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「官僚や族議員の巻き返しで改革が『骨抜き』となる懸念もなお残る」――。4月4日(金)「日経」の「公務員改革法案きょう閣議決定」のリード。「<官僚主導>から<政治主導>への流れを加速するため、公務員の人事を一元管理する『内閣人事庁』の新設や、官僚と国会議員との接触を制限することなどが柱」とある。だが見出しには「詳細先送り、骨抜き懸念」という文字が躍っている。要するに<官僚支配>は続くのだ。火山が解説しよう。
「小泉内閣以来、自民党が進めてきた改革の本質は何か。基本的な図式は『霞ヶ関対永田町』である。官僚によって役人天国が形成され、今や官僚が国政を操り、国を私物化しているという批判は、ある意味で正しい。官僚主導を本来の政治主導に戻し、国民のための政治に戻さなければならない」(舛添要一「霞ヶ関VS永田町」講談社・2頁)。
正直に言おう。火山、舛添要一の著書を読んで彼を見直した。参院自民党で三番目に重いポスト・政審会長に必要な調整能力、説明能力を事例を添え、整然と説明している。態度はデカイ。でも正論を吐き、正論を通そうとしていたからだ。だが最近の彼、まったくダメ。厚生労働省、社保庁の<言いなり>――。
4月4日、「テレビ朝日」のワイドショーで「道路の族議員は国交省の<番犬>だ」と菅直人が刺激的な発言をした。火山も賛成。舛添要一は今や社保庁の<番犬>になりさがった。
自民党<政調会>には様々な<部会>がある。各部会には関係<役所>があり、所管の予算や法案を部会が審査する。<部会>→<政調審議会>→<総務会>の承認手続きを経なければ国会提出ができない。有名な<事前審査システム>。自民党が首相官邸や内閣より強い権力を握る秘密。族議員が地元へ利益誘導を図り<票とカネ>を集める仕組みだ。
<番犬>と言いたい舛添要一だが、著書「霞ヶ関VS永田町」(講談社)は今もご立派。
「業界団体はカネと票とのバーターで、政治家に自分たちの要望を通してもらおうと働きかけるわけだ。こう、書くと、政官業が癒着して、私腹を肥やしているのか、と非難したくなるかもしれないが、政官業が相談して連携するのは不健全でもなんでもない。民主的な政治プロセスだ。参議院議員を見ても、建設業界の代表もいれば、医師会の代表もいる。各業界の代表が、票とカネを支援してもらった業界に利益をもたらそうとする。これは民主主義の健全な形だ」(172頁)。げっ!火山は賛成できないが、舛添の見解だ。
各部会が自分たちの要求を通す最初の決戦場は「税調ヒヤリング」。事前に「戦略会議」が開かれ、どの要求項目を重点的に攻めるか、激しいヤリトリをする。結果は「税制改正要望事項」。戦略会議の日も業界団体の応援団が待ち構え、旗を振って先生方を迎える。
ヒヤリングした要望は後日、税調の幹部会で評価され、国税と地方税に分けて「部会重点項目一覧」にまとめられる。分厚い冊子は「電話帳」がニックネーム。要望事項には○△×が打たれている。○は「受け入れる」。△は「検討する」。×は「お断りする」。
「みなさんが一票を投じた先生の働きぶりを知りたければ、税調に出席したか、部会にまじめにでているかをチェックすればいい。税調にも部会にも姿を現さない議員は論外。こういう人に一票を投じても、あなたの声は国会には届かない」(舛添・178頁)。火山、呆れて、開いた口がふさがらない。要するに<口利き>そのもの。利益誘導だ。
「税制と並ぶ、もう一つの重要な国会議員の仕事である予算編成も、税制と同様の構造となっている。田中角栄氏の時代には、箱物行政による分捕り型がまかり通っていた。族議員が官僚と手を組み、予算を取って施設を建てさせる。献金をもらっている地元の業者に指名入札させて、献金を増やす。そして、住民から評価され、票を集めるという、例のパターンである」(舛添・179頁)。なんとまあ赤裸々な。これも呆れる。
「役人が大臣を手なずける時にも、箱物を作ってあげるという形で、地元にカネを落とす。郵政造反組がいい例だ。ある意味、郵政造反組がかわいそうだと思うのは、彼らが官僚の走狗のなれのはてだからである。かつて郵政省があった時代、郵政省は彼らの権限で自由に使える郵便貯金を原資に、会議室、宿泊施設、レストラン、ホール、プールなどを備える郵便貯金会館(メルパルク)や会議室、ホール、カルチャー教室などを備えた郵便貯金地域文化活動支援施設(ぱ・る・るプラザ)を全国につくっていた。
これが郵政大臣になった政治家への褒美代わりに利用されていた――。たとえば野田聖子議員は1998年7月に郵政大臣に就任したが、翌年度に彼女の選挙区である岐阜市の『ぱ・る・るプラザ岐阜』の建設予算が計上された(建設された施設は2006年10月で閉鎖)。これはいってみれば、郵政省の代弁者となる見返りである」(舛添・180頁)。野田聖子議員がその後起こした郵政造反と復党。その無様だったことは記憶に新しい。呆れた内幕が暴露。
多くの大臣、政治家は官僚がお膳立てしてくれた路線の上を走る。偉そうなことを言っても官僚にオンブニダッコ。舛添要一も国交省の冬柴鉄三同様、官僚の<操り人形>。官僚が用意したペーパーを節をつけて歌うだけ。実に<無様>。どこに主体性があるのか。
「日本は議院内閣制を採用している。内閣が国民の負託を受けた国会の信任によって成り立つ統治体系だ。内閣が官僚に指示を出し、政策を立案させて国会に諮る。現実はどうか。霞ヶ関の官僚が国会議員と内閣構成員の閣僚に同時に働きかけ、省益を実現しようとする『官僚内閣制』の面が強い」(「日経」4月4日。編集委員 大林尚)。結びは昨日と同じ。
(平成20年4月5日)
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