苦言を呈してきた青木。野中と違って「負けても解散」という小泉の<本気>を肌で感じていた。小泉ならやりかねない。そうなったら自民党は崩壊する。青木は苦悶に苦悶を重ねた。

竹下登が大蔵大臣の時、小泉は大蔵政務次官。以来、竹下と親交を維持してきた。竹下の秘書上がりの青木には参院の支配権を委ねるなど礼を尽くして政権にひきつけてきた。
一方、郵政族のドン野中は逆に徹底的に<冷遇>してきた。最大最強の派閥への見え透いた<分断>作戦。だが政権発足後2年半、徹底して貫徹した結果、小泉への距離感の違いもあって、野中と青木は激しく反目することになった。

青木から見れば自分が<反小泉>に走れば、小泉は「自民党ぶっ壊し」に突入する。反面、小泉支持に回れば野中との対立は決定的。橋本派は分裂する。進むも地獄、退くも地獄。小泉は究極の<踏み絵>を青木に突きつけた。野中はそんな青木の苦衷に気づかなかった。

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