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「天下り根絶センターができる。小さくて効率的な政府を目指すリストラセンターの意味合いもある」―――。4月24日の閣議決定語、渡辺喜美行革担当相が<自画自賛>した。
「<先送り>も<骨抜き>させない。安倍晋三首相の英断があってここまできた」と渡辺行革相が強調すればするほど<気の毒>になる。テレビで絶叫して見せることで「<曖昧>と<変節>の首相」や「閣僚の不協和音」を封じようとしているように見えるからだ。
「<早期退職>手付かず」「癒着防止、実効性に疑問」―――。「毎日新聞」の見出しだ。<公務員制度改革関連法案>が「閣議決定」された翌日(4月24日)、火山は「読売」「朝日」「毎日」の各紙を駅まで買いに出かけた。講読の「日経」以外の論調を調べるためだ。だが読めば読むほど<怒り>が込み上げてくる。
「小さくて効率的な政府を目指す」と渡辺行革相はいう。GDP2倍の借金(累積赤字)を抱える<国と地方>の財政。悪名高い<夕張市>以上に深刻なのだ。<賃下げ>と<人減らし>が必要。渡辺行革相の強調どおり<リストラ断行センター>でなければならない。だが<法案>の中身はほど遠い―――。
「天下り改革の柱となる(官民人材交流)センターは2008年中に設置。設置後3年以内に各省あっせんを禁止して、再就職管理をセンターに一元化する」。簡単にいえば4年後の2011年中までは<現状維持>=<先送り>―――。しかも「センター設置後3年で<見直し>がある。つまり<一元化>とは名前ばかり。一元化に併せ<見直し>がある。
火山はこの連載「公務員改革」の<7>「<天下り>規制、急転直下<合意>」の正体。官僚たちのゾンビぶり」と<8>「『安倍総理が片山参院幹事長の顔を立てた』と『週刊ポスト』が指摘」で暴露した。<見直し>には<財務官僚>が練りに練った<秘策>がある。
<省の中の省>という財務省の布石は完了。<骨抜き>は既に勝負あったなのだ―――。
「現状に比べれば前進といえるが、課題も多い」―――「日経」(4月25日)の記事。「センターの細かい制度設計は官房長官の下に設ける有識者懇談会の検討に委ねた。懇談会の論議次第では霞ヶ関の巻き返しを許し、骨抜きになりかねない。省庁は人事情報の提供などでセンターに必要に応じて協力する仕組みが盛り込まれたが、行過ぎるとセンターが単なる<トンネル機関>化する恐れがある」―――。これも鋭い指摘。
さらに<連載>で火山が参照した「週刊ポスト」には符合する記事が<多々>ある。
「具体案を決めていく有識者会議が首相の下に設置されましたが、すでに財務省に近い幹部は塩崎官房長官の下に置くよう働きかけていました。塩崎長官は調整型ですし、何より官房長官の下には官房副長官補など財務省出身官僚がいる。また強硬派の渡辺大臣より塩崎長官の方が丸め込みやすい」(4月27日号「週刊ポスト」29頁)。
<戦略は細部に宿る>―――。「経済財政諮問会議」を<官邸主導>の<司令塔>に仕立て小泉改革の先頭に立った<竹中平蔵>の言葉だ。日本の政策決定は<官僚>と<族議員>に握られている。細部を官僚に任せると必ず<骨抜き>にされる。この<教訓>が竹中平蔵の叫び。「構造改革の真実」<竹中平蔵大臣日誌>(日本経済新聞社)に書いてある。
同じ趣旨のことを<田原総一朗>も言っている。3月23日、東京国際フォーラムで開かれたシンポジウム。火山は「経済財政諮問会議」の民間議員<丹羽宇一郎>にマイクを持って質問した。「公務員改革で<新人材バンクなどと騒いでいるが、参院選が済めば<先送り>ではないか」。丹羽宇一郎も<小池百合子>も即座に「ありえない」と強く反論した。
だが田原総一朗は言った。「いいことをおっしゃる。実は公務員改革を最初に手がけたのは<橋本龍太郎>内閣だ。あの時、国家公務員の定数を10年で25%削減という方針があった。だが頭のいい官僚がいて、いつの間にか<省庁再編>が目玉になり、<省庁>の数は<1府12省庁>へと<23>から減ったが、<人員削減>はどこかへ消えてしまった。本当は<行革>(人件費削減)が<消費税>導入の前提だったのに…」。げっ!
安倍内閣が「鐘と太鼓を叩く」<公務員改革>。本当はリストラ(人件費削減)が狙い。民間の年間給与<439万円>より<6割>高い公務員給与(国692万円、地方688万円)を<3割カット>するだけで<10.5兆円>が浮く。<消費税>収入1年分に相当するのだ。
だがいつの間にか「天下りが談合の温床。天下りを規制せよ」に変わり、その<天下り>が<再就職あっせん>という言葉に変わった。「官民人材交流センターを<機能させよ>」と官僚と族議員が大合唱。つまり、名前を変えても実態は同じ。<換骨奪胎>―――。
「名を与えて実を取る」―――。別の日本語がある。<有名無実>!げっ!
(記者)天下り規制が先行し改革の全体像が見えないと指摘があります(毎日新聞・25日)。
(丹羽宇一郎)「全部そろわなければやらない」では永遠に何もできない。次々に改革していく必要がある。例えば、事務次官以上の年齢の人は全部辞めるなどという制度は他にない。早期勧奨退職慣行は撤廃し、優秀な人は上級審議官などとして残って働いてもらう。年功序列型の賃金体系も廃止だ。民間でも能力のない人は給与が低い。あしき平等主義でなく、自分の能力に応じてもらうのは当たり前だ」―――。
もちろん<経済財政諮問会議>民間議員として<公務員制度改革>について所見を述べた。
(平成19年4月26日)
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