火山の独り言

時ならめ 風に挑みて 鯉のぼり

地方<格差>論

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去る5月16日の日経の記事。見出しは「農業再編へ<再生機構>」とある。「経営不振の農家や農業法人に対し、耕作地などを別の担い手に譲渡・売却するよう促すほか、金融面で再編を支援する組織を各都道府県につくる」とリード。
「農業収入が所得の5割以上を占め、65歳未満の労働力がある中核農家<主業農家>は05年時点で43万人。1990年の82万人に比べると、この15年で激減している」。ピンチだ!

「農業の<貿易自由化>は日本の農業を破滅させる」と農水省は<長年>農家を手厚く保護してきた。だが肝心の農業人口は1955年の1560万人から1975年の669万人へ<半減>―――。田中角栄が<土建的地方利益論>を極端に進めた結果なのだ。
「農業・農村・農家を破壊したのは<日本列島改造>。『土建的<地方>利益論』(「ミスター円」榊原英資の造語)による<補助金漬け>」が原因。これを詳細に分析したのが<書庫>「立松和平の誤り」にある火山の連載。ぜひ読んでほしい。

農水省の<補助金漬け>という<保護>の結果、「日本の農業は零細でコスト高。わずか470万ヘクタールの耕地を280万戸もの農家が経営しているのが現実である。その結果として40%にまで下がった食料自給率(熱量ベース)をせめて45%に高めたい」(日経・6月28日)と農水省は<切望>している。
だが1955年<1560万人>だった農業人口は2005年<300万人>を切った。50年で<5分の1>に激減したのだ。背筋が寒くなる。それだけではない―――。

「1955年、日本の農家の4分の3は専業・兼業を問わず所得の主要部分を農業で稼いでいたのに、今や農業所得が総所得の15%に満たない兼業農家の4分の3を占める。米国の米作農家の農地平均114ヘクタールに対して、日本の農地は平均1ヘクタールしかない」(ジェラルド・カーティス「永田町政治の興亡」新潮社・50頁)。
日本農業には国際競争力がない。後継者も生まれない。補助金漬けのツケだ。補助金で特に酷いのが1965年から始まった<土地改良計画>というゼネコン向けバラマキ―――。

「1965年から始まった『土地改良計画』によって農業基盤整備事業費という補助金が4回にわたって投入されてきた。2006年度に終る第4次計画までの累積投資額は実に約75兆円。75兆円といえばオーストラリアの農地のほとんど、アメリカの農地の6割が買える金額である」(大前研一「ロウアーミドルの衝撃」講談社・156頁)―――。げっ!
<国際競争力>は強化されたか。「生産性は最悪のまま。農業基盤整備の名目で国道や県道より農道を造るなどゼネコンが儲かるカネの使い方をしてきたからだ」(同・160頁)。

「農業従事者は経営が行き詰まっても、自治体など公的な組織の仲介がなければ、他の担い手への売却もできない。再生委(こんど新設される)を通せば円滑に売却できる。これまでは売却が難しく、耕作放棄地は05年時点で38万ヘクタールと、この15年で8割も増えた」―――。酷い惨状。これが農水省や農協、彼らと組んで<利権>を総動員、補助金漬けで<票>と<金>を食い物にしてきた<族議員>の<仕業>だ。

「05年衆院選<改革>を問う」という昨年9月5日の日経<社説>は「ばらまきを競う農政では困る」―――。「日本の農政改革の遅れは危機的な状況にある。今回の衆院選は補助金漬けで国際競争力を失った国内農業のあり方を問い直す絶好の機会でもある。だが自民・民主両党のマニフェスト(政権公約)は重要な論点を避けており、改革の具体的な道筋は全く見えてこない」と社説は始まっている。

「自民党は公約で<攻めの農政>をうたった。次世代の農業の<担い手>を育成し、農林水産物の輸出を2009年度に倍増させて6000億円に拡大すると約束している。だが肝心の<担い手>が誰であるかは記していない。輸出拡大の具体策もない。直接支払い(<担い手>を育成する<新>補助金方式)の総額や財源にも言及せず、農業土木予算の削減など財政措置の中身も示していない」と社説は厳しく迫る。

なぜ<担い手>を明記できないか。理由は簡単だ。担い手になりえる<主業農家>は人口に換算して<43万人>。残りの<300万人−43万人=257万人>は<育成>=<補助金対象>から外す議論になるからだ。総スカン。族議員は<落選>する。
といって<農業基盤整備事業費>という名の<農業土木予算>の削減を打ち出せば地元ゼネコンから総スカン。つまり<農政改革>は絶対できないのだ。

「(9月)1日に世界貿易機関(WTO)事務局長に仏出身のパスカル・ラミー氏が就任し、多国間の農業交渉が本格的に動き出す。アジア各国との自由貿易協定(FTA)交渉では、日本の農産物市場の閉鎖性が大型の経済連携の障壁となっている。国民の食糧の安全保障を確保し、通商政策の成否を左右する農政改革は、一刻を争う日本の政治課題である」と社説は続く。

<国民の食糧を確保>というと国産と思う。だが日本のコメはオーストラリアの7倍も高い。コンニャクや落花生も物凄い割高。いくら国産にこだわって<食糧安保>と言っても<石油>が<禁輸>になれば、灌漑用水やトラクターなどの農機具、トラックもストップ、<半年>で<お手上げ>と前回、指摘した。国際コンサルタント大前研一のレポートだ。
中国は国内農業を犠牲にしても<WTO><FTA>に熱心。東アジアのリーダーの座を狙っている。<輸出立国>が<国是>だ。日本は<危機的>状況にある。その自覚がない。

(平成18年10月26日)

「地方<格差>論」書庫の記事一覧

閉じる コメント(3)

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背筋の寒くなるような話。火山兄ご推薦の小沢が政権を取ったら、光が見えてくるのでしょうか。

2006/10/28(土) 午後 8:52 [ - ]

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木下英治「小沢一郎の政権奪取戦略」(河出書房新社)の333頁に「農林漁業再生プラン」が紹介されています。「農業予算は土建屋のための予算となっているのだ。そこで従来の補助金ではなく、農家を対象に経営安定化のために年間1兆円の所得補償を農家に直接支払う」(337頁)。これは米国や英国が行っている方式です。

2006/10/28(土) 午後 9:27 [ kom*_19*7 ]

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本日(10月29日)の「サンデー・プロジェクト」に菅直人が出演、農業再生プランを語ったが、民主党のいう<所得補償>と<補助金>の区別がつかない田原総一朗。次回の<徹底討論>を約束した。乞う!ご期待。

2006/10/29(日) 午後 1:11 [ 火山 ]


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