火山の独り言

時ならめ 風に挑みて 鯉のぼり

地方<格差>論

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「市場開放が生活の<質>を劇的に変える」―――。「世界的にみれば高収入なのにもかかわらず、日本のロウアーミドルの人たちが豊かさを実感できないのは物価が高いからだが、その根本的な原因は日本の市場の閉鎖性にある。その典型が農業である。日本の食料品はバカ高い。米はアメリカ、シンガポールの約4倍、牛肉はオーストラリアの5倍…」―――。大前研一の近著「ロウアーミドルの衝撃」(講談社)の一節だ。

日本の農業には<国際競争力>がない。その原因は田中角栄の<日本列島改造>計画にある。田中角栄は明治以来の<土建的地方利益論>を極端に進めた。この結果、農業人口は1955年当時の1560万人から1975年年の669万人へ<半減>した。さらに追い打ちをかけたのが1965年から始まった<土地改良計画>というゼネコン向けバラマキだ。

「1965年から始まった『土地改良計画』によって農業基盤整備事業費という補助金が4回にわたって投入されてきた。2006年度に終る第4次計画までの累積投資額は実に約75兆円。75兆円といえばオーストラリアの農地のほとんど、アメリカの農地の6割が買える金額である」(大前研一「ロウアーミドルの衝撃」講談社・156頁)―――。げっ!
<国際競争力>は強化されたか。「生産性は最悪のまま。農業基盤整備の名目で国道や県道より農道を造るなどゼネコンが儲かるカネの使い方をしてきたからだ」(同・160頁)。

その被害を受けているのが、国民の8割を占める<ロウアーミドル>以下の生活者だ。
「今や、日本人の8割が<中流の下>(ロウアーミドル)以下。社会の地殻変動が始まった!」とは大前の近著の<キャッチコピー>―――。ショッキングな表現だが、日本人の<意識改革>を迫っている。(ついでにいうと火山は「<ロウアーミドル>以下」というその<以下>の生活者。はっきりいえば年収が<300万円>に満たない。げっ!)

ロウアーミドルとは年収600万から300万円のクラス。国際比較では<富裕>なのに<実感>がない。これは<市場開放>がないから。市場開放すればたとえばサイクロンという<大型台風>に耐えられる非常に<丈夫>で<良質>なオーストラリアの住宅が手に入る。
「オーストラリアの住宅は2×4(ツーバイフォー)に似た工法で、建築費は坪20万円。30坪の家を建てても600万円ですむ。オーストラリアから横浜港まで運ぶ費用は、家一軒分のコンテナーでたった6万4000円である」(大前・166頁)―――。

「結局、75兆円もの補助金は、ただモノを作ればオシマイで、生産性の向上にはまったく役に立たなかった。それどころか、かえって世界最悪の生産性を助長する役割しか果たしていないのである。それで誰がこの悲惨な結果に責任をとったというのか。いまだに農政族といわれる人々は補助金を要求し続け、農水省は農家の収入補償さえ検討し始めている。
農業補助金ではなく、農家救済という究極のばらまきを画策しているである。リストラにあったサラリーマンはなぜ黙っているのだろう」(大前・160頁)。

「農業補助金はこの10年間で40兆円も使われている。『40兆円も使って生産性はどれだけ上ったのか』とか『市場開放の準備はできたのか』とか質問しなければいけないはずだ。ところがマスコミは何も言わないし、国民の間からも怒りの声がまったく出てこない」(160頁)―――。補助金を<集票><集金>マシンにしてきた<族議員>というネズミ、それと癒着したゼネコンと官僚が太った。過去10年で<40兆円>です。

「生産性の悪い日本の農産品は、コスト競争力ではまったく太刀打ちできないため、国は700%というケタ外れの関税をかけて米農家を守ってきた。農業保護を主張する人間は『輸入がストップしたら大変だ。だから食料安保が必要なのだ』などというが、少し思考を働かせれば、この理屈はまったく成り立たないことがわかる」(160頁)と大前研一は鋭い。

海外から農産物が輸入できない非常事態になれば<石油>も輸入ストップ。石油がなければトラクター、灌漑用水をくみ上げるモーター、米を運ぶトラックも鉄道もストップ。石油備蓄が180日しかない日本はお手上げ。「国内で米を作れば安心」とはとても言えない。
火山の書庫に「立松和平の<誤り>」という連載がある。農水官僚の「食料安保」がいかにインチキかを論証している。読んでください。

「スリム化を中心に財政正常化を図れ」とは2004年8月28日の日経<社説>―――。
「経済活性化策と平行で」という見出しの記事に「国内総生産のわずか1.3%を占めるだけの農林水産業に政策的経費(一般歳出)の6.4%も充てるのは多すぎないか。特に1兆3700億円の農林公共事業にはとかく無駄が多いという指摘が多い」―――。これが農業人口を減らし、土木事業に従事するゼネコン人口を増やした。農業を破壊したのだ。
東アジア外交の重要性が説かれる。だが最も重要な<WTO>や<FTA>交渉。日本は国内の農業問題を解決できずに、中国に大きく遅れを獲っている。次回、論じたい。

「中国はASEANとの自由貿易協定(FTA)に極めて熱心。中国の農産物はASEANより安いものがない。競争力がない。それでも2000年11月、朱(溶)基首相は2001年11月から交渉を開始、2002年11月の枠組み協定調印、2003年の基本合意と急進展。2003年からは特例の早期自由化でタイ産の熱帯果物、肉、魚介類、野菜の対中輸出がスタート。
2005年から他の分野でも関税削減を実施、中国とASEANとのゼロ関税はASEAN先発6カ国とは2010年から、後発4カ国とは2015年から、実施されることとなった。凄い政治のリーダーシップです。
(平成18年10月18日)

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