火山の独り言

時ならめ 風に挑みて 鯉のぼり

地方<格差>論

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「地方は悲惨」という<格差>論。「商店街がシャッターを降ろした」とよく話題になる。火山も見た。家内の実家に近い青森県の五所川原で―――。
五所川原駅(五能線)からタクシーに乗った。商店街は<シャッター街>に変身していた。市街を抜けると道路の両側は全国チェーンのロードサイド・ビジネス。店舗や看板が並んでいる。<岩木山>は美しい。昔のままだが、田んぼや畑も様変わり。義兄もファッションのチェーン店に敷地を貸していた。火山は驚いた。

日本の<小売業>の<変身>は1960年代から始まった。<流通革命>。<スーパー>=<SSDDS>(セルフ・サービス・ディスカウント・ディパートメント・ストア)が典型。その<旗手>が若き日の<中内功>。<主婦の店><ダイエー>だ。イトーヨーカ堂、ジャスコ(現イオン)も後発で参入した。渥見俊一、川崎進が主催する<ペガサス・クラブ>が<流通革命>の理論と実践を指導、全国に<旋風>を巻き起こしていた。

何を隠そう。火山は当時30歳。新婚ホヤホヤだったが、リストラで人事部から追放。<生協>という名の<売店>に左遷されていた。そこで幸運にも<流通革命>の洗礼を受けた。
若かった火山、生協運動にのめりこみ、無謀にもスーパーや地域生協と張り合った。家賃が<タダ>という切り札があった。これを活用<エブリディ・ロープライス>(毎日が安売り)と、後に小売業で世界一になった<米国ウォルマート>式の<経営>を実践した。

2年もしないうちに生協本部(代々木)が火山の手腕を認めてくれた。全生協の経営指導に、スカウトされた。迷ったが動かなかった。もし転身していたら、まったく別の人生があったろう。人事から研修畑を歩んだ。だから「流通にはうるさい」。勉強したと言いたい。

最近、かつて<ミスター円>といわれた榊原英資(大蔵省国際金融局長、財務官を歴任、1999年から慶大教授)の「分権国家への決断」(毎日新聞社)を読んだ。素晴らしい。
「今、必要なのは地方からの<革命>である。日本に巣食う<利権構造>を<解体>せよ」。それが<日本再生の突破口>―――と訴えている。

「日本の食品加工業の生産性のレベルはアメリカの39%、フランスの41%に過ぎない。低生産性の主要な原因は関税等の輸入制限と極めて零細で細分化された日本の小売業にある。関税が低い植物油(関税0〜5.3%)は86%と比較的(生産性が)高いが、輸入制限が厳しい牛肉加工業(関税40.4%〜50%)は42%と低いレベルにある」(103頁)―――。
「輸入と流通にかかわる様々な規制が競争意欲を削ぎ、生産性を低下させている。こうした規制の背景には食品加工業・流通業に対する様々な<補助金>がある」(同)―――。

日本の流通業の<生産性>は低い。<商店街>の<小売業>は手厚い<保護>を受けてきた。郊外型の大規模経営など一部を除くと<競争力>がない。国民の利益になっていない。なぜ大型店舗は郊外にだけ開設されるか。<規制>があるからだ。それでも1980年代から家電業界にも<流通革命>が起きた。マーケティング本部の研修部長に抜擢された火山。再び<流通革命>を研究、実践した。

新潟の上越市に新しい<業態>が出現した。<パワーセンター>―――。全国的な話題になった。火山、家内を連れ、自費で見に行った。駅前の商店街をまず見た。驚愕した。立派なアーケードが新設されていた。補助金だ。だがゴーストタウン。人通りがない。店に魅力がない。品揃え、陳列、価格、接客態度、広報…。旧態依然、活気がない。

郊外のショッピング・センター。活気が違う。店舗が光っていた。様々な業種業態が競い合う。商品、陳列にパンチ。価格も買って帰りたいほどの<魅力>。<民間の活力>が横溢している。これでは勝負にならない。
商店街がシャッター街になったのは規制と保護に甘やかされ、競争力を失ったからだ。田中角栄の「列島改造計画」が農業と農家を破壊した。<補助金>が追い打ちをかけた。意欲のない<小規模><零細><兼業>農家が多くなってしまった。

1995年、農水省は<国際競争力>を強化すべく6兆100億円の農業補助金を獲得した。2000年が目標の<ウルグアイラウンド>対策。だが補助金は田んぼの区画や農道、農業飛行場の建設(ゼネコン)につぎ込まれ、肝心の<担い手><後継者>は定義すらできなかった。
農協が<補助金>を通じて農水官僚、族議員と<癒着><既得権益>を享受しただけ。

農家は<補助金>獲得の<口実>に使われただけ。補助金のためには<弱者>が必要。これからも<強者>=能力・意欲ある<担い手>は不要なのだ。小売業も食品加工業、農業も<競争>がない。<規制>と<保護>だけ。族議員と官僚は<利権>だけがほしい。

榊原英資は野口悠紀雄(早大大学院教授)と日本の<1940年体制>=<官僚支配>がいかに戦後日本を支配してきたかを研究した。日本は「資本家が自由かつ恣意的に活動を許す古典的な私的利益追求主義の資本主義ではない」(114頁)。「日本は数少ない成功した<社会主義>国家である。日本の資産・所得<格差>は先進資本主義国の中で、北欧のような規模の小さい国々を除けば最も小さい」(113頁)。<国際通>の榊原英資の言葉だ。

農業と農村が荒廃。若者が農家を離れた。商店街は大切な顧客を失い、郊外に奪われた。
これでも<小泉改革>は<弱肉強食>!<競争>で<格差>を広げたといえますか。
(平成18年10月11日)

「地方<格差>論」書庫の記事一覧

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新幹線も<シャッター街>をつくる。本日も投稿している『<新幹線は要らない>!<県と国>に挑戦した<60歳>市長の孤独な戦い』をお読みください。新幹線も<土建国家>ゼネコン優遇の一環です。もうソロソロ目を覚ましましょう。

2006/10/12(木) 午前 11:34 [ kom*_19*7 ]

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「シャッター街」については前にもどこかに書いたと思いますが、補助金で甘やかされたせいもあって、以前とはすっかり生活スタイルが変わったことに対応できないところから来ているので、「シャッター街」の店主たちや市の政治家たちが無能無策すぎるところから生まれるのです。改革によって生じたとされる「格差」とかのせいではない。腹立たしいのは筑紫哲也などのジャーナリストまでもが自分の頭で考え判断することなく、この状況を小泉改革のせいにしていること。だからこそ「くたばれマスコミ!!」なのです。

2006/10/12(木) 午前 11:53 [ - ]

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賛成です。日本中、不勉強がはびこっている。ワルは有権者を見くびって<格差>を騒ぎ、小泉のせいにする族議員や官僚。<反改革>に都合が良いからです。日本は<競争>社会などでない。<官主導>の<規制><保護>社会。これ以上、補助金や交付税で<地方>を縛り、<低生産性>の置き去りにさせてはなりません。

2006/10/12(木) 午後 1:44 [ 火山 ]

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完了と、一部の利権政治家が支配することは、いまさら、言うまでも有りません。私は、全く純粋な農村で暮らしますが、小泉改革が、弱いものイジメであり、農業と農民を利用したことだけは、ようやく、わかり始めました。

2006/12/7(木) 午後 10:36 [ tan*y*shi*35 ]

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農村と農民を崩壊に導いたのは農水省、族議員、農協というのがこの連載のコンセプト。小泉改革の<中央から地方へ><官から民へ>というのは それにストップをかけようとしたもの。道路財源一般化の戦いもアンチ族議員・官僚。雲行きが怪しくなりました。小泉ほど本気ではないからです。トンチンカンもここまで来るとご愛嬌!

2006/12/8(金) 午前 7:59 [ kom*_19*7 ]

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私は旧商店街といわれる地域に育っているから火山さんの主張にちょっとムッとしています。
たしかに接客態度やもろもろの面が客離れのきっかけになったと思いますが、それだけに責任をかぶせるのは乱暴だとおもいます。
どうやっても、大型店の利便性、低価格化には勝てません。いまは価格だけで左右されてしまいますから。大量仕入れ、大型化のコストダウンには個人中心の商店街は勝てません。改善はしていますが、もはや限界です。火山さんは地方で暮らしていないから表面的なことや書物から考えているからわからないのかもしれませんが。
火山さんの考えにショックです。

2009/5/30(土) 午前 0:48 [ しゅんちゃん ]

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<しゅんちゃん>さん、ようこそ!

上記の記事を<慎重>に読んでいただければ火山の真意はご理解いただけるはずです。

「農業と農村が荒廃。若者が農家を離れた。商店街は大切な顧客を失い、郊外に奪われた」。「新幹線も<シャッター街>をつくる」。「農村と農民を崩壊に導いたのは農水省、族議員、農協というのがこの連載のコンセプト。小泉改革の<中央から地方へ><官から民へ>というのは それにストップをかけようとしたもの」と指摘しています。

「駅前の商店街をまず見た。驚愕した。立派なアーケードが新設されていた。補助金だ。だがゴーストタウン。人通りがない。店に魅力がない。品揃え、陳列、価格、接客態度、広報…。旧態依然、活気がない」。これは見たままの事実です。このような甘え、甘やかしの構図が問題なのです。現役時代の火山、自分でもスーパー経営を体験し、商店街商法を徹底的に調査・研究しています。

2009/5/30(土) 午前 5:45 [ kom*_19*7 ]

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家内の故郷<五所川原>にもシャッター街が出現!火山、ショックを受けました。五所川原の街並みが大好きだったのです。郊外の田んぼも大好きでした。津軽富士と言われる岩木山!美しい風光!

そこに突如、郊外に出現したロードサイド・ビジネス。義兄の悪口は書けません。だから控え目にしていますが、本当にショックです。

家内への、そして彼女の故郷への、火山の想い。ご理解いただけますか。

2009/5/30(土) 午前 6:12 [ kom*_19*7 ]


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