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「69%が保険料負担減。国保から移行の世帯」と「日経」6月4日(水)――。バカな!大ウソに決まっている。この見出しを見た途端、火山は怒りに震えた。またか!
「社会保障の自然増、5年間で1兆1000億円を抑制」が<骨太方針>の目標。だから75歳以上を「後期高齢者」として切り離し<負担>を押し付け、<歳出削減>を図る。保険料が減るわけがない。だが舛添要一厚労相までが官僚のレクを鵜呑み、「約7割が世帯数でいうと、負担が軽くなる」とテレビで答えた。バカな!
「財政の都合が優先、人間味に欠ける」と塩川正十郎元財務大臣が怒った。「高齢者は死ねというのか」と堀内光雄自民党元総務会長が「文藝春秋」6月号に発表。二人とも政策通の政治家。いい加減な発言をするはずがない。特に堀内光雄は厚労相の役人を問い詰め、しっかり勉強。福田康夫首相に1時間も直談判。首相から「よく分りました」と言質まで得ている。それなのに日経は、無責任にも役人の文書を鵜呑み、垂れ流している。
「75歳以上を対象に4月から始まった後期高齢者医療制度で、市町村の運営する国民健康保険(国保)から移った高齢者世帯の69%で保険料が下がったことが分かった。これまで野党などは『高齢者の半数以上の保険料が上ったのではないか』と批判を強めていた。厚生労働省が調査を進めており、近く公表する」という。野党をまるで<悪者>扱い。
だが官僚のデタラメぶりが昨6日、早くも露見した。民主党の長妻昭議員の質問に、厚生労働省の課長が「推定自体が粗い推計という批判はその通り」とあっさり認めたのだ。
デマを流し、デタラメな土俵を捏造、そこへ世論を誘導、操作する。官僚はこれを「<相場観>を作る」というらしい。6月1日(日)のテレビ朝日「サンデープロジェクト」で田原総一朗が紹介。モトネタを発見した。中川秀直「官僚国家の崩壊」(講談社・23頁)だ。
「約7割の世帯で負担が軽くなる」――。官僚がでっち上げた<相場感>。もちろん真っ赤なウソ。鵜呑みにした「日経」は「野党が根拠もなくケチをつけた」かのように報道。まさに<相場感>が形成された。さらに舛添厚労相にまで片棒を担がせられている。
「役人のズルイところは、常に自分たちに都合の良いデータしか出さない点である。こちらが要求しても、不利なデータは全部隠す。都合の良いデータだけを見た政治家は、なるほどと納得してしまうが、それでは霞ヶ関の術中にはまる。これからの政治家には反論できるだけの材料と頭脳が要るのだ」――。素晴らしい。火山は感激した。世の中には立派な政治家がいる。しかも自民党の現職参院議員――。
「今まで私が体験した中で最も酷かったのは、社会保険庁だ。今日出してくる資料と昨日出してきた資料が違う。精査して『違うじゃないか』と追い詰めると、また違う資料を持ってくる。後ろめたいことがあればあるほど、都合の悪いデータを隠したがる」――。
著者は誰。びっくりしないで欲しい。<舛添要一>「霞ヶ関VS永田町」(講談社・199頁)。
2007年5月7日が初版。彼氏は参議院自民党・政策審議会長。まだ一年生議員だったのに、参院自民党で三番目に重いポストの政審会長に抜擢され、意気軒昂としていた。
青木幹雄参院自民党議員会長、片山虎之助参院自民党幹事長に次ぐ要職。威張っても当然。だが厚生労働大臣になった途端、役人に牛耳られ、菅直人のいう<番犬>になりさがった。
「小泉内閣以来、自民党が進めてきた改革の本質は何か。基本的な図式はよく言われるように、『霞ヶ関対永田町』である。官僚によって、役人天国が形成され、今や、官僚が国政を操り、国を私物化しているという批判は、ある意味で正しい。官僚主導を本来の政治主導に戻し、国民のための政治に戻さなければならない」(舛添・2頁)。
「劣化した日本のエリートを叩き直す」――。自民党元幹事長・中川秀直の近著「官僚国家の崩壊」(講談社)だ。「身内共同体の利益を拡大するためにズルをし、隠す。その一つの現われが、昨今の偽装、隠蔽事件の横行であり、社会保険庁の失態である」(中川・19頁)。
「流行る<造語>の名人」と田原総一朗が「サンデープロジェクト」(テレビ朝日)で中川秀直を持ち上げた。中川は劣化した日本のエリートを<ステルス複合体>と名付けた。
「既成の組織、既成の方針、過去の成功体験などを金科玉条とし、学歴(たとえば東大法学部のエリート人脈)に基づく自らの身分に誇りを共有する。官僚機構、日銀、経済界、学界、マスコミなど、あらゆるところに巨大なネットワークを張る。この大学同窓を原点とする同質的人脈が『空気』をつくり、政策の『相場感』をつくっていく。彼らの醸し出す空気と相場感に反するものは『異端』扱いされるか、無視され、あらゆるエリート層に、予定調和的な言動を強いて、同質化圧力を加えていく」(23頁)。
恐ろしい事実を一つ挙げよう。<異端>扱いで<破滅>した事例。「安倍総理辞任」だ。高橋洋一「さらば財務省!」(講談社)に詳しい。高橋は「小泉・竹中改革」の司令塔を勤めた内閣府参事官。安倍内閣では内閣参事官。パリパリのキャリア財務官僚。ただ自らを「官僚すべてを敵にした男」と名乗る。「公務員改革」――。小泉改革でも手をつけなかった本丸に切り込み、「矢尽き刀折れた」退陣。日経の編集委員・清水真人「経済財政戦記」(日本経済新聞社)も全く同じ見解。情報が来なくなり、孤立無援。野垂れ死にした。
<ステルス複合体>と、一心同体の<族記者>と!ぶっ飛ばさないと日本は沈む。(続く)。
(平成20年6月7日)
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