火山の独り言

時ならめ 風に挑みて 鯉のぼり

ベートーヴェンP協

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上野の東京文化会館には実によく通う。音楽監督の大友直人が素晴らしい企画をたてた。「中村紘子のベートーヴェンピアノ協奏曲<全曲>演奏会」(響の森vol.23)。午後2時開演、終演は7時15分―――。1日で<全5曲>を聴く。

企画を知ったのは「大友直人のカフェ・ピアッツァ〜音楽のある生活〜」<かまくら文化講演会>。定員僅か<100名>。「竹の庭」が美しい<鎌倉芸術館>の3F「集会室」が会場だった。「Piazza(ピアッツァ)とはイタリア語で<広場>。ドリンク片手に、ゆったりとお話を聞いていただきたい」というサロン風の集まり―――。2月20日(火)のこと。

大友直人は22歳の若さでN響を指揮してデビュー。東京芸術劇場でベルリオーズ「ファウストの劫罰」やシェーンベルグ「ペレアスとメリザント」など意欲的な制作。オペラも「魔弾の射手」「リゴレット」「魔笛」と日生劇場で実績を重ねる。東京交響楽団の常任指揮者。

チケットを買ったのは3月26日(月)。発売と同時。朝10時からダイアルを始めたが<通話中>でつながらない。やっと11時30分に文化会館のチケットサービスが出た。ドキドキしながら「<最前列中央>が欲しい。空いていますか」と聞いて買ったのが<1列19番と20番>。嬉しいことに希望が叶った。そして待望の日が来た。―――6月3日(日)。

「中村紘子のクルマを見たわよ」と家内。横浜のデパートで買物があるというので、現地集合にした。文化会館の広いホワイエで出会った瞬間の第一声。家内も興奮している。美人ピアニストがスーツケースを二つ抱えてクルマから出てきた。舞台衣装だろう。

「18世紀末から19世紀初頭にかけてヨーロッパはフランス革命を発端とした社会体制の激変が続き、様々な技術革新が相次いだ。大作曲家で当代きってのピアニストでもあったベートーヴェンも、こうした社会の変化に無関心ではなく、楽器の世界で起っていた急速な技術革新にも多大な興味を持っていた。1794年(24歳)から1809年(39歳)にかけて書かれた5曲の協奏曲を見ると、そこにはベートーヴェンの作曲技法の熟達、そしてピアノという楽器がどのようにその表現能力を拡充していったかが聴き取れる」とプログラム。

解説を読んで火山、感心した。適切な内容、しかも斬新。ずっと勉強してきた分野なのに<発見>がある。筆者の広瀬大介を調べてみた。なんと一橋大大学院で音楽学を専攻、モーツアルト研究で有名な田辺秀樹の門下生。ドイツのミュンヘン大学に留学経験がある。田辺秀樹は火山のドイツ語の先生。ラジオの「歌で楽しむドイツ語」でお世話になった。

午後2時開演。ライトブルーの衣装に身を包んだ中村紘子が現われた。華のある姿。溢れんばかりの笑顔。「腕立て伏せをして体力をつける。大友先生が私を指名されたのは体力があるからでしょう」と冗談を言っていたが、これから5時間15分の長丁場。ワクワク!
大友直人もスリムな長身、筋肉質の勇姿。ピアニストを引き立て、遠慮がちに見える。ヤマハのグランド・ピアノに向かった中村紘子と目配せ、オケに一礼して構えた。

「ピアノ協奏曲」第1番ハ長調(作品15)―――。タイトルは第1番だが、実際は第2番より後の作曲されている。初演は1795年3月29日。ウィーンのブルグ劇場だ。この日、24歳のベートーヴェンは自らピアノを演奏、作曲家兼ピアニストとしてウィーン楽壇にデビューを果たした。生地ボンからウィーンに到着、3年目の春だった。

「ベートーヴェン自身、この作品には自信を持っていたようで1801年3月の出版の際には、わざわざ<大協奏曲>と名付けるほどの意気込みを見せている(同年12月に出版された第2番はただの<協奏曲>)。オーケストラの管楽器も、第2番で欠落していたクラリネットとトランペット、ティンパニーが加えられている(以後第5番までこの編成が用いられた)。独奏パートの技巧性は第2番よりさらに難しく、華やかになっている」とプログラム。

この「協奏曲」を作曲した頃、ベートーヴェンが持っていたピアノは音域が5オクターヴほど。その音域をフルに活用して作られたのが第1番と第2番だった。第1楽章の最後に置かれたカデンツァは独奏者、即ちベートーヴェンの卓越した技巧をフルに発揮できるよう<見せ場>だ。現在もベートーヴェンの手になる3種類が残されているという。

このカデンツァ、いずれも当時ベートーヴェンが所有していた5オクターヴでは演奏できない音域が含まれている。その音域を演奏できるピアノを入手した1804年以降に作られたものらしいという。初演を経て「高名なピアニストになったベートーヴェンには、楽器の製造会社から最新のピアノが贈呈・貸与されるようになる。第3番以降のピアノ作品を仔細に眺めると、高音が増強された新しいピアノの特性をフルに生かし、ピアノ奏法のさらなる開拓がはかられたことがわかる」とプログラム。広瀬大介の筆も冴えている。

「ベートーヴェンが遺したピアノ協奏曲を続けて聴くと、第1〜3番では『協奏ソナタ形式』など、18世紀後半の様式を比較的忠実に踏襲しているのに対し、第4〜5番では作品構成やオーケストラの響きもそのものが変わったことが感じられるだろう。一作ごとに新しい<仕掛け>をほどこすベートーヴェンの実験精神は長足の進歩を遂げたピアノ、そしてそのピアノと緊密に連携しているオーケストラに支えられている」と広瀬。凄い。
圧倒的な迫力。中村紘子のピアノが轟音!そして大友直人も飛び跳ねた。終演!―――。
<凄い>!火山のお隣りの上品な奥様がつぶやいた。  +++<続く>+++
(平成19年6月5日)

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