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「安倍晋三首相は5月28日、渡辺喜美行革相に『歴代社保庁長官の責任を明らかにする必要がある』と述べた。基礎番号を導入してから10年間、1人で複数持つこともあった番号の統合を怠ってきたツケが回ったとの指摘がある。1980年代から始めたコンピュータ化で氏名の仮名を誤って入力した例が相次いだとされる。オンライン化で『45分操作15分休憩』とする覚書を結んだ労組の責任を問う声も浮上している」(日経・6月26日)。
「誰の責任なのか。政府の対応策とともに注目を浴びているのが責任論の行方」―――。だが<検証委>の責任追及が一向に進まない。総務省に設置された検証委に厚労省外局の社保庁が非協力を決め込んでいるからだ。検証委の中間報告「実態解明にはほど遠い内容。むしろ5000万件の解明が一向に進んでいないことを浮き彫りにした」と7月11日の日経。
「松尾座長は『5000万件の中には死亡した人の記録が2割程度含まれる可能性がある』と説明した」。呆れるのは社保庁の態度。「死亡した人の記録であっても未統合の記録が見つかれば遺族年金の額が増える可能性がある」。何という論調。まるで社保庁の持ち出しが増え、損するから解明を遅らせたいという口ぶり。
「年金時効撤廃特例法」施行で死亡した人が生前に受け取るべき<未支給年金>が見つかれば、同居遺族は全額を一括で受け取れるようになった。<持主不明>解明の重要性が増した。だが社保庁は検証委に協力せずデータを出さない。こんなことが許されてよいのか。
「検証委は今後、100人程度を超える調査チームを設置、5000件を独自にサンプル調査する方針だ」と7月11日の読売新聞。いったい菅義偉総務相は何をやっているのか、なぜ柳沢伯夫厚労相に抗議しないのか。「歴代社保庁長官の責任を明らかにする必要がある」と渡辺喜美行革担当相に指示した安倍晋三首相も、何をやっているのか。渡辺行革相も黙っていてよいのか。大臣たちは木偶(でく)の棒か。
一連のマスコミ報道を見ていると、社保庁幹部や厚労官僚の<情法操作>が露骨に見え隠れする。<巧妙>というか<悪辣>というか、とにかく目に余る。たとえば…。
「政府は(7月)10日、基礎年金番号が統合されていない<宙に浮いた年金>のうち65歳以上のうち、給付年齢に達した65歳以上の未統合記録が約2345万件あり、この問題を昨年6月時点で認識していたことを明らかにした」と7月11日の日経は報道している。何というフザケタ発表だろうか。ウソとゴマカシの極致ではないか。
火山の<切抜帳>に6月12日の日経がある。「<検証>さまよう年金記録」。―――「5000万件の<宙に浮いた年金>。払ったはずなのに<消えた年金>。約8ヶ月にわたる日本経済新聞の報道で『さまよう年金記録』の問題を検証した」とある。
<発端>は昨年10月26日の朝刊。「社会保険事務所などの窓口を納付記録の確認に訪れた人の約2割、数万件規模で実際の加入期間と一致していない―――。
「厚労省の対応は鈍かった。『最初に<あれっ違いますよね>は2割だった。大部分は実態どおりだ』。辻哲夫事務次官は記者会見で説明した。2割は未統合が発見され修正できたケース。本人が確認・修正すれば不払いは起きないという論法だ」と日経の解説が続く。
実際は4ヶ月前の6月、65歳以上で2345万件もの<記録漏れ>があったことを辻次官は知っていたはず。知っていながら<知らん顔>を決め込んでいた。
「社保庁、未払い大量発生の疑い―――年金額訂正3万3900件」!昨年11月24日の日経記事。日経は「社保庁に件数を集計するよう求めた。結果は衝撃的だった」と報じた。
「1年間で3万4千件は<衝撃的>だ!」と指摘。だが「記者会見した柳沢伯夫厚労相は『(訂正が)あまりたくさんあるのは良いことではないが、そういうこともあろうということでやっている』と述べた。当時の危機意識の低さを滲ませる」と続く。だがこれも茶番。65歳以上で2345万件という<衝撃>の認識がない。
大臣をコケにしてテンと恥じない。辻次官には良心が欠落しているのだろうか。火山の企業体験からしたら信じがたい<背任行為>。社長にウソをつき、社長をピエロにしている。<破廉恥>以外の何ものでもない。いずれバレるウソや情報操作を繰り返す。
「ウソとゴマカシの<情報操作>」―――ハイライトが6月11日夕刊。「年金サンプル調査、3千件中4件誤り」と報道。実際は翌12日「社保庁は衆院厚生労働委員会の理事らに<4件>の誤りを報告した。民主党は『少な過ぎるのではないか』と原本を要求、18日までにミスの件数は<35件>だと判明した。<不都合な真実隠し>はまたも繰り返された」。
<巧妙>な<責任転嫁>もある!「国民年金保険料<284自治体>納付記録廃棄」―――。「2001年度末まで国民年金保険料の徴収をしていた市区町村のうち全体の15%の284が加入者の氏名や納付実績を手書きした名簿を廃棄していたことが社保庁の調査で分った。業務が02年度に社保庁に移管された後は保存義務がなくなったため、保管場所に困って捨てたと見られる」(日経・6月16日)―――。まるで市区町村が勝手に捨てたみたい。<宙に浮いた年金><消えた年金>の調査が困難になったと言いたい。マスコミは騙された。
だが「国民年金原簿は73年1月以降廃棄してよい」と通知したのは社保庁なのだ。73年1月(加藤威二長官)と85年9月(正木馨長官)の二度。なんという破廉恥な責任転嫁か。
(平成19年7月29日)
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