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「いったい誰の責任なのか。年金保険料の記録漏れ問題で、政府の対応策とともに注目を浴びているのが責任論の行方だ。5月以降、夏の参院選を控え与野党の批判合戦がエスカレート。泥仕合の様相も呈したが、ひとまず政府が総務省に設置した検証委員会がその役割を引き受け、始動した」と6月26日の「日経」―――。
だがあれから1ヶ月、今日7月28日になっても<検証委>の調査・検証は進まない。松尾邦弘座長(前検事総長)も地団太踏む思いだろう。肝心の社保庁が記録漏れの5095万件のデータを出さない、非協力の姿勢を続けているためだ。官僚の<無謬性>が社悪の根源。自分たちの非を認めない。問題点を開示しない。これでは原因解明も責任追及も進まない。
小泉内閣で<竹中平蔵>(元経済財政諮問会議・担当大臣)は<不良債権処理>という小泉改革の<一丁目一番地>を進めようとした。だがやはり<無謬性>と悪戦苦闘した。
遅々として進まない。株価が下落、景気回復(デフレ克服)も進まないまま1年が過ぎた。シビレを切らした小泉首相(当時)は蛮勇を振るった。竹中平蔵に金融担当大臣を兼務させ、非協力の金融庁長官を更迭した。非協力なら、社保庁幹部も一掃すべきなのだ。<記録漏れ>5095万件の発覚が2月、もう半年近いのに原因解明も責任追及も全然進まない。
「安倍晋三首相は5月28日、渡辺喜美行革担当相に『歴代社保庁長官の責任を明らかにする必要がある』と述べた。今回の問題は基礎番号を導入してから10年間、1人で複数持つこともあった番号の統合を怠ってきたツケが回ってきたとの指摘がある。1980年代から始めたコンピュータ化では、担当者が氏名の読み仮名を誤って入力した例などが相次いだとされる。窓口業務のオンライン化で『45分間操作15分休憩』などとする覚書を結んだ労組の責任を問う声も浮上している」―――。6月26日の日経だ。
日経にも文句を言いたい。<との指摘がある>とか<とされる>とか<声も浮上>とか書くが、岩瀬達哉「年金消滅の主犯を暴く」(「文芸春秋」7月号)を読んでいるのか。この記事は社保庁幹部や年金官僚などOBを含む<内部告発>を取材してまとめたもの。
岩瀬達哉は年金問題をずっと調査報道している良識派のジャーナリストだ。ちょっと頑張れば掘り下げた取材も報道も可能なのに真剣に取り組んでいない。官房長官や首相官邸のスタッフも何の勉強もしていない。こんなことで原因解明や責任追及が進むはずがない。
「年金消滅の主犯を暴く」を読めば、ほぼ全容が<浮上>している。ズバリ言おう。火山なら主犯は3人、1979年3月13日に問題の<覚書>に調印した八木哲夫社保庁長官、鈴木善彦国費評議会議長(職員組合代表)、丸山康雄自治労中央執行委員長(上部団体代表)。
「オンライン化に伴う切替準備一切の経費については、一般予算とは別個に配付する」という<密約>だ。年金掛け金からの<青天井>の流用を決めた。NTTデータと見積もりも取らず、契約書も交さず、随意契約。1兆418億円も支払い続けた。
時代遅れのコンピュータを押し付けられ、これがカナ入力の原因となり、労組のサボタージュも絡んで、<宙に浮いた年金記録>や<消えた年金記録>の原因となった。
火山は電機メーカーの教育担当だった。半生のテーマは<組織活性化>!「<現場>の問題を<組織>が<認識><共有>して<迅速>に<問題解決>を図る<組織文化>=<一人一人が主役>=<学習する組織>をどう開発・育成するか」に全知全能を傾けた。
はっきりいえば<我が社>を<社保庁>のようなグータラ組織にしたくなかった。JR西、雪印、パロマ、ミートホープのようにしたくなかったのだ。使ったテキストは「企業成長の哲学」(ダイヤモンド社)。著者は米国ATT(日本ならNTT)社長のカッペル。
研修は<体験学習>!自分の職場の問題を取り上げ、認識・共有して問題解決の案を練り上げる。そこで<解決策立案>と<学習する組織>の手法も学ぶ。これが<組織活性化>。
<組織>の構成員一人一人をいつの間にか支配する<習慣><文化><価値観>に気づく。
グータラになり、親方日の丸になる恐ろしさを体験、学習するのだ。
カッペル社長が最も重視するのが<倫理的責任感>!「トップの責任はその問題が予見された時点まで遡る」というもの。つまり「カッペルの辞書」には「結果として」という言葉はない。トップには<言訳>はない。<予見>できなかったとすれば<倫理的責任>を果たしていなかったのだ。
これを<社保庁>に置き換えるとどうなるか。当時の政府は「一般会計予算にはゼロシーリングがかかっていた。労組が<合理化反対>で人件費や事務費などの削減を認めない。どこかから新しい財源を探すとなったら特別会計(第二の予算)しかない。つまり年金掛け金を流用する。当然<予見>できる。社保庁長官は労組から操られる<人形>(傀儡)。
<密約>をするに決まっている。当然<予見>できる。予見すべきトップ(責任者)は誰か。もちろん、当時の厚生省の年金局長、事務次官、厚生大臣、総理大臣だ。
では総理は誰か。総理は大平正芳、厚生大臣は橋本龍太郎だ。厚生省の役人の名は火山には調べようがない。橋本の後任は野呂恭一。この辺が問題だ。だが当時も今も、政府は官僚が実質仕切っている。飾り物に過ぎない厚生大臣に何ができたろうか。
だが火山は声を大に絶叫したい。安倍晋三首相も渡辺喜美行革担当大臣、松尾邦弘前検事総長も、日経の論説委員・記者も、火山のような発想、指摘をしない。全部ピンボケだ。
(平成19年7月28日)
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