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<注目>の長野県知事選、現職で三選を目指した田中康夫が元自民党衆院議員の村井仁に敗れた。「村井氏は<独断的>とも評される田中氏の政治姿勢を批判、支持組織を固めて競り勝った。田中氏は財政再建など6年間の実績を強調したが、無党派層の支持離れが響いた」と今朝の日経朝刊は書く。
「村井氏は自民党県連や連合長野などの支援で組織票を固め、無党派層取り込みにも重点を置いた。歳出削減を最優先する田中氏に対し、公共事業や産業振興策などで一定の財政支出が必要と主張し、経済の活性化を訴えた」と日経は続く。コンパクトな記事に要領よく、問題点が集約されている。要するに長野県民は<仮面>に騙されたのだ。情けない。
<最悪は長野県>―――。7月6日、総務省が発表した自治体の「財政健全度」の指標。47都道府県の中で<隠れ借金>などを含め試算した結果。<収入>に対する<借金の負担割合>が長野県は<20.1%>もあり、もっとも健全な<神奈川県>の<9.7%>の2倍以上。
こうなったのは<長野オリンピック>に象徴される<過大>な<公共事業費>。極端な<ゼネコン優遇>が<諸悪>の根源。田中知事のリコールも<土建癒着>にドップリ依存してきた<県議会>の<反撃>だった。それを拒否したはずの県民が今回、また騙された。
「<土建国家>的<地方利益>論」―――。いったい誰の<言葉>でしょう。驚くなかれ!<ミスター円>=元財務省<高官>の<榊原英資>氏です。7月2日、滋賀県の現職知事で破れた<国松善次>はこの典型だった。滋賀県の借金が<9000億円>にもなり、財政的に<破綻>しているのに<利益誘導>で<県政>に<権勢>を振るってきた。<自民・公明・民主>推薦と<オール与党化>していたのに破れた。知事も与党化した県議も県の<借金>を増やして自分の<当選>をかちとってきた。税金を<クイモノ>にしてきたのだ。
榊原英資は「分権国家への決断」(毎日新聞社・2002年11月発行)に書いた。長野県議会に不信任された田中康夫知事が圧倒的多数で再選されたのは「県議会、多くの市町村長等に代表される旧秩序に対して、県民が再びノーと言った」(12頁)のだ。オール与党化した長野県議会。だが長野県民は賢くも、これに<ノー>と言ったはずだった。
榊原は「この現象は比較的新しい展開である。『土建国家』的地方利益論は、明治以来の日本の政治の中心的イデオロギーであり、少なくとも1970年代までは、そこそこ成功してきたパラダイム」(12頁)―――。
「長野県知事選が象徴的な意味で重要なのは、長野県民、そしておそらく日本国民が実感としてこのことに気づき出したことだろう。地方政治家、県庁、建設会社の間に見られる政官業の複合体は、腐食し、汚職事件が相次いでいる」(20頁)。
7月2日、滋賀県民もとうとう、これに気づき<ノー>と言った。だが情けない。肝心の長野県民は、今回は騙されて<イエス>を与えてしまった。
これは<小泉改革>にも逆行している。国の予算に占める公共投資関係費はピークだった1997年度(補正後)は17兆4000億円。2004年度は小泉改革で8兆7000億円に減った。
それでも国際比較で見ると、日本の公共投資(一般政府ベース)の国内総生産(GDP)比は2002年度で<4.6%>と米国<2.5%>、ドイツ<1.6%>、英国<1.3%>など他の先進国に比べ飛びぬけて高い。まさに<土建国家>。<イエス>が良いはずはない。
長野県民は騙されて<土建国家>的<地方利益>論に一票を投じた。村井仁は「公共事業や産業振興策などで一定の財政支出が必要と主張し、経済の活性化を訴えた」のだ。
7月4日の日経は「滋賀県知事選<公共事業NO>の新人当選」<与野党、広がる波紋>と政治面で記事にした。自民党の執行部は痛烈に反省した。<賢く>も<教訓>を今回の<長野県知事選>で徹底的に生かした。今朝8月7日の日経の記事ではっきり読み取れる。
「独断的な田中県政に『NO』の結論を出した。党派を越えて幅広く支持を集めた結果だ。
村井氏は混乱する県政を正常化する」。昨夜、自民党の武部勤幹事長が勝利談話で述べた。
<独断的><県政を混乱>―――。<土建国家>がバレる<政策論争>を避け、<政治姿勢>や<政治手法>を<争点>にした。「田中知事のパフォーマンスに県民は飽き飽きしたのではないか」―――。久間章生総務会長の記者会見で出た言葉。<パフォーマンス>という言葉で<批判>した。同じ手口だ。
「自民党が推薦するより『県民党』でやった方が支持が広がる」。自民、公明、民主の相乗り候補が予想外の敗北を喫した教訓を生かし、無党派層の取り込みに智恵を絞った。
「村井氏も無党派層を取り込むため、自民党とあまり接点のなかった市民団体との連携に踏み出した。『旧来の県政に復することなく、混乱・停滞した現県政を県民と一体となって改革する』。村井氏は同氏の推薦を決めた市民団体『新長野県政連絡会』に確約書を提出した」と日経の記事にある。呆れてモノがいえない。
村井仁は<郵政民営化法案>に<反対>した衆院議員だ。つまり<特定郵便局長会>とつながりがある。今回も「村井陣営が<反田中>を旗印に旧来型の組織を結集し、集票マシンを回転させたことが勝因だ。村井氏には約五百の団体から推薦状が寄せられた」と日経―――。さもありなん!要するに<旧自民党>の総力結集が長野県民を騙した。火山、悔しい。長野県民の皆さん。棄権したり、騙されたり―――。このツケは大きいですよ!
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