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Treue Liebe―――。これ、ドイツ語です。英語なら<True love>。なんとも似ているでしょう。
学生時代の思い出が一杯詰まっている「ドイツ文化研究会」、そのOB(オンケル)会が先週あった。春と秋、年2回恒例の集まりだ。「青春」…人は年を重ねただけでは老いない。希望を失った時、初めて老いる…そんな詩もある。オンケル会に出るとドイツ語に夢中だった日々が甦る。そこには「若き血」もあった。
ドイツ語との出会いは中学を卒業した春、NHKラジオ講座を聞いたことから始まる。借りて読んだ文庫本・シュトルムの「みずうみ」に感動したのがきっかけ。初恋に殉じ、生涯を独身で過ごした初老の男の思い出話。どうしても原語で読みたい。自分の初恋の思い出もからんで毎朝必死で勉強した。
そして半世紀。「若きヴェルテルの悩み」の原語読みはちっとも進まない。あの情熱は消えたのか。その情熱を思い出そうと、10月新学期の「ドイツ語」講座のテキストを買った。びっくりした。何と楽しく素早く学べるようになっているか。勉強法も凄い進歩だ。
中級編の一つが「歌で楽しむドイツ語」。10月3日はドイツ統一記念日なので、新学期最初の歌は「ドイツ国歌」だという。懐かしい。ナチス・ドイツ華やかなりし頃、「ドイチュラント・ユーバー・アレス」と高らかに歌った。「世界に冠たる(君臨する)ドイツ」という賛歌なのだが、何と今の国歌、メロディは一緒、歌詞を書いた詩人も一緒、歌詞だけ3番に変えたという。面白い。
ナチス(冠たる)ドイツの時は1番だった。3番は「統一と権利と自由」の賛歌。凄い。この先見性あるドイツ詩人はファーラースレーベンという19世紀の人。2番では「ドイツの女性、ドイツ人の誠実、ドイツのワイン、ドイツの歌」を賛美している。これも凄い。そして「ドイツの誠実」。大好きな言葉。初恋に殉じた誠実だ。
国歌に続いて紹介される歌はTreue Liebe(まことの愛)。凄い。英語ならTrue love。似ているでしょう。でも青春の思い出を通して発音すると感動がまるで違うのです。
Ach,wie ist’s moeglich dann dass ich dich lassen kann!(ああ、どうしてそんなことができよう。君をおろそかにするなんて)。僕は君を愛している。どうか信じて…と続くのだが、日本語になると恥ずかしくて口にできない。誠実のはずがウソになる。
名月に あといくたびの 恋の夢(火山)…もどうもウソっぽい。
マレーネ・ディートリッヒの甘く切ない歌声で一世を風靡した「リリー・マルレーン」も紹介されている。原曲は第一次世界大戦で生れたが、翌年発売されたレコードは700枚しか売れなかったという。ところが第二次世界大戦ではベオグラードのラジオ局が「若い歩哨の兵士の歌」と紹介してから大ヒット。ドイツと戦う連合軍の北フランス、カレーの放送局がディートリッヒを起用してから、敵味方の区別なく爆発的に広まった。
これをドイツ語で学べると思うと胸が躍る。放送の日を忘れないようにしないと。テキストには歌詞も楽譜も載っている。忘れないようにしないと―――。
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