火山の独り言

時ならめ 風に挑みて 鯉のぼり

ピアノの歴史

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「もしショパンが現代のピアノを弾いたら、あの美しい数々の名曲を生み出していなかったかも知れません。それぞれの時代には、それぞれの時代の素晴らしいピアノがあり、天才たちの想像力や夢をかきたてたのです―――。ピアノという楽器とピアノの歴史を、時代の流れに沿って辿る旅に出かけませんか」。

<みなとみらい>小ホールで開催のレクチャーコンサート「ピアノの歴史」。横浜港の夜景が美しいという立地条件の良さもあって実に楽しい。第1回と第2回が終わった。
6月は「シューベルトの二つのまなざし」。シューベルティアーデ(シューベルトの夕べ)で人気を博したサロン音楽家。そしてベートーヴェンの壁に悩みながら大作曲家をめざすシューベルトの二つの顔。演奏と講演で楽しむ。サービスのワインが素敵だった。

7月は「ポーランドの憂愁、ショパンとその周辺」。ショパンはパリで有名になるが、パスポートはロシア国籍。占領下で祖国を失った青春。ポーランドの歴史や特殊性。ショパンが愛したプレイエルのピアノ。そしてノクターンを創始したフーィルドとの関係。

無料ワインに酔って、貧乏な火山が買ってしまったのが「ピアノはいつピアノになったのか」(伊東信宏編)。「歴史的ピアノの音」という付録CDには<ピアノの原型>クリストーフォリで弾いた「チェンバロ・ソナタ」やショパンが愛したプレイエルで収録した「ノクターン」が付いている。「(当時のピアノは)音域によってかなり音色が違ったので、うまく利用すれば今のピアノよりはるかに簡単にアンサンブルの効果」(81頁)を出すことができた。それが付録CDで満喫できる。実に優雅な気分だ。

だが<政権交代>に夢中な火山。せっかく買ったのに、案の定<積読>(つんどく)にしてしまった。舛添要一「永田町vs霞ヶ関」(講談社)や清水真人「経済財政戦記」(日経)などに熱中、新聞や雑誌を読んではブログを書く。<ピアノの本>はコロッと忘れた。
だが8月5日、東京文化会館へ「都響とティーンズのためのジョイントコンサート」を家内と聴きに行く車中から読み始めた。参院選も自民の<歴史的惨敗>で一段落した。

第1講<ピアノの誕生>は鍵盤楽器の歴史。第2講は<ハイドンの奇想>だが、ベラボーに面白かった。編者の伊東信宏は大阪大学文学部から大学院を修了。ハンガリー国立リスト音楽院客員研究員を経て現在は阪大準教授。「バルトーク」(中公新書)で吉田秀和賞を受賞。近著に「ハイドンのエステルハージ・ソナタを読む」(春秋社)がある。

<ハイドンは退屈か>が第2節のテーマ。ハイドンは「交響曲の父」と呼ばれることで損をしてきた。ハイドンの本領は宗教曲や舞台音楽。だがほとんど聴かれてこなかった。
それなのに「モーツアルトやベートーヴェンに比べると、ちょっと単純で面白みがないな」(60頁)と通り過ぎられてしまう。その元祖は小林秀雄「モオツアルト」というのだ。

「僕はハイドンの音楽もなかなか好きだ。形式の完備整頓、表現の清らかさという点では無類である。しかし、モオツアルトを聞いた後、ハイドンを聞くと、個性の相違というものを感ずるより、何かしら大切なものが欠けた人間を感じる。外的な虚飾を平気で楽しんでいる空虚な人の良さと言ったものを感ずる」(60頁)―――。小林秀雄の引用。
でも本に真剣にハイドンの音楽と向き合って、この結論に至ったならまだしも「そんな評価が一般的だから聴かなくてよい」というのだから「交響曲の父」の悲劇という。

「私自身も、ある時ハイドンのクラヴィーア・ソナタをまとめて聴いてみて愕然とした。こういう音楽を聴いて<退屈>だなんて言ってしまうというのは、いったいどういう神経だろう。こんなに驚きに満ちていて、多彩で、粋な音楽を<表面的>だとかなんとかいって、まともに取り合わない、というのは間違っているのではないか」(61頁)―――。

「(ハイドンには)まさしく<奇想>と言ってよいものが満ちている。彼は人の良い<パパ>などではない。だからといってモーツアルトやベートーヴェンと同じような<深み>のある音楽だ、と救おうというわけではない。確かにこれは<深さ>をもった音楽ではない。むしろ<深さ>が素晴らしくて<浅い>からダメ、という考え方自体に問題があるのではないか。簡単に<深層>などへ向かわないで、あくまで<表層>にとどまり続けることのダンディズムとでもいうようなものを理解すべきではないだろうか」(同)。面白い。

ハイドンが仕えた宮廷はハンガリー系貴族で破格に裕福なエステルハージ家。契約関係は約50年に及び、1766年に楽長に昇進してから1790年まで超多忙を極めた。特に1776年からの15年に、ハイドンは70近いオペラを初演、1000公演以上の再演を行った。
「(オペラ上演は)楽長にとっては、作品を選び、作品を彼の楽団にふさわしい形にアレンジ、楽譜を手配、歌手に練習をつけ、オーケストラの練習もやり、楽員に気を配り、その上、本番ではチェンバロを弾きながら指揮をするといったすべての仕事を引き受けることを意味している。それ以外に彼は新作のオペラを毎年のように新たに作曲している。
さらに彼は恒常的に様々な儀礼や式典のための音楽も作曲せねばならなかった」(67頁)。

女帝マリア・テレジアが君臨した当時のウィーンは、ギリシャ古代世界、ローマ・カトリック、ゲルマン的プロテスタント、東欧の正教圏など異なる世界観の交錯する十字路。これと超多忙がハイドンの音楽に特別な性格を与えたと伊東信宏は指摘する。(続く)
(平成19年8月7日)

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