|
この連載の“狙い”は「大都市と地方との<格差>を生み出した原因は何か」―――。「地方や農村は荒廃、シャッター街が増えた」という。事実だ。だが「弱肉強食の<競争>が原因」というとウソ。「競争」は原因ではない。むしろ<規制>と<保護>だ。「立松和平の誤り」という「書庫」に連載がある。「農村」と「自然」を荒廃させた“真犯人”は<族議員>と<農協>。後押ししたのは<農水官僚>。「補助金」漬けなのです。
「1955年、日本の農家の4分の3は専業・兼業を問わず所得の主要部分を農業で稼いでいたのに、今や農業所得が総所得の15%に満たない兼業農家が農家の4分の3を占める。米国の米作農家の農地平均114ヘクタールに対して、日本の農地は平均1ヘクタールしかない」(ジェラルド・カーティス「永田町政治の興亡」新潮社・50頁)。
「所得の<15%>しか農業収入がない農家が兼業農家の4分の3を占める」―――。恐ろしい。これでは<後継者>が育たない。「農業」の「危機」が若者を<農村>から追い出した。農村で<高齢化>と<過疎化>が進むのは農業に「明日」がないから。意外に思うかもしれないが、田中角栄の「日本列島改造計画」が<農業>と<農村>を破壊したのだ。
「『土建国家』建設の強力なリーダーが田中角栄にほかならない。1955年から1970年代のかけての高度成長の中で農業人口は1560万人(1955年、総就業者の38%)から669万人(1975年、総就業者の12.5%)へ急落。反比例して建設業の雇用は1955年の195万人から479万人に増大する」(榊原英資「分権国家への決断」毎日新聞社・115頁)―――。農業人口は891万人も減った。建設業は284万人増えた。<田中角栄>から始まっている。
「農業再編へ<再生機構>」―――。5月10日の日経が農水省の「農業版<産業再生機構>」の計画を報道した。日本農家の恐るべき<実態>が描かれている。「農業収入が所得の5割以上を占め、65歳未満の労働力がある中核農家<主業農家>は05年時点で<43万人>。90年の82万人と比べると、この15年で<激減>している」という。どうせお役所の数字。カムフラージュがある。
サラリーマンの定年が<60歳>なのに、なぜ農家を<65歳>以下で分類するのか。分りきっている。農家の<高齢化>は著しい。<60歳>以下にしたら<20万人>を切って<半減>してしまう。1995年でも<669万人>しか農業人口はなかった。今はもっと減っているだろう。仮に<500万人>。うち<43万人>が「主業農家」としたら<12軒>に<1軒>になる。その農家でも「農業収入」は<50%>。これを「主業」といえるだろうか。
農水省は「農家を増やす必要があると判断をした」と記事。バカバカしい。今まで何をしていたのか。ナントモ<手ぬるい>―――。農水省の<再編>計画は「大規模化で競争力強化」が狙い。「経営不振の農家や農業法人に対し、耕作地などを別の担い手に譲渡・売却するよう促すほか、金融面で支援する。経営体力の強い農家を育てて、日本の農業国際競争力を高める」と日経は報道する。
「(農業に行き詰まって放棄された)耕作放棄地は2005年時点で38万ヘクタールと15年で8割も増えた」と記事。ほぼ<倍増>した。酷い―――。「農業事業者は経営が行き詰まっても、自治体など公的な組織の仲介がなければ、他の担い手への売却は減速できない」という。<規制>=<保護>が<耕作放棄>を結果した。38万ヘクタール。計算が正しければ日本の国土<10分の1>に相当する。げっ。
「日本農業の<国際競争力>(農業生産性)は<世界最悪>だ」と大前研一の近著「ロウアーミドルの衝撃」(講談社)。「今や、日本人の8割がロウアーミドル(中流の下)以下。社会の地殻変動が始まった」と帯。ロウアーミドルの年収は<300万〜600万円>。火山はそれ以下の<ロアークラス>。年収は<300万円>以下のクラスだ。
「世界的にみれば高収入なのに、日本のロウアーミドルクラスの人たちが豊かさを実感できないのは、物価が高いからだが、その根本的な原因は日本の市場の閉鎖性にある。その典型が農業である。とにかく日本の食料品はバカ高い。米はアメリカやシンガポールの約4倍、オーストラリアの約3倍。小麦粉もアメリカやイギリス、シンガポールの2倍はする。牛肉はオーストラリアの5倍、シンガポールやアメリカの約4.4倍」(154頁)―――。
日本は「アメリカの80分の1しかない農地面積にアメリカと同じくらいの農業人口がいて、農地100ヘクタール当たりの人数はアメリカの約70倍、オーストラリアと比較すると476倍になる。農業補助金の絶対額は全EUのほうが多いが、農業生産額に対する補助金の割合は58%で日本が世界一だ。狭い農地にひしめきあう大勢の農家を、政府が補助金で養っているのが現状なのである」(156頁)。
「日本では1965年から始まった『土地改良計画』によって、農業基盤整備事業費という名の補助金が、これまでに4回にわたって投入されてきた。2006年度に終る第4次計画までの累積投資額は、実に約75兆円。75兆円といえば、オーストラリアの農地のほとんど、アメリカの農地の6割が買える金額である」(156頁)―――。げっ!
<国際競争力>は強化されたか。「生産性は最悪のまま。農業基盤整備の名目で国道より県道より農道を造るなど農家よりゼネコンが儲かるようなカネの使い方をしているからだ」。
(平成18年10月16日)
|
<chi*nu*>さん、ようこそ!
率直なアドバイス、有難うございます。
ご指摘の点、確かに、その傾向、懸念はあると思います。
大変な読書家(元経済学長=高名なマルクス学徒)からも、同じ指摘を受けたことがあります。
ただ火山は企業戦士時代<社内報>編集者。新聞型・雑誌型とも経験。定年後は「○○ゼミと私」という「記念文集」(菊版・354頁。表紙カラー)を自分で<全頁>レイアウト。出版しました。
「活字・レイアウト」とのお付き合いは<プロ級>!その“自負”が独特の形で現れる。この記事は数年前の投稿。最近は、やや“自制”しています。いずれにせよ、深謝!
2011/6/13(月) 午前 9:11 [ kom*_19*7 ]