火山の独り言

時ならめ 風に挑みて 鯉のぼり

山本五十六アラカルト

[ リスト ]

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

イメージ 5

山本五十六を<凡将>と批判したのは「サピオ」(1月23日・小学館)。――「ミッドウエー海戦の敗北を巡り、淵田は忌憚のない山本五十六批判を行なっている」というのだ。
中学同期の句会の仲間でもある<風鈴>さんが記事のコピーを送ってくれた。「火山さんが敬愛する山本五十六の別の一面…」と添え書きがあった。火山、飛び上がった。なぬっ!

「真珠湾攻撃総隊長の回想 淵田美津雄自叙伝」(講談社)のコピー。淵田美津雄は「1941年12月8日、海軍中佐。総指揮官として真珠湾攻撃で最初の爆撃を行い、『トラトラトラ(ワレ奇襲ニ成功セリ)』の暗号を打電。後年、海軍総隊参謀としてミズーリ号上で行われた降伏調印式にも随員として立ち会った」(「サピオ」)という人物。

<凡将>と淵田が断じた理由は二つ――。「世界最強の機動部隊(真珠湾攻撃の主力となった6隻からなる空母艦隊)を、中央当局と連合艦隊司令部とで解いて弱体化した。ミッドウエー作戦の部隊編成は旧態のままの戦列、山本大将は旗艦大和に座乗、直率の戦艦部隊を主力部隊と呼び、全兵力の後方三百マイルにあって全作戦を支援すると誇称した。一方、アメリカはいち早く空母主力の機動部隊へと戦術を切り替えていた。結果、山本大将の主力部隊は全作戦の支援どころか、哀れにもスタコラ逃げ帰るほかなかった」(自叙伝)。

「サピオ」の筆者は中田整一。NHKでドキュメンタリー「二・二六事件、消された真実――陸軍軍法会議秘録」(88年放送)で日本新聞協会賞を受賞。著書で毎日出版文化賞、吉田茂賞も受賞。「(淵田は)山本を尊敬しつつも<凡将>と批判する」との解説。要するに「ミッドウエーで負けたから山本五十六は<凡将>。敗戦の原因は五十六の<戦略><戦術>の誤り」といっているのだ。

火山の見解は全く違う。「太平洋戦争は<総力戦>!政治レベルの<政略>から<戦略>を論じないとダメ。「山本五十六の偉大さは<軍政>指導にあった。真珠湾やミッドウエーで山本を論じるのは<お門違い>。見識を疑いたくなる」というのが火山の立場。
山本は「日独伊三国同盟に体を張って反対。当時は海軍次官。<軍政>を担当していた。海軍大臣は米内光政。二人は名コンビだった。「日米開戦」にも山本は反対した。

若き日の山本はアメリカに駐在。アメリカの石油事情と航空機の調査を行い、「近い将来、戦争は空母や航空機主体のものになる。日本の<大艦巨砲主義>は時代遅れ」と痛感した。アメリカの国力を正確に知っていた。だが時代は山本の<軍政>を許さなかった。
満州事変で<暴走>を始めていた陸軍。天皇の<統帥権>を楯に政府を押さえ込んだ軍部は山本の暗殺や失脚を企図した。それを察知した米内海軍大臣が安全な海に逃がした。つまり連合艦隊司令長官に転出させた。

山本は身の危険を冒しても<海軍次官>に留まることを希望した。工藤美代子「海燃ゆ」(講談社)に明確に書いてある。火山が<敬愛>するのは海軍次官までの山本五十六。真珠湾やミッドウエーは関係ない。なぜ日本はミッドウエーで負けたか。
敗因はいろいろ研究されているが、簡単にいえば「アメリカの軍政が優秀だった」。組織、人事、戦略、技術、情報など、すべての面で日本を凌駕していた。「文藝春秋」(07年11月号)の「帝国海軍VS米国海軍−日本はなぜ米国に勝てないか」に詳しい。総合力で負けた。

淵田美津雄は単なる海軍軍人。軍政という政治の舞台から真珠湾攻撃やミッドウエー海戦を見ていたわけではない。戦争の渦中にいただけ。指揮官クラスの<視野>で戦略や戦術を論じているだけ。「山本大将は旗艦大和に座乗、直率の戦艦部隊を主力部隊と呼び、全兵力の後方三百マイルにあって全作戦を支援すると誇称した」など、まさにこの好例。語るに落ちた。<大和座乗>は山本の意志ではない。日本海軍の悪しき伝統。

工藤美代子の「海燃ゆ」には真珠湾攻撃の時、山本は最前線を希望、「自分は第一航空艦隊司令長官として出陣するつもりでいた」(332頁)とある。だが「その希望は入れられず、自分が望んだ仕事には南雲忠一中将が就くことになる」(同)―――。
南雲のことを山本は<水雷屋>と呼び、軽蔑していた。海軍きっての人材、堀悌吉は山本の親友だったが、堀を予備役に編入させた裏工作の張本人が南雲。海軍部内では有名な話。山本と南雲のミスマッチ、不仲は明白。米国海軍の人事はこんなバカはやらない。

真珠湾攻撃について「後に、南雲はなぜ空母を撃沈させなかったか、どうして工廠や貯油タンクに全く手をつけずに引き返したのかなどが議論の的となったが、それが南雲の指揮官としての限界だった」(同)。米国海軍は「1926年頃から空母の艦長、艦隊の司令はパイロット出身」が人事政策だった。

南雲はミッドウエーでも大失策を犯す。<五分の差での敗北>だ。「赤城の母艦から、あと五分で攻撃機がプロペラを回して出撃しようとした時、アメリカの急降下爆撃機が三機、突っ込んできて三発の爆弾が投下され、赤城は誘爆を起こして炎に包まれた」(380頁)。

「アメリカの空母が現われたという報に接した山口多聞少将が旗艦の赤城に『現装備ノママ攻撃隊直チニ発進セシムルヲ至当ト認ム』と飛龍から具申したが南雲は却下した。もしも真珠湾やミッドウエー海戦で山口少将が指揮を執っていたら、日本は負けなかったという人さえいる」(384頁)。人事は重要なのだ。
(平成20年3月4日)

「山本五十六アラカルト」書庫の記事一覧

閉じる コメント(4)

顔アイコン

火山さん、韓国には「人事は万事」と言う言葉が政界に根強く
残っています。勿論どの組織にも。
モリソン海戦記などでは米空母が生き残ったのは当時の日本が
情報戦に弱かったのが決め手と聞きました。
日曜日にも拘らず練習に出た空母4隻、それが一年後には太平洋を
牛耳るようになるとは知らなかったんでしょう。

2008/4/1(火) 午前 8:32 lsk*4*8

顔アイコン

情報戦も含め政治や国際関係。外に開かれた感性がない。
口惜しいですが今も一緒。国内の政敵ばかり見て、海外、世界を観ない。
マスコミも世論も不思議に思わない。国内、というよりも与党内の族議員や官僚の顔色を見て、政治、というより、自己保身や、そのための利益誘導=道路、公共投資を図る。バカバカしい構図です。それを見抜けない。
でももうそろそろ終わりにしたい。

2008/4/1(火) 午後 9:13 [ kom*_19*7 ]

顔アイコン

火山さん、幅広い見識に頭が下がるばかりです。
韓国の政治も日本をそのままコピーしたようです。
韓国の政治、制度、社会など全てにおいて日本の二十年前を再現
リプレイしていると多くの人が言っています。
真似しなくてもよさそうなものまでホント情ない!

2008/4/2(水) 午前 8:26 lsk*4*8

顔アイコン

日本のマスコミ、毎日、ガソリン税(暫定税率)を巡って賑わっています。これは火山の言う「<土建>国家的地方利益論」。明治政府以来の<官僚支配>、族議員の<口利き>利権の象徴。列島改造の田中角栄の置き土産です。
未だに国交省の随意契約、天下りの無駄遣いの温床。族議員の<集票><集金>マシンとなっている。
これと訣別できるか。一つの歴史的節目なのですが、マスコミも世論も気付いていない。気付いているのは自分たちの利権を死守したい連中だけ。日本の悲劇です。だから火山、論陣を張っている。周囲にも語りかけています。

2008/4/2(水) 午前 8:56 [ kom*_19*7 ]


.
kom*_19*7
kom*_19*7
男性 / A型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
友だち(24)
  • 銀ちゃん
  • くりゅぐ
  • MAX
  • ナルっち
  • zentokare
  • jujp4223
友だち一覧

過去の記事一覧

Yahoo!からのお知らせ

検索 検索

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

コンタクトレンズで遠近両用?
「2WEEKメニコンプレミオ遠近両用」
無料モニター募集中!
話題の新商品が今だけもらえる!
ジュレームアミノ シュープリーム
プレゼントキャンペーン
ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
11/30までキャンペーン実施中!
ふるさと納税サイト『さとふる』
お米、お肉などの好きなお礼品を選べる
毎日人気ランキング更新中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事