火山の独り言

時ならめ 風に挑みて 鯉のぼり

官邸主導

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日本の「議院内閣制」は英国を源流とする議会制民主主義とは異質。実際は<官僚主導>。首相は<閣議>への<発議権>さえ持たず、<閣議>は<事務次官会議>の決定を追認するだけ。<官邸主導>など想像もできない実態だった。

大蔵省の元高官で「ミスター円」の異名を持つ榊原英資氏は近著「分権国家への決断」で興味深い<官僚>論を展開している。正直に書くと火山は彼を大嫌いだった。さぞかし猛烈な<官僚>擁護論を書いていると思った。だが違った。中央集権にアグラをかく官僚を痛烈に批判している。だから<分権国家>論を書いたのだ。

榊原氏は長野県民が「議会がクビにした田中康夫知事を再選した」ことから話を始めている。「長野県は他の多くの地域と同様、公共事業の受益者だった。県や市町村の政治は公共事業を中心に、ここ数十年、いや明治以来展開してきたのだ。しかし、多くの県民は、実は主たる受益者は既存の政治家や建設業者たちであって、自分たちではなさそうだいうことに気づき始めたのだ」(12頁)と鋭く指摘している。

「この現象(知事をリコールした議会に長野県民のノー)は比較的新しい展開である。『土建国家』的地方利益論は、明治以来の日本の政治の中心イデオロギーであり、少なくとも1970年代までは、そこそこ成功してきたパラダイムだった」(12頁)。面白い指摘だ。

榊原氏は「明治の『革命』の二つの柱は、廃藩置県と新しい学制の創設」と説く。そして「廃藩置県は、県知事を任命制とする等、東京をハブとする独自の中央集権システムを確立する」「明治のリーダーたちが工夫したのが、律令時代以来存在してきた官僚機構を政治から中立化すると同時に社会全体から遮断し、超然化させて、目標達成のための具体的手段の行政システムに大幅に委任することであった」(16頁)と進める。官への<丸投げ>。総理以下、大臣は官僚の<傀儡>となる。

「日本型中央集権システムを背後から支えてきたのが、新しい教育制度の確立とそれと平行して一般庶民まで拡がっていった『立身出世』のイデオロギー」(17頁)。これも鋭い。「末は博士か大臣か」―――という話だ。
「『立身出世』の基本的前提は学問であり、学問の有無が社会的地位の上下を決める。門閥や志ではなく学問的能力が人材の社会的選抜の基本」だった。明治の新しい意味だ。
だが戦後もずっと続き、高度成長を支えた後、<腐敗>してきたところに問題が起きた。

「日本型中央集権は極端な型の東京一極集中現象を生む」「東京に政治・行政権力が集中しているだけでなく、民間企業の本社も集中しており、大きく欧米先進国とは異なっている」「東京に相当するニューヨークには金融機関の本社こそ存在するが、製造業、サービス業の本社は各州に分散」「ロンドン、パリ、ベルリン等にも東京型集中は見られない」と続く。

「猛烈なスピードで『近代化』、産業化を達成し、植民地化を逃れ、キャッチアップして行くためには、この異常な東京一極集中は有効であったし、やむをえなかったのかも知れない」―――。
火山も同感。東アジア諸国はこれを<開発型独裁>と称し、見習って急速に発展してきた。
中国は<開発型独裁>の急進する経済地域が珠江デルタ、長江デルタなど<6つ>あり、大前研一はこれを<中華連邦>と名付け、底知れない中国発展の原動力と見ている。

だが日本の場合、<東京一極集中>は官僚が企んだもの。「そのプロセスで地方の活力が奪われ、地方の制度的中央依存体質がつくられていった」「主要地方都市でも、地方財界の中心がほとんど、電力、ガス、地方銀行という姿は異常である」。
「公選によって大統領型の強い行政権限を持つ地方自治体も、地方交付税交付金、あるいは国庫支出金(補助金)によって、財政的に中央に強く依存し、自主性を大きく中央官庁によって制約されている」(19頁)と鋭い指摘が続く。―――同感だ。

「長野県知事選が象徴的意味を持つのは、長野県民、そして恐らくは日本国民が、実感としてこのこと(中央集権の弊害・腐敗・機能不全)に気づきだしたことだろう。地方政治家、県庁・建設会社の間に典型的に見られる政官業の複合体は、腐敗し、汚職事件が相次いでいる」―――。凄い。
田中角栄が「列島改造」でトコトン追及した「土建国家」―――。世界一の国家の借金をつくり、国民は<増税>や<年金・福祉高負担>を強いられ始めた。これを「少子高齢化」や「人口減」にスリカエさせてはダメ。

「世界に誇ることができた能力主義的日本の学制も、戦後の悪平等主義、経営能力の欠如から音を立てて崩れつつある。残されたのは、肥大化し、機能麻痺を起こしつつあるアグリーな巨大都市東京と、中央政府に「おんぶにだっこで依存している、あるいはせざるを得ない地方。東京と地方、先進輸出関連産業と規制と補助金漬けの国内製造、サービス産業(農業を追加すべき…火山)の二重構造の中で『近代』を越えるエネルギー、新しい時代への活力もなく閉塞する日本」(20頁)。これがエリート官僚だった榊原英資氏の言葉。
次回は<補助金>漬けがいかに有害か、榊原氏の言葉で語らせたい。+++続く+++

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