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3月中旬、堀内光雄(自民党元総務会長)の手元に市役所から葉書が届いた。「最初、どういうことなのかよく分らなかったので、厚生労働省の担当者を呼んで説明してもらった」(「文藝春秋」2008年6月号・146頁)という。よく聞いてみたら……。
「私が50年にわたって経営してきた富士急行の健康保険から放り出されてしまうことになるらしい。長年、保険料を支払い続けてきた場所から、本人の意志も確かめずに一片の通知で保険証を無効にする、そんな強権が国にあるのだろうか」――。凄い、鋭い指摘だ。
「75歳以上という高齢者には、いろんな人間がいる。そうした人間への想像力がまったく働いていない。もらえる年金も少なく、病院にも通えないような人からも保険料を自動的に年金から天引きしていくというのは、非常に冷酷な感じがする」(151頁)。
「75歳以上の人たちはもはや用済みとばかりに、国が率先して<姥捨て山>を作ったかのような印象を受ける」(146頁)――。堀内光雄、現職衆院議員が<怒り>の声を上げた。
1997年の通産大臣の時、石油公団について事務方の答弁書に疑問を持った堀内、公団関連企業112社の膨大な資料を独りで精査。不良債権が1兆3,000億円もあることを暴き出す。「文藝春秋」(1998年11月号)に『通産省の恥部・石油公団を告発する』と暴露。その結果、2002年「石油公団廃止法」が成立、公団は2005年3月に解散。正義感は抜群。「文藝春秋」など滅多に買えない火山。でも堀内光雄の記事を読みたい。思い切って買った。
「今まで国民健康保険やサラリーマンの健康保険に加入しながら、老人保健制度下で医療を受けてきた人たちが、75歳以上で輪切りにされ、一斉に別の枠の中に送り込まれた。その数は約1300万人。配偶者や子供らに扶養されて保険料を払ってこなかった人も含め、全員が保険料を負担することになる」――。何とも明快。それだけに<鬼気>迫る話だ。
発想を変え<年金>を話題に考えてみよう。日本の年金は戦前<積立>方式でスタート。簡単にいえば「将来もらう年金は自分が積み立てた<貯金>と<利子>から<分割>払いを受け取る仕組み」だった。
ところがムダ使いが嵩じて原資が不足。ある日、突然「日本の年金は<賦課>方式です。年寄りの年金を若い世代が負担する仕組みです」と言い出した。長年支払い、積み立ててきた貯金をパーにされた。同じことが健保でも起こった。これは火山説。堀内説ではない。
「私が50年にわたって経営してきた富士急行の健康保険から放り出されてしまうことになるらしい」とは堀内議員の言葉。年金も健康保険も<厚生労働省>の担当。<悪質>だ。
「親子や夫婦の絆まで引き裂く状況を生み出しかねない。これまで子供を扶養してきた親、子供が成長、就職して子供の扶養家族になる。健康保険も子供と一緒。親子の長い関係が続いてきたのに、急に『お父さんは後期高齢者、扶養家族から外れました。保険証を返して、今後は自分で保険料を払ってください』とは子供だって言いづらい」(147頁)――。
「夫婦の間でも、夫が75歳以上になり、妻がそれより若ければ、夫だけが現行の制度から外されて新制度に入り、それまで妻が夫の扶養家族として保険料を払っていなかったとしたら、妻は1人で国民健康保険に入らなければならなくなる。もちろん妻の新たな保険料負担が発生する」(同)――。血も涙もない残酷な制度。
「新法案は厚労省が原案を作成した後、誰もブレーキをかけないまま06年6月の成立に向かっていった。さらにそこから2年も準備期間があったのに、制度の趣旨や仕組みについて分りやすい説明も行われず、施行されてから問題が次々と明らかになった。周知が不徹底だったことも、混乱を招いた原因の一つだろう。そこには厚労省の無計画性、怠慢があったように思う」(151頁)――。一方、堀内光雄の勉強振りは素晴らしい。
「高齢者の高すぎるという議論は、10年以上前からあった。06年度推計での国民医療費は約34兆円、そのうち高齢者医療費は約11兆円、全体のおよそ3分の1をしめている。後期高齢者の1人当たりの医療費は、現役世代の4倍から5倍かかっている」(150頁)。
「老人医療費は年々増えているから、何か制度変更をしなくてはいけない、と捉えている人がいるかもしれない。しかし、事実は違う。1999年からの老人医療費を見ると、ずっと11兆円台であり、実は増えていないのだ」(153頁)。凄い指摘。何のための新制度か。
「自民党の中でも『後期高齢者医療制度を考える会』という組織ができるなど、制度見直しの声が上がってきている。ここは思い切っていったん凍結してゼロベースで国民的議論を行うべきである」(152頁)。火山も大賛成。<保険>とはいえない悪法は廃止すべき。
「まず第一に高齢者の意見に耳を傾け、納得してもらわなければ、医療改革は進まないということを認識してもらいたい。1300万人の後期高齢者たちにとっては、ガソリン税の暫定税率問題より、この制度の方が切実な問題として受け止められるだろう」(同)。
「高齢者をわざわざ隔離するような制度にはせず、今ある老人保険制度を時代にあった形で十分対応できるはずだ」――。医療費の高い高齢者だけ集めるたら破綻するのは自明。
「根本的には、政府が経済成長を良くしていくことができれば、高齢者の医療負担も少なくて済む社会になるだろう。福祉財源を充実させるためにも、政治はしっかりとした舵取りをしていかねばならない」(153頁)。――別項の<川本裕子>早大大学院教授の<上げ潮>路線をご参照。バラマキ主体の<増税派><高負担>を強いる路線とは根本的に違う。
(平成20年5月12日)
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お役人達は「机上の空論」を振りかざすのがとても好きで上手のようですが、振り回される側はたまったものではありません。
このような馬鹿げた体質〔体制?〕を劇的に変える方法があるのでしょうか。多謝。
2008/5/15(木) 午前 10:52
「<劇的>に変える方法」!あります。<政権交代>です。今日の<役人天国><官僚支配>を生み出した根本原因は戦後ずっと続いてきた自民党一党支配。細川政権が誕生した1993年8月から僅か10ヶ月を除けば実質自民党政権。これが<政官>の癒着を生み出した。
政治家は口利きだけ。立法も行政も実質官僚。これが<官僚支配>=<官僚内閣制>を生んだ。
対策は<政権交代>だけ。だから小沢一郎は<政局>を狙う。立派な理念、戦略なのです。マスコミが流す<官僚>情報に翻弄されるのはやめましょう。とにかくダメなものはダメ。
小沢や民主党の悪口を言い始めたら「敵に塩を贈る」ことになります。信じてください。
2008/5/15(木) 午前 11:41 [ kom*_19*7 ]