火山の独り言

時ならめ 風に挑みて 鯉のぼり

恋のバトルは燃えあがる

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飲み会で悪酔い。美咲は洗面所へ。ライバルの帰国子女エリとバッタリ出会った。恋しいマイクに心にもない悪態をつき、バツの悪い美咲。美咲の味方の天使アンジェラは姿を見せない。アンジェラとも仲違いしてしまったのだ。

<Did you get drunk?>(酔ってしまったの)とエリ。「仕事だもん、日本語で話せば?」とついエリにも当たってしまった。<Your personality changes when you’re drunk. Misaki, have you snapped?>(酔うと人が変わるのね。美咲、何、イラついてるの…)。

「エリはいいわね。英語ができて。みんなから頼られて、やりがいのある仕事もできて…」。
<To put it bluntly,>「はっきり言って、美咲、アマイんじゃない? 楽しくてバイリンガルになったんじゃないのよ! 子どもの頃から苦労したんだから。話す言葉が人と違ってて…」。<That’s why I made up my mind to become successful.>(だから、ウマクやろうって決心したの!)「仕事なんて、大変に決まってるでしょ!」<There’re no easy jobs!>(楽な仕事なんてないのよ)―――。エリに言われてしまった美咲。

<Linda will be disappointed in you. She’ll never give you another chance. Don’t rely on other people to make your wishes come true!>(リンダはガッカリすると思うわ。もうチャンスを与えてくれないかも…。夢を実現するには他人を当てにしてはダメ…)―――。美咲はアンジェラの言葉を思い出した。

「美咲のお蔭で酔いが醒めちゃった」<I’m sober now.>とエリ。<I want to make a speech in English.>(英語でスピーチさせてほしいなあ)と久保田部長。今夜は飲めない。英語の勉強がある。テストの準備…といっていたはずが、しっかり酔っている。火山とよく似ている。
<Please be brief. It’ll spoil the party,>(簡単にお願いします。皆、シラケちゃうわ。)「ね、マイク…」とエリ。やっぱりエリは凄い。

<Misaki,how are you feeling? Why don’t you join us?>(美咲、気分はどう。こっちへ来たら…)―――。あら、今夜のマイクは優しいぞ。
<I’m feeling better now. I’m sorry.>(よくなったわ。さっきはごめんなさい)―――美咲も少し素直になれた。でもやっぱり仕事は大事だ。アンジェラのいうとおりだ。
「あー、ちょっと用事を思い出して…」<I have to go back to the office.>(仕事をしなきゃ…)と美咲。<Angela……Come back to me……!>(アンジェラ。お願い。帰ってきて…)と美咲は反省をこめ、心の中で祈った。

連載「恋のバトルは燃え上がる」も今回で<14回>―――改めてご紹介する。これはNHKテレビ「1日まるごと英語で話そう」。火山は朝6時50分から毎週水曜日に見ている。ただここに出てくる日本語訳は全部<火山>。テキストのものとは一致しません。
この投稿の秘めた狙いはテレビ英語「ハートで感じる英文法」の大西泰斗先生の著書「英文法をこわす」(NHKブックス)のご紹介。名著です。まさに「目からウロコ」―――。

今日の研究テーマは美咲のセリフ<I have to go back to the office.>(仕事をしなきゃ…)。「<must>と<have to>には共に<ねばならない><ちがいない>と二つの意味がある」。ただ<have to>には<must>と微妙に異なる成分が混入。<客観性>と前回ご紹介した。

(1)I must get dinner ready.(2)I have to get dinner ready. どちらも日本語に翻訳すると<夕食の準備をしなくちゃあ>―――。まったく同じ日本語訳。どちらも<話し手>は<高い圧力>を感じている。でも(1)の<must>は「しなくては」という話し手の<心持ち>を表しているだけ。一方、(2)の<have to>は「もうすぐ子どもが帰ってくる」など客観的な必要性が感じられる。
もう一つ。(1)The butler must be the murderer.(2)The butler has to be the murderer.<執事は殺人者に違いない>。(1)は単に「私はそう思う」。だが(2)は何か緻密な証拠を積み上げた感触。名探偵シャーロック・ホームズが発言しているようなもの。

そこで今日の美咲<I have to go back to the office.>(仕事をしなきゃ…)の<have to>。「<客観的>な必要性」という美咲の<切ない気持ち>が表されている。彼女自身はマイクと一緒にいたいのだ。自分の意志の<must>は使っていない。

前回の事例も点検しましょう。久保田部長の(1)I have to study English tonight.(今夜は英語の勉強なんです)。(2)I must get a high score in the English test.(英語の試験では良い成績を取りたいもんですから…)。(1)の<I have to>は会社からの要請(圧力)。だが(2)の<I must。は自分の意志で自分に<圧力>をかけている。

一方の上司リンダの<All Japanese managers in our company have to take an English test regularly.>(当社の日本人管理職は定期的に英語のテストを受ける必要があるのよね)はリンダの意志ではない。会社の要請<客観性>だ。

いかがでしょう。まさに「目からウロコ」ではありませんか。

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