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「極めて厳しい結果だった。国民の厳しい審判、国民の声を厳格に真摯に受け止める。反省すべき点を反省しながら、今後は謙虚に改革、国づくり、経済成長を進めて景気回復を国民に実感してもらうという目標に向かって責任を果たそうと痛感している」―――。
参院選の<歴史的惨敗>を受け、安倍晋三首相が30日午後、記者会見した。
「息の長い経済成長のため今こそ経済活性化や<小さな政府>へ向け、様々な<改革>が必要なのに!」―――。火山の強い気持ち。今朝31日の「日経」<社説>も同じ書き出し。「今回の参院選であまり争点にならなかった」と社説。鋭い!本来なら、そう絶賛したい。だが敢えて<そう>言わない。今、必要なのは<政策>ではない。<政権交代>だからだ。
<歴史的惨敗>の<原因>は何か。「国民が<安倍政治>は自分たちの方を向いていないと受け止めたからだろう。5000万件に及ぶ年金記録漏れに対して当初、政府・与党の反応は鈍かった。対策に本腰を入れだしたのは5月下旬に世論調査で支持率が急落してからだ」。「民意は<安倍政治>を否定した」と<惨敗>翌朝(30日)の「毎日新聞」社説。
「政治とカネの問題も首相は甘く見た。佐田玄一郎前行革相、松岡利勝前農相、赤城徳彦農相らの事務所経費問題が続いた。首相は要領を得ない説明を繰り返す閣僚をかばうばかりで、政府与党全体が不信の目で見られるようになった」と社説は続いていた。
「内閣の重しになるべきベテラン閣僚からは柳沢伯夫厚労相の<産む機械>発言や久間前防衛相の<(原爆投下は)しょうがない>発言が飛び出した。内閣の緊張感の欠如とともに首相の指導力不足をあらわにする結果となった」―――。まったく同感だ。
「<官から民へ>をキャッチフレーズにした<小泉改革>を継承するかどうかも不明確だ」―――。同感。もっとも重要なポイントだろう。<改革><国づくり><経済成長>を進めて<国民に実感>というが、とても<改革実行力>があるとは思えない。
「都市で集めた税金を公共事業などを通じて地方に再配分する。良くも悪くも自民党政治を支えたメカニズムだ。それが終わりを告げたのに、代わりの方策が見つからないのだ。
地方の疲弊に象徴される格差への国民の不満、将来への不安は、都市住民や若い世代に共通するものだ。とりわけ弱者への暮らしや安心をどう支えるのか。これこそが、小泉改革を引き継いだ首相が第一に取り組む課題だった。ところが首相が持ち出したのは<美しい国>であり、戦後レジームからの脱却>だった」と「朝日」社説(30日)は指摘する。
「安倍晋三首相は経済政策に関してはほぼ官僚任せで、既得権益の壁を崩す強い意志が感じられない」「農村部など地方の経済が全体に疲弊している問題に有効な政策を出せなかった。地方経済の振興には税源や権限の委譲を含む地方分権が欠かせないが、官僚の抵抗が強く現政権下ではほとんど進展がない。29の1人区で自民党が6議席しかとれなかったのもうなずける」と31日の「日経」社説。安倍政権が<続投>すれば国民はもっと怒る。
「安倍首相、経済政策はほぼ<官僚任せ>!」と日経。典型的なのが<骨太の方針>。小泉内閣では竹中平蔵<経済財政>担当相が「<官僚を排除>して経済財政諮問会議の議案は<民間議員>と協議、自分でワープロを打ってまとめていた」。事前に漏れると各省庁から<ご進講>が殺到、<骨抜き>にされる。だから<諮問会議>は<官邸主導>の<指令搭>になった。今は<大田弘子>担当大臣の顔が全く見えない。
竹中平蔵へのバッシングは過酷を極めた。大田弘子に今、バッシングがあるだろうか。竹中は今も口にする。「改革があれば必ずバッシングが起る。バッシングがないのは<改革>ではない」!安倍政権は小泉改革を引き継いでいない。<曖昧>と<変節>の安倍政権。
「都市で集めた税金を公共事業などを通じて地方に再配分する。良くも悪くも自民党政治を支えたメカニズム」―――と「朝日」社説。火山が繰り返し引用している<土建国家的>地方利益論。別名<バラマキ>政治。田中角栄が<列島改造>で膨脹させた政策。
<土建国家的>地方利益論―――。元大蔵省エリート<ミスター円>の榊原英資の命名。「分権国家への決断」(毎日新聞社・2002年11月刊)で<展開>している。
榊原英資(慶大教授)は<東京一極集中>は明治以来の<官僚支配>が生み出したと指摘。<格差>の元凶は<中央集権><補助金>行政と<検証>、補助金<全廃>を提唱する。
<格差>論には誤解がある。地方を<疲弊><崩壊>させたのは<小泉改革>ではない。
大前研一も「ロウアーミドルの衝撃」(講談社・2006年1月刊)で指摘している。
「日本では1965年から始まった『土地改良長期計画』で農業基盤整備事業費という名の補助金が4回にわたって投入されてきた。2006年度に終わる第4次計画まで累積投資額は実に約74兆円にのぼる。それだけの莫大な金を使うなら、市場開放しても大丈夫なように生産性を高める目的にしなければならないはず。ところが生産性は最悪のままだ」(156頁)。
農村を崩壊させたのは<土建国家的>地方利益論だ。補助金漬けのバラマキ行政。半世紀続く自民党一党独裁が<政官業>の<癒着>を生んだ。そのシガラミが<官僚>と<族議員>を増長させた。松岡利勝前農相の自殺、<政治とカネ>!赤城徳彦の事務所費疑惑。偶然ではない。75兆円もの莫大な補助金が<闇>に消えた。国際競争力を失った日本農業。農村<疲弊>は土建国家が元凶!補助金は農政でなく、ゼネコンのバラマキに消えた。
「総裁選で論功や自分の仲間を重視する人事が行われたのも<癒着>と無縁ではない」。
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