火山の独り言

時ならめ 風に挑みて 鯉のぼり

小泉劇場

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9月16日の「天声人語」は次のよう始まる。「中世のドイツの町に不思議な男が現れる。男は報酬をもらえるなら、人々を悩ませているネズミを全部退治してやると約束する。グリム兄弟の『ハーメルンの笛吹き男』の物語だ。
男が笛を吹くと、家々からネズミが現れ、男の後をついて川に入り、おぼれた。しかし、金が惜しくなった町の人たちは支払いを拒絶する。男が再び笛を吹くと、今度は子どもたちが集まってきて、男について町から消えてしまった」―――。

「天声人語」が言いたいのは第一に「先週亡くなった歴史学者の阿部謹也さんは『一言政治』で注目された小泉首相を『ハーメルンの笛吹き男』にたとえることについて『自然なこと』と述べた」と書いた後、『小泉さんの言葉が空虚なのは、理念や理想が欠如したまま語られるから』(アエラ)ということ。
第二に「それがまかり通るのは『私たち日本人全体が理念や理想を必要と思わず、今もって<社会>ではなく<世間>の中で生きているから、にほかならない』。<世間>とは<金や名誉、義理>などへの関心でできた世界のことだ」と続ける。

アエラは「小泉さんの言葉は空虚」「理念や理想が欠如」という。冗談じゃない。「官から民へ」「中央から地方へ」「聖域なき構造改革」は<理念>や<理想>ではないのか。
「小泉は自民党の派閥政治を否定しながら総理大臣になったのであり、痛みを伴う経済改革の必要性を強調しながら爆発的な人気をえたのである」(ジェラルド・カーティス「永田町政治の興亡」新潮社・8頁)。
「小泉改革が目指すものは旧来型の自民党政治の破壊である。派閥による党内の秩序、当選回数主義による人事、下からの積み上げによる政策決定など55年体制を突き崩そうしている」(日本経済新聞社政治部「政治破壊(小泉改革とは何か)」日本経済新聞社・2頁)。

「小泉さんは、官から民へ、中央から地方へ、そして自由競争に基づく市場原理といったものを考えて政治をやっていらっしゃると思うので、それはそれでいいと思っています(中略)。ただそれを徹底していきますと、従来からの自民党の支持基盤そのものが崩されることになる。支援団体がなくなっていくことになりかねないので、小泉さんが、自民党を潰すつもりと言ってらっしゃるのは案外冗談ではなくて、本気であれば、次第に支持基盤はなくなっていくかも知れない」(「聞き書・宮澤喜一回顧録」岩波書店・329頁)。

「自民党の大原一三(衆議院議員。元農水相)が若き日の小泉を語る。『リーゼントスタイルで洒落た若造がいるなと思った。だけど、いうことが面白かった。その頃から<財投をゼロにしろ><こんな無駄はやめろ>などと言っていた。二人で初めて特殊法人の整理みたいなことを手がけたが、成功しなかった。世の中がまだ<財投、財投>と言って金をどんどん引っ張り出していた時代だったからなあ』(塩田潮「郵政最終戦争」東洋経済新報社・110頁)。―――これが小泉首相が<改革の本丸>と位置づけた<郵政民営化>の原典であることは明らかだ。今から4半世紀前の1980年代初頭の頃である。

<方針>は民間企業では非常に重要。人・物・金・情報などのすべての経営資源はそこに重点的に投下される。そべての<思考><努力>はそこに<集中>される。
火山にはファッション<方針>があった。「<背広>は<茶>系。吊るしを買う」―――。新入社員の頃から定年まで一貫していた。購入の時<費用と時間>を<節約>できた。しかもネクタイ、ワイシャツ、靴下、靴、カバン、メガネ、時計に至るまで、自然にコーディネイトできた。センスの良い服装が簡単にできるメリットは莫大だった。

小泉内閣の<官から民へ><中央から地方へ>は理念であると同時に<方針>だった。ここに<財政>も<人事>も<サービス>も集中すべきだった。妨害したのが<官僚>。皆で<骨抜き>にした。もちろん<族議員>も暗躍した。多くの利益団体も妨害に走った。
<道路公団民営化><郵政民営化><三位一体改革>―――。不十分だったと批判が多い。
<抵抗勢力>が<面従腹背>したのだ。これを<理念>や<理想>がないと言っては困る。

公立学校職員給与の<補助金>、小泉首相は<全廃>の方針。だが<中教審>を<楯>に文部官僚はこれを無視。補助金は<3分の1>に減額、国主導の<既得権>を死守した。
悪いのは<官僚>と<族議員>だ。今も<消費者金融>の<グレーゾーン金利>で族議員が<業界>の利権を死守、後藤田正純政務官が抗議して辞任した。ワルは誰か明白だ。

小泉首相の最大の功績は<官邸主導>のトップダウンで改革を進めたこと。予算編成の権限を<財務省>から<経済財政諮問会議>に移した。竹中平蔵担当大臣を信頼、<諮問会議>を<司令塔>にした。亀井静香議員を筆頭とする抵抗勢力は<議会制民主主義>の否定=<独裁>と攻撃した。だがこれは<本場>英国では常識の<手法>なのだ。

歴史学者で一橋大元学長の阿部謹也は<ハーメルンの笛吹き男>に小泉首相を<喩え>た。「ネズミとは<官僚>と<族議員>」。<約束>を守らなかったのは誰だろうか。
「天声人語」は「小泉内閣で『構造改革』の旗振り役だった竹中総務相が参院議員を辞任したいと述べた。任期は4年近く残っているが、『笛吹き男』と共に旗も去ってゆくのか。改革はまだこれからのはずなのに」と結ぶ。この種の論調は多いが、無責任な放言だ。

竹中大臣は永田町と霞ヶ関に<絶望>した。彼は叩かれ、満身創痍になっても小泉首相を支え続けた。火山<連載投稿>の「官邸主導」を読んでほしい。同名の書庫にあります。
(平成18年9月17日)

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よくぞ書いてくださった!! あんな傲慢愚昧なコラムを読んで、尤もだと思っている人がたくさんいるのには、ほとほと呆れ返るばかり。竹中大臣・議員の辞職についても、テレビのコメンテーターとか称する輩がどんな無知蒙昧な放言を繰り広げていることか。それにしても優れた歴史学者である阿部謹也ともあろうものが、どうしてあのような白痴的暴言をしたのか、こちらの方はちょっと悲しくなります。

2006/9/18(月) 午後 2:49 [ - ]

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竹中バッシングのピンボケというか<悪巧み>には火山も怒り心頭。これから反論を執筆します。阿部謹也は読んでいませんので断言はできませんが、問題は「アエラ」と「天声人語」。阿部ご自身はは小泉を正しく理解しているのではないでしょうか。

2006/9/18(月) 午後 3:23 [ kom*_19*7 ]

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しかし、小泉元総理が言った「ブッシュ大統領のイラク戦争を理解し、支持します」発言は日本国憲法の違反です。
また郵政民営化に現れた改革は、ごまかしです。国民は誰も総理に郵政民営化を頼んではいない。これは国民みんなが彼の口車に乗せられて騙されたと言うのが真実でしょう。
小泉元総理は、政治の基本である減税と平和に逆らってイラク戦争に賛成し、イスラム世界に日本を嫌わせた。
これは取り返しがつかない。彼は戦争犯罪者だと言うのが正解です。日米協調と経済成長路線は「弱者は始末せよ」の新自由主義のアメリカ隷従路線です。彼の時代に非正規派遣労働者制度が整備され、障害者を切り捨てる障害者自立支援法の悪法が制定されて、弱者保護が切り捨てられてしまった。
結果、日本社会では貧富の格差が広がり生活保護世帯を増やした。政治の基本を忘れるお金持ち優遇政治、また国民に贅沢を強いる政治は人間を困らせる政治です。
戦争に賛成したり、お金持ち優遇で経済成長しても、それは目先だけの一時の成長でしかない。
結果、今の日本は武力増強で殲滅の危機にありです。

2013/8/22(木) 午後 11:07 jimmy

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というわけで、私には、イラク戦争に賛成し、弱者切り捨ての改悪政治をやった小泉元総理を称賛するのは考えられないです。

2013/8/22(木) 午後 11:10 jimmy

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<jimmy>さん、ようこそ。

ただ「国民は誰も総理に民営化を頼んでいない」というのは酷い事実誤認。民営化法案が参院で僅差で否決された時、小泉総理は衆院を解散、民意を問うた。そして歴史的大勝利を得た。世に名高い「郵政民営化選挙」です。事実をキチンと押さえないと、立派そうに見える議論も“空理空論”に堕します。

2013/8/23(金) 午後 0:07 [ 火山 ]

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ですから、その民営化は国民が小泉元総理の口車に乗せられたと言ったのです。国民は誰も民営化など小泉元総理に頼んだ覚えはないからです。
これは中曽根氏の国鉄民営化とおなじで国労を企業組合の御用組合にし、経済で労働者を奴隷にする政策を遂行したと言うだけです。
結果、社会党や共産党の労働者勢力が衰退してしまいまた。これが小泉さんや中曽根さんの狙いだったから騙された国民は、非正規派遣労働者制度をつくられてしまったのです。
でも、山賊でも獲物は山で分配するのですよ。富をお金持ちだけに集め、貧乏人を増やした格差政治は山賊にも劣る政治と見るのが正当でしょう。
小泉元総理を称賛するなど、私には到底考えられないことです。

2013/8/23(金) 午後 8:06 jimmy

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それに小泉元総理が言った「イラク戦争を理解し支持します」発言はテレビで報道された事実です。日本の総理が戦争に賛成するのは、明確な日本国憲法違反です。
多数決でも言って良いことと悪いことがありでしょう。
如何に民主的多数決で決定されたことでも、良心と人道に反する発言をした小泉元総理は、イラク戦争を遂行した戦争犯罪者だと言うのが正解です。

2013/8/23(金) 午後 8:12 jimmy

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「この国民にして、この政府あり」とは、火山が好きな福沢諭吉の言葉。「学問のすすめ」は明治5年(1872)の初版。140年前も今も、あまり変わっていない。

ただ<jimmy>さん。火山は<国鉄>民営化は大成功と信じています。JRは駅のコンビニはじめ、駅ビルの運営・サービスなど<民営化>のメリットは強く感じられます。

<郵政>民営化も、亀井静香、鳩山邦夫の反動!国民の支持が広がるようには思えません。小泉改革と「新民主主義」を混同する議論、火山は支持できません。亀井静香など、官僚ベッタリ。TPP反対一つとっても古色蒼然!自民党の<先祖帰り>は、安倍晋三、菅義偉、石破茂の路線でしょうか。これも火山、到底、支持できません。

新民主主義の<一方的>攻撃!ケインズの<合成の誤謬>から学ぶ姿勢を見失うと、成長戦略も見失う方向へ行きかねない。亀井・鳩山を支持するなど、火山には到底、考えられません

2013/8/23(金) 午後 8:27 [ 火山 ]

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それに小泉元総理が言った「イラク戦争を理解し支持します」発言はテレビで報道された事実です。日本の総理が戦争に賛成するのは、明確な日本国憲法違反です。
多数決でも言って良いことと悪いことがありでしょう。
如何に民主的多数決で決定されたことでも、良心と人道に反する発言をした小泉元総理は、イラク戦争を遂行した戦争犯罪者だと見るのが正当でしょう。
日本を戦争する国にしてはなりません。それは公共の福祉を増進しない。
経済はもっと利益共楽を狙わなければ日本も世界も一見は良いように見えても、それは目先だけで繁栄を継続させることは難しいと見なければならない。

というのは、利益共楽、これは人類普遍の原理と言うものだからです。そして、これは誰が言ったかと言う生ぬるいものではない。経済の均衡論でも言われているように数学的最大最少の原理から出るものです。
私たちは此処を隠されて政治家の口車に乗せられ目先の理屈に誤魔化されていてはならないのです。

2013/8/23(金) 午後 8:29 jimmy

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外交はいつでも「国益」優先です。日米基軸というマキャベリズムもある。集団的自衛権が行使できない現状。戦争犯罪人と言うのは「木を見て森を見ない」空理空論に近い。

2013/8/23(金) 午後 8:31 [ 火山 ]

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いやいや、話は飛ぶが、今の自民党政権が草案した日本国憲法には、この人類普遍の原理を破棄して吹き飛ばし、
憲法97条の
「この憲法が国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対して侵すことができない永久の権利として信託されたものである」

を削除しているのです。
そればかりではなく、憲法36条にある「公務員による拷問や残虐な刑罰は、これを絶対に禁ずる」とある条でも、「絶対」と言う文字を削除しています。
この「絶対」の文字の削除によって公益及び公の秩序に反しないなら、公務員によって、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所やイラクのアブグレイブ刑務所における捕虜虐待にあったように昔ながらの拷問の復活を許すことになる。これはもうならず者国家づくりを推進するのか?と言うのが自民党政権の正当な見方となる。

ですから、利益共楽を抹殺する政治は、目先だけで何をやられるかわからないのです。

2013/8/23(金) 午後 8:46 jimmy

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外交はいつでも「国益」優先です。
---

しかし、その国益は、人類普遍の原理を抹殺して何をやっても良いと言うものではありません。それはきちっと良心と人道の基本(殺すな、姦淫するな、盗むな、嘘つくな、貪るな(不公平であるなの意))が守られる範囲です。
だから、いかに国益と言っても戦争する国造りであってはならないです。

2013/8/23(金) 午後 8:51 jimmy

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<jimmy>さん、残念ながら、外交の現実は、トコトン突き詰めると、最も汚い国益に行き着く。<べき>論で行きたいのは、火山も同じですが、目下の現実は<空理空論>に近い。

アメリカや中国、ロシアに<貸し>を作れる<国力>(総合力)抜きに、いくらキレイゴトを並べても、無力です。

小泉は超リアリスト。アメリカに<貸し>を作ろうとしたにすぎない。集団的自衛権さえ封印されている現実を無視、戦争する国造りなどと血迷っていては、ますますバカにされる。外交や政治の薄汚さを、冷厳に見つめる賢さも必要です。

2013/8/24(土) 午前 4:22 [ 火山 ]

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自民党の現在の「憲法草案」、確かに問題が多い。しかし、先日、テレビに登場した河野太郎。同じ趣旨の疑問を呈している。まだ全党的討議以前の段階。

本格的な議論で、国民を参加させ、3分の2をクリアできる世論形成はこれからです。お互い、大いに関心を持ちましょう。

基本は「憲法は主権者たる国民が国家・政府を縛るもの。政府が国民を縛るのでは筋違い」!河野太郎も同じことを指摘していた。

憲法の基本を忘れた現在の草案は、恣意的で幼稚です。しっかり監視しましょう。

2013/8/24(土) 午前 5:55 [ 火山 ]


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