火山の独り言

時ならめ 風に挑みて 鯉のぼり

山本五十六アラカルト

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1926年12月26日、<昭和>が始まった。「昭和は、特に初めの20年は、まさに暗黒の時代であり、動乱の時代だった。内に外に社会不安が日増しに大きくなり、血なまぐさい弾圧・暗殺・陰謀・クーデターが繰り返され、その中でファッシズムの暗雲が次第に日本に立ち込めた時代であった」(「日本の歴史」24・大内力「ファシズムへの時代」)。

1917年11月、ロシア革命が起きた。地球の6分の1が資本主義から社会主義に変わった。資本主義国でも社会主義運動が強くなり、これがファシズムを促した。暗い時代の始まりだ。
一方、第一次大戦前のアメリカはヨーロッパに農産物を輸出、工業製品を輸入する後進国だったが、世界大戦が終ると逆転、ドルが世界経済を支配、世界中の金がアメリカに集中した。

そんな中、インド、エジプト、中国、朝鮮では激しい反植民地闘争が起こった。特に中国で共産党が力を得て<日本の運命>を大きく揺り動かすこととなる。

昭和4年(1929年)7月、ライオン宰相と異名のある浜口雄幸内閣が成立。大恐慌と取り組む。五十六はロンドン海軍軍縮会議に参列。45歳、少将に昇進した。対米<7割>の巡洋艦、駆逐艦、潜水艦の保有を主張する日本は<6.95割>で妥結せざるを得なかった。7割を主張した五十六も<挫折>を経験する。

民政党の浜口内閣は選挙で大勝を博した直後、世論の後押しもあって強気で調印を押し通した。外相・幣原喜重郎は親英米外交だった。だが条約批准は多くの紛糾を招いた。

第一は第58議会(昭和5年4月)。政友会の鳩山一郎が倒閣を狙い政府を攻撃した。「国防計画は統帥権に属す。軍令部の反対を押し切って調印したのは不当」。議会人としての鳩山の自殺行為だった。統帥権は軍部の独立性を強め、政府や議会の外に置く。シビリアン・コントロールを自ら放棄するに等しい。民主主義からすれば統帥権を小さく解釈すべき。

この攻撃、与党が絶対多数だったから内閣は何とか切り抜けた。だが軍令部を中心に海軍と右翼にくすぶっていた不満に火をつけ、浜口首相のテロ襲撃(昭和5年)や海軍若手将校の五・一五事件(昭和7年)の引き金になる。議会政治はトドメを刺された。

昭和5年6月、ロンドンから帰国した五十六は病と称して一切の面会を謝絶、鎌倉の自宅に閉じこもった。理不尽な英米の要求に妥協した条約派に対する怒り。だが第一次世界大戦から12年、戦艦、巡洋戦艦を主役とする海上決戦は<黄昏の時期>に入っていた。軍艦の比率で外国と渡り合ったり、国内で争っている場合ではなかった。

昭和5年12月、海軍航空本部技術部長に任ぜられた五十六は「新しい軍備を練る」仕事に没頭する。当時の飛行機は海上作戦の捜索・偵察用として価値を認められていたが、主要兵器になるとは誰も考えていなかった。だが五十六は飛行機こそは条約に拘束されない兵器であり、<海空軍>ではなく<空海軍>にするのだという固い決意を秘めていた。

昭和5年6月20日、浜口内閣は条約反対派の中心人物と見られた軍令部次長の末次信正をやめさせた。加藤寛治軍令部長は<帷幄上奏>を行い、天皇に政府弾劾の上奏文と辞表を提出した。政府と議会の外にある参謀総長や軍令部長が天皇に直接上奏・報告できた。<統帥権独立>と同じ特権だ。

「政府は条約調印に際し軍令部長の反対を無視、侍従長の鈴木貫太郎は軍令部長の帷幄上奏を阻み、<統帥権を干犯>した」と怪文書がばらまかれた。鈴木が軍部ファシストの<目の敵>にされる契機となる。
鈴木貫太郎は五十六の上官。一方、加藤、末次は五十六が「新しい海軍構想」で戦艦大和の建造で衝突した相手だった。

「昭和6年9月18日、関東軍参謀らは中国の柳条湖の満鉄線路を爆破し、これを口実に総攻撃を開始した。世にいう満州事変の始まりである」(「海燃ゆ」157頁)。10月24日に国際連盟理事会は<満州撤兵>勧告案を可決。だが日本は強引に満州国の<建国>を宣言した。

昭和7年7月、郷里・長岡市の会合に出席、海軍大臣代理として講演をした。満州事変の最中、国論が偏る中、五十六は『世界の平和のため、日本国民生活安定の上からも、今後世界の強国たる英・米・仏等の大海軍国と軍縮を断行』すべきと述べたという。

「山本五十六」は連載。工藤美代子さんの「海燃ゆ」(新潮社)をベースに毎日、独自の調査、見解を加えお届けします。今の時代に通じるヒントを満載する決意です。ぜひご愛読ください。

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火山さん今日は。

私は派閥理論でしか結論を出せない、理念を忘れた政治家を軽蔑して居ります。

所謂、結論ありきでしか対話の出来ない人格のことです。
「明鏡止水」という言葉を使う政治家は好きになれません。

自ら政党政治を放棄したことを、彼は自覚しているのでしょうか?
敵の敵は味方だ、位の世界観しかもっていないのではなかろうか。
ソ連との国交回復など偉業でもなんでもない。

2008/12/27(土) 午後 5:39 sw5491

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<鳩山一郎>に関心を持ったことがなく、知識もありません。でも議会人として致命的な失敗をしたことは大内力の指摘通りと考えます。それなのに戦後、待望されたが如く復活、総理を務める。政党政治がいい加減なのでしょう。本人も破廉恥です。

鈴木貫太郎、浜口雄幸は信念で国政を動かそうとした。国際情勢にも目配り、軍部の台頭を必死に抑えようとした。
民意を活かそうとした最後のチャンス思います。鳩山のように党利党略で国政を誤らせる。しかも軍部暴走、軍国主義、アジア太平洋戦争と日本を破滅の渕に追い込む。その反省があったとは到底思えません。

<派閥>!<敵の敵は味方>という次元では論じ得ない重大な国民への裏切りです。勢いのある者に迎合、乗って政治を行なう。国や国民はどうでもよい。戦前からの政治の姿。恥ずかしくなります。

軍部に迎合、また軍部でのさばった連中、許せません。国民に主権がなかった。浜口も民意を活かせる最後のチャンスに屈した。無念でなりません。決して「男子の本懐」などではあり得ません。

2008/12/27(土) 午後 11:22 [ kom*_19*7 ]

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火山さん、今晩は。

何だか、現代にも当てはまりそうで心配なことです。

2008/12/28(日) 午前 0:11 sw5491

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オバマを大統領に選べたアメリカ!民主主義が生きています。ボストン郊外から始まった農民兵の独立戦争。世界最強と恐れられた英国軍と戦い、打ち破っていく。未知との遭遇、既成概念を理念で破る。勇気と情熱、自信が凄い!

満州事変を暴走で起こした関東軍。大東亜共栄圏とか昭和維新、神国、統帥権とか、美辞麗句を並べた。地に落ちた偶像のはずなのに、未だに繰り返す<憂国>気取りの確信犯がいる。政治家もマスコミも本気で怒らない。恐ろしいことです。
火山は憤激に耐えません。でも周囲は「短気は損気」「怒りは禁物」といいます。「現代にも当てはまりそう」どころではありません。

2008/12/28(日) 午前 9:20 [ kom*_19*7 ]

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検証する方法があります。私たちの怒りが<政権交代>を実現できるか、どうかです。
<政権交代>というと、様々な異論が必ず出てくる。大半は実は、官僚や利権団体がヤミで流す情報操作や、それと気付かず歪んだ情報に踊らされている自分。それが愚かな同調となる。
それに踊らされる国民(自分)が存在する限り、変革は起きません。民主党を信じられるか、自分の考え方を信じられるか。

リスクの中で独立戦争を戦い、オバマを信じたアメリカ、実は自分を信じていた

2008/12/28(日) 午前 9:20 [ kom*_19*7 ]


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