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「ガソリン税(暫定税率)廃止は<明治政府>以来の『<土建国家的>地方利益論』への訣別」――。これが火山の基本コンセプト。
<ミスター円>の異名を持つ元財務省エリート官僚の榊原英資は近著「分権国家への決断」(毎日新聞社)で「<土建国家的>地方利益論」を提唱、これが日本の政治イデオロギーであり、「日本列島改造計画」の田中角栄がチャンピオンという。道路で補助金をバラマキ、<票とカネ>を集め、権力の根源としてきたと説明している。
<中央集権>(官僚)が<地方>に補助金をばら撒く。補助金で地方の首長、議会、行政を牛耳る。政官業の癒着は地方にも根を張る。それが自民党=官僚支配を支えてきた。
<天下り>は官僚への見返り。みのもんたは「朝ズバッ!」(3月29日)で<12兆6084億円>もの巨額の補助金が<随意契約>と<天下り>を助長してきたとスッパ抜いた。
国の税収は2008年度で<53兆5540億円>。これに比べ<12兆6084億円>とは驚く。<役人天国>のために、いかに膨大なムダ遣い(国民負担)が発生しているか。<道路特定財源>は<5兆6000億円>!国の税収の10.5%。何とも巨大な利権である。
道路特定財源は昭和28年、田中角栄が道路整備を促進させるため議員立法で成立させた。<暫定税率>もまた田中角栄が第1次オイルショック後の昭和49年度(1974)から2年間、揮発油税などを対象に暫定措置として議員立法で導入された。
<暫定>と言いながら、既に<34年>も続く。それを今度は一気に<10年>延長しようとした。こんな野放図の道路作りが、国と地方の借金を増やしている。日経も呆れている。
「戦後60年を超えて」(社説・05年1月6日)で「政府部門と民間で経済を担う『混合経済体制』は戦後の資本主義国で共通の姿。しかし日本の混合経済は先進国の中でもかなり歪んでいる。実質2.1%成長なのに過去最高の新規国債を発行する先進国は他にないという。
「『国の借金』最大834兆円」――。07年6月26日の「日経」報道。他に短期政府債権(FB)が163兆円ある。地方の借金は「06年度末推計で約200兆円」という日経の試算を合計すると<1135兆円>。GDPの2倍以上になる。もちろん先進国中ダントツの<最悪>。
2005年1月3日の日経では<1062兆円>だった。僅か2年で73兆円も増えた。「実質2.1%低成長の中、最高の新規国債を発行する先進国は他にない」という日経。税収が増えない、返済能力がないのに、バラマキのために借金を増やす政府を批判しているのだ。
「公共投資の国内総生産(GDP)に占める割合は2002年度で4.6%。米国の2.5%、ドイツの1.6%を大きく上回る」と日経の社説。米国の約2倍。ドイツの約3倍だ。ミスター円・榊原英資のいう「<土建国家的>地方利益論」が証明されている。
「小泉純一郎首相が進めてきた公共事業の削減路線が曲がり角に差しかかっている。好況事業の予算額をバブル崩壊以前の水準に戻す政府目標の達成が間近になってきたためだ。削減路線を打ち切るのか、膨らむ社会保障費をにらみ絞込みを加速するのか。水面下で始まった『ポスト削減路線』は百家争鳴の感を呈している。2005年度予算案の公共投資関係費は8兆3260億円。景気対策前の1990年度(8兆2175億円)にあと1千億円強に迫り、補正予算ベースでほぼ半減した」(日経・05年2月8日)。小泉・竹中コンビの成果だ。
「(与党に)根強い不満がある。1月25日の自民党国土交通部会。終了直前、議員の一人が突然切り出した。『今も景気の悪い地域がある。全国にバランスのとれた予算をお願いしたい』。だが人口減少時代を控え増額には異論が多い。毎年、国際競争力ランキングを発表するスイスのビジネススクールIMDによると、人口2千万人以上の国で1キロ平方メートルあたりの道路距離は日本が世界一。川本裕子・早大大学院教授は『社会保障財源を少しでも確保、増税規模を圧縮するためにも削減幅を拡大すべきだ』と指摘する」と続く。
川本裕子教授は道路公団民営化の委員だった。道路問題には精通している。世界的な経営コンサルタント企業「マッキンゼー」の主任研究員でもある。傾聴すべきだ。記事は続く。
「内閣府の関係者は主張する。『民間に比べコスト改善がはるかに遅れている現状の改革が先。無駄を減らせば自ずと金額が減る』との声は根強い。長野県の田中康夫知事が入札改革を主導。入札予定上限価格に対する落札価格の水準は2000年度に平均97%だったが、03年度には73%台に下がった。ダンピング受注などに対応し手直しは必要だが、厳しい改革を経験した自治体はまだ数えるほどだ」――。
「田中角栄が議員立法で1954年度に揮発油税を創設して以来、50年を超えて聖域化してきた枠組みに切り込んだのが前首相・小泉純一郎。公共事業費の削減を打ち出した小泉のもとで、02年度以降、道路予算も厳しいマイナス・シーリングがかかり、減少に転じた。特定財源の税収は決まった額が入ってくるのに、道路予算は年々減っていく。税収に余剰が出始めた。小泉は道路公団の民営化方針に沿って本州四国連絡橋公団を解散し、1兆3400億円の債務を承継。03年度から06年度までかけて余剰分をこの返済に充てた」(清水真人「経済財政戦記」〜官邸主導小泉から安倍へ〜日本経済新聞・395頁)。小泉は偉い。
「基礎的収支5年ぶり悪化。11年度黒字化に暗雲」(「日経」07年12月20日)――。小泉・竹中コンビは国と地方の基礎的収支(プライマリーバランス)の2011年黒字化を目指した。
聖域に切り込み、歳出カットを試みた。だが安倍・福田政権で緩みが出てきた。経済成長が陰り、道路への欲望が膨らんできた。「<土建国家的>地方利益論」復活を許すのか。
(平成20年3月30日)
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