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たとえばこれは<格差拡大>か。今朝(5月15日)の日経「小売業は規制に頼らず知恵を絞れ」と社説。「ショッピングセンター(SC)など大型商業施設の郊外出店を規制する『街づくり三法』の改正案が今月末にも参議院を通過し、成立する見通しになった」という。
「衰退が進む駅前などの中心街を活性化するのが狙い」というのだが、<衰退化>の原因は<商店街>に<魅力>がないのが原因。これの解決が先だ―――。
「小売業の使命と面白さは、価格や品ぞろえ、店構えに工夫を凝らし、一人ひとりの消費者をひきつけるところにある。政治で新規参入を拒むのは、消費者から選択の多様さを奪うことにつながる」と日経の社説も言う。当然だ。国会議員は何を勘違いしているのか。
「今回の三法改正は駅前などに土地を持つ商店主や地権者が推進の原動力になったとされる。市役所など公共施設の郊外移転でまちの空洞化に拍車をかけた自治体が大型小売店に責任転嫁する形でこれを後押しした」と日経は指摘する。ズバリ的中。まったく同感。
一部の利益を優先、生活者という大多数を無視している。そんなのは<政治>ではない。
大前研一は近著「ロウアーミドルの衝撃」(講談社)の第4章「生活者大国への処方箋」で「<補助金>や<規制>が日本の農業を荒廃させ、小売業やサービス業の低い生産性を助長、日本の生活者に途方もない<割高>の生活費を負担させている」と指摘している。
<保護>や<規制>による<護送船団方式>は「百害あって一利なし」―――。
金融ビッグバーンで弱小の地方銀行、信用組合などの金融機関が不振に陥り、倒産に追い込まれたのは長年の<保護>で<雨後の筍>のように増殖したから。過剰となった半面で自らの経営努力を怠ってきたツケだ。競争力を失ったのは自己責任を放棄した結果。
「『個性的な商業』に正面から挑戦する動きは、実は全国で始まっている。大分県の豊後高田市ではさびれた商店街を『昭和の町』として売り出し、ほんの数年で1日に観光バス50台が来る人気観光地となった。
名古屋市の古い商店街、大須ではファッションなどを扱う若い商店主をまちの外から積極的に受け入れ衰退から脱出、今では流行の発信地だ」という。
「滋賀県彦根市の『四番町スクエア』はアーケードを外し建物を建て替え、大正時代風の町へと丸ごと衣替えした。この時、店舗存続の意思がない店主には思い切って廃業してもらい、外部から開業希望者を受け入れるという『リストラ』を行った。廃業店の土地で駐車場も新設できた。元気な商店街ではこうした新陳代謝が絶えず行われている」と続く。
全部、正論だ。こうした事例―――。<新規参入><廃業><建て替え><新陳代謝>―――は<痛み>を伴う<リストラ>だ。だがこうして<元気>が出て<活性化>が進む。
別の言葉でいえば<競争>の奨励。<保護>や<規制>や<補助>では元気は出ない。
「小泉改革で<格差>が拡大した」―――。マスコミがやかましい。だが事実に反する。格差の<指標>の<ジニ係数>を先日示した。日本はアメリカや英国に比較して<格差>は小さい。貧富の差は少ないのだ。
日本は<競争>社会でもない。<談合>や<癒着>そして<随意契約>の横行。どこに<競争>があるのか。農業や小売業―――<保護>や<規制>だらけ。これらが<低生産性>を温存、<国際競争力><涵養>のチャンスを奪い、日本の物価高を増長させる。
大前研一は「市場開放が生活の<質>を劇的に変える」という。たとえば<家は600万円で建つ>! お米は<4分の1>で牛肉は<5分の1>の価格で買える。ほんの一例だ。
経済同友会の北城格太郎(代表幹事)や早大大学院の川本裕子(教授)は言う。「弱者の仮面を被った強者(既得権者)に注意しよう」―――。まさにズバリ。
大前研一は「日本ではサイレント・マジョリティ(ものいわぬ大衆)の利益をノイジィ・マイノリティ(うるさい一部利益団体)が奪っている」という。族議員や官僚の犯罪だ。
梶山静六は「政治とはカネのあるところからカネのないところへ回すこと」が<信条>だった。<利益誘導>の権化。この手が今も横行している。<保護><補助><規制>だ。
小泉政治<批判>を強めている<加藤紘一>―――。昨日もテレビに登場。「小泉改革の問題点は竹中(平蔵)エコノミストに<政治>を任せたこと。<競争>すれば豊かになる。『儲けて<六本木ヒルズ>に行こう』と煽って<落ち着きがない>国にしてしまった。競争して大きくなったパイから<負けた>人に<分け前>を回せばよいというが、それでは負けた人の<心>は傷つく」と発言していた。これは酷い<事実歪曲>だ。
既に述べたとおり、日本は<競争>社会でもない。<格差>も拡大していない。確かに<フリーター>や<ニート>と呼ばれる若者の増加は問題だ。だがこれは<競争>が生み出したものだろうか。もし<学歴社会>や<受験競争>の問題だとしたら<別の問題>…。
元財務省高官で<ミスター円>の異名を持つ榊原英資は「日本は<国家社会主義的>な資本主義」と言っている。自由競争の働く「<典型的>な資本主義」ではないのだ。「実質的な<官僚支配>が補助金漬けによって<社会主義的>低生産性セクターを温存している」(「分権国家への決断」毎日新聞社)と厳しく指摘している。
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